テストレポート
Google純正スマートフォン「Pixel 3 XL」ファーストインプレッション。快適なAndroidゲーム端末となる可能性を感じた
PixelブランドのGoogle純正スマートフォンが国内投入されるのは,今回が初。かつて,Androidのリファレンス端末として扱われたNexusシリーズのように,今後はPixel 3が,国内でもリファレンス端末になる可能性が高いだろう。そうなれば,ゲームスタジオによるゲームの動作チェックが真っ先に行われる端末となる可能性も高く,可能な限り多くのタイトルを,いち早く快適に遊びたいゲーマーにとっても適した端末になるかもしれない。
製品の紹介へと進む前に,ラインナップを確認しておこう。Pixel 3シリーズは,内蔵ストレージ容量別に2モデルが用意されており,加えて3色のカラーバリエーションもある。なお,ここで紹介しているのは,Google直販ストアにおけるSIMロックフリー版の価格であるが,NTTドコモとソフトバンクからも発売される予定だ。
- Pixel 3:ストレージ容量64GB 9万5000円(税込),ストレージ容量128GB 10万7000円(税込)
- Pixel 3 XL:ストレージ容量64GB 11万9000円(税込),ストレージ容量128GB 13万1000円(税込)
Pixel 3 |
Pixel 3 XL |
明確に異なるのは,物理的なサイズと重量,ディスプレイサイズと解像度,そしてバッテリー容量といった要素程度だ。また,Pixel 3は,縦持ち時の本体最上部に太めの額縁を有するが,Pixel 3 XLは,本体最上部のディスプレイが一部切りかけたようなデザイン――いわゆるノッチ――を採用しているところも違いと言えよう。
つまり,どちらかを選ぶ場合は,単純にサイズや重量の好みで選んでいいというわけだ。スペックはほぼ同等でサイズが異なるというのは,iPhone XSシリーズに似てなくもない。価格まで似てしまったのは残念だが。
というわけで,本稿では大型のPixel 3 XLを中心に紹介していくのだが,テスト時間が限られていたことと,後述するようにいくつかの問題が生じたため,いつものテストレポートではなく,ファーストインプレッションという形でお届けしたい。
デザインはオーソドックスなPixel 3 XL
フロントステレオスピーカーは定位感も良好
上端のノッチ部分には,デュアルレンズ式のインカメラや受話口兼スピーカー,そして各種センサー類を配置している。一風変わっているのは下端のベゼル部分で,ここにスピーカー兼マイク孔を備えていることだ。上端と下端のフロントスピーカーを活用することで,Pixel 3シリーズはステレオ再生が可能である。
ざっくりと音を聞いてみた限りでは,受話口兼スピーカーと下側面スピーカーを使ったステレオ再生が可能な端末とは異なり,音の定位がきちんと真ん中によっていて,バランスのいいサウンド再生が可能だった。ゲーム用途でも役立ちそうである。
バックパネルでちょっと変わっているのは,指紋認証センサーの上側は光沢があるのに対して,それよりも下側はマットな加工になっているという点だ。ハンズオンで試した限りでは,マット加工は滑落防止を目的に採用したのではないかと思われた。
ベンチマークテストへ進む前に,Pixel 3 XLのスペックを掲載しておこう。基本的には2018年のハイエンドスマートフォン相応の仕様で,microSDカードに対応していない分だけ,内蔵ストレージ容量の多いモデルを用意しているのが目を惹くポイントといったところか。
●Pixel 3 XLの主なスペック
- メーカー:Google
- OS:Android 9.0(Pie)
- ディスプレイパネル:6.3インチ有機EL,解像度1440×2960ドット,アスペクト比 9:18.5,523ppi,Gorilla Glass 5採用,HDR対応,コントラスト比10万対1
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 845」
・CPUコア:Kryo 385 Gold(最大2.5GHz)×4+Kryo 385 Silver(最大1.6GHz)×4
・GPUコア:Adreno 630
・モデム:Snapdragon X20 LTE - サブプロセッサ:Pixel Visual Core,Titan Security(Titan M Security Module)
- メインメモリ容量:4GB(LPDDR4X)
- ストレージ:内蔵64GBまたは128GB
- アウトカメラ:有効画素数約1220万画素(開放F値1.8,視野角76度),オートフォーカス(デュアルピクセル位相差検出)対応,光学および電子式手ブレ補正機能搭載
・動画:4K@30fps,1080p@120/60/30fps,720p@240/60/30fps - インカメラ:有効画素数約800万画素(標準,開放F値1.8,視野角75度)+有効画素数約800万画素(広角,開放F値2.2,視野角97度)
・動画:1080p@30fps,720p@30fps,480p - 対応SIM:nanoSIMカード
- 対応LTEバンド:FDD LTE Band 1
/2 /3 /4 /5 /7 /8 /12 /13 /17 /18 /19 /20 /21 /25 /26 /28 /29 /30 /66,TDD LTE Band 38 /40 /41 /42 /48 - 対応3Gバンド:Band 1/2/4/5/6/8/19
- バッテリー容量:3430mAh(※Qiワイヤレス充電対応,18Wワイヤード急速充電対応)
- 待受時間:最大14日間(LTE)
- 連続通話時間:最大18時間(3G)
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
- Bluetooth対応:5.0+LE
- FeliCa対応:○
- 主な搭載センサー:Active Edge,指紋,近接,環境光,加速度,ジャイロ,磁気,気圧
- USBポート:USB 3.1 Gen.1 Type-C
- スピーカー:フロント2ch(※前方放射型)
- 公称本体サイズ:約76.7(W)×7.9(D)×158.0(H)mm
- 公称本体重量:約184g
- 本体カラー:Clearly White,Just Black,Not Pink
テスト機材での問題か,いくつかのアプリは実行できず。読み出しの速さに可能性を感じる
よって,今回テストできたのは,
なお,テストに使用した端末はPixel 3 XLだが,画面解像度が狭いPixel 3のほうが,テストの挙動は少しよくなるはずである。
まず,Antutu HTML5 Testだが,スコアは「35339」となった。Pixel 3 XLとほぼ同一スペックの「Galaxy S9」で,表示解像度を1440×2960ドットにした場合のスコアが「32883」なので,Pixel 3 XLは優れた性能を発揮したと言えよう。
Pixel 3 XLにおけるAntutu HTML5 Testのスコア |
参考用に計測したGalaxy S9のスコア |
連打応答性をチェックするぺしぺしIkinaの結果は,93〜96になるよう連打して「85」と,最近のスマートフォンではよくあるスコアとなった。30タップめに長めの飽和があった点は気になるが,良好と言える結果だ。
またタイミング調整も「+12」で済み,これもAndroid端末としては優れた値となった。
さて,肝心のプレイフィールだが,Pixel 3 XLが発売前の機材で,現時点ではデレステに非対応の状態であることを念頭に置いて確認したところ,描画のもたつきが多発して入力の取りこぼしも多く,MVでももたつきが生じる結果となった。
テスト中に気になったのは,SoCがあると思われる部分がやたらと熱をもっていたことだ。放熱ができているから筐体が熱を持つとも言えるのだが,これだけ発熱するとなれば,速い段階でサーマルスロットリングが発生して,SoCの動作が制約を受けた可能性もある。
ただ,発表会場でのテストでは,原因を詰め切れなかったのが正直なところで,貸出機材を入手したら,改めて入念にチェックしたい。
といった具合で,今回は十分なテストを行う時間的余裕もなかったため,ファーストインプレッションとした次第だ。とはいえ,上述のようにデータ読み出しの速さにはインパクトがあり,各ゲームタイトルがPixel 3シリーズに対応すると,ハイエンドのiOS端末並みに快適なAndroidゲーム環境を実現できる可能性がある。
とはいえ,なにせゲームスタジオ側の動作検証もこれから始まる製品なので,ゲーマーはすぐに飛びつくよりも,少し様子見を推奨したい。スマートフォンメーカー各社から秋冬モデル新製品が登場するタイミングでもあるので,ほかにも魅力的な端末が登場してくるだろうからだ。
Pixel 3シリーズの詳細なレビューについては,また後日,貸出機材が届いたら行いたい。
Google,「Pixel 3」スマートフォンを発表。おサイフケータイに対応して11月1日国内発売!
北米時間2018年10月9日,GoogleはPixelスマートフォンの第3世代モデル「Pixel 3」「Pixel 3 XL」を発表した。日本時間10日には,11月1日という具体的な国内発売日,そして税込9万5000円からという価格情報も明らかにしている。ついにPixelが日本市場へ正式に上陸となるわけだ。【17:30頃,製品写真などを追加】
GoogleストアのPixel 3製品情報ページ
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