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[E3 2017]社会をサバイバルする。「Frostpunk」はリーダーとなったプレイヤーに過酷な選択を迫る
本作のリードデザイナーを務めるJakub Stokalski(ヤクブ・ストカルスキー)氏によるデモプレイの様子をお伝えしよう。
「Frostpunk」公式サイト
その“社会”とは,氷河期が訪れた架空の19世紀,蒸気機関を発達させて生き延びようとしている一団である。それぞれのキャラクターには名前や家族関係といった細かい設定が存在するものの,画面に表示されるそれらは建設シミュレーションゲームにおける市民のように小さい。「The War of Mine」と同じく陰鬱とした雰囲気を残しながらも,ゲーム画面の見た目は随分と異なっている。
「Frostpunk」を開始すると,クレーターの中心にそそり立つ筒状の蒸気機関の周囲に集まる“80人の市民”が確認できる。プレイヤーはそのリーダーである。
クレーターなので地熱を利用した蒸気機関かと思いきや,稼働させるためには石炭を集める必要がある。とりあえず労働が可能な人々を石炭採掘場や倒木がある場所に送り込み,資源を採取させていく。その間,十数人の子供達は蒸気機関の近くに居残っていた。
夕暮れになると気温が急激に下がり始めるので,人々が蒸気機関の周囲に戻ってくる。そこで初めて蒸気機関を起動することができた。するとウィンドウがポップアップして,夜に寝るためのシェルターが必要だと人々が訴えていることが分かる。
ストカルスキー氏は昼間に採取した木材を使って,蒸気機関の周囲に小屋(Shelter)を5〜6軒建てた。まだ蒸気機関の火力が弱いのか,その周囲だけが辛うじて暖かいからだ。
朝になると人々が空腹を訴え始めるので,調理場(Cookhouse)も必要になる。「Frostpunk」には石炭や木材のほか,鉄鋼,食材,食料という5つの資源がある。食材を加工すると,ようやく食料が供給できるようになるというわけだ。
当初は食料資源が少ないため,ここでプレイヤーは“ある選択”を迫られる。一人ひとりの分量を減らす「Poor Soup」か,食料におがくずを足して分量だけは多く見せかける「Sawdust」を選ばなければならないのだ。
市民が持つパラメータのうち,重要になるのが「Hope」(希望)と「Discontent」(不満)だ。前述したような決定を下すたびに,市民のパラメータが変化していく。不満が溜まりすぎたとしても,リーダーであるプレイヤーが追い出されることはないが,ランダムイベントの発生率に関わるようだ。
また,2日目には「Book of Laws」という新しいオプションウィンドウが表示された。これはコミュニティの法律を決定するというもので,最初の議題は「児童労働」である。19世紀であれば,先進国でも児童労働は普通に行われていたが,子供達を労働に駆り出せば市民の不満が募る。しかし,狭い坑道においては子供の小さな身体が武器になることもあるので,ここは労働に従事してもらうことにした。
そうこうするうちにランダムイベントが発生し,働いていた子供の1人が怪我を負ってしまう。ここでまた,モラルを維持するために子供達を働かせ続けるのか,児童労働を止めるのか,その決断を迫られるわけだ。
大人の市民にも怪我なり風邪なりを理由に働けない人が出てくるので,こうしたことからプレイヤーの選択肢が狭まっていく。
今回のデモでは,気球を上げて周囲にいる生存者を集めるといった要素も確認できた。一方,怪我の治療に失敗して腕の切断を余儀なくされることがあり,労働力として数えられなくなる市民も出てくるという。ストカルスキー氏によると,彼らに肉体労働ではない役割を与えることもできるが,それは社会が発展してからのことだそうだ。
確かに公開されているアートワークでは,クレーター全体にコミュニティが広がっている様子が見て取れるので,徐々に発展を遂げていくのだろう。
なお,ゲーム内の日数にして30〜40日ほどサバイバルできれば,すべてのミッションをクリアできるとのこと。今回の取材では確認できなかったものの,やがてクレーター内の資源が枯渇してしまい,外界に人々を送り出して過酷な作業を行わせなければならないらしい。
一人ひとりは小さい存在であるが,その生死は大きなドラマを生むはずだ。「This War of Mine」と同様,強く感情移入することは間違いないだろう。「Frostpunk」は2017年後半の発売を予定しているとのことで,ローンチを楽しみに待ちたい。
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