プレイレポート
「ゼルダの伝説 トライフォース3銃士」プレイレポート。謎解きとアクションの楽しさを,仲間3人で共有する楽しさを味わおう
本作は,3人のプレイヤーがハートを共有する3人のリンクを個別に操作して,コースにあるさまざまなギミックを協力して解きながら進める,マルチプレイ前提のアクションアドベンチャーだ。
今回は,そのプレイレポートをお届けしたい。また10月中に行われた「オンライン試勇会(しゆうかい)」の模様についても併せて紹介しておこう。
「ゼルダの伝説 トライフォース3銃士」公式サイト
3人プレイに特化した
ステージクリアスタイルのゲームデザイン
マルチプレイで遊ぶゼルダというと,ゲームボーイアドバンスやゲームキューブなどでリリースされた「4つの剣」シリーズが思い出される。
筆者自身,ゲームボーイアドバンス版「ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣」を持っているのだが,これを購入した2003年当時,一緒にプレイできる仲間を集めることができず,「神々のトライフォース」のみをプレイしただけで終わってしまった記憶がある。
しかし本作に関しては,インターネットを介したオンラインプレイ,「インターネットプレイ」にも対応しており,一緒にプレイする仲間には事欠かないはずだ。
なお,今回の記事を執筆するにあたっては,発売前のバージョンでプレイしたこともあり,スクリーンショットは1人プレイ時のものが中心となっていることをご了承いただきたい。
マルチプレイに関しては,記事後半のオンライン試勇会の項目をご覧いただければと思う。
さて,本作はゲームシステムだけでなく,ゼルダの伝説シリーズとしてはかなり異色の世界観となっている。
ゲームを開始するやいなや,オシャレを愛する王国のオシャレなお姫様「フリル姫」が,謎の魔女「シスターレディ」の呪いによって恥ずかしい全身タイツ姿にされてしまい,その呪いを解くために魔女を倒せる伝説の勇者を募集する……という,これまでのゼルダシリーズとは一線を画したプロローグが展開していく。マルチプレイが主体ということを考えれば,このぐらい突飛な面白さがあっていいのかもしれない。
プレイヤーは,そんな王国に現れた伝説の勇者候補となり,3人1チームの魔女討伐隊となって,8エリア×4コースの冒険へと旅立つことになる。
ゼルダシリーズにおいては,「コース」という概念もまた新しい要素で,本作は広大なフィールドを冒険していくのではなく,1プレイ15〜20分程度でクリアできる,コースと呼んで違和感のない短めのフィールド,「魔境」に挑戦していくという,ステージクリアのスタイルを採用する。
プレイヤーはこれらのコースを,通常装備の剣と,1人一つのアイテムを駆使して攻略していくこととなるのだ。
剣やアイテムを使ったアクションは,本作の前にニンテンドー3DS用に発売された「ゼルダの伝説 神々のトライフォース2」などをはじめ,トップビューのゼルダシリーズではおなじみのもの。
しかし,体力であるハートを3人のプレイヤーで共有するという,独自のゲームシステムを採用している。つまり,プレイヤーの誰がダメージを受けても共有するハートの数は減り,誰が道中に出現するハートを取っても回復できるという仕組みだ。
ハートの器は固定で9個となっており,原則として1回のダメージで1個減るようになっている。足場のない場所に落下した場合なども同様だ。これが0になってしまうと,手持ちの妖精が1匹減って,妖精を3匹失うとゲームオーバーとなる。
そしてもう一つ,本作の重要なアクションとして用意されているのが「トーテム」だ。プレイヤーである3人のリンクは,ジャンプすることができないため,高さのある場所には,目の前にいる仲間をAボタンで肩車することによってアプローチできる。トーテムで仲間を肩車しているプレイヤーを,さらにもう1人のプレイヤーが肩車することで,最大でリンク3人分の高さを稼ぐことが可能だ。
トーテムで肩車をしているときは,下のプレイヤーが移動を,上のプレイヤーが剣やアイテムを使ったアクションを行い,真ん中のプレイヤーは担ぎ上げている上のプレイヤーを投げ下ろすことのみができるという独自の操作が設定されている。
とくにマルチプレイにおいて,慣れないうちは操作がもどかしく思えるが,それを互いの意思の疎通によって打開していくのが本作ならではの面白さの一つにもなっている。
ちなみに本作は1人でもプレイが可能で,そのときは自分以外の2人のリンクを「まねビト」なるデク人形が担うことになる。コース自体の構造は3人でプレイするときとまったく同じであり,まねビトは自分から動くことはないため,マルチプレイなら3人で行えることも,すべて1人で行わなければならない。
まねビトの操作はタッチスクリーンで瞬間的に切り替えられるようになってはいるが,実際にプレイしてみるとコースによってはかなり操作が忙しくなる。例えば,トーテムで1人を肩車をしたあと,さらにもう1段高くしたいときは,残った1人に操作キャラクターを切り替えてトーテム状態の2人を肩車する,という手順を(自分一人で)踏まなければならないのだ。
1人プレイ時は当然ながらプレイヤー同士の意思の疎通は必要ないが,コースクリア後に入手できる報酬はマルチプレイ時と同様に1人分だけのルールなので,この忙しさが楽しいという人以外は,積極的にプレイするメリットはあまりないように感じられた。
バラエティ豊かな服の数々は
攻略に役立つうえに自己主張もできる
マルチプレイのほかに,もう一つの見どころとして用意されているのが「着替え」だ。オシャレな王国が舞台になっている本作らしい要素で,これがなかなか面白い。
リンクはオープニングで魔女討伐隊に所属したときに,おなじみのトンガリ帽子の「兵士の服」を入手することになるのだが,その後コースをクリアしたときの報酬として宝箱から手に入る「材料」を使って,さまざまな効果のある服を作ることができるのだ。
これらの服には,バクダンの威力が大きく広がったり,矢を3方向に撃てるようになったりと,持っているアイテムを強化するもののほか,ハートが出やすくなったり,歩くスピードが速くなったりといった具合のものもあり,コースに合ったものを着て挑むことで,ゲームを有利に進めることができるというわけだ。
リンクの姿はマルチプレイ時のアバターでもあり,とくにオンラインではこの服が自身をアピールするための要素にもなっているので,収集自体も楽しいものとなるはず。ちなみにこれらの服は全部で36種類用意されているそうだ。
いつでも仲間が集まり
気軽に参加できるインターネットプレイ
そしてオンライン試勇会についてだが,これは「Splatoon(スプラトゥーン)」で行われた同様のオンライン体験会とは異なり,一般には告知されず,ニンテンドーネットワークID登録者で,過去にゼルダシリーズをプレイしたことがあるなどの条件を満たした,一部にのみ告知された。
オンライン試勇会では,対象者は専用の「試勇版」をニンテンドーeショップからダウンロードし,2015年10月10〜11日と17〜18日の特定の時間にのみ,オンラインによる試遊ができたという具合だ。また,この試勇版を持っているプレイヤー同士ならばローカルプレイも行えるという仕様でもあった。
ゲーム中のロビーとなる「通信の間」で「インターネット通信」を選んで相手を待つと,ほどなくしてほかのプレイヤーがやってきて,近くにあるトライフォースに乗ればゲームスタートとなる。
試勇会でプレイできたコースは「ビリビリ洞窟」「バクダン保管庫」「炎の神殿」の三つで,プレイヤーの投票によってどこへ行くのかが決定する。製品版も仲間が集まるまでの手順は同じだが,投票の結果次第ではプレイヤーが行ったことのないコースが選ばれることもある。なおプレイ中のゲーム画面は,同じ画面ではなく個別に表示され,画面外にいるほかのプレイヤーの場所は,アイコンによって表示される。
試勇版でもローカルプレイができたとはいえ,試勇会にぶっつけ本番で挑んだ人がほとんどだったようで,最初の頃は筆者も含め全員が画面の中で右往左往する様子が見られ,ときにトーテムで肩車した相手を谷底に放り投げてしまったり,空気ツボでバクダンを飛ばすはずが相手を飛ばしてしまったりと,平謝りしたくなるプレイが続いていた。
こんな調子で果たしてクリアできるのか? とも思ったが,アクション自体がそう複雑なものではなく,全員がゼルダシリーズの経験者ということで順応も早く,筆者も時間はかかったものの,最初に挑んだバクダン保管庫を無事クリアすることができている。
オンライン相手とのコミュニケーションの手段は,タッチスクリーンにある六つの「コミュニケーションアイコン」のみとなるが,これが意外と相手に伝わるもので,さらに連続してタッチすることでアイコンが大きくなっていく演出は,伝えるほうも伝えられるほうも楽しい気分になれる。
簡単なコミュニケーションしかできないからこそ,互いに試行錯誤し,意思の疎通ができたときの痛快さは格別で,挑戦できるコースが増える製品版では,その感覚を共有できる機会はもっと増えるのではないだろうか。
その後のプレイでは,何度か初心者らしき人にも遭遇したが,ゲームに慣れてくるとそういう相手に対しては寛容になれるものなので,この記事を読んでから遊ぼうと思った人も,あまり萎縮や恐縮することなく楽しむことをオススメしたい。
謎解きをクリアする快感を
3人で共有できる最新作
個人的な好みの強い部分ではあるものの,本作のサウンドがゲームプレイのモチベーションアップにつながったことも報告しておきたい。
3人でのプレイに特化したタイトルとはいえ,ゼルダシリーズ特有のちょっとしたひらめきを要する謎解き要素が,すべてのコースにちりばめられている。マルチプレイという前提があるため,謎解きの難度自体はさほど高くないものの,そのぶんをトーテムなど3人で息を合わせて攻略する要素を組み込んで,バランスを取っている印象だ。
ニンテンドー3DSをオンラインに接続できる環境があれば,プレイする相手に事欠かないのは,4つの剣のときにプレイ相手がいなかった筆者には非常に嬉しいところだった。
Splatoon(スプラトゥーン)のオンラインプレイもそうだったが,余計なコミュニケーションをしなくていいぶん,気楽に参加ができる。しかも本作は協力プレイが主なので,よほど変な行動を繰り返したりしない限り,険悪な雰囲気になることは少ないだろう。
それでも見ず知らずの相手とプレイするのは抵抗があるという人には,フレンド相手のオンラインプレイや,友人や知人と1か所に集まってのローカルプレイ,およびダウンロードプレイという選択肢もある。
謎解きをクリアしていく楽しさを3人で共有できるゼルダシリーズ最新作。この機会にぜひ試してみてほしい。
「ゼルダの伝説 トライフォース3銃士」公式サイト
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