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[TGS 2016]「聖剣伝説」25周年記念オーケストラコンサートではどんな曲が演奏される? 伊藤賢治氏×小山田 将氏トークショーをレポート
今回のトークショーでは,聖剣伝説シリーズタイトルの開発を手がけているスクウェア・エニックスの小山田 将氏と,シリーズタイトルの楽曲を手がける作曲家の伊藤賢治氏が,コンサートの概要,そして演奏される楽曲の候補にちなんださまざまなエピソードを披露した。
左から伊藤賢治氏,小山田 将氏,MCを務めた村田晴郎氏。なぜ場所がリングなのか? それは東京ゲームショウの4Gamerブースでは連日,プロレスの試合が行われているからである |
トークショーは聖剣伝説シリーズの25年間を振り返るところから始まった。
第1作となる「聖剣伝説 〜ファイナルファンタジー外伝〜」(以下,FF外伝)は1991年6月にゲームボーイ用ソフトとして発売されたのだが,そのとき伊藤氏は21歳,小山田氏は8歳。その頃の伊藤氏はスクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社したばかりで,社内の雰囲気は「熱意だけでゲームを作っている,サークルのようだった」という。
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伊藤賢治氏 |
またPCにもほとんど触れたことがなかったため,まずはPCの操作から覚えなければならなかった。社内の先輩にあたる植松伸夫氏は当時「ファイナルファンタジーIV」(以下,FFIV)の楽曲制作に追われており,なかなか話しかけるタイミングがなかったという。
一方の小山田氏は,そんな伊藤氏らによって制作されたFF外伝をスマートフォン向けにリメイクするプロジェクトに携わってきた。ゲームボーイ向けに作られた楽曲をリメイクするにあたってはとくに,自分自身が膨らませたい方向と,ファンが求めているイメージのバランスを図るのに極めて苦労したそうだ。
ちなみに“ファイナルファンタジー外伝”というサブタイトルが付けられたのは,伊藤氏によると,ファイナルファンタジーの知名度を利用してビジネスにしたいという,スクウェアの会社としての思惑があったという。人気シリーズの名を冠することにプレッシャーを感じていたという伊藤氏は,並行して開発が進められていたFFIVの楽曲とは「メロディラインで差別化を図ろうと考えていた」と当時を振り返った。
伊藤氏がFF外伝に向けて最初に作曲したのは,ダンジョンの曲だという。その理由は「汎用性が高いから」とのことで,その次にテーマ曲や各キャラクターの曲,最後にバトル曲を作る。こちらの順番は,伊藤氏自身が静かな曲を好んでいるからだそうだ。
小山田 将氏 |
入社後の小山田氏はモバイルゲーム部門に配属された。そしてあるとき,聖剣伝説シリーズの生みの親である石井浩一氏からスクウェア・エニックスに対して「モバイル版の聖剣伝説を作りたい」という相談があり,これを機にフィーチャーフォン向けの「聖剣伝説 FRIENDS of MANA」(以下,FoM)を担当。以降のシリーズ展開にも携わることとなったのである。
このFoMの開発と並行して,フィーチャーフォン版FF外伝の企画も始まることとなる。小山田氏はゲームボーイ版FF外伝に対して強い思い入れを持っており,石井氏が「ちょっと変更したい」とアイデアを出しても「どうしても譲ることができない」というケースが多々あったようだ。
さて,聖剣伝説シリーズの熱心なファンであれば,ちょうど1年前,小山田氏が「聖剣伝説5」の実現に意欲を見せていたことを覚えているかもしれない。今回のトークではその件についても触れられたのだが,小山田氏は「まだ正式な発表はお待ちください」と言葉を濁していた。……と言っても開発はきちんと進んでいるような口ぶり(?)ではあったので,いずれ良いニュースが聞けると期待していいかもしれない。
続いてトークショーでは,「『聖剣伝説』25th Anniversary Concert」の概要があらためて紹介された。
このコンサートが開催されることとなった経緯について小山田氏は,元々スクウェア・エニックスの社内で進めていた聖剣伝説25周年コンサートの企画と,それとは別に4Gamerが伊藤氏に持ちかけていた話がうまく合致したからだと説明。
また伊藤氏は,オーケストラ向けにアレンジしたうえで披露される,東京交響楽団の演奏が楽しみだと期待をのぞかせた。
トークショーで最初に名前が挙ったのは,FF外伝の「Rising Sun」だ。伊藤氏が作曲したこの楽曲は,シリーズの各タイトルでアレンジバージョンが披露されており,小山田氏は「この曲がなければ聖剣伝説は始まらない」と表現。また伊藤氏は「オープニングムービーがなかったので,音楽で印象付けようとした」「ストーリーが悲しい展開なので,心に訴えかける優しい音楽にしようと考えた」と当時を振り返った。
また今回のトークショーに先駆け,Twitterを使って「このコンサートでどんな曲を演奏してほしいか」というリクエストを募集する企画が行われたのだが,会場ではその集計結果も披露された。とくにリクエストが多かったのは,以下の6曲とのことである。
●「Swivel」(「聖剣伝説3」)
菊田裕樹氏の手がけたフィールド曲。小山田氏は「菊田さんの楽曲の中でもベスト10に入るのではないか」とし,「菊田さんはマリンバなどを使うのが得意なので,それに特化した楽曲」と語っていた。
●「子午線の祀り」(「聖剣伝説2」)
こちらも菊田氏が手がけた,ラストバトルの楽曲。伊藤氏は「オーケストラでの演奏は難しい……」と苦笑い。
●「聖剣を求めて」(「FF外伝」)
伊藤氏の作った楽曲で,ストーリー後半の盛り上がる部分で使われる。しかし当時の伊藤氏はそれほど重要視しておらず,最初にリリースしたサウンドトラックからこの曲をはずした。そのせいでファンから「なぜ入れないのか」と怒られたのだそうだ。
●「Meridian Child」(「聖剣伝説3」)
菊田氏によるオープニング曲。伊藤氏は「菊田さんのロマンチックな部分が出ている。組曲っぽいのでオーケストラでは演奏しやすい」と話していた。
●「天使の怖れ」(「聖剣伝説2」)
こちらも菊田氏によるオープニング曲で,小山田氏は「オープニング画面とシンクロする楽曲なので印象に残るのではないか」と分析。また菊田氏に直接この楽曲の制作過程を聞いたという伊藤氏は「先に出来上がった映像を何度も見て咀嚼し,ストップウォッチを使って音を出すタイミングを決めるなど,考えに考えて作ったそうです」と解説を加えた。
●「滅びし煌めきの都市」(「聖剣伝説 Legend of Mana」)
下村陽子氏の手がけた楽曲で,今回最も多くのリクエストを集めたとのこと。小山田氏は「シナリオの展開に合わせて作られた楽曲なので,多くの人の心に焼き付いているのではないか」と分析。また伊藤氏は「下村さんは社内の作曲家陣の中で一番男らしい曲を作ると言われていたけれども,実はこういったジワリと来る楽曲が本領」と語っていた。
そのほか会場では「マナの神殿」(「FF外伝」),「危機」(「聖剣伝説2」),「心踊りし魂の住処」(「聖剣伝説 RISE of MANA」),シリーズ各タイトルの街の曲やフィールド曲のメドレーといったリクエストが紹介され,小山田氏と伊藤氏がそれぞれにコメント。
小山田氏は,シリーズナンバリングタイトルの楽曲は30〜40代から,外伝タイトルは20代以下からのリクエストが多いことに言及し,今後の開発の参考にしたいと語った。
また伊藤氏は,古い楽曲は作り手にとって思い出になってしまうので,こうしてリクエストが集まると,新しく作った楽曲に対する反響を受けた時とは異なる感覚を得られると話していた。
なお今回名前が挙った楽曲の中で,現時点でコンサートにて演奏されることが決まっているのは,唯一「Rising Sun」のみであるとのこと。正式なセットリストは,あらためて発表されるので続報に期待してほしい。
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サインに応じる伊藤氏 |
「聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-」公式サイト
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(C)1991,2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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