インタビュー
アオイは見た目に反して心の壁が厚い人。「囚われのパルマ」アオイ役の内田雄馬さんに配信間近の新たな“彼”について聞いてみた
カプコン発の女性向け恋愛ゲーム「囚われのパルマ」(iOS / Android,以下,パルマ)。孤島の収容所に囚われている記憶喪失の青年と,ガラス越しの面会や,端末を使った監視やメッセージのやり取りといった,さまざまなコミュニケーション手段で新感覚の恋愛体験が味わえる本作に,現在配信中の「ハルト」とは異なる彼「アオイ」が近日配信されることは,こちらの記事にてお伝えしたとおりだ。アオイ編は,ハルトとの関連性はなく,まったく別のストーリーとなっていて,事故によって恋人の記憶をなくしたアオイと,恋人として接するところから物語が始まるという。アオイのキャラクターボイスを担当するのは内田雄馬さんだ。
今回4Gamerでは,東京ゲームショウ2016開催期間中の2016年9月18日に,同会場内カプコンブースで行われたステージイベント「“面会延長あり!?”『囚われのパルマ』スペシャルステージ」(関連記事)にて,アオイ編の配信が発表された直後のタイミングで,内田さんにインタビューする機会を得た。アオイ編の魅力や,アオイの人物像,イベントの感想なども聞いてみたので,その内容をお届けしよう。
「囚われのパルマ」公式サイト
本日はよろしくお願いします。先ほどのイベントはすごい盛り上がりでしたね。出演されてみていかがでした?
内田雄馬さん(以下,内田さん):
そうですね,とてもたくさんの人に集まっていただいて。イベント前から「囚われのパルマが熱い」と噂に聞いていたので,その熱気を直に感じられたのはすごく嬉しかったです。
4Gamer:
確かに配信前から現在まで,かなり話題になってますよね。実際にこれまで配信されてきた女性向け恋愛ゲーム,いわゆる乙女ゲームと比べると,異色と言えると思います。
内田さん:
すごく挑戦的な作品ですよね。よくある恋愛ゲームって王道的な流れがあるじゃないですか。いろいろなシーンでヒロインと男性キャラが出会って,交流して,その中で明確なきっかけを持って恋愛関係に発展するっていう。
4Gamer:
ええ,わかります。
内田さん:
でもパルマはそうじゃなくて,面会室っていう限定的な空間だけで直接言葉を交わして,それ以外の交流は現代で使われているような,端末を使ったメッセージのやり取りだけで。そういった限定された空間と方法だけで気持ちを通わせていく,ストーリーが進んでいくっていうのはすごく独特だなと思います。
4Gamer:
そうですよね。スマホの画面を面会室のガラスに見立てるという発想も目からウロコでした。
内田さん:
そのうえフルボイスですし。自分が参加させていただいたこともありますけど,ほかにはない特別な作品だなって感じますね。
4Gamer:
実際にプレイされたりはしました?
僕は開発機をちょこっと触らせていただいたくらいなんですけど,あのガラスにタッチする場面はすごいですよね。おでこでタッチするのと,指でタッチするのとで違う反応をされるとか,すごく細かく作られてるなって。
4Gamer:
「指じゃなくて,ちゃんとおでこをつけて」って怒られるんですよね(笑)。
内田さん:
そうなんです(笑)。それとさっきも言いましけど,場所やシチュエーションが変わればできることも増えると思うんですよ。
4Gamer:
デートに行ってレストランで食事をしたり,公園で手を繋いで歩いたりとか,そういうことですね。
内田さん:
ええ。でもずっと同じ面会室しかない中で,ああやってタッチする部分で反応が変わるとか,工夫のされ方がゲームとして面白いですよね。
4Gamer:
男性からみても面白いと思えましたか?
内田さん:
面白かったです! ストーリー本編はもちろんですけど,監視とか夢アプリとか,ゲームの本筋じゃない部分でも面白いところがたくさんありますし。恋愛ゲームっていう枠だけじゃなくて,いろんな要素で楽しめるっていうのはすごいですよね。
4Gamer:
シリアスだけじゃなくて,コミカルな部分もあって,うまくバランスが取れてますよね。
内田さん:
それと,今日のイベントで梅くん(ハルト役の梅原裕一郎さん)がプレイしてるのを隣で見ていても面白かったですね(笑)。
4Gamer:
ちなみになんですけど,内田さんは自分の声がゲームから流れてくるのってどうですか?
内田さん:
僕は聞こえてきたら嬉しいです!(笑)。
4Gamer:
そういえばノリノリでしたもんね(笑)。
内田さん:
いや僕自身,ゲームが好きで,声優になったときにゲームのお仕事をさせてもらうことがすごい憧れでした。なのでゲームに出させていただくっていうのは好きなんです。とくに今回はフルボイスだったので,めちゃめちゃ喋りましたし,このゲームはちょっとずつ進んでいく作品なので,シーンごとに全然印象が違ったりするんですよ。なので,梅くんのプレイを見ながら「あ,こんなシーンあったなぁ」とか思い出したりして。そういうのも楽しかったりしますね。
4Gamer:
見ていても楽しそうな雰囲気が伝わってきました。
内田さん:
梅くんと一緒だったので,個人的にも楽しんでイベントができましたね。
4Gamer:
本当に仲良しですよね。
内田さん:
割りかし一緒にいる時間が長いですから(笑)。
4Gamer:
内田さんが登場してからは,梅原さんもすごくリラックスされた感じに見えましたし。
内田さん:
そうですね。梅くんは僕といるときは楽しそうって勝手に言っておきます(笑)。
見た目に隠されたアオイの内面に注目
「チャラいだけの人ではないですよ」
それでは,内田さんが演じられたアオイについてお聞きしていきたいんですけど。
内田さん:
はい。
4Gamer:
ハルト編の続編ではなく,まったく別の,もう1つの物語という位置づけだと聞いていますが,アオイ編の魅力ってどんなところでしょう。
内田さん:
そうですねぇ,ハルトって記憶喪失という点にフォーカスされていた部分が大きくて,本当に何も知らない状態から一歩ずつ関係を築き上げていったと思います。
4Gamer:
はい。まっさらな状態からのスタートでした。
内田さん:
でもアオイとの物語は,偽りの関係から始まるんです。
4Gamer:
アオイは事故によって恋人の記憶を失くしているとか。
内田さん:
そうなんです。それでプレイヤーは恋人のフリをしてアオイと交流していくんですけど,その偽りの恋愛関係から,徐々に本当の関係に変わっていく過程というか,彼の心の変化がアオイ編のポイントになりますね。
4Gamer:
ハルトよりも最初の距離感は近いようですね。
内田さん:
そうなりますね。恋愛ゲームであれば,そこからもっとこうガガッと,一気に距離を詰めていくのかもしれないですけど,このゲームでは対面する機会も少ないうえ,ガラス越しですから,ちゃんと言葉を交わして,少しずつ距離を縮めていくんです。でもその中で,実は嘘をついていた,偽りの関係だったという真実をアオイが知ってしまい,そこから本当の恋愛関係につながっていく,そこの流れがアオイ編の魅力かなって思います。
4Gamer:
なんだか聞いただけでもかなりドラマチックです。
アオイ自身も,実はすごく抱えてるものがある人物なんです。それらを他人には知られたくないので,わざと“自分を見せている”っていうこともあったりして……。
4Gamer:
アオイも偽ってる部分があると。
内田さん:
それもやっぱり偽りの関係ってことですよね。そういう嘘がどんどん,どんどん重なって2人の間の壁となっていくんですけど,その壁をどうやって壊して,本当の絆を見つけていくのかってところにも注目してほしいです。
4Gamer:
アオイ個人についてはどうでしょう。見ための印象とか……。
内田さん:
「え,チャラっ!!」って(笑)。
4Gamer:
(笑)
内田さん:
最初に見たのは設定画かな? 公開されてるメインビジュアルとは,違う立ち姿の設定資料だったんですけど,「チャラいなー」って思いまいた(笑)。
4Gamer:
確かに見た感じはそうですね。だいたいみんな同じ感想だと思います。
内田さん:
実は別作品でもいろいろとお世話になったりして,ご縁があるんですけど,実田さん(本作のキャラクターデザインを務める実田千聖氏)の絵がすごく好きなんです。その実田さんが描かれた写実的と言うか,リアルな感じのイケメンで,等身が高くてチャラくて……。最初は「このチャラい感じの人に声を当てるのか,どうしよう」って思いました(笑)。
4Gamer:
チャラい感じの役ってあまりなかったんですか?
内田さん:
「チャラい」っていうのはあまりないかもしれないですね。でも,台本を読んでみたら,こんな見た目なのも,理由があることがわかったんです。彼にとってはそれが人との距離感の取り方だっただけで。
4Gamer:
なるほど。先ほどの自分を偽ってるってところですね。
内田さん:
それがわかると,割とすんなり受け入れられました。何かを隠したりとか,一歩引いて人と接しようとか,そういった部分は自分にもありますし。アオイっていう人が自分に近くなった感じがして,だんだん彼に寄っていけるようになりましたね。最初はホントにチャラくてどうしようかと思いましたけど(笑)。
やっぱり一筋縄ではいかないというか,結構複雑な人物なんですね。
内田さん:
そうですね,チャラいだけの人ではないですよ。彼は心の壁が厚い人なので,メンタル的な部分はなかなか開いてもらえないです。一見気さくに見えるんですけど,たぶんこういう人ほど壁が厚いのかもしれません。これはプレイしていただくのが1番伝わりやすいと思いますが,彼が心の奥のほうに隠している感情とか思いとか,そういったアオイの人間っぽい部分が僕はすごく好きですね。
4Gamer:
むむ,さらに配信が待ち遠しくなってきましたね。
収録はどうでしたか。どこか苦労されたところとかありましたか。
内田さん:
この作品は,本当にちょっとずつ関係が進んでいくので,収録もすごく長い間やらせていただいたんですけど,そのちょっとずつ変化するときの,なにでどれくらい変わるのかっていう,その塩梅が難しかったですね。
4Gamer:
気づけないほどの変化でもダメだし,あからさま過ぎてもおかしくなっちゃいますもんね。
内田さん:
そうですね。心を開いてないのに,心を開いているかのように見せるっていうところから始まって,真実が明らかになってぶつかって,またそこからちょっとずつ変わっていくっていう流れがあったので,その小さな変化を少しでも感じていただければいいなと思いながら収録させていただいました。
4Gamer:
あと,さっきのイベントでもチラっと出ましたけど,アオイ編ではガラス越しのキスがあるみたいですね。
内田さん:
そうです。アオイ編はキスがあります!
4Gamer:
あ,でもキスするのはプレイヤーでしたっけ。
内田さん:
そうですね。アオイはキスされる側です。
でも,(キス)されるの待ちをガラス越しでやるっていうのもなかなか面白いですよね。しかも唇じゃなくて,頬を出してくるっていう……。
見た目はチャラいのにウブですよね(笑)。
4Gamer:
ちょっと突拍子もないことを聞いちゃいますけど,お家で台本を読まれるときに,鏡にこう,手を当ててみたりだとかって……。
それはしなかったですよ! それはしなかったです(笑)。
4Gamer:
2回も言われてしまった(笑)。
内田さん:
家で1人,鏡に向かって「はぁー」ってやってたら面白くなっちゃうよ(笑)。
4Gamer:
やっぱりそうなんだ。すみません,ちょっと聞いてみたくて(笑)。
内田さん:
でも距離感とかは気にしながらやりましたよ。それこそ,ずっと面会室なんで,シチュエーションは変わらないですから。普通のゲームだったら,例えばグラウンドなら,遠くのほうから「おーい」って声掛けて,そのあと近づいて……みたいに距離感を出せるんですけど,このゲームはほぼ座りっぱなしで,ガラス越しの距離感は変わらない。なので物理的な変化がない分,心の動きがちゃんと伝わるようにって。
差し入れしてもらうなら,ゲーム機で!
4Gamer:
パルマにちなんで,内田さん個人のお話もお聞きしたいんですが,もし収容所に囚われてしまったら,どんな差し入れをしてもらいたいですか。無人島に持っていくなら! じゃないですけど。
内田さん:
そうですね,ゲーム機ですかね! ゲーム機があればなんとか……。
4Gamer:
おお,先ほどもおっしゃってましたけど,それほどお好きなんですね。なんか嬉しいです。
内田さん:
はい。ゲーム大好きですよ!
4Gamer:
ちなみに,どういったゲームをご所望ですか?
RPGですね。もともとRPGが好きなんです。レベル上げとか単純作業でいいので,1人で繰り返しできるものとかあると,僕はずーっとやってると思います(笑)。
4Gamer:
レベル上げや,素材集めといった単純な作業は嫌だって人も結構いるんですが……。
内田さん:
全然苦にならないですね! もうひたすらレベルを上げます!
4Gamer:
意外と囚われ向きなタイプかもしれないですね(笑)
RPG以外のゲームはやられないんですか?
内田さん:
そんなことないですよ。そうですね,パルマ繋がりで,カプコンさんのタイトルだと「バイオハザード」シリーズはすごく好きですし,モンハン(「モンスターハンター」)とかもやりますね。
4Gamer:
アクション系もいけるんですね。
内田さん:
バイオハザードをやるときは,だいたい“縛りプレイ”でやりますね。
4Gamer:
おっと,かなりやり込んでる感じが(笑)。
ちなみにどんな縛りで?
内田さん:
ナイフだけとか。
4Gamer:
……ガチでしたね。
内田さん:
あとは初期装備縛りとかが好きです(笑)。ハンドガンのみとか。でも,いかに使わずにクリアできるかって途中までやるんですけど,だんだん心が折れてきちゃって,結局手に入れたショットガンで戦い出すんです(笑)。
4Gamer:
心折れちゃうんだ。
内田さん:
最後まで行くこともありますけど,断念するときもあります(笑)。
じゃあもう1つ。ハルトとアオイの共通点として,記憶喪失という点がありますけど,忘れたくない記憶や,特に思い出深い出来事ってありますか?
内田さん:
そうですね……家族の思い出ですかね。
4Gamer:
ご家族ですか。
内田さん:
はい。家族で出かけた思い出はとくに強く残ってますね。
4Gamer:
よくお出かけされてたんですか?
内田さん:
うちの家族はすごく仲がいいので,小さい頃からいろんなところに出かけたりしましたね。やっぱり大人になってくるとそういう機会も減ってきますし,自分の子供がいるわけではないので,今はちょっと疎遠になってきているところもありますけど。でも父親にいろんなところに連れて行ってもらった思い出はすごく残っているし,僕はそういうのを大事にしたいので,自分がもし親になったときは同じように連れて行ってあげたいとも思いますね。
4Gamer:
1番覚えてる旅行先とかってありますか?
内田さん:
いろいろ行ったけど……。
4Gamer:
そんなに頻繁に行かれてたんですね。
内田さん:
幼稚園や小学校のころとかは本当によく行ってましたね。ディズニーランドが好きだったので,年間パスポート持ってましたし。
4Gamer:
おお,そこもガチ勢でしたか(笑)。
内田さん:
父親が割と外に出るのが好きだったんです。はまっているものにお金や時間を使うことを惜しまない人なので,映画を観に行きたいとか,そういうちょっとした予定を立てて。だいたいいつも同じとこに行くんですけどね(笑)。そんな旅行というより,お出かけがすごい心に残ってますね。
4Gamer:
わかります。小さい頃に行ったちょっとしたお出かけのほうが案外と深く残っていたりするんですよね。
あとは車ですかね。
4Gamer:
車?
内田さん:
家族で出かけるときに父親が車を出してくれて。
4Gamer:
電車とかではなく車だったんですね。
内田さん:
だいたい都内が多かったんですが,ほとんど車でしたね。そうは言っても子供にとって都内って広くて,今だったら自分1人で電車に乗ったり,タクシーに乗ったりしてどこでも行けますけど,あの当時は車で出かけるっていうのは冒険に出かけるくらいワクワクしていました。
そうやって親が車に乗せていろんなところに連れて行ってくれたので,自分も今は免許を取って,いずれは子供をどこかに連れて行けたらいいなと思います。
4Gamer:
今教習所に通ってらっしゃるんですか?
内田さん:
いえ,まだです! これから取りに行こうかなぁと思ってるところで(笑)。
4Gamer:
(笑)
内田さん:
でもまあ,子供の前に友達なりなんなりを……。
4Gamer:
ほうほう,お友達……。
内田さん:
ちょうど梅くんがペーパードライバーだって言ってたんで,とりあえず一緒にリハビリがてらついて来てもらおうかな(笑)。
4Gamer:
今日のステージを見た後だと,より楽しそうな計画に聞こえます(笑)。
では,そろそろお時間のようなので,最後にアオイ編を楽しみにしているプレイヤーに向けメッセージをお願いします。
内田さん:
「囚われのパルマ」という作品は,すごくリアルに人の心というものを映している作品だと思います。ちょっとずつ,ちょっとずつ,あなたと関わることで,アオイという人は変わっていくので,最終的にアオイの心を開いて打ち解けるその時まで,ぜひ,足しげく面会に通っていただけると,僕も嬉しいです。アオイとハルトと,2人共ぜひプレイしてみてください。よろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
(C)CAPCOM CO., LTD. 2016 ALL RIGHTS RESERVED.
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