
インタビュー
[インタビュー]「Dead by Daylight」×「東京喰種トーキョーグール」コラボでは,霧の森へ連れてこられた金木を描く。開発のキーパーソン2名に話を聞いた
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アニメからプレイアブルキャラクターが登場するのに加え,話題を呼んだのは意外な抜擢だ。原作では主人公「金木 研」が人喰いの衝動に苛まれる「喰種」(グール)と人間との狭間で苦悩しているが,そんな彼がコラボキラーとして霧の森に登場するのだ。
コラボが発表された3月12日には,Behaviour Interactiveの開発陣がファンと交流するリアルイベント「Dead by Daylight: TADAIMA JAPAN」が東京練馬区のIKUSA ARENAで行われ,日本のファンにとっては貴重な機会が提供されていた。
今回4Gamerは,イベントのために来日していた,Behaviour InteractiveのDead by Daylight シニア・クリエイティブ・ディレクターであるデイブ・リチャード氏,そしてBehaviour Interactiveパートナーシップ責任者のマシュー・コート氏にインタビューを実施。
アニメ「東京喰種トーキョーグール」とのコラボや日本でのDead by Daylight人気について話を聞いた。
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4Gamer:
本日はよろしくお願いします。リアルイベントは,実に2018年の東京ゲームショウから6年ぶりとなります。久しぶりの日本はいかがですか。
マシュー・コート氏(以下,コート氏):
帰ってくるのに時間をかけ過ぎたと感じています。しかし,イベント「Dead by Daylight: TADAIMA JAPAN」ではすでに良い思い出をいただきました。
デイブ・リチャード氏(以下,リチャード氏):
あと,やっぱり日本食は美味しいですね。日本のお餅は柔らかくて触感も良くお気に入りです。
コート氏:
私は,浅草の出店で買った,小さなスクエア型をしたお菓子で,中にスイートポテトのパウダーが入っていた品が美味しかったです(笑)。
4Gamer:
楽しんでいただけているようで何よりです(笑)。
さて,アニメ「東京喰種トーキョーグール」とのコラボは発表されると同時にDead by Daylightと原作ファンの双方で大きな話題となっています。
我々としてもコラボ先が「東京喰種トーキョーグール」だとは予想だにしていませんでしたが,こちらはどのような経緯で実現したのでしょうか。
コート氏:
具体的なコラボの経緯はお話しできないのですが,「お互いのIPにとって非常に良いコラボである」ということで合意に至りました。
「双方のファンの方々に楽しんでいただけることは何か」「コラボキャラクターを表現するうえで,正しい選択とはどういうものか」という話し合いがあり,これに合意したからこそコラボが成立した,とだけお話しておきます。
4Gamer:
コラボキラー「金木 研」は,アニメIPとしては初めてのプレイアブルキャラクターとなります。今回,日本のアニメをコラボ先に選んだ理由について教えてください。
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リチャード氏:
日本のアニメと漫画は素晴らしい表現方法ですし,世界的にも,特に西洋の国々で人気があることが理由になります。
4Gamer:
原作の金木は,人間としての心と,人を喰う「喰種」(グール)の衝動の狭間で苦悩し続ける人物です。そんな彼を,人間に対して積極的に危害を加えるキラーとして選んだ理由を聞かせてください。
コート氏:
おっしゃるように,金木は内なる葛藤を持っており,非常に明確なコントラストのあるキャラクターです。
だからこそ,Dead by Daylightの「霧の森」で彼をキラーとすることにより,非常に強烈に内面的な部分を表現できると思ったんです。
4Gamer:
キラーとしての金木は「The Ghoul」という表現になっています。これはDead by DaylightにおけるThe Ghoulはパラレルの存在であり,原作の金木とは別物ということなのでしょうか。
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その通りです。金木は残虐な喰種である「ジェイソン」に囚われて拷問されるも,彼を制します。直後に霧の森へ連れてこられ,パラレルとしてのThe Ghoulになりました。
原作ではこのあとも金木の物語は続いていくため,元の世界線とは分岐したことになります。
Dead by DaylightのThe Ghoulはいまだ苦悩の中にいて,根源的(Primal)な欲望や,本能的(Visceral)なものにあがいているわけです。
4Gamer:
ネット上では,コラボをきっかけに「東京喰種トーキョーグール」のアニメを視聴しようという声も散見されました。
リチャード氏:
以前から,Dead by Daylightがコラボした映画を若い方が見るということが起きていたので,コラボによって原作に興味を持っていただけるのは,ありがたいことですね。
コート氏:
Dead by Delightはジャンルとしてはホラーに分類されますが,このジャンルは非常に広大です。ホラーに近い要素を持つ作品であれば,今後もオープンにコラボしていく余地があると考えています。
4Gamer:
今回のコラボにおいて,Dead by Daylightの開発側としてはどのような苦労がありましたか。
コート氏:
それをすべて語ると,本が書けるくらいのボリュームになってしまいます(笑)。ただ,我々はコラボ先をリスペクトし,Dead by Daylightがキャンバスとなって原作をオマージュできるように気をつけて開発しています。
リチャード氏:
金木の能力は複雑です。ゲームの中にどう落とし込むかについては,IPのパートナー様からさまざまなアドバイスをいただきました。ボイスを花江夏樹さんにご担当いただいたのも,アドバイスの1つです。
4Gamer:
花江さんといえば「Dead by Daylight を世界一楽しむ男」という動画シリーズを公開されているほどのファンとして知られていますね。
リチャード氏:
花江さんは,先日のライブイベントでもサプライズとして動画でご登場いただきましたが,皆さんのリアクションを見るのが楽しかったです。
4Gamer:
今回アニメ系IPのキャラクターをプレイアブルキャラクターとして実装したことで,コラボの可能性がさらに広がった印象です。
コート氏:
そうですね。我々も,もっともっとクリエイティブにならなければいけないと思っています。
リチャード氏:
どのようなコンテンツを実装するにしても,ホラーのレンズを通して物事を見て,ホラーを生み出すことが重要だと感じています。
良い例が,2021年に実装したK-Popの世界をテーマとした「All-Kill」チャプターでしょう。K-Popの世界は一見するとホラーではないかもしれません。しかし,ホラーのレンズを通して物事を見て,解釈することにより,ホラーを生み出すことができました。
我々は常に新たなコラボやチャプターの可能性を模索しています。
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4Gamer:
今回のコラボは日本のプレイヤーを強く意識したものなのでしょうか。
コート氏:
意識しています。日本のプレイヤーさんたちはコミュニティの中でも最も情熱的にコミットしてくださいますから。
先ほども言いましたが,そもそも日本のコンテンツは世界中で人気がありますし,「東京喰種トーキョーグール」は作品として優れています。ビジュアル的にもインパクトがあり,暴力的かつエッジが効いていますからね。
4Gamer:
情熱的にコミットしてくれるという日本のファンを,皆さんはどのように分析されているのでしょう。
リチャード氏:
親切で熱い方々だと思います。あとファンであることに誇りを持っておられることも大きな特徴だと思います。
コート氏:
私も,世界でもまれなほどに情熱の強い方々だと思いますね。
4Gamer:
「情熱的である」と見られているのは興味深いです。日本人=内気で物静かというのがステレオタイプですし,我々自身も自分のことをそう思っています。感情表現もそこまで大きくありませんし。
リチャード氏:
少なくとも我々にはとても情熱的に感じますよ! たとえばライブイベントでは,コラボのパブリックテストビルドが始まってから十数時間しか経っていないにもかかわらず,もう金木のコスプレをした人がいて驚きました。
発表の際には感極まって涙を流していた人もいましたし,徹夜してイラストを描いてくださった人もいました。我々にDead by Daylight愛のこもったプレゼントもいただいています。
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限られた経験からの私見ではあるんですが,日本は社会における境界線が非常にはっきりしています。
だからこそ,自分の居場所を見つけたときに情熱が燃え上がるのではないかと思います。こうした信頼や愛情の表現を受け取れることを光栄に感じています。
4Gamer:
今後のDead by Daylightを運営していくうえで,日本のファンコミュニティは重要な位置づけとなるのでしょうか。
リチャード氏:
非常に重要です。だからこそ,我々がキャラクターを実装する際,弊社のあるケベック州の母語であるフランス語,英語に加えて日本語ボイスを収録するわけです。また,日本のコンテンツは世界で人気があるため,テーマにすることでグローバルにリーチできるという側面もあります。
4Gamer:
コラボをきっかけにゲームを始めたいと考える「東京喰種トーキョーグール」のファンに向けて,アドバイスをお願いします。
リチャード氏:
「東京喰種トーキョーグール」のファンの方々には……「霧の森,Dead by Daylightの世界へようこそ!」と言いたいです(笑)。
Dead by Daylight「勝たなければ楽しめないゲームなのでは」と思われるかも知れませんが,実際にはそうではありません。いろいろと試してゲームのメカニズムを発見してみてください。
コート氏:
Dead by Daylightで面白いのは,勝ち負けの結果だけではありません。ストーリーはもちろん,プレイにおけるさまざまな瞬間に起こった出来事も唯一無二のものですし,驚くようなことも起こると思います。まずは,ホラーとしての瞬間瞬間を楽しんでみてください。
4Gamer:
ありがとうございます。では最後に,Dead by Daylightのファンに向けてメッセージをお願いします。
コート氏:
Dead by Daylightへの応援ありがとうございます。今回は皆さんと対面で会う必要性を改めて認識しました。引き続きコンテンツをお届けしますので,今後もゲームを楽しんでください。
リチャード氏:
Dead by Daylightを楽しんでいただけ,ファンアートやコミュニティからのエネルギーがあるからこそ我々はゲームを作り続けられます。今後も頑張っていきますので,よろしくお願いします。
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「Dead by Daylight」公式サイト
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- ライター:箭本進一

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