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Intel,「Kaby Lake」こと第7世代Coreプロセッサを発表。第1弾はノートPC向けの2コア4スレッド製品のみ
今回発表となった製品群は,いずれも2コア4スレッドでTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)が15W,または4.5WのノートPCや2-in-1デバイス向けの製品だけで,デスクトップPCやゲーマー向けノートPCで使われる4コア以上のものは含まれていない。4コア以上の製品が登場するのは,2017年1月以降の予定となっている。
Intelは,2014年9月に最初の製品を発表した「Broadwell」(開発コードネーム)こと第5世代Coreプロセッサから,14nmプロセス技術を採用し,Skylakeこと第6世代Coreプロセッサでも引き続いて採用していた。Intelはそれまで,プロセスの微細化とアーキテクチャ変更を交互に繰り返す,いわゆる「Tick-Tock」戦略を採用していたので,この路線を継続するのであれば,第7世代Coreプロセッサは新しい10nmプロセスを採用することになるはずだ。
しかし,世界最大の半導体製造企業であるIntelであっても,半導体製造技術の微細化を推し進めるのは困難になりつつあるのが実情であり,第7世代Coreプロセッサでのプロセスチェンジを諦めて,14nmの改良版という14nm+プロセスを採用せざるを得なくなったというのが正直なところだろう。
たとえば,Skylake世代の「Core i7-6500U」が定格動作クロック2.5GHz,「Intel Turbo Boost Technology」による最大動作クロックは3.1GHzであったのに対して,新製品の「Core i7-7500U」では,定格動作クロックが2.7GHz,最大動作クロックは3.5GHzと,それぞれ200〜400MHz分引き上げられた。
これにより,両CPUの性能を比較した場合,Core i7-7500Uは一般的な業務用途を想定したベンチマークテストにおいて12%,Webブラウザの使用を想定したベンチマークテストでは19%の性能向上が見られたと,Intelではアピールしている。
ただ,CPUコアそのものは,Skylake世代をほぼそのまま継承したようで,めぼしい新命令の追加なども見当たらない。Kaby Lake世代での性能向上は,動作クロック引き上げによるものに留まるだろう。
2つめの改良点としてIntelがアピールしているのは,内蔵するビデオ再生機能(Media Engine)の改良だ。新しいビデオ再生機能では,4K解像度で10bitカラーのH.265/HEVCのデコードに対応。それに加えて,メディア再生時の消費電力低減により,バッテリー駆動でも今までより長時間のビデオ再生が可能になったと,Intelは主張している。
なお,統合型グラフィックス機能(以下,iGPU)は,Skylakeで導入された第9世代のiGPUと変わっていないという。スペックを見る限り,iGPUの動作クロックも向上していないようで,ゲームグラフィックスにおけるiGPUの性能は変わらないと見ていい。
そんな第7世代Coreプロセッサの製品ラインナップを確認しよう。表1は,TDP 15Wとなる通称Kaby Lake-Uシリーズの主なスペックをまとめたもので,Core i7,i5,i3がそれぞれ1製品ずつとなっている。L2キャッシュ,L3キャッシュ容量ともめぼしい変更点はなく,メモリ周りの仕様もSkylake世代と変わらない。
いずれの製品も,チップセット機能(プラットフォームI/O)が,CPUパッケージ上に統合されたMCM(Multi Chip Module)となっている。
これらもすべて,チップセット機能を統合した製品となる。
2コアモデルのみのラインナップで,動作クロックの向上以外にはめぼしい改良点もないとなれば,ゲーマーが積極的な感心を持つようなCPUではないというのが正直なところ。今は,2017年1月以降に登場予定という4コアモデルにおける,動作クロック引き上げと性能向上に期待したい。
Intelによる当該プレスリリース(英語)
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第7世代Core(Kaby Lake)
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