プレイレポート
夏のホラー特集:伝説の殺人鬼ジェイソンがゲームで復活。「Friday the 13th: The Game」プレイレポート
「Friday the 13th: The Game」公式サイト
アメリカのIllFonicが開発し,Gun Mediaがリリースした「Friday the 13th: The Game」(PC/PlayStation 4/Xbox One)は,タイトルどおり「13日の金曜日」をベースにした作品だ。もともとはインディーズタイトル「Summer Camp」として開発が進められていたが,映画シリーズのプロデューサーの目にとまってライセンス契約が結ばれ,「正式なゲーム作品」になったという,少し変わった経緯で誕生している(関連記事)。正式発表と同時に行われたKickstarterのクラウドファンディングは見事に成功し,最終的に80万ドルを超える資金を集めることに成功した。
本作は,「EVOLVE」や「Dead by Daylight」と同じ,非対称型のマルチプレイアクションで,キャンプを楽しむ7人の若者達をたった1人の殺人鬼が次々に血祭りに挙げていくという,映画と同じシチュエーションを体験できる。プレイヤーは殺人鬼ジェイソンもしくは若者の1人となり,前者なら1人でも多くの若者を始末することが,後者ならなんとか殺人鬼から逃げ延びることが目的になるという,刺激的な対戦が繰り広げられるのだ。
というわけで,夏のホラー特集第3弾として,今回はそんな悪夢のようなクリスタルレイクのキャンプに命がけで参加した筆者が本作をレポートしたい。なお,プレイに使用したのはPC版で,現在のところ,日本語対応は行われていない。
ラストダンジョンに投げ込まれたような
地獄のキャンプ場へようこそ
上にも書いたように,本作は非対称型マルチプレイという特徴を持つため,立場によってプレイフィールがまったく異なる。というわけで,まずは確率的に数多くプレイすることになる若きキャンプ指導員(Counselor)側から紹介していこう。ちなみに,視点はジェイソン,指導員のどちらも三人称で,移動や攻撃など基本的な操作方法に大きな違いはない。
指導員達の目的はジェイソンの魔の手を逃れてキャンプ場から逃げ出すか,制限時間いっぱいまで殺されずに生き延びることだ。1ゲームは基本20分で,極端に長いわけではないが,指導員の若者達は巻き込まれた一般人なので,たとえ武器を持っていたとしても,真っ正面から不死身の殺人鬼に立ち向かっても勝ち目はない。
したがって,彼らにできることは,後述する脱出の手段を用意することか,あるいは息を潜めて隠れること。見つかったら何とかジェイソンのターゲットから外れるように逃げて,時間を稼ぐのだ。
指導員達は力やスタミナ,修理能力などがキャラクターによって異なるので,なるべくその長所を生かすように動けば,生存の可能性はより高まる。最初は使えるキャラクターは少ないが,プレイを続けることで次第にアンロックされていくというシステムだ。
しかも,必要なアイテムはキャンプ場のどこかにあり,居所が分からないジェイソンに怯えながらそれらを探すのは緊張感満点で,正直心臓に良くない。
もちろん,アイテムを見つけて戻ってきたら,それを予想したジェイソンが待ち伏せしている可能性も高く,アイテムを使うこともままならず,仲間は散り散り……いった状況にもしばしば陥る。マップからの逃走は,運が良ければあっさり達成できることもあるが,準備にあちこち移動するためジェイソンの目につきやすく,しかも乗り物の場所はジェイソンも把握しているので,なかなか思いどおりには進まないはずだ。とはいえ,時間が経つほど仲間が減って狙われやすくなるので,仲間と協力して少しでも早く逃げ出す準備をしたほうがいいだろう。
いろいろと圧倒的に不利な立場で,慣れないうちはジェイソンに瞬殺されまくりの指導員達だが,立ち回りに気をつければ生存できる可能性が上がる。スタミナに限界があるが,走る速度は指導員のほうがジェイソンより上であることは覚えておこう。また,基本的にジェイソンはドアからしか建物内に侵入できないため,ロッジなどに入ったら必ずカギをかけ,出入りはなるべく窓から行うようにすれば,急に入ってきた殺人鬼に対応する間もなく殺される,といった事態は少なくなるはずだ。
どんな攻撃でも死なず,せいぜい一定時間スタンするだけのジェイソンだが,複数で反撃すれば,当然ながらタイマン勝負よりもずっと殺されにくくなる。ホラー映画の場合,1人ぼっちになるとまず殺されるが,それはゲームでもあまり変わらないので,慣れないうちは仲間と一緒に行動しよう。運が良ければ,ジェイソンが仲間の指導員をアレしている間に逃げることもできる。
反則級の能力を持つジェイソンでプレイするとゲーム性が一変。無敵の殺人鬼を堪能しよう
お次はホッケーマスクの殺人鬼ジェイソン側でのプレイを紹介しよう。指導員でプレイするときは憎き敵だが,自分が操作するとなれば話は別だ。ジェイソン,いかす。
本作は1人対7人という,人数差のかなりある対戦が行われるため,殺人鬼側の能力は桁違いに高い。さらに,ジェイソンにライフという概念はないので,いくら攻撃されても死ぬことはなく,上記のように,せいぜい短時間動きが止まるだけで,ゲームが続く限り,いくらでもターゲットを追い続けられる。指導員を始末する手段も単純明快で,映画同様,手にした武器や屈強な肉体でサクッと殺す体育会系の殺人鬼だ。
個数制限はあるが,投げナイフも使用可能で,ある程度距離があっても仕事にさほど支障はない。聴覚も異常に優れていて,指導員が立てる音は画面に常に表示され,だいたいの居場所が掴めるようになっている。歩行速度こそ若干遅く,また,建物への出入りはドアに限られるが,これらは問題にならないだろう。
とくに凶悪なのが4つ用意されている「特殊能力」で,獲物を追いかけるのに最適な高速移動「Shift」,指導員の居場所が赤く表示されて一目瞭然になる「Sense」,ターゲットにこっそり忍び寄る「Stalk」,任意の場所にファストトラベルできる「Morph」と,もう,やりたい放題。これらの能力を再度使用するためにはクールダウンタイムが必要になるが,うまく使えば怖いものなどない。
やられたほうはたまったものではないが,映画でよく見る「全力で逃げたはずなのに,なぜか目の前に現れる」的なシチュエーションは,こういう能力でやっていたのかと,ちょっと納得した。
そんな完全無欠にも思えるジェイソンだが,体自体は1つしかないため,複数の場所で同時に暴れることはできないのが泣きどころ。指導員達はたいていバラバラに動いているため,誰かを襲っていれば他のヤツらは自由になるし,手分けして効率よく脱出手段を整えられると,手が回らないうちに逃げられてしまう。油断していると,銃で手痛い一撃を食らい,長時間スタンしてしまうこともある。
とはいいつつも,ジェイソンが圧倒的に優位な立場であることは変わらない。対戦人数の関係上,普通にプレイしていると殺人鬼側になれる機会は多くないのだが,運良く選ばれたらジェイソンに襲われた恨みをジェイソンで晴らしてやろう。
まさに「13日の金曜日」の世界に入り込めるゲーム。恐怖と共に,殺人鬼と指導員のギャップを楽しもう
原稿執筆時点でチュートリアルやシングルプレイは実装されておらず,ヘルプはあるものの日本語化はされていないという本作。ゲームに慣れるには,とにかく実際にプレイを続けていく以外にはないという状況だ。上記のとおり,だいたいは指導員側でプレイすることになるし,慣れないうちは,ひたすら死ぬだけのプレイになってしまうだろう。そういう意味でとっつきは,あまり良くないという印象もある。
といった気になるところはあるものの,人が操作する圧倒的に強い殺人鬼にいつ襲われるか分からない恐怖,そしてそれを出し抜いて逃げおおせたときの爽快感はかなりのもの。ジェイソンを目の前にして逃げ切ったときはガッツポーズが出るし,逆に探索中,たった1人で殺人鬼に出くわしたときの絶望感といったらもうすごい。
映画や小説によくある,「おまえらとはもう一緒にいられない。俺は勝手に行動させてもらうぞ!」とタンカを切って単独行動したあげく即座に殺されるキャラクターを追体験できるゲームは,あまりないんじゃないかと思う。
一方のジェイソン側では,特殊能力を遺憾なく発揮して,無双ともいえる殺戮を繰り広げられる。バランス的にはやや疑問はあるものの,これはジェイソンという圧倒的なキャラクターのために,ある程度,割り切って作られたシステムなのだろう。とにかく,狩る側と狩られる側のギャップは相当なものだ。
もともとインディーズ作品ということもあってか,荒削りな部分はあるものの,映画シリーズのファンでなくても,ホラー映画をとことん体験できるオンラインゲームだと思う。リリース直後に発生していたサーバトラブルも,原稿執筆時点ではかなり解消しているようなので,何も知らずキャンプ場に訪れた若者になって恐怖に怯えてゾクゾクしたり,巨漢の殺人鬼になって暴れたりしたい人は,夏にピッタリなホラー体験をしてみてほしい。
「Friday the 13th: The Game」公式サイト
- 関連タイトル:
Friday the 13th: The Game
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フライデー・ザ・13th:ザ・ゲーム 日本語版
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Friday the 13th: The Game
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