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[TGS 2015]ローポリゴンの画面とクラシックなUIが1995年を現代に蘇らせる。「Back in 1995」はそんなゲームだ
そんな中でも,とくに際立ったゲームスタイル&表現で注目を集めていたのがThrow the warped code outの「Back in 1995」だった。
「Back in 1995」公式サイト
1995年という大昔
「Back in 1995」というタイトルが示すのは,「1995年前後の,3D技術が浸透し始めた頃のゲーム」を目指していることだ。1995年ってどんな時代だっけ? という若人(およびもう思い出せない筆者のような老人)には,
- セガサターンの発売が1994年11月
- 初代PlayStationの発売が1994年12月
- 1995年で3Dポリゴンを使ったゲームとしては「パンツァードラグーン」「Dの食卓」などがある
だいたいこういうイメージで把握してほしいが,よく考えたらまだ生まれてないとか,小学校に入る前とかいう読者も少なくないかもしれない。
ゲームジャンルは,アクション性があるアドベンチャーゲームということになるだろう。「Alone in the Dark」あたりが感触として近い。
操作はコントローラで行うが,アナログスティックは使わず,方向キーで移動するという,今では死に絶えたような操作系が採用されている。
アイテムとしては,近接武器と拳銃が存在し,拳銃は構えてからでないと射撃できない。実際に敵に向かって撃ったところ,画面から着弾位置を推測するのがなかなか難しく,拳銃を使いこなすのには慣れが必要だった。いや,昔はこういう式の拳銃,パスパス命中させてたはずなんですがね……人間,楽なものに慣れると,いろいろ退化しますな。
このように,「Back in 1995」は外見だけでなく,中身も1995年頃のゲームにこだわって作られているのだ。
1995年当時の開発者に取材
「Back in 1995」の開発状況について,Throw the warped code outで本作を制作する一條貴彰氏(関連記事)に聞いたところ,現状で進捗は65%程度ということだった。プラットフォームはPCで,この冬にSteamで発売される予定になっている。
え,それ間に合うんですか? と思ったので突っ込んで聞いてみたところ,ゲームの基礎的な部分はもうほぼ完成しており,ここから先はアイテム,キャラクター,ステージ,敵,ストーリーなどといったところを追加していくという。グラフィックスに関しては協力者を得たそうで,現在2人で制作を進めている。
ゲームのボリュームについても,だいたい2〜3時間でクリアできるようなものを想定しているとのことだった。
当時のゲーム開発者に話を聞くと,もはや完全に過去のものとなった知見が大量にあることが分かるそうだ。「Back in 1995」は,そうした「死にノウハウ」が,現代に蘇った作品でもある。
外見が1995年風だからといって,技術的にもその時代の技術が使われているわけではさすがになく,制作は「Unity」が使用されている。つまり,完全に現代的な技術で内部処理を行いつつ,特別なシェーダーを使うことで,レトロ感を作っているわけだ。
そのため,当時のポリゴンゲームでしばしば見られた奇妙なバグでゲームが崩壊するような心配までは,しなくても良さそうだ(それはそれで残念なので,そういう要素も実装されたらいいなと思わなくもない)。
「Back in 1995」は,既に海外のインディーズゲーム紹介サイトで熱い注目を集めているが,東京ゲームショウでもしばしば海外メディアが取材に訪れていた(むしろ日本のインディーズゲームファンからは,「このゲームって海外の人が作っていたんだと思ってました」と言われることも珍しくなかったとのこと)。
東京ゲームショウの次は,2015年11月に秋葉原で開催される「デジゲー博」に出展されるということなので,興味のある方はそちらにも足を運んでみよう。
4Gamer「TGS 2015」特設サイト
- 関連タイトル:
Back in 1995
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