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[E3 2016]「FINAL FANTASY XII THE ZODIAC AGE」はオリジナル版からさまざまな面が進化。プロデューサー&ディレクターに注目ポイントを聞いた
本作は,2007年8月に発売されたPlayStation 2用ソフト「FINAL FANTASY XII INTERNATIONAL ZODIAC JOB SYSTEM」をHD化しつつ,演出や音楽などの向上,遊びやすさの強化などを行っているタイトルだ。その見どころを聞いてみたので,リマスター版に期待している人はチェックしてほしい。
「FINAL FANTASY XII THE ZODIAC AGE」公式サイト
「当時開発に関わったメンバーをコアに据えよう」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
今回,FFXIIが久しぶりにリマスター版として登場するわけですが,そもそも,なぜこのタイミングで再びFFXIIのプロジェクトを動かすことになったのでしょうか。
加藤弘彰氏(以下,加藤氏):
以前から社内で「FFXIIのリマスターを開発しよう」という話は出ていたのですが,その前提として,「やる以上は良い作品にするため,当時開発に関わったメンバーをコアに据えよう」と決めていました。
ただ,なかなかタイミングが合わない時期が続いてしまって,プロジェクトを動かせない状態だったんです。そんな中,ようやくメンバーのタイミングが合ったので,皆で協力してやろうと。
それから,「FINAL FANTASY X/X-2 HD Remaster」の成功が,FFXIIリマスター開発の後押しになったという側面もあります。
4Gamer:
リマスター版は,オリジナル版(2006年発売)ではなく,のちに発売されたFINAL FANTASY XII INTERNATIONAL ZODIAC JOB SYSTEM(以下,INTERNATIONAL版)がベースになっています。おそらく,過去にFFXIIをプレイした人の多くは,オリジナル版だけを遊んだという状態だと思いますので,INTERNATIONAL版の特徴を教えていただけますか。
片野尚志氏(以下,片野氏):
一番大きなところは,ゲームバランスの調整ですね。INTERNATIONAL版は,歴代のシリーズのゲームデザインを手掛けてきた伊藤裕之が,一からバランスを取り直しているんです。オリジナル版では「難しい」という評価がありましたが,そこをすべて改修して,遊びやすくなっています。
もう1つのポイントが,ジョブシステムの導入です。オリジナル版の育成システムは,最終的に皆,同じ能力のスーパーキャラクターを生んでしまうという問題がありました。よりゲーム性を高めるために,各キャラクターにジョブを割り当てて,個性を出すシステムを追加しています。
4Gamer:
全体的なゲームバランスだけでなく,育成システムそのものが変わっている。相当大きな変更が入ったバージョンだったということですね。
片野氏:
そのほか,やりこみ要素として「トライアルモード」も用意しました。これは,プレイヤーのデータを使って,100ステージを戦い続けるというモードなんですが,仮にレベル99まで育てても,普通にガンビットを組むだけでは,まずクリアできません。ステージによって,ガンビットを適切に切り替えていくことが重要です。
最後は,高速モードの導入です。FFXIIは,もともとフィールドが非常に広く,移動に時間がかかっていたので,それを短縮するために4倍速でプレイできるようにしたんです。
以上が,INTERNATIONAL版の主な追加要素ですね。
4Gamer:
リマスター版はそれらをさらに強化しているわけですか。
片野氏:
はい。まず高速モードは,新たに2倍速を追加します。INTERNATIONAL版の高速モードでは,速すぎて街やダンジョンで壁にぶつかってしまうという問題があったので,ある程度の速さということで2倍を用意した次第です。
また,プレイ時間の短縮という意味では,オートセーブ機能を搭載します。これにより,セーブしてから砂漠に行って,1時間進んだけど全滅してしまい,またやり直し……となっても,その1時間がムダになるということはなくなり,遊びやすくなると思います。
4Gamer:
従来のセーブクリスタルでのセーブはどうなりますか。
片野氏:
それは変わっていません。オートセーブのデータは,通常のセーブデータとは別に保存されるので,あくまでプレイの補助という形ですね。
また,リマスター版ではロード時間の短縮を実現しています。オリジナル版の開発当時,私はリードプログラマーで,PS2のスペックをフルに生かしたつもりですが,それでもロード時間は長くなりました。今回,かなりの高速化を図りましたので,よりスムーズにプレイできるはずです。
4Gamer:
サウンドやグラフィックス面の強化は,いかがでしょう。
片野氏:
サウンドの強化は,オリジナル版が疑似サラウンドサウンドにしか対応していなかったところ,リマスター版では7.1chサラウンドサウンドに対応しています。また,ボイスの音質を向上させると同時に,日本語と英語を切り替えられるようにもしています。
そして,とくに大きなポイントが音楽です。オリジナルの音源はもちろん,崎元 仁さんによる「新録盤」も用意しています。新録盤は,生楽器を中心に新しく収録した豪華な曲ですよ。
加藤氏:
FFXIIの音楽は全部で100曲近くあるのですが,すべてに新録盤を追加します。現在,制作してもらってる最中なのですが,自分達でもニヤリとしてしまうデキなので,楽しみにしてください。
片野氏:
グラフィックスに関しては,もともとオリジナル版では「PS2のスペックを引き出した絵画的な映像」を目指していました。これを,単純に現世代機の表現に変えてしまうと,まったく違う質感になってしまうので,リマスター版ではそのテイストをあえて残しつつ,高品質化を図っています。
4Gamer:
高品質化というのは,どのあたりを見ると分かりやすいですか。
片野氏:
金属や肌の質感ですね。かなり良くなっていると思います。
加藤氏:
また,当時はできなかったライティングの処理やカメラの表現などを新たに取り入れているので,そういう部分でも見栄えは良くなっています。
ほかにも,より遊びやすくなるように改良を加えている部分もありますが,詳しくは続報をお待ちください。
4Gamer:
分かりました。
FFXIIは,シリーズ作品の中でもシステム面で少し変わっているタイトルでした。それを2017年にリマスターとして発売するにあたって,どういったプレイヤーに遊んでもらいたいとお考えですか。
加藤氏:
当時,シームレスバトルやガンビットはかなり斬新なものだったと思いますが,今の時代であれば,そういったタイトルはいろいろと出ています。ただ,FFシリーズのメソッドに則ったキャラクター育成や,より効率の良い戦い方を求めて楽しめるゲームシステムなど,FFXIIならではの魅力が詰まっています。今,遊んでも輝くタイトルかと思いますので,FFXII未体験の人にこそ遊んでほしいですね。
一方で,これまでお話したとおり,オリジナル版とは別のゲームかというぐらい大きく変化しています。オリジナル版を遊んでいたという人にも,再び手に取っていただきたいです。
4Gamer:
発売を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
「FINAL FANTASY XII THE ZODIAC AGE」公式サイト
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※画像には開発中のものが含まれます
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