インタビュー
「真 流行り神2」は,旧作の魅力を取り戻すことができるのか。シリーズの生みの親である新川宗平社長に,その意気込みを聞いてみた
「流行り神」シリーズは,都市伝説にちなんだ怪異事件を,プレイヤーがオカルトないし科学的な目線から捜査して解決に導いていくタイトルだ。このオカルト・科学ルートへの分岐というのは,シリーズの代名詞ともいえる要素であり,それゆえ,そのシステムをなくしてしまった前作「真 流行り神」は,シリーズファンに受け入れられなかった。
今回は,“原点回帰”を謳う本作の意気込みを,シリーズの生みの親である日本一ソフトウェア,新川宗平社長に聞いてみたので,その内容をお届けしたい。
※このインタビューに登場する多くの都市伝説は,検索するとショッキングな画像が表示されるので,調べるときはくれぐれもご注意を。
関連記事:怪異を目の当たりにしても,あなたは科学を信じることができるか。都市伝説ホラー「真 流行り神2」のインプレッションをお届け
「真 流行り神2」公式サイト
前作の反省を踏まえ,旧作の「魅力」を復活させた「真 流行り神2」
4Gamer:
「真 流行り神2」では,原点回帰がテーマの1つとして掲げられていますが,初めからこのテーマで行こうと考えていたのでしょうか。
実のところ,原点回帰というのはあまり意識していませんでした。どちらかというと,前作で不満の多かった部分を直していったら,結果として原点に戻っていたという感じです。
4Gamer:
システム面で見ますと,流行り神(以下,旧 流行り神,または旧作)にあった「セルフ・クエスチョン」や「科学・オカルトのルート分岐」が復活しています。裏を返せば,前作での不満を解消するには,それらを復活させる必要があったとも取れますが。
新川氏:
そうですね。真 流行り神で初めてこのシリーズに触れたというプレイヤーさんは,そういうものとして遊んでくれていたのですが,シリーズを通して遊んでくれている熱心なファンからは,「これは流行り神じゃない」という声が多くて。
4Gamer:
流行り神の魅力であった「科学・オカルトルートの分岐」がありませんでしたからね。
新川氏:
私自身,前作には絡んでいなかったのですが,そういったファンの声を聞いて,このままではシリーズそのものの存続に関わると思ったんです。それと同時に,このシリーズには熱心なファンこれだけがいてくれているということを,あらためて実感いたしました。ならば,そういう人達の希望にも応えようと。
なので真 流行り神2では,旧作で評判の良かった要素をしっかりと盛り込むことにしました。
4Gamer:
前作で登場したライアーズアートについては本作でも続投となっていますが,前作におけるプレイヤーの反応はいかがでしたか。
新川氏:
イマイチだったかもしれません。主人公の紗希ちゃんが未熟だったというのもあって,ライアーズアートが効果的に使われてないんじゃないかという声もありました。ただ,本作ではあれから2年が経過していて,紗希ちゃんもその間ぼーっとしていたわけではないので,今回は炸裂するときは炸裂します。
4Gamer:
そういえば,前作に引き続き本作もレーティングはCERO Zですね。
新川氏:
それは2話のせいだったりします(笑)。2話が一番エグいので。まあ,必然性のあるエグさなので,そこまで不快に感じることはないでしょう。エグいものを見せるためにエグいことをするっていうのは本末転倒ですし,それってホラーじゃないと思っているので。
4Gamer:
そういったシーンを入れるにあたって意識していることはありますか。
新川氏:
物語を書くという立場で考えた場合,瞬間的な演出でびっくりさせたり,唐突にエグいものを見せたりっていうのは,あまり高級感ある怖さではないと思うんです。流行り神もそうですが,日本のホラーや怪談話みたいなものって,ゾクッと来るところが良いんですよ。
4Gamer:
前作には,都市伝説の要素もほとんどなかった気がします。
ブラインドマンが一応都市伝説という扱いにはなっているんですけど,それ自体は実際にある都市伝説じゃないですからね……。そういう部分も不満に思われていたのだと思います。今回は徹底して都市伝説にこだわったので,安心してください。
4Gamer:
現時点で情報が出ているのは,第1話の「◯◯女」と第2話の「半分こ」,第3話の「TVに映ったアイドルの霊」ですよね。流行り神で題材にされる都市伝説は,どのような基準で選ばれているのでしょうか。
新川氏:
誰もが知っていて,かつドラマ性が感じられるものを選んでいます。そう考えていくと,どんなものでも流行り神に盛り込むのは可能だと思うんですよ。たとえば,フジツボの都市伝説をご存じですか?
4Gamer:
膝のやつですよね。
新川氏:
はい。海辺で遊んでいる時に膝を怪我して,手術して開いてみたらフジツボがびっしりみたいな。それを流行り神に採用するとなると,ドラマとしてどう膨らませられるかという話になってくるわけです。
4Gamer:
全然想像が付きません……(笑)。
新川氏:
フジツボが付く理由には,悲しい物語が隠されているのかもしれない,みたいなことを考えて,できるだけ皆さんが知っている都市伝説をそのまま終わらせるのではなく,その先や,その裏にどういう人間ドラマがあるのかが描けるものを,チョイスするようにしています。フジツボの都市伝説も,もし,それができるのであれば十分選択肢に入りますよ(笑)。
4Gamer:
そう考えると,「◯◯女」の題材になっている「ヒキコさん」とかは,イジメや虐待といった暗い背景があるので,人間ドラマとしては書きやすい部類に入りそうですね。
新川氏:
そうなんです。ただ,ヒキコさんだけで作っちゃうと,オリジナリティのある面白い物語として成立しそうになかったので,1話に関しては「◯◯女」という形で,いろいろな女性にまつわる都市伝説を複合させて,ドラマに仕立ててみました。
4Gamer:
「流行り神2」には「黒闇天」という仏教の神様を題材にした話がありましたよね。真 流行り神2でも,都市伝説以外をモチーフにしたエピソードはありますか。
新川氏:
真 流行り神2に関しては,「流行り神が復活したよ」っていうのを分かりやすく出すために,都市伝説だけを題材にしました。ただ,今後もシリーズを展開していければ,民俗学的なものも織り交ぜて良いかなと考えています。
4Gamer:
新川さんが考える都市伝説の魅力とはなんでしょうか。
新川氏:
伝播の過程で変化していくところですね。1作目で扱ったチェーンメールなんかがそうですが,あれは不幸の手紙から変化したものですよね。あとは,ピアスの穴から白い糸が出ていて,それを引っ張ったらぷつんと切れると同時に失明するという話が,「カオルさん」という耳たぶをかじる女性の話になったりとか。
4Gamer:
「◯◯女」の1人である「カシマさん」も,「テケテケ」だったり「サッちゃんの4番目の歌詞」だったりと,伝播のされ方はさまざまですよね。
あとは,都市伝説だとは思われていない話とかも好きですね。先ほどのフジツボのやつって,私が小学生の時に通っていたスイミングスクールで聞かされた話だったんですよ。当時は,都市伝説だとは思っていなくて,普通にそんなことがあるんだって信じてたんです。
4Gamer:
たしかに,都市伝説として扱われるものの範囲は広いですよね。
新川氏:
悪の十字架(開くの10時か?)とか,悪魔の人形(あ,クマの人形)とか,恐怖の味噌汁(今日,麩の味噌汁)とか。
4Gamer:
それは,どう聞いてもオヤジギャグなのですが……。
新川氏:
いちおう,都市伝説のカテゴリに入るらしいんですよ(笑)。まあ,さすがに今回の流行り神には入れてませんが。でも,そういったちょっとしたネタみたいなものも入れ込めるのが,都市伝説の面白さなのかなって思ってるんです。
4Gamer:
過去に流行り神で語られたちょいネタとして,未だに覚えているのが事故物件の話(※)です。当時は「ああ,そうなのか」と感心してしまったのですが,あれって実際にある話なんですか。
※自殺などがあった物件を貸し出す場合,オーナーは次の入居者にそのことを伝える義務がある。ただし,1度でも誰かが住めば,それ以降,事故物件として伝える義務はなくなるため,短期で住む人を雇って事故物件であることを洗い流す,という行為が行われていたという話。
新川氏:
今はあまり聞かなくなりましたが,実際にありました。もっとも,私達もこのゲームを作る過程で初めて知ったことは多いです。流行り神は,無駄な知識もいろいろと詰め込まれているので,知識欲を満たしたいという人から支持されることも多いんですね。なので,真 流行り神2でも,そういったデータベースは充実させています。
4Gamer:
今後,こういう都市伝説を題材にしてみたいというのはありますか。
新川氏:
本編にはしないと思うんですけど,「人間シチュー」(※)はやってみたいなと。
※入浴中に急死した人が,そのまま煮こまれてシチューのようになっていたという都市伝説。
4Gamer:
お風呂のやつですか。これまた,すごいところに行こうとしますね(笑)。海外の都市伝説とかはどうでしょうか。「スレンダーマン」や「ブラッディ・マリー」など,日本でもそこそこ有名なのもたくさんありますよね。
新川氏:
源流がそもそも海外からというものがあります。例えば,「◯◯女」の題材の1つであるベンチの下の女は,もともと海外の都市伝説である「ベッドの下の斧男」が源流です。
4Gamer:
そういえば「流行り神3」の「下水道のワニ」も,アメリカの都市伝説でしたね。流行り神では,メインストーリーに絡まない都市伝説が,登場人物から語られることもあります。例えば,向かいのマンションのカーテンの隙間から星を見ている女性に見惚れて,次の日会いに行ったら,実は首吊り死体だったとか。
新川氏:
星を見る少女ですね。実はそれも題材の1つになっています。あれって,言い方としては不適切かもしれませんが,ロマンチックな話だと思うんですよ。向かいの女の子がずっと星を見ているかと思ったら実は――っていうオチは付いてはいますけども,やっぱり1つの話にしたいなと思っていたんです。
4Gamer:
ストーリーは,オカルト・科学のどちらの視点から書き始めるのでしょうか。
新川氏:
科学ルートを先に書くことが多いですね。
4Gamer:
それは科学ルートからのほうが作りやすいからでしょうか。
新川氏:
逆です。オカルトなものをオカルトにするのは結構簡単なのですが,それを1つの科学的な事件として,説得力を持たせるほうがずっと大変なので,科学ルートから先に作っちゃうんです。
実際,科学ルートで解決したところで,じゃあすべて科学で説明が付いたのかというと,そうとも言えないという展開にするので。オカルトもそんな感じで,すべてがオカルトなのかというと,実際には人間の手が入っている部分があったりとかして。
ですので,最終的には科学とオカルトの両方をクリアして,プレイヤーの頭のなかで,それぞれの事件を整理したとき,ようやく真実が見えてくるわけです。
4Gamer:
オカルトの中には,科学的な説明がある程度付けられるものもありますよね。コックリさんでコインが動くのは,不随意筋によるものだとか。
新川氏:
そうですね。無意識による筋肉の運動とか,人の思い込みの力だとか。でも,本当にそうなのっていう案件もあるはずです。科学ルートの話を作るときは,そういった部分を弄るのが面白いんですよ。
4Gamer:
旧作のオカルトルートは,憑依系が多い印象でしたが,その辺りは意識していたりするのでしょうか。
新川氏:
結局は人間ドラマを描いているっていう意識が強いので,人形だったり物だったりとかにしても,人の思いが込められているという話にすることが,どうしても多くなってしまいます。そこはもう少し考えなくちゃいけないところだと考えているので,あえて突拍子のないことをしてみたりとか,先ほどの人間シチューのような普通じゃない題材を選びたくなったりしちゃうわけです。変化を作らなくてはいけないので。そこが苦労するところかもしれないです。
続編のプロジェクトは,前作の売り上げを超えられるかどうかに掛かっている。
4Gamer:
真 流行り神2のオカルト・科学ルートは,それぞれマルチエンディングになっているのでしょうか。
マルチになっているのはいずれもバッドエンドですが,種類は結構用意しています。ちょっと面白いエンディングもありますし,単純なバッドエンドもありますよ。いろいろなバッドエンドを見ていくのも,1つの楽しみ方かなと。
4Gamer:
物語の行き着く先は,推理ロジック次第という感じでしょうか。
新川氏:
推理ロジックもそうですが,その手前の選択肢によってもルートは分岐していきます。
4Gamer:
前作ではネットワークを介して,そのエンディングにたどり着いた人の数が分かりましたが,今回もそういったネットワーク要素は用意されていますか。
新川氏:
そもそも前作のネットワーク機能そのものが,良かったのかどうかという判断がつかなかったので,今回は入れていません。
4Gamer:
シナリオは全部で5話ですが,追加で配信したりといった予定はありますか。
新川氏:
1話分のサブシナリオをすでにパッケージの中に用意してありますので,全部で6話遊んで頂けることになります。DLC的なものはあまり考えていなくて,DLCで1話を用意する労力をもし考えるのであれば,ちゃんと続編を用意したほうがお客さん的には嬉しいのかなって思いますので。
4Gamer:
真 流行り神3の構想はすでにあると。それは今回の売り上げに関わらずということでしょうか。
新川氏:
いえいえ,もちろん関係ありますよ(笑)。前作の売り上げを超えたらやります。前作は約3万5千本なので,各プラットフォームの合計がそこを超えてくれたら,3のプロジェクトを始動させます。
小暮宗一郎を超えるキャラ作りを目指して生まれたのが「愛染刹那」
4Gamer:
そういえば,主人公を取り巻く人物や環境が一新されましたが,そこにはどういう意図があったのでしょうか。
新川氏:
前作は,分岐によって登場人物の役割りが変わっていたため,感情移入がすごくしづらいという声が結構ありました。
4Gamer:
たしかに,それまでの関係がリセットされているような違和感がありましたね。
新川氏:
その点,今回は1話完結型のオムニバス形式に戻したので,どのルートに行ったとしても,登場人物の役割りが変わることはありません。今回はキャラクターを好きになってもらいたいというのもあったので。
4Gamer:
今回,主人公の相棒になる愛染刹那は,旧作でいう小暮さんのポジションですよね。
新川氏:
小暮さんはすごく人気があったんですよ。なので,あれに負けないくらいのキャラクターをということで,今回は刹那くんを作りました。どこまで小暮さんに匹敵するだけの相棒になってくれるかというのは,プレイヤーの判断に委ねる部分ではありますが,私自身は気に入って物語を書くことができたので,少なくとも「嫌いなキャラクター」にはならないんじゃないかなって思います。
あとは,科学とオカルトの分岐を復活させたので,オカルトを肯定するキャラと否定するキャラの色付けっていうのも,しっかりとやりました。
4Gamer:
個人的には旧作の犬童蘭子さんが好きだったのですが,彼女にあたる人物は登場しますか。
新川氏:
如月蜜子がそうです。彼女は,霧崎水明,式部人見,犬童蘭子のすべてを兼ね揃えている万能キャラです。
4Gamer:
万能というより,流行り神においては最強なのでは……。そういえば,店舗予約特典に,霧崎さんとゆうかちゃんのショートストーリーが付くみたいですが,ゲームの本編に旧作キャラクターは登場しますか。
新川氏:
旧作のキャラクターがガッツリと関わってきちゃうと,おいしいところを持っていっちゃう可能性があるので,名前だけは出てきたりすることはありますが,登場はしません。“1人を除いては”。
4Gamer:
その1人がすごく気になるのですが……。そういえば,主人公は前作からずいぶんと出世していますよね。
新川氏:
1話で不可解な出世と,不可解な異動があります。そこには裏の企みがあったり,みたいな感じです。
4Gamer:
そのあたりのシチュエーションも,旧 流行り神の導入に近いものを感じますね。ちなみに,キャラクターに特化したシナリオはありますか。
新川氏:
基本は紗希が主人公の物語になるんですけど,ちょっとした仕掛けで,主人公が変わるような分岐も用意してあります。あとは,過去作からやっている「隙間録」では,紗希以外のキャラクターの視点から見た,ゲーム内のワンシーンも出てきます。また,サブシナリオは,紗希が主人公ではないので,別の物語として楽しんでいただけると思います。
4Gamer:
ずっと気になっていたのですが,本作の舞台になっているG県というのは,どこを指しているのでしょうか。
新川氏:
岐阜です。我々(日本一ソフトウェア)の拠点ですね。
4Gamer:
ちなみに,舞台が岐阜である理由はありますか。
新川氏:
はじめから都会ではないところを舞台にしようと考えていましたし,そうなると,そもそも岐阜県以外をわざわざ選ぶ理由がありません。岐阜県に貢献するべき立場でもあるので,岐阜県以外の田舎をわざわざ選ぶ必要もないんです。
4Gamer:
地元ならば,ロケとかもやりやすそうですね。
新川氏:
素材にする背景が足りないなってときに,さっと撮りに行けますからね。今回のゲーム内背景は実写加工にしているのですが,パッと見では,手でちゃんと書いたようにしか見えないはずです。
4Gamer:
背景自体はどれくらい用意されているのでしょうか。
新川氏:
前作と比べて約4倍くらいあるので,場面転換も多めです。演出面ではかなり贅沢をしているので,飽きずに楽しめるかと思います。
4Gamer:
岐阜といえば,「寒洞池(かんぼらいけ)」や「二股トンネル」など,有名な心霊スポットも多いですよね。
新川氏:
はい。幽霊が出ると噂の鶯谷トンネルがあったり,結構有名な廃墟があったりします。とはいっても,本作では心霊スポットの紹介はあまりしてません。逆に,岐阜県の名物とか美味しい食べ物とか,そういうのはやたらと取り上げていますので,流行り神を通して岐阜に興味を持ってもらえると嬉しいですね。
どのタイミングで入っても楽しめるのが「流行り神」の魅力
4Gamer:
そもそも,流行り神を作ろうと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
流行り神の話が出たのは,ちょうど「ディスガイア」を作り終えた後だったんですよ。当時は20人に満たない会社だったのですが,そこで10万本以上売れるタイトルを作ることができたので,じゃあ次のステップとして、今度は2ライン走らせようということになりました。
1本は「ファントム・ブレイブ」というシミュレーションRPGだったので,もう一方はまったく違うものにしようと。その時集まったメンバーがみんなホラー好きというのもあり,ホラーアドベンチャーになりました。ただ,普通のホラーアドベンチャーではつまらないので,推理して解決していくようなものにしようと。なので流行り神は,警察に属する人間が主役になったわけです。
4Gamer:
都市伝説を軸にするというアイデアはどこからきたのでしょう。
新川氏:
ホラーという分類の中でも,ゲームならではの仕掛けができるものにしようと考えた時に,都市伝説というのが,自分の中で引っかかっていました。先ほど言ったみたいに,伝播の過程で話が進化していったり,いろいろなバリエーションの話があったりと,題材としては面白いよねって。
4Gamer:
ゲームならではの仕掛けというと?
新川氏:
すでにあるものをベースに一本道で描くだけだったら,アニメや映画で十分です。そこで,怪異によって引き起こされた事件を,オカルトと科学のどちらの目線で見ても解決できるようにして,しっかりとそれに沿った結末を用意しようと。そして,その両方をクリアしたときに,初めて真相が分かるんだよっていう形にすれば,それはゲームならではの体験になりますよね。
4Gamer:
その結果生まれたのが流行り神というわけですね。発売当初の様子はいかがでしたか。
新川氏:
売れ行きは好調でした。ただ,今までの日本一ソフトウェアとは全然違う方向にボールを投げたタイトルだったので,そもそもうちが作ったゲームだっていうのを,みなさん気付いてくださらなかったんですよね。
4Gamer:
たしかに,日本一ソフトウェアといえばディスガイアというイメージです。
新川氏:
ディスガイアは日本一ソフトウェアというのは,みなさん知っているのですが,流行り神もうちですよって言うと,「え?」という顔をされることが多いんです。最近はシリーズの知名度も上がりましたが,あまりにも極端なチャレンジをし過ぎると,気付いてもらえないこともあるっていう勉強になりましたね。
4Gamer:
そうえば,リツイートの数だけ初代「流行り神」が割引されるというPRを行っていましたが(関連記事),どれくらい売れましたか。
新川氏:
だいたい5万本近く出ましたね。やっぱり一作目は面白いって言ってくださる人もいましたし,こういうテイストで行くなら真 流行り神2も買ってみようかなという声も聞きました。こうして流行り神というものに触れていただいて,興味を持っていただくという意味では,良い施策になったんじゃないかなと思っています。
4Gamer:
プロモーションとしては成功ですね。
新川氏:
まあ23円なので,買って積んでるいる人も多そうですが(笑)。仮にその半分としても,2万5000人があらためて遊んでくださったというのを考えれば,それは価値のあることです。
今なら旧作の実況動画とかもありますので,あれを見れば別に遊ばなくてもいいわけじゃないですか。それをあえて購入して遊んでくださるっていうのは,それだけ興味を持って頂けているということでしょうし,それは非常にありがたいことなんです。
4Gamer:
アドベンチャーゲームですと,プレイ動画の配信に規制をかけるところもありますが,流行り神については,どうお考えなんでしょうか。
新川氏:
こんなこと社長の私が言っていいのかは分からないですけど,私はまったく気にしていないです。そもそも,買わない人は買わないと思いますし。ただ,そういった動画を見た後でも,自分でやってみたいと思われるようなものを,我々は作らなくてはいけません。見たから満足と言われているようじゃダメなんです。
クリアした時の感動とかカタルシスって,やっぱり自分で触ってみないと得られないものですし。
4Gamer:
なるほど。PRの一環として,心霊スポットの定点観測をやってましたが,あれの反響はいかがでしたか。
新川氏:
前作でやった時と比べると,そこまでの反響はなかったですね。当時は夜通しの番組ってあまりなかったので,物珍しさで見に来る人も多かったのですが,今はそういう番組も増えてきましたから。
4Gamer:
たしか3回目は岐阜県にある図書館でしたよね。
新川氏:
ゲーム開発でもそうなのですが,今回は地元の各務原市と岐阜市に協力をたくさんいただきました。定点観測のロケーションもそうですが,ゲーム中の背景のなかにも,県が持っている施設や岐阜城といったものまであります。
4Gamer:
今回はPS4/PS3/PS Vitaのマルチプラットフォームですが,クロスセーブには対応しているのでしょうか。
新川氏:
すみません。クロスセーブには対応していないです。
4Gamer:
現在公式サイトでは1話から3話までのあらすじが公開されており,先ほど最終話も判明したわけですが,残された4話はどのようなお話になるのでしょうか。
新川氏:
4話はお祭り騒ぎといった感じです。あと話は変わるのですが,7月22日に生番組の配信を予定していて,そこで流行り神の実況をやろうと思っているんですよ。
4Gamer:
それは新川さんがご自身がプレイされるのですか。
新川氏:
はい,私がストーリーの解説なども混じえてプレイします。
4Gamer:
それは楽しみですね。真 流行り神2の購入層は,旧 流行り神からプレイしている人,真 流行り神から始めた人,真 流行り神2で初めてシリーズに触れる人,といった感じで3パターンに分かれると思うのですが,それぞれの層に向けてコメントがあればお願いします。
真 流行り神2を作ろうと思ったきっかけは,旧作からのファンの期待に応えたかったからです。前作をプレイした人の中には,シリーズの方向性に疑問を感じられた人も多かったと思います。真 流行り神2は,前作でがっかりされたファンの期待に応えるために作ったものなので,ぜひ遊んでみてください。
もし疑わしければ,実況動画など見て判断していただいてからでも結構です。そこで面白そうだと思っていただけたら,その時に買ってください。
真 流行り神から始めた人の中には,なぜ原点に戻すのかと思われる人もいるでしょう。ただ,システムこそ違えど,主人公は紗希ちゃんのままなので,本作では彼女の成長した姿を楽しんでもらえればと思います。あと,今回はオムニバス形式にすることで,登場人物ひとりひとりを丁寧に描いています。前作にはなかったキャラクター達が繰り広げるドラマも楽しめるはずなので,今回の変化をポジティブに捉えていただければ嬉しいです。
最後に,シリーズをまったく遊んだことのないという人からすると,2から入っても大丈夫なのかという心配があるかと思います。ただ,先ほども言ったように,主人公以外のキャラクターは完全に一新されていますので,はじめての方も十分楽しんで頂ける内容になっているかと思います。
あと,すべてのファンに向けてなのですが,ぜひ,真 流行り神3を作りたいと考えていますので,応援していただけると嬉しいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
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- インタビュー
- 編集部:YamaChan
- カメラマン:佐々木秀二
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