プレイレポート
VS.シリーズ最新作「MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE」,∞の可能性を感じた先行プレイレポートをお届け
本作は,タイトルが表すとおり,「アベンジャーズ」や「アイアンマン」「スパイダーマン」などで有名なMarvel Comicsの人気キャラクターと,歴代のカプコンキャラクターが作品の垣根を越えてバトルを繰り広げる格闘ゲームだ。
1996年にアーケードで登場した「X-MEN VS. STREET FIGHTER」から続く人気のシリーズで,2011年に発売された前作「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」は今でも世界中のプレイヤーに愛され,遊ばれ続けている。
シリーズ最新作「MVCI」では,「MARVEL VS. CAPCOM 3」シリーズで採用されていた3on3形式から,初代「MARVEL VS. CAPCOM」以来となる2on2形式が採用されるということで,前作をやりこんでいたプレイヤーは,どのような部分のゲーム性が変化し,また継承されているのか気になっていることだろう。
4Gamerでは,一足先に製品版をプレイする機会を得たので,気になる対戦部分に焦点を当てた先行プレイレポートをお届けしよう。
正統進化を遂げたインフィニットの新システム
本作の基本操作だが,方向キーと弱P,強P,弱K,強K,アクティブスイッチ,インフィニティ・サージの6ボタンが採用されている。最初に“アクティブスイッチ”“インフィニティ・サージ”を始めとした「MVCI」の新システムを紹介していこう。
MVCIから追加されたシステム |
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・アクティブスイッチ/カウンタースイッチ ・インフィニティ・サージ/インフィニティ・ストーム ・パーフェクト・アドバンシングガード |
■アクティブスイッチ
パートナーキャラクターが攻撃判定を持ちながら地上からダッシュし,そのまま交代する。攻撃中や技の硬直中でもお構いなしに交代できるため,攻めの起点や連続技の中継など,その使い方は無限大。また,相手の攻撃がヒットorガード時にアクティブスイッチボタンを長押しすることでカウンタースイッチが発動し,キャラクターの交代が可能だが,この場合はハイパーコンボゲージを2本消費する。■インフィニティ・サージ
戦闘前に選択したインフィニティ・ストーンの能力を使用する。通常技からキャンセルで出すことができ,使用するとインフィニティ・ストーンゲージが増加するので,後述する“インフィニティ・ストーム”が発動がしやすくなる。■インフィニティ・ストーム
画面下段最端にあるインフィニティゲージが50%以上の時に,アクティブスイッチボタンとインフィニティ・サージボタンを同時押しすることで,インフィニティゲージの残量に応じた時間だけインフィニティ・ストーンの力が解放される。効果を以下の表にまとめたが,その性能はさまざま。なお,共通してインフィニティ・ストーム使用中に再度,アクティブスイッチボタンとインフィニティ・サージボタンを同時押しすることで,インフィニティゲージを消費してLv3ハイパーコンボを使用できる。■インフィニティ・ストーンの効果
インフィニティ・ストーン | インフィニティ・サージ | インフィニティ・ストーム |
POWER | 相手を吹き飛ばす 強力な攻撃 |
攻撃力が上昇し,全ての攻撃で相手が吹き飛ぶようになる |
TIME | 飛び道具を通り抜け,一定距離を高速移動する | 攻撃をあらゆる技へつなげられるようになる。アクティブスイッチの速度UP |
REALITY | 相手を追尾する弾を 撃ちだす |
攻撃ボタンに応じて特殊な攻撃を生み出す |
SPACE | 相手を引き寄せる | 相手を特殊な空間に閉じ込め,動きを封じる |
SOUL | 相手の体力を吸収する,リーチの長い攻撃 | ダウンしたパートナーを復活させる。パートナーと常に2人で行動できるようになる |
MIND | 相手を行動不能にする 投げ技 |
ハイパーコンボゲージゲージが常に増加するようになる |
■パーフェクト・アドバンシングガード
前作に引き続き,攻撃してきた相手を押し返す特殊なガードであるアドバンシングガードがシステムとして採用されているが,本作では新たに,飛び道具をガードした直後に,任意の2つの攻撃ボタンを押すことで,その飛び道具を相手側に跳ね返す“パーフェクトアドバンシングガード”が追加された。跳ね返した飛び道具は,地上,空中問わず,飛んできた射角通りに跳ね返せる。なお,レーザー系の飛び道具やハイパーコンボなどは跳ね返すことができない。新しく生まれ変わった「MVCI」のゲームシステム
前作の「MARVEL VS. CAPCOM 3」シリーズでは,画面内にヴァリアブルアシストを呼び出し,メインキャラクターの動きをフォローしつつ,相手のキャラクターに接近し,ダメージを奪うという流れが基本となっていたが,今作ではなんとヴァリアブルアシストのシステム自体が削除された。そのほかにも下記のシステムがなくなっている。
MARVEL VS. CAPCOM 3から削除されたシステム |
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・ヴァリアブルアタック/ヴァリアブルアシスト/ ヴァリアブルカウンター/ヴァリアブルコンビネーション ・ディレイドハイパーコンボ ・チームエリアルコンボ ・スナップバック ・Xファクター |
さまざまなシステムが削除されており,自由度が下がったかに思われるが,心配は無用。いつでも自由に交代が可能なアクティブスイッチがこれらのシステムの穴を埋めるカギとなる。飛び道具を撃ってからすぐにアクティブスイッチで交代すれば,かつてのヴァリアブルアシストのような立ち回りができ,ハイパーコンボ発動直後に交代し,出てきたキャラクターのハイパーコンボをつなげれば,ディレイドハイパーコンボのように安全に交代しつつダメージを与えることもできる。汎用性が高く,攻めにも守りにもすべての要素で使えるアクティブスイッチは,新たな戦略や読み合いを生み出してくれそうだ。
試合中に攻撃を受けるか,インフィニティ・サージを当てることで溜まっていくインフィニティゲージが50%以上の時に使用できるインフィニティ・ストームも勝利のカギを握る重要なシステムのひとつ。体力が減るほどインフィニティ・ストームの効果時間も長くなるため,その分逆転の可能性も高くなる。また,自分と相手のどちらかがインフィニティ・ストームを発動している間は,もう一方は効果が終わるまで発動できないため,相手にインフィニティ・ストームを使わせないまま倒し切る,といった戦略も重要になってくるだろう。
また,格闘ゲーム初心者や新規のプレイヤーが入りやすいようにボタンひとつで連続技を決められる“オートコンボ”も導入されている。ひとつのボタンを連打するだけで,地上コンボ→エリアルコンボとつないでくれるため,初めて触るキャラクターでも戦えるだろう。そのほか,強Pボタンと強Kボタンを同時押しするだけでハイパーコンボが出せる“イージーハイパーコンボ”もあり,初心者でもバトルを楽しめる工夫がなされている。シンプルに遊べるシステムが追加され,これまでのシリーズを未プレイの人も安心して遊べる設計となっている。
家庭用ゲームとしての完成度もインフィニット
筆者はコテコテの格闘ゲーマーゆえ,対戦バランス面や前作からの進化を期待してしまいがちだが,ひとりで遊ぶための家庭用ゲームも本作は充実している。ここからは対戦モード以外のゲームモードを紹介していこう。
■ストーリーモード
マーベルの世界とカプコンの世界が融合した独自の世界が舞台となっており,マーベル映画の最新作さながらの壮大なストーリーがフルボイス,フルCGで楽しめる。要所で差し込まれる対戦パートも展開が早いため,ストレスを感じることなくストーリーに没頭できるだろう。■ミッションモード
基本的な動作を学べるチュートリアルから,各キャラクターの必殺技,連続技を覚えられるモードも全キャラクター分用意されている。実用的な連続技も多く,実戦に入る前にまずはミッションモードで予習しておけば,すんなりと対戦を楽しめるはずだ■コレクションモード
筆者が非常に驚いたのがこのコレクションモード。こういった要素は得てして.ムービーやサウンドを確認できるおまけ程度のものに収まっていることが多いが,本作ではキャラクターの原画や設定画を見ることができるアートワークや,ゲーム内で使われているキャラクターボイスの一言一言を個別で聴くことが可能となっており,さらにスタークライトライブラリーでは,各キャラクターの詳細なプロフィールやゲームに登場する専門用語などについて確認できる。なお,コレクションモードはゲーム内マネーなどを必要とすることなくすぐに楽しめるので,これだけでもファンには堪らない内容となっている。よりシンプルに,より戦略的になった「MVC」シリーズ最新作
ここまでが「MVCI」の概要となるが,では本作が目指したバトルデザインとはいかなるものだろうか。あくまで現時点での筆者の感想だが,とにかくゲームシステムをシンプルにまとめようという意思を感じた。といっても,単に駆け引きが単純になったということではない。前作にあったアシスト系の行動がアクティブスイッチにまとめられ,自由度が高いぶん操作は忙しいものの,発想次第でさまざまな使い方ができるようになった。アシスト専用攻撃もなくなったので,そこでの性能差が生まれにくいのもポイントだ(ここのプレイフィールは,MVCシリーズよりも「鉄拳タッグトーナメント」や「ストリートファイター×鉄拳」に近い)。
3on3から2on2になったのも,シンプルさを目指した故だろう。操作キャラクターが少なくなれば,当然ながら覚えなくてはならないことが減るので,プレイヤーの間口を広げることにつながる。
その一方で,前作の大きな逆転要素だった“Xファクター”が削除され,インフィニティ・ストーン関連のシステムに置き換えられたのも見逃せない。前作におけるXファクターはとくに強力なシステムであり,トーナメントシーンにおいて数々のドラマを生み出してきた要素である。半面,システムとして強力すぎる面もあり,その賛否はさまざまだった。
本作の逆転要素であるインフィニティ・ストームは強力ではあるものの,使用には一定のダメージを受けるか,インフィニティ・サージによってゲージを溜めなくてはならず,しかも相手のインフィニティ・ストーム時に,こちらは発動できないといった制約もある。Xファクターに比べるとマイルドになってはいるが,そのぶん発動に至るまでの戦略的な要素――ヴァンパイアシリーズにおけるダークフォースや,「ストリートファイターV」におけるVトリガーのような駆け引きは,やり込みを如実に反映するだけ,格闘ゲーマー好みと言えるかもしれない。
総括すると本作のバトルデザインは,タッグバトル形式というコンセプトをできるだけシンプルにまとめることを志向しつつ,インフィニティ・ストーンによる新たな駆け引きによって戦略性を担保したタイトルということになる。
対戦格闘ゲームとして楽しいのはもちろんのこと,マーベルファンはコレクターズアイテムとしても楽しめるので,格闘ゲームファン,マーベルファン共に,この機会に手にとってみてほしい。
「MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE」公式サイト
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MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE
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(C)2016 MARVEL (C)モト企画 (C)CAPCOM CO., LTD. 2011, 2016, (C)CAPCOM U.S.A., INC. 2011, 2016 ALL RIGHTS RESERVED.
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