インタビュー
[G-Star 2017]“空や大陸の広大さ”をイメージした「A:IR - Ascent:Infinite Realm」。プロデューサーのKim氏にインタビュー
そんな本作は,韓国で12月13日〜17日にクローズドβテストが実施される予定だ。テスト直前の時期ということもあり,その準備に追われているであろうこのタイミングだが,本作のプロデューサーであるBlueholeのKim Hyung Joon氏が会場を訪れているとのことで,本作についてインタビューしてみることに。まだまだ謎の多い本作がどんな作品なのかを聞いてみた。
「A:IR - Ascent:Infinite Realm」公式サイト
“空や大陸の広大さ”をイメージした「A:IR - Ascent:Infinite Realm」
4Gamer:
お忙しいなか,お時間をいただきありがとうございます。さっそくですが,本作のタイトルを「A:IR - Ascent:Infinite Realm」にした経緯を教えてください。
最初の名称は「Project W」で,“World”を意味したものでした(関連記事)。そして正式名称をどうしようかと考え,北米などでも聞いてみたところ,「Air」と「Ascent(上昇)」の2つの言葉が挙がってきたんです。
4Gamer:
どちらも空がイメージできる言葉ですね。
Kim氏:
そうです。タイトル名は空や大陸の広大さをイメージしていて,それをキーワードにしていると思っていただければと思います。
4Gamer:
試遊台で実際にプレイしてみましたが,早い段階で飛行船や空を飛ぶ騎乗ペットに乗れますよね。それもあって,“空を飛ぶことが重要”なタイトルなんだろうとは感じました。
Kim氏:
おっしゃるとおりで,初期段階から自分で飛行船を買って乗れますし,その飛行船を最大までカスタマイズできるんですよ。
4Gamer:
1台を強化していけると,その船への思い入れが強くなりそうです。ところで,飛行船と騎乗ペットの役割に違いはあるのでしょうか。ペットはどこからでも乗れるみたいですが,飛行船は決まった場所からしか乗れないようになっていましたよね。
Kim氏:
ペットは動物だけではなくて,空を飛ぶバイクのようなものもあるんですよ(笑)。要は,乗り物と飛行船という2種類に大きく分かれているんです。それに飛行船も,(G-Starに)プレイアブルで出展したものは決まった場所でしか乗れませんが,中盤を過ぎればどこでも乗れるようになります。
4Gamer:
そうなんですね。気になったのは,どちらも空を飛べるし,攻撃もできるということです。試遊台では実際に飛行船での戦闘チュートリアルはなくて,騎乗ペットはブレスで攻撃するというものがありました。PvPで飛行船が攻撃できることは分かっていましたから,その違いは何なのだろう? と。
Kim氏:
チュートリアルで騎乗ペットのドラゴンを乗ったときに体力があったことに気がつきましたか?
4Gamer:
制限時間のようなものがありましたが,あれが体力を示していたわけですか。
Kim氏:
ええ。ですから,騎乗ペットは空を飛んでいると体力が減っていくので,乗りっぱなしはできないんです。一度,飛行船にペットを乗せて休ませないといけません。
4Gamer:
なるほど,イメージできました。飛行船は空で停止させることができますし,プレイヤーがその上で自由に移動したりもできましたよね?
Kim氏:
できますね。そこから飛び降りたりもできますよ(笑)。
4Gamer:
ということは,飛行船を拠点にして,そこから騎乗ペットで冒険を繰り広げるみたいなこともありそうです。
Kim氏:
ストーリーの中盤を過ぎると,そういったこともできます。
4Gamer:
それは楽しそうですね。例えば飛行船でしかたどり着けない場所まで行って,さらにペットでないと入れないような場所を探検する……みたいなものを想像してしまいます。
Kim氏:
そういったこともできますね(笑)。飛行船以外の飛べるものを作った経緯は,ちょっとしたエピソードがありまして。飛行船に乗ってどこかに行くとしますよね。そのときに飛行船が破壊されたとします。そうすると,足場がない場所では歩いて帰れなくなるんです。そこで,空を飛べる騎乗ペットやジェットパックなど,いろいろな乗り物が誕生したんです。
4Gamer:
冒険中に船が破壊される危険もあるんですか。
Kim氏:
どこでもというわけじゃありませんが,RvRができるフィールドでは破壊されるかもしれません(笑)。
4Gamer:
な,なるほど。発表では,広い中立フィールドを使ったRvRができるというお話でしたね(関連記事)。ところで,今回出展されていたPvPの試遊台は,20人対20人だったと思います。これが最大の対戦人数になるのでしょうか。
Kim氏:
いまプレイしてもらっているのはレベル20で行ける戦場です。レベル30のものは30人対30人で戦えます。
4Gamer:
レベル30になったあとでも,レベル20の戦場には行けるんですか?
Kim氏:
行けますよ。そしてRvRフィールドには人数制限がないので,それこそ400人対400人だったりもできます。
4Gamer:
かなりの大規模戦が楽しめそうですね。ちなみにRvRのフィールドは,インスタンスではなく,通常のプレイフィールドにあるのでしょうか。
Kim氏:
ええ,一般フィールドにあります。
4Gamer:
なるほど……そんなところに船を停めたら確かに危険ですね(笑)。ちなみに,PvP,RvRの種類はどれくらいあるのでしょう。
Kim氏:
6種類くらいですね。
4Gamer:
そう言えば,試遊台でプレイできたPvPは,いったい何をめぐって戦っていたのでしょうか。相手の拠点を攻め落とすというのは分かるのですが。
Kim氏:
ギルドが持っている土地の奪い合いなんですよ。勝てばその土地が手に入ります。
4Gamer:
攻城戦のようなものなんですね。土地が手に入るとどんなメリットがありますか。
Kim氏:
資源を獲得できたり,専用のインスタンスダンジョンに行けたりといったようなことですね。
すべてが“浮遊している”世界。過酷な環境がプレイヤーを待ち受ける
4Gamer:
では,このゲームの世界の広さはどれくらいになるのでしょう?
正確な広さはお伝えしづらいのですが,キャラクターが最大レベルまでいくと,それ以前の広さの3倍の土地が開放されるんです。
4Gamer:
3倍も,ですか。
Kim氏:
と言っても,例えばRvRのフィールドはものすごく広いですから。そこと,それ以外とではコンテンツ量は比例しませんよね。
4Gamer:
まあ,それもそうですね。ちなみに,その最大レベルというのは,どれくらいになるんですか?
Kim氏:
レベル30ですね。
4Gamer:
思ったより高くないんですね。
Kim氏:
レベルはそうですね。ですが,それ以降に別の“レベルのようなもの”があり,名称は決まっていないのですが,それを上げていくことになります。
4Gamer:
というと,レベル30を達成したあとに転生のような形で,新たにレベルを上げていくような?
Kim氏:
まだお話しできませんが,いわゆるレベル上げとは違うんです。皆さんはこれまでもレベルを上げるゲームを続けていますから,その体験以外のことをさせてあげたかったというものなんですよ。
4Gamer:
どんな内容なのか気になります。ところで,試遊台でマップを見たときに,一部のエリアが到達レベルでロックされた状態になっていましたが。
Kim氏:
例えば普通のRPGは,レベルの高い人が低レベル帯のフィールドで狩りをすると,敵を1発で倒せますよね。ですが,「A:IR」は,高レベル帯の人が低レベル帯のフィールドでも狩りができ,低レベル帯の人と一緒に遊べる仕組みになっているんです。
ただ,この仕組みの特徴で,プレイヤーがそのマップから動かなくなるというものがあります。
4Gamer:
高レベル帯のプレイヤーでも変わらず狩りができるのなら,移動する理由が少なくなりますね。
Kim氏:
ですが,「A:IR」はRPGです。レベルを上げながらストーリーを進めてほしいので,その都度,新しいマップに導くようにしているんです。
4Gamer:
レベルの到達でマップが開放されることで,どのタイミングでどこに行けばいいという,分かりやすい導線になるわけですね。
Kim氏:
はい。もちろん。最大レベルになればどこでも行けますから(笑)。
4Gamer:
お聞きしているとストーリーを押しているように思うのですが,そもそも本作の世界観はどういったものなのでしょう。
Kim氏:
「A:IR」の世界では,かつて星が破壊されてしまったことで,宇宙の中で砕けた岩のような状態になっているんです。
4Gamer:
すごくSFなイメージですね……。だから,浮遊島を飛行船で行き来しているわけですか。
Kim氏:
そうです。“すべてが浮いている”から,踏み場(道)がないんです。
4Gamer:
なるほど。とすると,それで文明も一度破壊されてしまった,とかありそうですね。
Kim氏:
おっしゃるとおりで,もともとこの星では機械文明が栄えていたのですが,それが破壊されてしまったんです。ですから,飛行船だったりを作る技術は残っていたりします。
4Gamer:
資源の奪い合いという状況も納得できますね。思った以上に,やっかいな世界みたいです。
ストーリーの話に戻りますが,試遊台でのプレイでは,最初に選んだキャラクターの顔と,ゲームが始まったときのキャラクターの顔が違っていて驚きました。
Kim氏:
最初にキャラメイクができるんですが,ゲームを始めると子供の状態なんです。試遊台では,すぐに大人の姿へと変わったと思いますが,実際のプレイでは子供の時期がしばらく続き,ある時点で大人になるという形になります。
4Gamer:
子供時代の見た目は変えられるんですか?
Kim氏:
それは固定されています。機能的には子供時代のキャラメイクもできるのですが……子供の見た目に戻したいと言われても困るので(笑)。
4Gamer:
なるほど(笑)。試遊台ではソーサレスを選びましたが,ほかのクラスも同じように子供から始まるのでしょうか。
Kim氏:
どのクラスも子供からです。なので……ゲームが始まったばかりではフィールド中が子供だらけになるでしょうね(笑)。
4Gamer:
あー,なりますよね。きっと(笑)。
Kim氏:
子供と言っても,幼いというわけでなく,大人になる直前ではありますけれどね。
4Gamer:
試遊台ではキャラメイクができなかったので教えてほしいのですが,「A:IR」のプレイヤーキャラの性別はクラスごとに固定なのでしょうか?
Kim氏:
システム上は男女別に構築していますが,CBTではゲーム性をテストしていただきたかったので,コンテンツを効率良く遊んでもらうために固定しているんです。
4Gamer:
なるほど。クラスは5つ用意されていましたが,これは今後増えていくのでしょうか。
Kim氏:
ええ,正式サービスの前に増やす予定ですよ。
一般フィールドにも建てられるプレイヤーの家。ただし,建築場所には注意が必要?
4Gamer:
正式名称の発表時に,プレイヤー自身の家が持てるという内容がありましたよね。
ええ。家を建てられますし,畑も作れますよ。
4Gamer:
我々,日本人が好きなコンテンツなので期待したいです(笑)。
Kim氏:
それに,モンスターをそこで育てて乗り物にもできます。これはキャラメイクの技術を活かして,羽を付けたりといった「モンスターメイク」ができるようにしているんです。
4Gamer:
「モンスターをカスタマイズ」というのは,文字どおりだったんですね。ちなみに,家を建てるというのは,専用のインスタンスエリアに,だったりするのでしょうか。
Kim氏:
序盤はインスタンスマップに建てられますが,最大レベルになると一般のフィールドにも建てられるようになります。1つのマップに700戸ほどで,それがサーバーごとにあるので。ただ,建てるには結構なお金がかかりますよ(笑)。不動産システムもあり,入札して手に入れることもできます。
4Gamer:
それは土地の奪い合いが激しくなりそうですね。RvRエリアにも建てられるんですか?
Kim氏:
RvRエリアには建てられませんが,敵側のプレイヤーが自勢力のエリアにやってきて,家を破壊するといったことは可能です。それをやる側に損得が発生するわけではないのですが。
4Gamer:
いやあ,そうは言っても家を壊されるのは嫌ですよ。つまり,RvRとは別にPvPが可能なエリアがあるわけですね。
Kim氏:
平和を希望している人もいるので,PvPができないマップも当然あります。ほかにも夜だけRvRができるマップもあったりしますね。
4Gamer:
そこで夜に出歩くのは危ないと……。
Kim氏:
はい。安全な場所に移動しないと危ないです(笑)。一方で,ユーザーとコミュニケーションを取っているのですが,むしろRvRエリアに家を建てて,ポイントを稼ぎたい人もいるんですよ。
4Gamer:
常に最前線に立っていたいということでしょうか(笑)。できれば安全な場所に家を持ちたいですが,競争も激しそうで悩みどころですね。
さて,時間もなくなってきたので,最後に今後のスケジュールをお聞きしたいです。韓国でのクローズドβテストは,12月13日〜17日に実施されますよね。では,いつ頃にサービスインができそうでしょうか。
Kim氏:
韓国では2018年のサービスインを目標にして進めています。
4Gamer:
分かりました。本作を日本(※ゲームオンの運営が決まっている)でプレイできる日を期待しています。本日はありがとうございました。
「A:IR - Ascent:Infinite Realm」公式サイト
※2017年11月17日収録――
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