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[TGS 2017]禁書×バーチャロンによって広がる新たな可能性――「とある魔術の電脳戦機」亙 重郎氏インタビュー。気になるストーリーやゲームシステムについて聞いてきた
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「電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機」公式サイト
原作小説のテイストをふんだんに盛り込んだストーリー展開
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。「とある魔術の電脳戦機」は,そのベースとして2016年5月に発売された同名のコラボ小説が発端とのこと。ゲームでもオリジナルのストーリーが展開するとのお話でしたが,どんな物語になるのでしょうか。
亙 重郎氏(以下,亙氏):
小説版「とある魔術の電脳戦機」の続きを描いたものになります。バーチャロンが流行する学園都市になにやら陰謀の影が見え隠れし,ある事件が起こる。しかしそれを,主人公・上条当麻君の熱い心と拳,そしてお説教がなんとかしてくれる,はず……といった,“禁書”盤石の活劇ドラマです。
4Gamer:
ああ,なるほど。まさに原作ファン納得の展開ですね。
亙氏:
鎌池先生の作風やテンポを大切にしています。複数のキャラクターがそれぞれの視点でシナリオが進み,それぞれのシナリオをクリアすると話の全貌が見えてくる体裁。
例えば,あるシナリオで,上条君と禁書目録(インデックス)が何かの事件に巻き込まれているとき,別のシナリオでは同じ頃に違う場所で御坂美琴や白井黒子がある行動をとっていたとします。それぞれのシナリオを進めると,「あのとき美琴がこういう行動をとったから,上条君のほうではこんなことになったのか」みたいに,パズルがはまっていく形で話の全体像が解けていわけです。
4Gamer:
では反対に,原作を読んだことがない人はどうでしょう。楽しめるでしょうか。
亙氏:
ゲームは小説版を知らなくても楽しめるものを,という前提で制作しています。とはいえ,いきなりだと戸惑ってしまってストーリーに入っていけない人や,ゲームを進めるうちに登場人物達の関係や過去の経緯が気になりだす人もいると思うので,そういった人達向けに何かご用意するつもりです。
4Gamer:
ちなみに現在はプレイアブルキャラクターとして6名のキャラクターが名乗りをあげていますが,最終的には何名くらいになるのでしょうか。科学サイドのキャラクターは結構揃っているので,とくに魔術サイドから誰が出てくるのかが気になります。
亙氏:
プレイアブルは,やっぱり10人以上は出さなきゃいけないと思っています。どんなキャラクターが登場するかは……今ここで明かしてしまうと,今後の情報公開で話すことがなくなるので詳しくは明かせられないですが(笑)。禁書の世界での物語を描くうえで魔術サイドの人間は“出てきて当然”ですよね? 今後の発表では,魔術サイドのキャラクターも出てくるかと思います。
4Gamer:
気になりますね(笑)。続報が楽しみです。
亙氏:
キャラクターで言うと,先日のイベント(関連記事)でお伝えしたとおり,アニメに登場していないキャラクターも……ということがあるので「おっ,あのキャラクターが!」という驚きがあるかもしれないです。
4Gamer:
アニメといえば,先日公開されたプロモーションビデオにはアニメーションシーンがありました。こうした演出はゲーム内にもあるのですか?
亙氏:
本作は,まずなによりも,鎌池先生自身が作り上げた原作世界を尊重する姿勢を貫いています。そして,アニメシリーズがそうであったように,ゲームはゲームでしかできない形で鎌池先生の作品の魅力を伝えたい。なので,キャラクターのボイスはオリジナルキャストによるフルボイスとなりますが,ゲームならでのは演出になっていきます。
4Gamer:
もう一つ,音楽を古代祐三さんが担当するという発表には驚かされました。これまでのアニメのとあるシリーズや「バーチャロン」の,どちらのイメージとも違ったものになるのかと思いますが,BGMはどんなイメージを想定しているのでしょうか。
亙氏:
古代さんは,最近だと「世界樹の迷宮」や「セブンスドラゴン」のようなRPGの音楽を担当している人というイメージがあるかもしれませんが,昔のゲームを知っている人からすると,「アクションゲームの音楽だってやってましたよね!」と言いたくなるはず。
だから私としても「今あらためて古代さんにアクションの音楽をお願いしたらどうなるんだろう」,そして「禁書にもバーチャロンにも染まっていない,でも凄く実力のある人に,今回のコラボ企画の楽曲という重要なポイントで活躍してもらったら,どんな化学変化が起こるんだろう」という思いがあった。今回オファーしたのはそんな理由からです。
4Gamer:
仕上がったものは,もうお聴きになりましたか?
亙氏:
ええ,断然かっこいいですよ。期待してもらってまったく問題ありません。早く皆さんに聞いていただきたいですね。
シリーズ作品のいいとこどりを目指した,新たなバーチャロン
4Gamer:
ここからはバーチャロンのほう――主にそのゲームシステムについて聞かせてください。「バーチャロン」シリーズはスピード感あるバトルが魅力ですが,こと対戦ゲームとなると,そのスピード感と操作性のバランスが命であるように思います。今作のプレイフィールは,これまでのシリーズでいうとどの作品に近いのでしょうか。
亙氏:
シリーズ各タイトルの良いところをベースに,まったく新しいものを制作したので,どれか一つに近づけたわけではないんです。だから,「この部分はあれに似ているよね」や,「この要素はこの作品だね」というように,触った人それぞれで異なる印象を持つのではないかと思っています。
プレイしていただくと分かるかと思いますが,今回「トランジション」という新たなアクションによって,これまでの作品に比べて動きがシームレスになっているんですよ。戦い方もスピーディーに動き回りながら,どのように相手を追い詰めていくかという方向になっています。新しい要素を楽しんでもらいながら,本作に入っている旧作の片鱗みたいなものを感じてもらえたらと思っています。
4Gamer:
今回明らかになった第4の武装「ブーストウェポン」ですが,いずれも「禁書」に登場するキャラクター達の異能の力に関連したものとのこと。例えば上条当麻の「幻想殺し(イマジンブレイカー)」だと強力な近接攻撃という感じで,一見すると大ダメージを与える超必殺技という印象でしたが,これはどのように使うものなのでしょうか。
亙氏:
「ブーストウェポン」はその名のとおり,彼らが持つ異能の力をブーストして武器とする攻撃です。一発芸みたいな派手なアクションで終わるのではなく,発動させることで相手になんらかのプレッシャーを与えて,ゲームの流れを変えるようなものにしたいと考えています。
4Gamer:
ブーストウェポン以外に,例えばライデンのアーマーパージのような特殊な操作は残っているのでしょうか。
亙氏:
それらはブーストウェポンに統合しました。電脳暦の世界だと,Vコンバータの余剰パワーがああいった形で現れていましたが,禁書の世界に来たバーチャロンでは,そういった力が搭乗する人の持つ能力と組み合わさった結果,ブーストウェポンという形で発現する。そういうイメージです。
4Gamer:
ということは高レベルな異能を持つキャラクターほどブーストウェポンも強くなるといったことになりませんか? 学園都市には異能の力の強さによってレベル分けされる制度がありますし。
亙氏:
バーチャロン自体は,学園都市の世界とは違う原理や規格で動いているので,たとえ能力レベルの低い人であっても,バーチャロイドのポテンシャルを引き出すことができるんです。これは魔術サイドの人でも状況は同じ。禁書の世界の人は,彼らがそうと認識していないだけで,バーチャロン側にとっては大切な力を持っていて,それがゆえにバーチャロイドを力強く操れるわけです。アニメの「聖戦士ダンバイン」を例にとりますと,地上人の主人公がファンタジーの世界に行って,オーラバトラーに乗ったらめちゃくちゃ強かったじゃないですか。あのノリに近いと思うんです。どれくらいの人が理解してくれるか分からない例えですが(笑)。
話を戻すと,学園都市は能力でランク付けされた,ある種のヒエラルキー社会。だけどバーチャロンは,その社会でのランク付けに左右されず,あらゆる人にチャンスを与える。だからこそ,人に夢を与え,e-Sportsとして流行っている。本作には,そういう背景があります。
4Gamer:
では,“自分好みに仕上げた機体に,お気に入りの禁書キャラクターを乗せたい!”というファンもいると思うのですが,そういった要素についてはいかがですか。カラーリングなどのカスタマイズ要素はあるのでしょうか?
亙氏:
今回はありません。まずは禁書のキャラクターとバーチャロイドのしっかりとした組み合わせを体験し,楽しんでもらい,イメージを固めてもらえればという思いがあります。第一歩はそこからかなと思うんです。
最初から組み換えができてしまうと,なぜこのキャラがこの機体に乗ることを選んだのかという大切な印象が薄まってしまうかなと。まずは「美琴とライデン,この組み合わせは面白いよね」と皆さんに実感していただいてから考えるべきことではないかと思っています。
4Gamer:
分かりました。ところでステージイベントでは,ツインスティックの「金型」がすでに廃棄されてしまったため,発売は難しいとのことでした。可能性はもうないのでしょうか。
亙氏:
作り直すのに膨大なコストと時間がかかってしまうのと,細かいノウハウの重なりでできた技術で生まれた物なので,見本があったとしてもすぐに再現できるわけではないんですよ。僕も残念ではありますが,その分ゲームパッドへの最適化はしっかりと調整しています。もともとパッドでプレイすることを前提に作っていて,その部分のクオリティは高いです。
4Gamer:
原作では,それこそPS Vitaのような携帯ゲーム機型のデバイスで操作していますものね。
亙氏:
そうなんです。それもあって,最初はPS Vita専用タイトルかな,とも考えていました(笑)。実際にストーリーも,キャラクター達が携帯端末でバーチャロンをプレイしている前提で話が進みますし。どこでもバーチャロンが楽しめて,公園でストリートバトルするような世界ですので,より世界観を感じられるのはPS Vita版かもしれません。
4Gamer:
クロスセーブも可能ということなので,家で落ち着いてPS4版で遊びつつ,キャラクター達と同じ気分にひたりながらPS Vitaで外で遊ぶなんてこともできそうです。
亙氏:
PS4版の高画質を脳裏に焼き付けておいて,PS Vitaで遊ぶときは,作中同様に街に浮かび上がるバーチャロイドをイメージしながら遊ぶというのもいいですね(笑)。
4Gamer:
最後に禁書ファンとバーチャロンファン,それぞれにおすすめのポイントをお願いできますか。
亙氏:
禁書ファンの皆さんには,やはり鎌池先生の書き下ろしによる,新たな禁書の世界がゲームで楽しめるというのが大きいと思います。私自身,禁書のいち読者として盛り上げていくお役に立たいというのもありますから,今回のコラボが,禁書そのものの可能性を広げるものとして楽しんでもらえるような作りにしています。
そしてバーチャロンファンの皆さんには,なんといってもやはり,15年ぶりに帰ってきたという点が大きいです。今回のコラボの報を聞いて,どうなっちゃうのと思った人も多いでしょうが,実際に触っていただければいろんなシリーズ作品の要素を感じることができて「ガチバーチャロンじゃん」と楽しんでもらえるのではないかと。新しいバトルの世界をお届けいたしますので,期待していてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「とある魔術の禁書目録」とのコラボにより,15年ぶりに帰ってきた新作バーチャロンである「とある魔術の電脳戦機」。東京ゲームショウ2017のセガゲームスブースでは,最終日である明日2017年9月24日も,一般来場者による試遊が可能となっている。この異色のコラボからいったいどんなゲームを生まれたのか,気になる人はぜひ会場に足を運び,その手で触れてみてはいかがだろうか。
「電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機」公式サイト
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電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機
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©SEGA CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME
©2017 鎌池和馬
キャラクターデザイン・原作イラスト/はいむらきよたか
Licensed by KADOKAWA CORPORATION ASCII MEDIA WORKS
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