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独自AIチップ搭載のゲーマー向けノートPCや多画面マニアも欲しくなる2画面ノートPCなど,Lenovoの魅力的な新製品をチェック
本稿では,LenovoがCES会場外で行ったプライベート展示で見かけた新製品の中から,4Gamer読者が関心を示しそうな製品や,筆者が個人的に惹かれた製品をピックアップして紹介したい。
AI制御のゲーマー向けノートPCの新モデルが登場
Lenovoは,CES 2024での新製品として,同社独自のAIチップ「Lenovo LA」によるAI制御で動作を最適化できるというゲーマー向けノートPC「Legion 9i,7i,5i」シリーズを発表した。それら新製品から,まずは,ハイエンド市場向け製品の「Legion 9i」を見ていこう。
まず最大の特徴は,ボディ素材だ。ディスプレイパネルの天板部分に,強度を重視したカーボン素材が採用されているのだが,「このカーボン素材は,最新素材のフォージドカーボンなんだよ!」とLenovo担当者のテンションはマックスに。
一般的に知られるカーボンファイバー素材は,シート状の素材を積層,高温高圧下で焼き固めたものだ。一方でフォージドカーボンは,短いカーボン繊維片を型に敷き詰めてから,熱をかけつつプレス成形することで製造される。強度はシートに比べてやや劣るが,製造にかかる時間が短いことから,コストを抑えられるのが特徴という。
近年では,高級スポーツカーやレーシングカーの内装やルーフのように,強度よりも軽さを重視する部分にフォージドカーボンが採用されている。ちなみに,フォージドカーボンの製法を開発したのは,スーパーカーブランドとして有名なランボルギーニだ。
そんなフォージドカーボンは,ランダムに並べられた繊維片が表面に現れる独特の見た目が大理石のようで,「高級スポーツカーにも採用されている」という謳い文句の効果もあって人気も急上昇。Lenovo担当者も,「Legion 9iの天板は,1台1台模様が違う。世界でひとつ,あなただけの模様なんだ」とそのままのハイテンションで熱弁を振るっていた。
ちなみに,CPUやGPUの上にあるキーボード部分は,放熱性に優れたマグネシウム合金を採用しているそうで,「適材適所がLenovoのPC作りの信条なのさ」(Lenovo担当者)とのこと。
スペックについても触れておくと,Legion 9i 2024年モデルは,ディスプレイに16インチサイズでアスペクト比16:10,解像度3200×2000ピクセルのMini LEDバックライト液晶パネルを採用する。最大リフレッシュレートは165Hzだ。
搭載CPUは,最上位モデルで「Core i9-14900HX」を,GPUは「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」を採用する。
米国における価格は約4400ドル(税別,以下同)。2024年第一四半期に発売の予定だ。
ひとつ下のLegion 7i 2024年モデルは,Legion 9iとディスプレイや搭載CPU,GPUに違いはないが,筐体デザインが異なる。Legion 7iでは,カーボンなどの特別な素材は使っていないが,Legion 9iよりも薄型軽量化に重きをおいて設計しているのが特徴だという。
より薄型化された筐体の冷却には,自動車の過給器「ターボチャージャー」のような圧縮空気を送り込むエアフローデザインになっているとのことで,薄型のゲーマー向けノートPCとは思えない安定した放熱を持続的に行えるという。価格は約2100ドルからで,2024年第一四半期の発売を予定している。
Legion iシリーズとしては下位モデルとなるLegion 5iであるが,搭載CPUやGPUは。Legion 9i/7iと違いはない。画面解像度は2560×1600ピクセルに下がるものの,逆に最大リフレッシュレートは240Hzに高められている。Lenovo担当者によれば「本機は,eスポーツプレイヤーに向けたモデルで,価格対スペック比を重視した引き換えに,筐体は厚くなっている」そうだ。
価格は約1400ドルからで,2024年前半に発売の予定である。
ところで,LenovoがLegion iシリーズに搭載した独自のAI制御チップ「Lenovo LA」とは,一体,何をするものだろうか。
とても気になったので,Lenovo担当者に聞いてみたところ「ゲームの処理自体を,AIで直接高速化するものではない。ゲーム画面のフレームレート増減や,筐体内に設けた複数のセンサーで計測した温度変化に基づき,CPUとGPUの動作電力や動作クロック,冷却能力をリアルタイムに変更するものだ」ということだった。
平たくいえば,CPUやGPUのサーマルスロットリングを,いい案配で安定させる冷却制御機構ということらしい。また,表示中のゲーム映像の色合いを反映するLEDイルミネーションの発光パターンにも使われているそうだ。
AI制御というのは少々仰々しい気はするが,「熱暴走せずに最大性能を発揮し続けられる」という機能自体は良いものだとは思う。
コンパクトデスクトップPC「Think Centre neo Ultra」は,小型ゲームPCとして使うのもあり?
Lenovoが展開するコンパクトなデスクトップPCシリーズ「Think Centre」シリーズの新モデルとして登場した「Think Centre neo Ultra」は,Lenovo担当者が「Mac Studioのサイズ感で開発した」という高性能コンパクトデスクトップPCである。
公称本体サイズは195(W)×195(D)×107(H)mmで,実際,Mac Studioの197(W)×197(D)×95(H)mmにかなり近い。ボディの色合いもよく似ている。
CPUは,Core i9(世代は未公開)を,GPUにはGeForce RTX 4060を採用するとのことだ。メモリモジュールはSODIMMタイプで,DDR5-5200メモリを最大64GB(32GB×2)搭載できる。
Lenovo担当者によると,「生成AIを動かせる最小体積のデスクトップPCとして訴求している」そうで,展示にあたっては,実際に本機でAI関連デモを披露していた。「生成AIであれば,『GeForce RTX 4070 SUPER』あたりを搭載したいという顧客からのニーズもありそうだが?」と質問したところ,Lenovo担当者曰く,「そうした要望も多いので,実際の発売時には,そうしたラインナップも検討する必要があるだろう」だそうだ。
基本的にビジネス向けの製品ではあるが,スペック的にはエントリー市場向けゲームPC並みではあるので,小型ゲームPCとして使うというのもありそうだ。最小限構成価格は1500ドル前後。2024年前半に発売の予定だ。
Core Ultra搭載の2画面2 in 1ノートPCが登場
Lenovoの一般消費者向けノートPC「Yoga」ブランドでは,世にも珍しい2画面タイプの2 in 1ノートPC「Yoga Book 9i Gen 9」が発表されて注目を集めていた。
2023年モデルの「Yoga Book 9i Gen 8」は「Core i7-1355U」を搭載していたが,今回の2024年モデルでは,新プロセッサのCore Ultraを搭載したのが見どころだ。
ディスプレイ部は,2画面とも10点タッチ対応のタッチパネルで,画面サイズは13.3インチ,解像度2880×1800ピクセル,アスペクト比16:10の有機ELパネルを採用する。VESAのHDR関連企画「DisplayHDR TruBlack 500」に準拠したHDR表示対応パネルでもある。
メインメモリ容量は,前世代の16GBから32GBに増えた。これは,Gen 8発売時に「増設不可で16GBは少なすぎる」という指摘が多かったことを踏まえたものだそうだ。
発売は2024年前半の予定で,価格は約2000ドルとのこと。Lenovo担当者は「日本でもGen 8の評判が良かったので,基本的にはGen 9も発売される見込みだ」と述べていた。
LenovoのCES 2024特設Webページ(英語)
- 関連タイトル:
Legion,ideacentre Y,ideapad Y
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