イベント
同志社大学が23-24シーズンのチャンピオンに輝く。「Shadowverse University League 23-24 GRAND FINALS」レポート
本イベントは,デジタルカードゲーム「Shadowverse」(iOS / Android / PC)を競技種目とする大学生限定のリーグ大会。今回開催されたGRAND FINALSは,2023-2024シーズンの優勝校を決める決勝戦にあたる大会だ。予選を勝ち抜き,決勝大会に参加したのは,東北大学,大同大学,同志社大学,専修大学の4校。秋葉原UDXギャラリーに集い,頂点を目指して激戦がくり広げられた。
奇しくも昨年と同日の開催となった本大会では,一昨年,去年と2連覇を果たした大学生リーグの覇者・京都大学が予選で姿を消す波乱もあり,決勝大会に駒を進めた4校の顔ぶれはまったく新しいものに。
観客のメインが選手たちと同年代の大学生というのは例年どおりだが,今年は学生にのみ配られるノベルティや巨大ガチャが用意されたほか,大会終了後に学生は参加無料のアフターパーティーが開催されるなど,より学生にフィーチャーされた大会になっていた。
本記事では,決勝戦のプレイバックと優勝チームへのショートインタビューを掲載する。大会の様子はYouTubeで配信されているので,試合の詳細を知りたい方はこちらをあわせてチェックしてほしい。
「Shadowverse University League 23-24 GRAND FINALS」
https://www.youtube.com/live/NUYJyGpJDnk?si=VBy65t9PeksHWxKd
「Shadowverse University League」特設サイト
各校のクラス選択に注目
大会の様子をレポートする前に,私見になるが現在の環境について軽く触れておこう。
昨年末にリリースされた第31弾カードパック「Resurgent Legends / リサージェント・レジェンズ」は,過去弾に収録されていたカードを現代に則した形に効果をリメイクした「リサージェントカード」が中心のカードパックだ。
リリース当初は本パックで追加されたカードのことごとくが強力で,ほかのクラスをまったく歯牙にかけないほどの圧倒的なパワーを誇った「マナリアウィッチ」が一強環境を築いた。
しかし,能力調整の結果,環境は落ち着いていくことに。そんななか台頭してきたのは,こちらも強力なカードを多数獲得したネクロマンサーだ。
ネクロマンサーが台頭することで頭角を現したのは,メタとして機能するエルフ。ネクロマンサーは,フォロワーによる疾走打点がダメージ源だったが,疾走打点を抑制できるカードを有しており,さらに自身も高速のOTK(One Turn Kill)を狙えることが評価につながった。
エルフ以外にも,「葬送ネクロ」の立ち上がりの脆さを突いて強力な盤面を押し付ける「バフドラゴン」や,このバフドラゴンを狙った「回復ビショップ」,「八獄ネメシス」などが登場し,複雑なメタゲームを形成している。
環境変遷の中心となったネクロマンサーにしても,ラストワードの被破壊数に軸を変えた「ラスワネクロ」の選択肢があり,やや環境から置いていかれた感のあるロイヤルとヴァンパイアを除けば,さまざまなデッキがひしめき合っている,というのが現在の環境と言っていいだろう。
西の名門と北の名門が激突!
大学生の頂点を決める決勝戦は,専修大学を5−3で下した同志社大学と,大同大学を5−3で下した東北大学のマッチアップに。どちらの大学も知らない受験生はいないレベルの名門校であり,西vs.北という構図は昨年の京都大学vs.北海道大学を彷彿とさせる。
大会のレギュレーションは,各大学5名の選手がそれぞれひとつのデッキを担当し(デッキリストは前もって申請,公開済),勝った選手から抜けていくBO9形式で進行する。
対戦で負けた選手をそのまま続投するか,別の選手に交代して次の勝負に臨むかは各チームの自由なので,いかに相手の出してくるデッキを読み,有利なマッチアップに持ち込むかが勝利に近づくカギとなる。
今回は出場4校はすべて,エルフ,ドラゴン,ネクロマンサー,ネメシスの4クラスは共通の持ち込みで,残り1枠に東北大学と大同大学がウィッチを,同志社大学と専修大学がビショップをそれぞれ採用していた。
そんな両校のファーストマッチは,同志社大学のNo.O84(おやじ)選手がネメシスを,東北大学のRion選手がウィッチを選択した。ちなみにNo.O84選手は,中高生限定のShadowverse大会である「シャドバ甲子園2020」優勝チームメンバーのひとり。高校生の頂点に輝いた男が今度は大学生リーグに殴り込みをかけてきた。
この対戦では進化ターンからRion選手のウィッチが攻勢に出てダメージを与えていくが,7ターン目にダメージを回復されきってしまい,さらに体力上限を25まで伸ばされてしまう。長期戦に持ち込まれ,やや苦しい展開になってしまったRion選手だが,対するNo.084選手も火力カードを引き込めず煮え切らない状況が続いていく。
展開が緩んだなか,先に手札を揃えたのは,Rion選手だった。一気に22点を削り取って勝利し,東北大学に貴重な先制勝利をもたらした。
すぐに取り返したい同志社大学はとねりこ選手のエルフを投入,一方の東北大学はぜろき選手のドラゴンを選択した。
初手のドローに展開が左右される不安定さを持つ反面,噛み合ったときの破壊力が強烈なドラゴンを余裕があるうちに使用し,試行回数を稼げるようにするというのが東北大学の意図だろうか。
この対戦ではドラゴンの弱いところがモロに出てしまい,ぜろき選手は思うように身動きが取れない状況に陥ってしまう。そんなぜろき選手を尻目にテンポよくデッキを回したとねりこ選手が,終始ペースを握り続け勝利し,状況をイーブンに戻すことに成功した。
1-1からの3試合めは,同志社大学のスバル選手と東北大学のたけよん選手のネクロマンサーミラーに。このマッチは大打点の起点になるグランドリッチ・ヘリオのラストワードを発動させるために,相手の盤面のフォロワーをうまく利用できるかがカギとなる。
試合は,互いに相手を先行させるためにジリジリとした展開が続くことに。そんななかゲームが動いたのは後攻7ターン目だった。
先に動かされてしまったスバル選手に対し,たけよん選手は,先攻8ターン目に超強固な盤面を組み上げる。スバル選手は打開を図るもこの盤面を解決することができず。ネクロマンサーミラーはたけよん選手が鮮やかに勝利した。
先ほどのミラーマッチに続き,4試合めは同志社大学のNo.084選手と東北大学のえたのーる選手のネメシスミラーマッチに。ネメシスの勝ちパターンは,中盤以降は1回分のダメージ無効を張りつつ,9PP到達時点から20点超えの大ダメージを狙うというものが主流だ。
基本的には先に9PPに到達する先攻が有利であり,先行のえたのーる選手が有利かに思われたが,No.084選手が引き込んだPP加速カードで先攻後攻のPP差が逆転してしまう。
相手の9PPを目前に,えたのーる選手は守護を2面展開+ダメージ無効で守りを固めるも,No.084選手はこれを突破し,体力を削り切ることに成功する。これで再びイーブンの状況となった。
短時間のインターバルを挟み,2−2から迎える5試合め。同志社大学はスバル選手のネクロマンサーを,東北大学はぜろき選手のドラゴンを選択する。
立ち上がりの弱いネクロマンサーの弱点を突けるドラゴンというマッチアップでぜろき選手が有利と目されたが,ぜろき選手はここでもドラゴン特有の下振れを引いて序盤を捌かれてしまう。
一方のスバル選手もドローに恵まれず本来の勝ちパターンを捨てることになるが,臨機応変に対応して突破不能の盤面を作り上げて勝利していく。同志社大学が3−2と逆転リードに成功する。
連勝で波に乗る同志社大学。絶対にここで流れを切りたい東北大学。6試合めは,しかまろ選手のビショップを選択した同志社大学に対し,東北大学はsima選手のエルフを選択する。
試合は互いにやや噛み合わない手札で進行し,しかまろ選手が7ターン目先攻に18点の大ダメージを叩き込むも倒しきるには至らず……。sima選手が返す刀で21点の疾走打点を叩き込み,3度めとなるイーブンの状況に持ち込んだ。
ここまでで残りのデッキは,同志社大学がドラゴンとビショップ,東北大学がドラゴンとネメシスに。両者ともにそろそろ余裕がなくなってくる7試合めは,同志社大学はドラゴンを温存して,しかまろ選手のビショップを継投することに。一方の東北大学はドラゴンを消化すべく,ぜろき選手のドラゴンを選択する。
ここまで2試合に登場し,下振れを引き続けたぜろき選手だったが,ついに大爆発を見せる! 序盤からバフを積み続け,6ターン目後攻に21点の大打点を叩き出して勝利。ドラゴンの試行回数を稼いでブレをケアする戦略が結実し,東北大学が先に優勝にリーチをかけた。
追い込まれた同志社大学は,ここでかなで選手のドラゴンを投入して爆発力に望みを託すことに。迎え撃つは東北大学のえたのーる選手のネメシス。かなで選手は序盤からバフをかけることに成功し,手札が細いながらも押し込んでいく。
勝負が動いたのは6ターンめ。かなで選手がターンドローで大打点カードの熱血の竜教師・ジョーを引き込み,起死回生の勝利をもぎ取る。持ち前の爆発力で相手のプランごと破壊するドラゴンの本領を一発で引き出し,ゲームを最終戦につなぐことに成功する。
4−4までもつれた両校の激突もいよいよ最終戦。勝負は同志社大学のしかまろ選手のビショップと東北大学のえたのーる選手のネメシスに託された。両者ともに過不足ないハンドで立ち上がり,リソースの削り合いを軸にゲームが進行していく。
ゲームが動いたのは6ターンめ。盤面を空けて返したえたのーる選手に対し,しかまろ選手は疾走&バフを使った猛プッシュを仕掛ける。えたのーる選手もリソースを割いてこの盤面を捌くも,しかまろ選手は続くターンも猛攻の手を緩めない。
盤面を返すには守りを捨てざるを得ないえたのーる選手。あと1ターン遅れていれば……。そんな願いが聞こえてきそうな状況のなか,返すターンでしかまろ選手がえたのーる選手のライフを削り切り勝利。逆転に次ぐ逆転の激戦を制し,同志社大学が大学生リーグの頂点に輝いた。
大会終了後の表彰セレモニーでは,「Shadowverse」プロデューサーの木村唯人氏が登壇。24‐25シーズンの大学生リーグについて言及した。
2024年の夏に新作である「Shadowverse: Worlds Beyond」 のリリースが予定されているため,翌シーズンはややレギュレーションが変則的で,Worlds Beyondのリリースまでは現行の「Shadowverse」でリーグを進行し,リリース後はそちらに切り換えて進行するとのことだ。
同志社大学チームショートインタビュー
4Gamer:
本日は優勝おめでとうございます。長丁場の大会となりましたが,現在のお気持ちはいかがでしょうか。
しかまろ選手:
ありがとうございます! すごく疲れましたが,それ以上に今はうれしさでいっぱいです。
4Gamer:
決勝の東北大学戦では追う展開からの勝利でしたが,メンタル的な負荷はどうでしたか。
かなで選手:
展開というよりは残ってるデッキの相性のほうが厳しいな,と感じていました。えたのーる選手の八獄ネメシスに対して,僕もしかまろさんも相性がよくなかったので,あそこで勝てたのは大きかったのかなと。
4Gamer:
同志社大学さんは今年が初出場とのことですのでチーム結成の話をお聞かせいただければと思います。
しかまろ選手:
大学生リーグに参加しようと思ったのが京都大学の2連覇を見たからなんです。ウチ(同志社)って立地的にも鴨川を挟んだ向かいに京都大学があって近いので,実は大学生リーグに参加するにあたっていろいろ相談に乗ってもらっていたんですよ。
しかも自分たちのチームの前身というか,母体になったサークルっていろいろなゲームをやる総合的なサークルなんです。そのなかにシャドバ部門もあったんですけど,なかなか人が集まらなくて。そこで京都大学さんにアドバイスをいただいて,インカレ制度を使って今回の出場に至ったんです。
No.084選手:
そのインカレ枠が自分ととねりこさんです。インカレ枠の出場要項がファーストシーズンに出ていないことだったので本当にめぐりが良かった。
自分の大学は去年の出場メンバーの多くが4年生だったので今年はメンバーが集まらず,ファーストシーズンの時期は忙しかったこともあってあんまり出場する気はなかったんです。忙しさも落ち着いてきたころに同志社さんがインカレ募集をかけてるのを見て,やっぱり出てみようかなと応募したんです。
4Gamer:
今回の持ち込みデッキを決定した経緯を教えてください。
とねりこ選手:
ひとまず同じフォーマットで開催されている非公式チーム戦のリストを参考にさせていただいて,悩んだところは実際に自分たちで使った感触で選びました。
かなで選手:
強いて言えば,なるべく広く対面を見れるデッキを優先しました。特定の相手に特化したデッキはちょっと持ち込みにくいなと。
4Gamer:
最後におひとりずつコメントをお願いします。
しかまろ選手:
有終の美ではないですけど,夏には「Shadowverse: Worlds Beyond」がくるってタイミングで勝てたのは本当によかったです。僕は今回かなりミスをしてしまいましたが,次の機会があれば僕のプレイで会場を沸かせたい。なので,次の大学生リーグにも参加予定ですし,「Shadowverse」最後のRAGEにも参加したいと思っています。
かなで選手:
今回はじめて競技シーンの世界を体験して,すごく楽しいと思いました。いろいろとまだ分からない部分も多いですが,大学生リーグはなるべく今後も継続して出場したいと思っています。RAGEのような個人大会は参加の踏ん切りがつきませんが,機会があれば挑戦してみたいですね。
スバル選手:
このところずっと根を詰めていたので,まずはもうすぐリリースされるアディショナル環境を純粋に楽しみたいです。大会のことは後々ですね。大会に向けて詰めているとやっぱり辛いこともあるので,しばらくは楽しむことを優先したいです。
No.084選手:
僕はこれで高校生大会と大学生大会を勝ったので,次は社会人リーグなどで勝ちたいですね。Cygamesさん,社会人リーグお願いします(笑)。年齢制限無しでの大会を勝ちたいので,次のRAGEにも参加する予定です。
とねりこ選手:
僕はインカレ枠なので,次のシーズンは今のメンバーと敵になるかもしれない。でも,今回同じチームで戦ったからこそ,敵になっても味方になっても絶対楽しいはず。また皆と大会で会える日を楽しみにしています。
「Shadowverse University League」特設サイト
「Shadowverse」公式サイト
「Shadowverse」ダウンロードページ
「Shadowverse」ダウンロードページ
- 関連タイトル:
Shadowverse
- 関連タイトル:
Shadowverse
- 関連タイトル:
Shadowverse
- この記事のURL:
キーワード
(C) Cygames, Inc.
(C) Cygames, Inc.
(C) Cygames, Inc.