プレイレポート
「龍が如く6 命の詩。」プレイレポート。重厚で衝撃的な展開の連続で,続きが気になって止められない
龍が如くシリーズと言えば,ご存じのとおり,とにかくボリュームたっぷり。そのすべてを語るには,1万字あっても足りないだろう。あれもこれもと触れていくとキリがないので,今回は3つの注目ポイントに絞っていく。
「龍が如く6 命の詩。」公式サイト
本物の役者が本気で演じる重厚なストーリー
最初のポイントは,ストーリーと登場キャラクターだ。
前述のとおり,シリーズの主人公である元極道・桐生一馬の物語は,本作が“最終章”になると明言されている。主要人物の1人でもある澤村 遥は,第1作(2005年)の登場時には9歳だったのが,「龍が如く6」(2016年)では20歳を迎えた。
「極道」が「少女」を見守っていく物語だったが,遥が大人になったことで桐生の役目も終わる。これで一つの区切りとなるわけだ。
「龍が如く6」の物語は,前作(「龍が如く5 夢、叶えし者」)の結末から幕を開ける。アイドルとしてステージに立っていた遥は,桐生が大切な家族であることをカミングアウト。桐生と共に沖縄の児童養護施設で暮らすことを望んだ。
そして,遥と同じ願いを抱く桐生は過去を清算するべく,自ら服役の道を選ぶのだった。
3年後の2016年,出所した桐生は真っ先に沖縄の施設へ向かうが,そこに遥はいなかった。
芸能界から衝撃的な形で引退した遥への好奇の目が集まり,やがてそれは施設のほかの子供たちへも及ぼうとしていた。それに責任を感じた遥は,ある夜,こつ然と姿を消してしまったのだという。
遥の足取りを追った桐生が神室町に足を踏み入れると,そこで刑事の伊達から遥が交通事故に遭ったことを伝えられる。遥は意識不明の重体で,面会することも許されない状態だった。
事故に遭う際,遥は自分の命も顧みず“あるもの”を身を挺して護ったという。それは「さわむら はると」というひとりの赤ん坊……つまり,遥の子供だった。
ハルトは本当に遥の子供なのか。だとしたら,父親は誰なのか。そもそも交通事故は偶発的に起こったものなのか。さまざまな謎を残しつつ,桐生は残された手がかりを元に,ハルトと共に広島・尾道仁涯町へと向かう。
空白の3年間,「尾道で遥が何をしていたのか」が少しずつ明らかになるにつれて,物語は神室町で勃発した中国マフィアと東城会の抗争,そして広島の極道をも巻き込む展開へと広がっていく。
序盤から中盤にかけての展開をネタバレにならないように紹介してみたが,各章のラストでどんでん返しがあるため,ゲームを中断するタイミングがなかなか見つからない。「あと少しだけ……」と進めていくと,再び「ええっ! マジで?」と衝撃の展開が待っているのだ。
出演陣にも触れないわけにはいかない。広島のスナック清美のママ・笠原清美役に真木よう子さん,東城会直系の染谷一家総長・染谷 巧役に小栗 旬さん,陽銘連合会の末端組織である広瀬一家若衆の宇佐美勇太役に藤原竜也さん,広島の実業家・巌見恒雄役に大森南朋さんという,錚々たる顔触れが出演しているが,とくに印象に残った2人を紹介しておこう。
まずは,宮迫博之さん演じる広瀬一家若頭・南雲 剛だ。
最初は威勢がいいだけのチンピラというイメージだったが,彼もまた男気溢れる性格で,それを知る桐生が南雲を救う場面がある。南雲にはだらしない面もあり,そこが実に愛らしい。彼が初めて桐生を「兄貴!」と呼ぶシーンは,どちらかといえばコミカルなのだが,うっかり感動して泣き笑いしてしまった。思わず「なんだよ,いいヤツじゃないか」とつぶやいたほどだ。
もう1人は,広瀬一家総長・広瀬 徹。演じるのはビートたけしさんなのだが,その存在感たるや何と説明したらいいのだろう。一見,普通のおじさんのようなのに,その腹の奥では何を考えているのか分からない。
初登場のシーンもなんてことのない場面なのに,圧倒的なまでの「そこにいる」感に震えて,コントローラを落としてしまった。
そう,「演じる」と表現したが,出演陣は声をあてているだけではなく,キャラクターモデルも本人をモチーフにしている。俳優やタレントをゲームに登場させる手法は珍しいものではないが,龍が如くシリーズはその見せ方が分かっているのだろう。実に見応えのある演技により,物語に引き込まれてしまうのだ。イベントシーンは最大の見せ場と言っていい。
もちろん,主人公の桐生一馬も魅力的に描かれているので,プレイヤーはしっかりと魅了されてしまう。「男が男に惚れるとは,このことか」と実感したのは,筆者だけではないはずだ。
殴った手応えが伝わってくる喧嘩バトル
2つ目のポイントは,街中を歩いているときにチンピラやヤクザに絡まれると発生する「喧嘩バトル」。「龍が如く6」から採用されたという「ドラゴンエンジン」のおかげなのか,より直感的に,よりカッコよく戦えるようになった。周囲の地形やオブジェクトもリアルに物理演算が行われ,ますます気持ち良くなっているのだ。
バトル中にヒートゲージが上昇すると,「アルティメットヒートモード」を発動できる。これは敵から受ける攻撃に対して,ひるむことなく攻撃し続けられるもので,敵を一気呵成に叩きのめせる。圧倒的な力でねじふせる感覚が,非常に爽快だ。
桐生の能力は,プレイヤーが任意でパラメータを強化していくことができる。
今回,筆者は均等にレベルアップさせてしまったが,ボス戦ではゲームオーバーになってしまうことが多く,防御力や体力を集中的に上げておくべきだったかもしれない。アクションゲームの腕前に自信のない人は参考にしてほしい。
なお,何度か続けてゲームオーバーになると,リトライ時に「難度を下げるか?」という選択肢が登場するので,全然クリアできないという状況にはならないだろう。
バトル中は自転車や看板などを掴んで,武器として攻撃に使える。これが非常に気持ちいいのだが,敵を投げたいときにもオブジェクトを掴んでしまうことが多々ある。「おいおい,そっちじゃないよ!」とぼやかなくて済むように,うまく立ち位置を調整することがコツと言えそうだ。
バトルと言えば,「クランクリエイター」と呼ばれる大人数チームバトルも見逃せない。タワーディフェンス系のリアルタイムシミュレーションに近いシステムで,味方の出撃ポイントを指示したら,あとは自動的に繰り広げられるバトルを見守ることになる。アジトで部隊を編成したり,街中でメンバーをスカウトしたりして,クラン(軍団)を強化していく。
ちなみに,クランクリエイターは独立したサイドストーリーとして楽しめるようになっている。敵対する「JUSTIS」には,新日本プロレスリング所属のレスラーが多数登場。プロレスファンなら,これはとことんやり込むしかない!
いくらでも寄り道できるプレイスポット
3つ目のポイントは,龍が如くシリーズに欠かせない数々のプレイスポットだ。前作にも増して盛りだくさんなので,いくらでも寄り道できてしまう。あまりにもボリュームがあり過ぎるので,今回はキャバクラとネコカフェをとりあげたい。
キャバクラはシリーズを通して登場しているプレイスポットなので,すっかりお馴染みだろう。「龍が如く6」では,いくつかの話題から選択していくシステムを廃止し,戦略的なカードゲームに進化している。会話やドリンク,フードといったカードをうまく使って,キャバ嬢との会話を盛り上げていくのだ。
「本来,客である桐生がキャバ嬢に盛り上げてもらう場所なのに,なぜこちらが気を使わなきゃならんのだ!」と思わなくもないが,親密度が上がった先に“ご褒美ムービー”が待っているとなれば話は別。これは頑張らなくてはなるまい!
一方,「龍が如く6」で初登場となるネコカフェは,神室町に「cat cafe nyannyan茶房」というお店がある。経営難の店を助けるため,そしてノラネコを救うために桐生が一役買うというわけだ。
街中で出会うノラネコをエサで手なずけ,ネコカフェにネコを増やしていくのだが,ノラネコはエサを1回あげただけでは,警戒心を解いてくれない。地道な作業となるが,ネコが懐いてくれたときには格別の達成感がある。
ゲームセンター,ダーツ,麻雀,スポーツジム,カラオケなど,短時間では決して遊び尽くせないほどのプレイスポットが用意されている。ハルトをあやすのもミニゲーム形式だ。
もちろん,必ず遊ばなければならないものではないが,それぞれ本格的に作り込まれてるので,ついつい夢中になってしまう。ストーリーを優先するのか,プレイスポット巡りに明け暮れるのか,それはプレイヤーの自由だ。
ローディングをほとんど感じさせない快適さ
「龍が如く6」はシリーズ初のPS4専用ソフトということもあってか,グラフィックスが大幅に強化されている。それだけでなく,シームレスに遊べるようになったことも特筆すべきだろう。
イベントシーンからそのままバトルに突入するといった演出はもちろん,建物に入ったときも読み込みがなく,スムーズに進行するためストレスをまったく感じない。当然,イベントシーンの前後にはローディングが発生するが,気になるものではない。
特定のキャラクターと会話すると発生するサブストーリー,SNSを通じて舞い込んでくるトラブルミッションなど,もっともっと紹介したい要素はあるのだが,それらの魅力は各自で確かめてほしい。
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