プレイレポート
「オーディンスフィア レイヴスラシル」のプレイレポートを掲載。5人の主人公が織りなす物語が,より美しく,遊びやすくなった
今回,本作のPS4版を実際にプレイする機会を得たので,その内容やプレイフィールなどをお届けしよう。筆者はオリジナルのオーディンスフィアをプレイしたことはないので,新旧2作品の比較に関しては控えめな内容になるかと思うが,その点はご了承いただきたい。
なお,記事中で使用している画面写真は,全てPS4版のものとなる。
「オーディンスフィア レイヴスラシル」公式サイト
登場人物の複雑な思いが絡む群像劇が
絵本のようなグラフィックスで描かれる
本作は,アリスという少女が屋根裏で見つけた本を手に取るところから始まる。この少女が読み進める本の中に,プレイヤーキャラクターとなる個性溢れる5人の主人公が登場する物語が書き記されているという設定で,本1冊につき1人の主人公キャラクターが登場し,完結したところで次のキャラクターを操作できるようになるという仕組みだ。
物語の舞台となるのは広大な環状大陸「エリオン」。過去に滅亡した魔法国家「バレンタイン」が遺した魔法の「結晶炉」を巡り,大陸の国家が果てしない戦いを繰り広げる中で,主人公達の数奇な運命が描かれる。
前述のとおり,キャラクターをプレイする順番が決まっている展開ではあるが,そのぶん個々のシナリオや設定は非常に凝っていて,お互いが複雑に絡み合っている。
最初にプレイするグウェンドリンは,「魔王の国」と呼ばれる国家,ラグナネイブルの姫であり,メルセデスやオズワルドは,ラグナネイブルと敵対する国家,リングフォールドの重要人物として登場している。また,コルネリウスとベルベットのように,恋人同士でありながら運命によって引き裂かれてしまうような関係もある。彼らの脇を固めるNPC達も物語において重要な存在だ。
このように,複数の主人公の視点から物語を眺めることで,プレイヤーの頭の中に人物相関図ができあがっていき,物語がさらに深く味わえるようになっていく。登場人物はかなり多いので,実際に手書きの相関図を書きながらプレイするのも面白そうだ。
可愛い見た目に反して,キャラクター同士の関係が非常に“重い”ものになっているところが,切なくも興味をそそられる。このあたりが,PS2版が支持された要因の1つかもしれない。
こうしたストーリーを盛り上げているのが,美しいグラフィックスとサウンドだ。とくにこのPS4版では,グラフィックスのHD化により,細部まで描き込まれた絵本のようなグラフィックスをより楽しめるようになった。プレイ中,余裕があるときはプレイヤーキャラクターの細かなポーズやアニメーションに注目してほしい。
本作のサウンドを手がけるのは,ヴァニラウェアタイトルではおなじみの,崎元 仁氏率いるベイシスケイプのサウンドクリエイター陣だ。タイトル画面に流れるメインテーマを始めとして名曲揃いで,美しくなったグラフィックスと相まって,本作の世界観をさらに深いものにしている。
簡単操作ながら,戦略性が非常に高い2Dアクション
本作のゲームシステムも,ストーリーやグラフィックス同様,かなり緻密に作り込まれている。ジャンルは「2DアクションRPG」をうたっているが,かなりアクションゲーム寄りの内容で,RPG風の育成要素はあるものの,あくまでアクションの面白さを高める補助的な役割という印象だ。
プレイヤーは主人公を操作し,高低差の概念がある2Dのステージを,現れる敵を倒しながら進んでいく。ゲームの難度を一番簡単な「SWEET」に設定すればガチャプレイでもなんとか進められるので,アクションゲームが苦手な人には嬉しいところだろう。
これをデフォルトの「NORMAL」以上に設定すると,とくに中ボス以上の敵はかなり手ごわく感じられるようになる。最高難度の「EXPERT」では,敵の攻撃力・体力がともに底上げされ,攻撃の使い分けやガードなど,キャラクターができることを状況によって的確に使いこなさなければ,あっという間にやられてしまうはず。難度はいつでも変更でき,さらに敵に倒されてもそのステージをやり直すことになるだけなので,アクション好きならあえて難しい難度から始めて,その戦略性の高さを味わってみるのもいいかもしれない。
ステージには,宝箱やアイテムなどの探索がメインとなる「フリーステージ」と,敵との戦闘が行われる「バトルステージ」,そしてチェックポイントのある拠点的な「レストステージ」の3種類が存在し,それらがつながって一つのマップを構成している。単純にステージの端から端へ移動するだけでなく,左右がループしたステージに複数設けられた出口から枝分かれするなど,2Dのマップが3D的につながっているのが面白い。
キャラクターによってまったく異なる操作感覚
本作のプレイヤーキャラクターは,見た目やその境遇だけでなく,ゲーム中のアクションや操作感覚もかなり異なっている。魔石から加工された武器「サイファー」を持つという点は共通だが,その形状は「槍」「剣」「石弓」「鎖」とさまざまで,使用者の能力なども相まって,独自の攻撃を繰り出せるようになっている。ここでは5人の主人公のキャラクター設定やプレイフィールを登場順に紹介しよう。
■グウェンドリン
軍事国家ラグナネイブルを統治する魔王オーダインの娘で,亡き姉から譲り受けたサイファーの槍を使って戦う。最初に扱うキャラクターとあって,5人の中では最もクセがなく,攻撃範囲も広い。2段ジャンプで跳び上がったあとに滑空できるので,敵の攻撃範囲外からの強襲や,逆に上空への離脱なども得意としている。■コルネリウス
歴史ある大国タイタニアの若き王子。ある日目覚めると,その姿がケモノの姿に変えられていて愕然とする。武器は剣で,小さな体を活かした素早い攻撃を繰り出す。剣はさほど長くないので,攻撃方法によってはグウェンドリンよりも敵に接近する必要があるが,素早い動きや隙の少なさでカバーできるだろう。
剣を出したまま体を高速で回転させたり,ホッピングのように下に剣を出して敵の頭上を突いたりと,特徴的な技も多く,見た目も可愛いので,プレイしていて楽しいキャラクターだ。
■メルセデス
妖精の国リングフォールドの姫君。母親の石弓を持ち出してカエル退治に行くような,気ままな日々を送っていたが,戦火による女王の死により,幼き女王として戦場に赴く。5人の中で最も特異な性質を持つキャラクターで,妖精の能力による飛行と,石弓による遠距離攻撃により,アクションというよりはシューティングに近い操作感覚になっている。操作によって撃ち出す弾の威力や性質を変えられるので,それらを把握すればかなり面白いキャラクターとなりそうだ。
なお,一度に撃てる弾の数には制限があり,リロードするには動かずに一定時間待つ必要がある。
■オズワルド
リングフォールドの軍師メルヴィンに仕える,黒い鎧の剣士。メルヴィンから授けられた魔剣を装備している。攻撃力とスピードを備えたキャラクターで,最大の特徴は強力な変身能力「バーサーク」だ。敵を攻撃すると溜まるゲージを最大にして発動すると,黒い影のような姿に変身し,一定時間超高速で暴れ回れるようになる。持続時間はそれほど長くないので,どこで発動させるかがポイントとなりそうだ。
なお,バーサークゲージを早く溜めるための特殊な掴み攻撃なども用意されている。
■ベルベット
一夜にして滅亡した魔法大国バレンタインの生き残りの姫。隠者として森に住む彼女はコルネリウスと惹かれ合っており,物語を進めていくとグウェンドリンとの意外な関係も明らかになる。武器は両手に携えた鎖で,メルセデスを除く4人の中では最も攻撃のリーチが長い。踊るように鎖を振り回して戦う姿は,見ていて楽しくなるほど華麗だ。
また,鎖を利用して相手の懐に飛び込んだり,振り子のように空中を滑空したりといったアクションも用意されており,なかなかテクニカルなキャラクターという印象だ。
このようにキャラクターによってプレイフィールが大きく変わるので,新しい章に入ったときは少々戸惑うかもしれない。とはいえ,操作方法には共通する要素が多く,特殊なアクションについては章ごとにチュートリアルもあるので,慣れるのにそう時間はかからないだろう。
なお,ストーリーをクリアしたキャラクターをプレイしたいときは,冒頭で述べたアリスの屋根裏部屋で,該当のキャラクターの本を選べばいい。
キャラクターの成長は,アクションをより楽しむためにじっくり挑みたい
キャラクターの成長システムについても触れておきたい。本作においてキャラクターが成長する手段は,木の実などを食べて得られる経験値によるパラメータの成長と,敵を倒したときなどに手に入る「フォゾン」を消費して行うサイファー強化の2つ。両者はキャラクターを動かせるときならいつでも可能だ。
敵を倒すことでもある程度強くなっていくが,これらの要素は一般的なRPGの成長システムとは感覚が異なるため,システム的には好みが分かれるかもしれない。
本稿前半でも述べたように,本作はアクション寄りのゲーム性となっており,基本的にはプレイヤーの腕で道を切り開かなければならない。この成長要素はあくまで補助的なものだ。
とはいえ,とくにフォゾンを使ったサイファーと「サイファースキル」(魔法のような特殊技)の育成は選択肢が多く,そのキャラクターを自分の好きなタイプに育てられるので,魅力的だ。バランスよく強化していくか,それとも使いやすいものを優先して強化していくか……そして最終的にはすべてを最強にもできるので,じっくりと遊んでみてほしい。
アイテムとして手に入る実は,種を植えてフォゾンを与えると育つ植物からも収穫できる |
実や食べ物は[△]で表示されるリングコマンドでアイテムと同様に使える。回復アイテムとして使ってもいい |
ちなみ本作にはメインの「リファインモード」に加えて,ゲームシステムをPS2版に準拠させた「クラシックモード」が用意されている。キャラクターの表示が少し大きくなって(=周囲が見渡しにくい),攻撃を繰り出し続けるとふらついてしまったり,フォゾンを回収するためにボタンを押す必要があったりと,この「レイヴスラシル」で大幅に改修されたシステム部分を,当時のままのスタイルでプレイできるというものだ。
普通に遊ぶだけならリファインモードで十分だが,このレイヴスラシルが一体どの程度改修されているのか比べてみたい人や,PS2版のままのプレイフィールで遊んでみたいという人はこちらを選んでみるといいだろう。なお両モードのセーブデータは別に用意されており,難度設定のようにステージ中で切り替えることはできない。
美しいグラフィックスを大画面で堪能するか
それとも外に持ち出して遊ぶか
今回筆者はPS4版で美しいグラフィックスを大画面で堪能したが,外に持ち出していつでも遊べるPS Vita版もかなり魅力的だ。クロスセーブの機能もあるので,本作を堪能し尽くしたい,という人なら,両方の購入を考えてもいいだろう。
筆者のようにPS2版を触っていなかったプレイヤーにとっては絶好の機会なので,ぜひプレイしてみてほしい。また,リファインモードはクラシックモードと比較してかなり遊びやすくなっているので,PS2版を途中で投げてしまった人も,物語の行方をぜひ自分の目で確かめてほしい。
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