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「Inspiron 15 7567 Gaming」レビュー。税込12万円弱から買えるDellブランドのゲーマー向けノートPCはアリなのか
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印刷2017/02/11 00:00

レビュー

税込12万円弱から買えるDellブランドのゲーマー向けノートPCはありやなしや

Dell Inspiron 15 7567 Gaming


Inspiron 15 7567 Gaming(国内製品名:New Inspiron 15ゲーミング)
メーカー:Dell
問い合わせ先:チャットサービス(平日9:00〜24:00,土日祝10:00〜24:00)
BTO標準構成価格:11万8778円〜16万1978円(税込,送料込。モデルによる)
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 2017年1月のCES 2017で発表となった,Dellブランドの新しいエントリーゲーマー向けノートPC「Inspiron 15 7567 Gaming」(国内製品名:New Inspiron 15ゲーミング)。15.6インチで解像度1920×1080ドットの液晶パネルを採用する筐体に,ノートPC向け「GeForce GTX 1050 Ti」と4コアKaby Lake-Hを搭載する製品だ。

 筐体色が黒と赤から選べる中,4Gamerでは赤色筐体に「Core i7-7700HQ」と総容量16GBのメインメモリを搭載する最上位仕様「プラチナ」のBTO標準構成モデルをDellの日本法人であるデルから入手したので,その実力に迫ってみたい。最も安価な「スタンダード」なら10万9980円(税別,送料込),入手したプラチナでも14万9980円(税別,送料込)という価格は,「システムビルダー製ゲームPCキラー」と言えるほどだが,果たして実力は伴っているのか。細かくチェックしていきたい。

 それに先だって紹介しておくと,入手したInspiron 15 7567 Gamingプラチナのスペックは以下のとおりだ。SSDとHDDはあくまでも「4Gamerが入手した個体ではこうだった」という話で,すべての個体が同じ製品を搭載すると保証するものではないので,その点はご注意を。

●入手したInspiron 15 7567 Gamingプラチナの主なスペック
  • CPU:Core i7-7700HQ(4C8T,定格2.8GHz,最大3.8GHz,共有L3キャッシュ容量6MB)
  • チップセット:Intel HM175
  • メインメモリ:PC4-17000 DDR4 SDRAM 8GB,16GB
  • グラフィックス:GeForce GTX 1050 Ti(グラフィックスメモリ容量4GB)
  • ストレージ:SSD(Serial ATA 6Gbps接続,容量256GB,Sk Hynix「SC308」),HDD(Serial ATA 6Gbps接続,容量1TB,東芝「MQ01ABD100」)
  • パネル:15.6インチ,解像度1920×1080ドット,ノングレア(非光沢)
  • 無線LAN:IEEE 802.11ac+Bluetooth 4.2(Wi-Fi速度最大467Mbps,Intel「Dual Band Wireless-AC 3165」)
  • 有線LAN:1000BASE-T(Realtek Semiconductor製コントローラ)
  • 外部インタフェース:USB 3.0(Type-A)×3,HDMI 2.0(Type A)×1,4極&3極3.5mmミニピン(ヘッドセット/ヘッドフォン/マイクおよびライン)×1,RJ-45×1
  • スピーカー:内蔵2chステレオ+底面サブウーファ
  • マイク:内蔵
  • カメラ:内蔵(720p)
  • バッテリー容量:74Whリチウムポリマー電池
  • ACアダプター:出力未公開
  • 実測サイズ:約384(W)×274(D)×28(H)mm(※ゴム脚含む)
  • 重量:約2.74kg
  • OS:64bit版Windows 10 Home
  • BTO標準構成価格:16万1978円(税込,送料込)

 本稿では,ベンチマークパートを宮崎真一氏が,外観および使い勝手のインプレッションを4Gamerの佐々山薫郁が担当します。


看過できない問題を抱えるものの,総合的にはエントリー市場向けとして悪くない使い勝手


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 Dellは2015年に,一般ユーザー向けのスタンダードノートシリーズであるInspiron(インスパイロン)で,「Dellブランドのゲーマー向けノートPC」は市場投入済みだ(関連記事)。なので今回のInspiron 15 7567 Gamingが初というわけではないが,わざわざ「Gaming」と銘打たれたInspironが登場するのは,今回が初めてである。

天板と,側面など一部が赤くなる赤モデル。指紋汚れは相応に気になった
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 冒頭でも述べたとおり,今回入手したのは赤色筐体のモデルだが,正確を期すと,赤いのは天板と筐体の一部だ。マット加工が入っていることもあり,赤色でもウルサイ感じはしない。本体前面のグリルっぽい飾りなどから安っぽさは感じるものの,同じ価格帯に属するシステムビルダー製PCの大多数と比べると,いくらか洗練されていると述べていいように思う。

畳んだ状態の本体向かって正面(左)と背面(右)。正面のグリルっぽい部分は飾りだ。逆に背面は排気孔となっている
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本体底面はこんな感じ。赤モデルでも底面は灰色で,赤いのは3方の側面部のみだということが分かる。なお,写真で下のほうに見える2つのグリルは吸気孔だ
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公式スペックだと本体の厚みは25.3mmなのだが,底面から新鮮な外気を吸気すべく,けっこう肉厚のゴム脚を採用しているため,本体の厚みは実測約28mmとなっていた

付属のACアダプターは定格130W仕様。仕様の割には大きい
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 接続インタフェースは本体左右側面に散っている。具体的には左側面がACアダプター用とUSB 3.0(Type-A),micro SDXC対応のSDカードスロットが1つずつで,右側面にはサウンド入出力用の4極・3極両対応3.5mmミニピン,USB 3.0(Type-A)が2ポート,HDMI 2.0(Type A),1000BASE-T(RJ-45)という並びだ。HDMI出力時や有線LAN接続時は,ケーブルがやや邪魔になる恐れがある。
 無線LANコントローラが最大467Mbps対応となることもあり,有線LANを使いたい局面は増えると思われるだけに,この配置はちょっと気になった。

本体正面向かって左側面(上)と右側面(下)のインタフェース配置。マウスを本体の右に置くとき,ハイセンシ設定だと有線LAN接続時もそれほど気にならないかもしれないが,ローセンシだとケーブルの取り回しに難儀するケースも出てくるだろう
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 搭載する液晶パネルの駆動方式は明らかになっていないが,見る限りはTNで,正面から見る限りは,エントリークラスのゲーマー向けノートPCとして十分な視認性がある。
 ノングレア(非光沢)加工済みであるがゆえ,映り込みを気にすることなく,相対的に最もよい色で見られる角度にパネルを調整できるため,角度の問題が露見することはまずないだろう。ゲーマー向けの高速な液晶ディスプレイが持つ動きの滑らかさとか,高級なIPSパネルの持つ色再現性とか,そういう無茶な要求をしない限り,不満を覚えることはまずないはずだ。

パネルを見たカット。見た感じ,ミドルクラス〜エントリークラスのTNパネルといったところで,角度が付くと途端に偽色が多くなっていくものの,正面から見据える限りは何の問題もない
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エントリークラスのノートPCなのでやむを得ないのだろうが,文章を打つのには厳しい配列だ。なお,LEDバックライトは採用されていなかった
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 気になるキーボードは10キー付きの日本語配列だが,英語配列のキーボードに対応したトップサーフェスを使い回して,そこに無理矢理日本語配列を押し込んでいるため,[Space]キーと右[Shift]キー,[Enter]キー,[Back Space]キーのそれぞれ周辺で,キーとキーが密接しており,非常にミスタイプしやすいものになっている。

 とくにつらいのが[Back Space]キーのところで,ミスタイプして一字削除しようとしたら[\]キーを“誤爆”することがあるというのは,本当にストレスが溜まる。今回は貸し出しスケジュールの都合もあり,本文のすべてをInspiron 15 7567 Gamingで打鍵しているわけではないが,これに慣れるのは相当難儀するのではなかろうか。

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キーストロークは実測約1mmで,あまり悪い印象はない。それだけに配列が……といったところ
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タッチパッドは左右メインボタンと一体化したタイプで,端的に述べて,使いやすくはない

 気になる同時押し関連だが,Microsoftが公開しているWebアプリケーション「Keyboard Ghosting Demonstration」で確認したところ,最小2キーだった。つまり,キーボードはゲームグレードではないということになる。

同時押しはまさかの最小2キー。この状況で[Print Screen]キーは押せるのだが,[A]キーは入力が反映されなかった
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思い切り左に寄ったサブウーファ。見ただけで「ああ,ダメだ」と思った人も少なくないだろう
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 なお,先ほど底面の写真を示したので,そのときピンときた人もいると思うが,Inspiron 15 7567 Gamingで,サブウーファは本体底面向かって左端に付いており,そして残念なことに,この配置のため,音は左に寄ってしまう。左右ボタンが一体化したタッチパッドの中央にある,赤い線のあたりに定位する印象で,スピーカー品質は,この時点で論ずるに値しないレベルということになる。

 しかも悪いことには,2chのサテライトスピーカーは本体正面向かって前面のグリル風飾りのところに埋まっているため,両手をキーボードの上において打鍵していると音が籠もり,手の動きに合わせて籠もり方が変わるという,お粗末な水準にある。
 幸いにして,ヘッドフォンやヘッドセット,単体マイクや外付けスピーカーを接続できる4極・3極両対応の3.5mmミニピン端子側の音質はかなりマトモなので,Inspiron 15 7567 Gamingで音を楽しみたい場合は,こちらを使うことになるだろう。

ちょっと分かりにくくて申し訳ないが,サテライトスピーカーは本体正面側の側面,左の写真で少し色が変わって見える部分に埋め込まれており,手で覆うと音が籠もる。右の写真は,タッチパッドと赤い線の場所を分かりやすくしようとしたカットだ
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 ちなみにサウンドプロセッサスイートとしてはWaves Audioの「MaxxAudio Pro」を採用しており,ヘッドフォン出力時の低域&高域強調や,バーチャルサラウンドサウンド出力,内蔵マイクを使った録音機能などを利用可能だ。
 Inspiron 15 7567 GamingにおけるMaxxAudio Proに関する説明は日本語,英語問わず,少なくとも調べた限りは出てこなかったので,以下,使い方をざっと説明してみたい。

MaxxAudio Proのヘッドフォン出力メニューとなる「再生」。低域(MaxxBass)や高域(詳細)の調整,10バンドイコライザによる手動設定,出力先のヘッドフォンやヘッドセットサイズの指定といったことが行える。「?」アイコンを押すと日本語の説明が表示されるオマケ付きだ
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こちらはバーチャルサラウンドサウンドの設定を行う「次元」。シンプルに2chとバーチャル5.1chサラウンド出力を切り換えるものになっており,5.1ch設定時はかなり後ろまで音が回ってくれる。ヘッドフォン/ヘッドセット接続時のみ利用可能だったり,「Waves Nxのウェブサイトにアクセスする」という文言があったりすることからすると,ヘッドトラッキングを抜いたバージョンの「Waves Nx」が動いているのかもしれない。こちらも日本語説明を呼び出し可能だ
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「音声」では,本体内蔵のビームフォーミングマイクを使ったノイズリダクション機能を利用できる。「環境プロファイル」で,部屋の状況に合わせた設定を行うと,それに合わせてフロアノイズなどを大幅にカットしてくれるため,ヘッドセットや単体マイクなしでゲームのボイスチャットを行うときに役立つだろう
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こちらは「録画」メニュー。内蔵マイクとWebカメラを用いて録音もしくは録画したデータの音声に対し,残響を追加したり,音量を上げたり,音を明るくしたり,再生ピッチを変えたりするエフェクトを適用し,ファイルとして書き出すことができる。ただし,「録画」内だと,マイク入力時のノイズリダクション機能は利用できないので,その点は要注意
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 ずらずらスクリーンショットおよびキャプションで説明した中でもぜひ使ってほしいのは,「MaxxVoice」ベースと思われるビームフォーミングマイク&ノイズリダクション機能で,たとえ本体のスピーカーからがんがんと音楽やゲームのBGMを再生している状態でも,ノイズリダクションを有効化すると,その音をカットして,ボイスチャット相手には自分の声だけ伝わるようにすることができる。厳正を期すと,高域の音にはほんのわずかにノイズも混じるが,ほぼ無視できるレベルであり,端的に述べて,ノイズリダクション能力は感動的だ。
 ただそれだけに,スピーカーのステレオ定位がズレているのが,本当に残念で仕方ない。この「宝の持ち腐れ感」たるや……。


容易にストレージを換装可能な内部構成


底蓋を開けたところ
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 Dellは,PC製品のサービスマニュアルを公開しており,工場出荷状態に戻せるという条件付きで,エンドユーザーが底蓋を開けることを許容している。Inspiron 15 7567 Gamingシリーズのサービスマニュアルで「Removing the base cover」を開けば,底蓋の取り外し方を確認可能だ。

 いい意味でエントリークラスらしく,内部の製品配置はとても分かりやすい。そしてより重要なこととしては,M.2接続のSSDとSerial ATA接続の2.5インチ9.5mm厚のストレージ,ことによれば無線LANモジュールすら,ノートPCにおけるパーツ交換の経験があれば簡単に換装できる点が挙げられるだろう。

本体底面から内部を覗いたところ。やろうと思えば2基のストレージとメモリモジュール(※1枚のみ),無線LANモジュールを交換できる。M.2ソケットはSocket 3なので,PCI Express接続タイプへの換装も可能だ
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 Dellは昔から「分かっている」のだが,購入したユーザーがノートPCを長く使うという観点において,この仕様はとても重要だ。

冒頭のスペック一覧で紹介したとおり,標準搭載のSSDはSerial ATA 6Gbps仕様のSK Hynix製,無線LANモジュールはIntel製だ。バッテリーパックは74Wh 11.1V 6333mAhという仕様だった
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 一方で,GPUとCPU周りはがっちりとガードされており,カジュアルに分解するわけにはいかないが,スリットからちらりと見える内部構造をチェックする限り,2本のヒートパイプがGPUとCPUの両方を横断的に覆い,2か所ある放熱フィン部へ熱を運んで,2基のファンにより排気する仕様になっているようだった。

本体正面向かって左側にCPU,右側にGPUがあり,それらの熱を2本のヒートパイプが運ぶ仕様のように見える
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GTX 1050シリーズ搭載のデスクトップPCと比較


 性能検証に入っていこう。今回はに示すとおりのデスクトップPCを用意した。

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 Inspiron 15 7567 Gamingが搭載するノートPC向けGTX 1050 Tiと,デスクトップPC向けGTX 1050 Tiでは,以下のとおりスペックが異なる。

NVIDIAコントロールパネルからノートPC向けGTX 1050 Tiのスペックを確認したところ
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  • ノートPC向けGTX 1050 Ti:CUDA Core数768基,ベースクロック1493MHz,ブーストクロック1620MHz,メモリクロック7008MHz相当
  • デスクトップPC向けGTX 1050 Ti:CUDA Core数768基,ベースクロック1290MHz,ブーストクロック1392MHz,メモリクロック7008MHz相当

 また,CPUのほうはCPUのほうで,Inspiron 15 7567 Gamingの搭載するCore i7-7700HQ(以下,i7-7700HQ)と,比較対象機が搭載する「Core i7-7700K」(以下,i7-7700K)では,同じプロセッサナンバーでも,以下のとおり,スペックがかなり異なる。

  • i7-7700HQ:4C8T,定格2.8GHz,最大3.8GHz,共有L3キャッシュ容量6MB
  • i7-7700K:4C8T,定格4.2GHz,最大4.5GHz,共有L3キャッシュ容量8MB

 要するに,スペックを揃えようがないのだ。「Core i7-7700」を用意できれば,多少はスペック差を縮められたかもしれないが,ないものねだりをしてもしょうがない。そこで今回は,予想されるCPU性能差を踏まえ,GPUの比較対象として「GeForce GTX 1050」(以下,GTX 1050)も追加し,GPUとCPUそれぞれの性能差から,Inspiron 15 7567 Gamingが持つポテンシャルを推し量ろうというわけである。
 なお,テストにあたって,デスクトップPC向けGPUを搭載する2枚のグラフィックスカードは,MSI製のオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.3.0)から動作クロックをリファレンス相当にまで落とした。

 テストに用いたグラフィックスドライバは,テスト開始時点の公式最新版である「GeForce 378.49 Driver」で統一。Inspiron 15 7567 Gaming側の電源プランは工場出荷時設定の「Dell」を選択のうえ,CPUの省電力機能である「Enhanced Intel SpeedStep Technology」と,自動オーバークロック機能である「Intel Turbo Boost Technology」は,ともに有効のままとしている。

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション19.0に準拠。解像度は,Inspiron 15 7567 Gamingの標準解像度である1920×1080ドットと,アスペクト比16:9でその1つ下となる1600×900ドットを選択した。


ノートPC向けGTX 1050 Tiの高い動作クロックは大いに有効


 以下,本文,グラフ中とも,比較対象のデスクトップ機を「i7-7700K+GTX 1050 Ti」「i7-7700K+GTX 1050」と書いて区別することをお断りしつつ,テスト結果を順に見ていこう。

 グラフ1は「3DMark」(Version 2.2.3509)の「Fire Strike」におけるスコアをまとめたものだが,こういうテストだと得てして「同じ型番でもノートPCは遅い」という結果になりがちなところ,Inspiron 15 7567 Gamingがi7-7700K+GTX 1050 Tiより5〜6%程度高いスコアを付けている点が目を引く。ノートPC向けGTX 1050 Tiの高い動作クロックが“効いて”いるわけだ。

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 このことは,総合スコアから,GPUとCPUそれぞれの性能を見る「Graphics score」「Physics score」を抜き出してみると,とてもよく分かる(グラフ2,3)。ノートPC向けGTX 1050 Tiの動作クロックを「GPU-Z」(Version 1.17.0)で追ったところ,ブースト最大クロックは1784MHzにまで上がったのを確認できたが,その結果としてInspiron 15 7567 Gamingは,Graphics Scoreでi7-7700K+GTX 1050 Tiに対して8〜9%程度高いスコアを示すことができている。
 一方のPhysics scoreだと,Inspiron 15 7567 Gamingはi7-7700K+GTX 1050 Ti日で76〜78%程度というところに沈むが,これがi7-7700HQとi7-7700Kの実力差ということでいいだろう。

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 グラフ4は,同じく3DMarkから「Time Spy」のスコアをまとめたものとなる。
 ここでInspiron 15 7567 Gamingのスコアはi7-7700K+GTX 1050 Tiとほぼ同じという結果になった。GPU性能差とCPU性能差のバランスで,ちょうど揃ったといったところか。

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 グラフ5,6は「Far Cry Primal」の結果だが,ここでInspiron 15 7567 Gamingのスコアはi7-7700K+GTX 1050 Tiの91〜98%程度,i7-7700K+GTX 1050の100〜109%程度というスコアになった。最も描画負荷の高い,「最高」プリセットの1920×1080ドットででInspiron 15 7567 Gamingとi7-7700Kのスコア差は1fpsだから,Time Spyと似たような傾向が出ているとは言えるかもしれない。

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 続いて,「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)のテスト結果がグラフ7,8だ。描画負荷の高い「High」プリセットだと,Inspiron 15 7567 Gamingのスコアはi7-7700K+GTX 1050 Tiに対して3〜5%高く,逆にレギュレーション19.0において屈指の低負荷となる「Low」プリセットだと,CPU性能勝負になって,Inspiron 15 7567 Gamingはデスクトップ機に思い切り置いて行かれる。

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 Vulkan APIを用いたテストとなる「DOOM」だと,また少し変わった傾向を確認できた。グラフ9,10を確認すると,描画負荷の最も高い「ウルトラ」プリセットの1920×1080ドット条件でも,Inspiron 15 7567 Gamingはi7-7700K+GTX 1050をわずかにかわすのが精一杯なのだ。
 DOOMでは,CPUの基本スペックが同じであれば,動作クロックに応じて素直にスコア差が生じる(関連記事)。なので,今回のように,CPUのスペックがかなり異なると,それはベンチマーク結果として露骨に出るわけである。

 ただ,ウルトラプリセットの解像度1600×900ドットであれば,Inspiron 15 7567 Gamingはレギュレーション19世代が合格ラインとする平均60fpsをクリアできている。その点は評価していいだろう。

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 グラフ11,12は「Fallout 4」の結果だが,スコア傾向自体は,DOOMのそれをややマイルドにした感じである。より描画負荷の高い「ウルトラ」プリセットだと,対i7-7700K+GTX 1050 Tiで89〜91%,対i7-7700K+GTX 1050で103〜107%のスコアをInspiron 15 7567 Gamingは示せている。
 また,ベンチマークレギュレーション19.0が及第点とする平均40fpsを,ウルトラプリセットの1920×1080ドットでクリアできている点も押さえておきたい。

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 グラフ13,14は「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)の結果だ。
 ここでは,描画負荷が最も大きくなる「最高品質」プリセットの1920×1080ドットで,Inspiron 15 7567 Gamingがi7-7700K+GTX 1050 Tiを上回った点に注目したい。しかもそのスコアは,スクウェア・エニックスの示すベンチマーク指標の最上位「非常に快適」のラインとなるスコア7000を超えている。

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 「Forza Horizon 3」の結果がグラフ13,14だ。
 Forza Horizon 3では,グラフィックスメモリ容量2GBという足枷によりi7-7700K+GTX 1050が「ウルトラ」プリセットでスコアを大きく落としているため,Inspiron 15 7567 Gamingとi7-7700K+GTX 1050 Tiを比較することになるが,ここでもCPUの絶対性能差が大きいようで,Inspiron 15 7567 GamingはウルトラプリセットでGTX 1050 Tiの80〜85%程度というスコアに落ち着いてしまっている。

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ノートPCらしく消費電力の低さは優秀。動作音は「轟音」ではないが……


 ノートPCということで,消費電力の低さは期待できるが,実際のところはどうだろうか。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を測定,比較してみたい。
 テストにあたっては,ゲームでの利用を想定し,ディスプレイ出力自体が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とした。

 なお,前述のとおりInspiron 15 7567 Gamingはバッテリーを内蔵するため,今回はバッテリーを装着した状態でテストを行っている。バッテリーはあらかじめフル充電しておいたので,バッテリー充電に伴う電力のロスはないはずだが,念のためお断りしておきたい。

 というわけで,結果はグラフ17のとおりだ。まずアイドル時だが,Inspiron 15 7567 Gamingは「Optimus」技術により,GPUへの電源供給がカットとなるため,消費電力は11Wと極めて低くなる。
 各アプリケーション実行時においても,Inspiron 15 7567 Gamingはi7-7700K+GTX 1050 Tiから37〜75Wも低いスコアだ。このあたりはさすがにノートPCらしいところと言っていいだろう。

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 Inspiron 15 7567 GamingについてDellは,背面の冷却用通気孔と大型ファン2基の配置を最適化することで効率的な排熱を実現すると謳っているが,温度周りはどうだろうか。アイドル時に加えて,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,GPUとCPUの温度も確認しておこう。
 なお,GPUの温度はGPU-Zで,CPUの温度は「HW Monitor Pro」(Version 1.27)でそれぞれ取得することとし,テストにあたっては,Inspiron 15 7567 Gamingは室温24℃の環境で机上に置き,比較対象機をテストするときは同じ場所に,いわゆるバラックの状態で置いている。

 結果はグラフ18,19のとおりだ。前述のとおり,アイドル時はInspiron 15 7567 GamingでGPUへの電力供給がカットとなるが,それ以外だと,デスクトップPCと比べて変わらないか,むしろ低めの温度を保てているのが分かる。好意的解釈をするなら,ノートPCという限られた空間でも十分にGPUとCPUの冷却は行えているということになる。

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 気になるファンの動作音もチェックしておこう。ここでは,カメラをInspiron 15 7567 Gamingと正対する形で30cm離した地点に置いたうえで,Inspiron 15 7567 Gamingをアイドル状態で1分間放置し,その後,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを最高品質の1920×1080ドットで4分間実行した合計約5分間を録画することにした。
 その模様をYouTubeにアップロードしたので,下のムービーを再生してもらえればと思うが,最初の1分間は,風切り音が多少気になるものの,十分に静かと言えるレベルにある。対して,ベンチマークを実行すると次第に回転数が上がり,ベンチマーク実行後約3分が経過した時点(=ムービーの冒頭から約4分経過時点)で,動作音はかなり大きなレベルに達した。轟音ではないが静かでもない,といったところだ。
 幸か不幸か,Inspiron 15 7567 Gamingはスピーカー出力のステレオ定位がおかしいので,素直にヘッドセットやヘッドフォンをつないだほうが,心穏やかにInspiron 15 7567 Gamingとの日々を過ごせるだろう。



エントリー市場向けのゲームノートPCとしてはまずまずの完成度


 まとめよう。Inspiron 15 7567 Gamingのとくによいところと,とくによろしくないところは,それぞれ以下のとおりだ。

●とくによいところ
  • ノートPC向けGTX 1050 Ti搭載モデルとして十分な3D性能を持つこと
  • 正面から見る限りは十分な品質で,残像感も致命的ではないフルHD液晶パネルを採用していること
  • 筐体側の冷却能力が十分にあること
  • プリインストールのサウンドプロセッサスイートが優秀で,とくにマイク入力はヘッドセットが不要になるレベルであること
  • 自己責任を覚悟すればストレージデバイスの換装が可能で,換装した場合でも,元に戻せる限りは保証が継続すること

●とくによろしくないところ
  • コストダウンの影響がキーボードに出ており,とくに配列がとても残念であること
  • 2.1chスピーカーの音が左に寄ってしまい,聞くに堪えないこと
  • せっかくのサウンドプロセッサスイートに関する説明が何もないこと

 付け加えるなら,インタフェースの並びや,無線LANコントローラのスペックといったあたりもマイナス要素と言えばマイナス要素だが,エントリー市場向けという立ち位置を考えるに,やむを得ないところではあるだろう。

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 以上を踏まえるに,全体としてのInspiron 15 7567 Gamingは,まずまずの完成度だと結論付けられそうだ。上で示した「痛い減点対象」のうち2つが,外付けのゲーマー向けキーボードやヘッドセット/ヘッドフォンの装着でカバーできるのは地味に大きい。
 有償ながら,BTOのオプションとして保証の期間や程度を選択できるのも,エントリークラスのノートPCにとっては重要なポイントで,「価格はシステムビルダー製とほぼ互角。そして大手PCメーカーならではの差別化要素あり」というのは,響く人には響くはずだ。

 価格を重視する人達に向けたゲーマー向けノートPCの市場へ,考慮に値するモデルがDellから登場してきたことは,素直に歓迎したい。

デルのInspiron 15 7567 Gaming販売ページ

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