プレイレポート
平和なときでも戦いの緊張感が味わえる「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI」,韓国のメディア向けイベントで行われたハンズオンレポート
限られた時間ではあったが,このイベントのために用意されたメディア向けのプレビュー版を使ったプレイができた。というわけで,本日掲載した開発者インタビューに続いて,そのインプレッションをお伝えしたい。
なお,上記のように,使用されたのは専用のプレビュー版であり,製品版とはゲーム内用語や数値データなどが異なる可能性がある。この点は,あらかじめ御了承いただきたい。
「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI」
公式サイト
「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI」の魅力は,プレイするたびに変わる展開と新たな発見。韓国のイベントでゲームデザイナーにインタビュー
目指せ! 宗教による勝利!
今回は,会場にいたスタッフの指示に従って,「宗教」にフォーカスしたプレイをしてみた。宗教はシリーズ従来作にも導入されていた要素だが,Civ6では新たに「宗教による勝利」という勝利条件が取り入れられ,ゲームにより深く関わるようになった。自文明で創始した宗教をほかの文明へ広げ,存在する都市の半分以上がこれを信奉するようになると,宗教による勝利が成立するのだ。
宗教を創始するためには,いくつかの手順を踏む必要がある。まずは都市の周囲に「聖地」の区画を設置し,ここに「社」を建立して「信仰力」を上昇させる。信仰力が増えていくと,宗教の土台となる「パンテオン」が建てられる。
ここで,政策「啓示」などを使って「大預言者ポイント」を貯め,それが一定値に達すると宗教関係の「偉人」である「大預言者」を獲得できるようになるのだ。
大預言者を聖地に送って特殊能力を使えば,彼は消えるが,それと引き換えに新たな宗教が誕生するというダンドリだ。まず,神を信じるという概念が生まれ,人々の中に啓示を受けた人物(大預言者)が誕生し,新たな宗教を創始する。実際とよく似た宗教の成り立ちが,ゲームシステムとして取り入れられているので,ある意味,分かりやすい。
宗教の大きなメリットは,「信仰」の特殊効果で自文明をブーストしてくれることにある。「信者の数だけ生産力が上がる」「信仰力のぶんだけ食料が手に入る」など,多彩な効果が用意されており,これらのブースト効果から,プレイヤーは2つを選んで組み合わせることが可能だ。
宗教は非常にセンシティブなテーマでもあるが,シリーズ従来作と同様,Civ6の宗教もすべて架空のもの。デフォルトで「仏教」「カトリック」「ゾロアスター教」などという名前が付いているが,自分で好きな名前を付けられるし,ブースト効果をプレイヤーが選べるため,同じ宗教でもプレイヤーによってまったく異なる内容になる。
華麗なる「神学戦争」は,まるでファンタジー
シヴィライゼーションシリーズには,軍隊で敵を圧倒する「制覇による勝利」,科学力を発展させて人類を火星に送る「科学による勝利」,観光で多くの人々を招く「文化による勝利」など,いろいろな勝利条件があり,どれを目指すかで文明を発展させる方向性が変わり,そこが面白いところである。宗教による勝利を目指すなら,ほかの文明に先んじるほど有利になるので,一刻も早く関連施設の充実を図るべきだと感じた。
聖地や社を作るには,技術ツリーで「占星術」を開発する必要がある。また,大預言者を早く獲得するには,社会制度ツリーで「神秘主義」を開発し,ターンごとに大預言者ポイントが得られる啓示の政策を手に入れておくといった工夫が求められる。
もっとも,宗教方面に力を入れすぎると,どうしても軍事がおろそかになってしまう。
本作はマップがランダムで自動生成されるなど,「プレイのたびに展開が異なる」ことを重視したゲームデザインになっている。筆者の場合は,蛮族の本拠地が首都の周囲にいくつも配置され,彼らの波状攻撃をしのぐため,軍事にも力を割かなければならないという状況になった。
これで宗教の発展が遅れたのか,ほかの文明が先に自分達の宗教を創始し,「宣教師」や「使徒」といったユニットを生産,世界中に教えを広め始めた。これは,出遅れた!
なんとかこちらも大預言者「ゾロアスター」を手に入れて,聖地で宗教を創始させる。宗教の名前はデフォルトのまま「仏教」とし,信仰の効果としては「この世界に糧を」(信仰力と同じだけの食料がもらえる)と,「信仰力が上がるとモスクを建設できる」を選んだ。そして,信仰力を使って宣教師や使徒を生産し,彼らの力で世界中に教えを広めていく。
宗教ユニットは国境に関係なく動き回ることが可能で,都市に隣接して「布教」を行えば,その都市における自分の宗教の影響力が上がるという仕組みだ。最も大きな影響力を持つ宗教が都市の「主流宗教」になり,主流宗教になれれば,都市を自分のものにしたことになる。
もっと直接的に,宗教ユニット同士を戦わせるという方法もあり,これは「神学戦争」と呼ばれる。基本的なルールは通常の戦闘と同じで,攻撃を加えて相手の耐久力をゼロにすると勝ちだ。これはまた物騒な,と思うかもしれないが,軍事ユニット同士を戦わせると戦争になり,対象の文明と敵対しなければならないのに対して,神学戦争にはこうしたデメリットがない。つまり,「平和なままで戦争ができる」という感じなのだ。
通常の戦闘では弓矢や砲弾が飛び交うが,神学戦争は宗教ユニット同士が互いに稲妻を落とし合うという演出になっており,まるでファンタジー。ただし,神学戦争に負けたユニットは戦争と同様に消滅するので,無謀な突撃は厳禁である。
ほかの文明はかなり積極的に布教を行って都市を奪い合っており,見ていると,あちらこちらで稲妻が落ち,宗教ユニットがバタバタと倒れていくからすごい。筆者の宗教もこれに参加し,自国にやってきた信徒や使徒を次々に撃退(?)していく。戦争を起こす踏ん切りがなかなかつかない筆者のような性格のプレイヤーでも,敵を倒す醍醐味が味わえるわけで,これは面白いシステムだ。
スリリングなのが,「知らないうちに自文明の都市を取られる」といった状況が容易に起こることだ。神学戦争には宣戦布告もないし前線もないため,のんびりしていると他文明の宗教ユニットに,次々と都市を奪われる。当然のように,筆者もすっかりこれにやられてしまった。
プレイのたびに,異なる展開が楽しめるCiv6
巻き返しを狙って宗教ユニットを量産するも,なぜか,それまでの自分の宗教とは異なる宗派のユニットができてしまった。
この点を,デベロッパであるFiraxis Gamesのシニアゲームデザイナー,アントン・ストレンガー氏に聞いたところ,「宗教ユニットが布教する宗教は,生産した都市における主流宗教になるんです。この場合は,あなたの都市がカトリックを信仰しているから,生産した宗教ユニットもカトリックを布教します。ゲームを進めると,ほかの宗教の伝播を防ぐ『審問官』を作って防衛できますし,新たな都市は宗教的に白紙の状態で出現するので,そこで巻き返しを狙うのもいいでしょう」とアドバイスしてくれた。なるほど,なかなか奥が深い。
一見手詰まりのようだが,そんなことはない。戦争で都市を奪われると文明は衰えるが,主流宗教が何になろうと,これといったペナルティは発生しないので,軍事や文化といったほか勝利条件に切り替えてもいいだろう。というあたりで,残念ながら試遊は終了となった。
このように,Civ6では宗教が勝利条件の1つとなったことにより,平和なときにも戦争の緊張感が楽しめるなど,お楽しみの要素が増え,ゲームが奥深くなった。宗教ユニット同士の戦いは,ちょっとユーモラスでもあり,見ていて飽きない。製品版が発売されたら,ぜひ一度は宗教的勝利を狙ってみてほしい。
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