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  • 発売日:2016/08/25
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[gamescom]これぞまさに正統派4Xゲーム。「Master of Orion」のデモプレイを見てきた
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印刷2015/08/06 20:53

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[gamescom]これぞまさに正統派4Xゲーム。「Master of Orion」のデモプレイを見てきた

画像集 No.015のサムネイル画像 / [gamescom]これぞまさに正統派4Xゲーム。「Master of Orion」のデモプレイを見てきた
 Wargaming.netといえば,「World of Tanks」(以下,WoT)や「World of Warships」といったオンライン対戦アクションゲームの印象が強い会社だが,WoTで成功を収めるまでは,わりと玄人好みな雰囲気のストラテジーゲームを作っていたことでも知られる。
 そんな同社が2015年6月9日に発表した新作タイトルが,ターンベースのSFストラテジーゲームである「Master of Orion」(以下,MoO)だ。
 いわゆる4Xゲームの元祖とも言えるこの作品だが,いったいどういう経緯でWargaming.netからリリースされることになったのだろうか。そもそも,本作はどんなゲームなのか。

 今回は,ドイツで開催されているgamescom 2015の同社ブース内で,本作のExecutive ProducerのRandy King氏によるデモプレイを見ることができたので,その模様とKing氏に聞いた気になる点についてお届けしよう。
 なお,本作は現在クローズドαテストの段階であるため,ゲーム画面の撮影は禁止されていた。したがって,以下に掲載するスクリーンショットは,すべてオフィシャルで提供されたものであるという点を,前もってご了解いただきたい。

Executive ProducerのRandy King氏
画像集 No.016のサムネイル画像 / [gamescom]これぞまさに正統派4Xゲーム。「Master of Orion」のデモプレイを見てきた

「Master of Orion」公式サイト


Wargaming.netのCEOが,まさかの大人買い


 MoOはもともと,1993年にMicroProseから発売されたタイトルだ。ジャンルとしては4X(eXplore,eXpand,eXploit,eXterminate=探検,拡張,開発,根絶)とされたが,この4Xという概念はその後もさまざまなストラテジーゲームに継承されている。
 4Xゲームの元祖ともいえる本作をWargaming.netが開発支援し,販売するに至った経緯は,実にユニークだ。発端はなんと,Wargaming.netのCEOであるVictor Kislyi氏「MoOがとても好きだから」というもので,好きすぎるがゆえにMoOのIPを買収,散り散りになっていた制作チームを再結集させて,Wargaming.netからリリースすることにしたのである。

画像集 No.017のサムネイル画像 / [gamescom]これぞまさに正統派4Xゲーム。「Master of Orion」のデモプレイを見てきた

 これだけ聞くと「大企業のCEOは一味違うな……」という感想で終わりそうなのだが,実際にデモプレイを見ると,Kislyi氏がどれだけこの作品に力を入れているのかが分かるほど,非常にポテンシャルの高いゲームになっていた。
 ちなみに,ゲーマーとしてのKyslyi氏は,「昔は自分もゲームが好きだった」とかいうレベルではまったくなくて,世界各地で開催されるゲームショウにおいて,WoTのエキシビションマッチに参戦しては,ユーザーチームを相手に圧倒的な力の差を見せつけて(そして現地スタッフから「大人げない」とつぶやかれつつ)薙ぎ払っていく,そんな現役のセミプロ級ゲーマーなのだ。


大変に濃厚なCivilizationの香り


 さて,あくまでgamescom 2015の段階において,という留保を強調したうえで,スタッフの説明ではなく筆者の言葉でゲームの印象を語らせていただくとすれば,本作は「宇宙を舞台にしたCivilization(以下,Civ)」である。
 もちろん,言うまでもなくMoOとCivは別のゲームだ。MoOのマップ構造は,いわゆるポイント・トゥ・ポイント(拠点と拠点が線で結ばれている)になっており,戦闘のバランスもだいぶ違っているように見えた。
 ただ,ゲームの要素であったり,最適化されたUIであったりといった部分は,結果的にCivに非常によく似た雰囲気を醸し出している。

画像集 No.005のサムネイル画像 / [gamescom]これぞまさに正統派4Xゲーム。「Master of Orion」のデモプレイを見てきた

 個人的に,Civに似ているという部分は批判されるべきことではなく,むしろ歓迎すべきことだと思っている。プレイ時間のかかるストラテジーゲームにおいて,たいして面白さもなければ深みもない,斬新なだけのゲームシステムなど,百害あって一利なしだ。
 そういう意味で,MoOが妙に奇をてらわず,ストラテジーゲーマーになじみのあるUIやメカニズムを利用しながら,4Xゲームを構築しようとしているのは,筆者としては非常に好感が持てる。

 では,実際のゲームシステムを見ていこう。
 MoOにおいて,プレイヤーは宇宙に点在するさまざまな種族のリーダーとなり,あらゆる手段を用いて「宇宙一」になることを目指す。現状ではシングルプレイ用のゲームとして開発が進められているという(ただしマルチプレイを実装する可能性もあるとのこと)。

 選択できる種族は10種類で,マップには最大10勢力を配置できる。原則として,マップに存在する種族の数が多ければ多いほど,ゲームの複雑性が上昇する仕組みだ。
 また,種族ごとに個性や特徴が設定されており,「誇り高い」や「気分屋」といった性格的なものから,「諜報が得意」や「技術開発に特化している」といったゲーム上の特徴までさまざまだ。

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 勝利条件としては,全部で以下の5種類が存在する。

(1)500ターン(1ターン=ゲーム内1年)経過したところで,もっとも勝利得点が高い
(2)軍事的にほかの種族をすべて滅ぼす
(3)技術で圧倒的に優越する
(4)経済で圧倒的に優越する
(5)Galactic CouncilでMaster of the Galaxyに任命される


 Civプレイヤーならば,軍事的勝利とか外交勝利とかいう言葉が脳内に閃くと思われるが,まさにそんな感じである。

 ゲームは,自分の艦隊を移動させて,移動先の惑星で何かをするという外征要素と,自分の領土になっている惑星で何かを作ったりするという内政要素に分かれている。領土が増えれば生産の拠点も増え,扱う希少資源の種類も増えるというわけで,このあたりはまさに4Xゲームといった感じだ。

惑星にはさまざまな施設を建設できるが,施設には維持費が必要となる
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 ちなみに内政では,支配下の惑星に建物や艦隊を建造するだけでなく,技術の開発や人口の配置なども要求される。
 技術開発は,技術ツリーを順番に満たしていくスタイルで,自分の戦略に合わせた技術開発が重要になると思われる(技術の種類は75種類)。ちなみに,開発する際にツリーの先にある技術を指定すると,そこに至るまでの前提技術が順番に予約されていく。また,技術ツリーをキーワード検索できるようになっているので,「慣れるまで何がどこにあるのか分からない」という問題はそれなりに解決できる。

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 人口の配置は,人口の増加や技術開発の貢献に,自勢力の人口をどれだけ割り当てていくかを決めるシステムだ。
 ちなみに,人口に幸福度的なものが存在するかどうかは分からなかったが,税金が過度に高かったりするとストライキを起こし,研究や生産の効率が低下するようなので,少なくとも内部的にそういった概念が存在するのは間違いないだろう。内政においては,このあたりのマネージメントも重要になってくると思われる。

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 外征部分においては,ほかの勢力と戦争するという展開もあるが,それ以外にも中立のコロニーや海賊,あるいはエイリアンとの遭遇といった要素もある。
 こちらがどう動くかによって態度を変える中立のコロニーや,敵対的なNPCである海賊といった要素は,Civプレイヤーならば「ああ,あれね」と感じるだろう。エイリアンについては,「Sid Meier's Alpha Centauri」の強力な先住生物を想像すると分かりやすいだろう。King氏によると,ゲームを始めたばかりの段階で作った艦隊では,海賊は倒せても,エイリアンはまったく無理とのこと。

中立コロニーが出すQuestを解決すると,そことの友好度が上がる
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宇宙海賊との戦闘。惑星を攻撃する場合は,その能力を持った艦艇が必要
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 外征の延長線上に存在するのが,外交である。
 これはもう,現状ではとにかくCivだ。交渉相手となるほかの勢力の立ち絵が表示され,こちらから提示する条件と,相手に要求する条件を示して,交渉する。自分の取材メモを見ても「超Civだコレ」と明確に書いているくらい,UIの隅々に至るまで,ばっちりCivである。

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マップが変える,ゲームの面白さ


 さて,ここまでさんざんCivだCivだと連呼してきたが,そうはばかりなく書けてしまえるほど,ここまではCivである。しかし,前述したとおり,マップの構造を見てみると,MoOは抜本的に違っている。

 MoOでは,太陽系が1つの「エリア」となっており,それがマップ中にたくさん存在する。隣接する太陽系同士は,ワームホールという道でつながっており,それ以外の太陽系には直接行き来することはできない。
 これは専門用語で「ポイント・トゥ・ポイント」と呼ばれる仕組みで,これを採用している日本のPCストラテジーゲームには,システムソフトの「天下統一」などが挙げられる(最近では信長の野望もこの方式を採用している)。ちなみにポイント・トゥ・ポイントのマップと,戦略級SFの相性はとても良く,1970年から1980年頃のボードゲームにおいても,ポイント・トゥ・ポイントを採用したマップがよく利用されていた。
 MoOの場合,各ポイントに複数の惑星が配置されている,という構造になる。

 なお,ワームホールと太陽系が接する場所には,関所のようなものを建設でき,国境として機能する。したがって,国境の開放を認めた勢力以外は,その関所を平和的に通過することができないのだ。

画像集 No.012のサムネイル画像 / [gamescom]これぞまさに正統派4Xゲーム。「Master of Orion」のデモプレイを見てきた

 いずれにしても,ポイント・トゥ・ポイントのマップにおいては,敵の本部隊がどこにいて,重要拠点はどこなのかを見抜くことが大切だ。というのも,太陽系と太陽系のつながり方は思った以上に複雑で,ある程度目星を付けて行動しなければ,無駄にターンを消費することになるからだ。
 さらに本作の場合は,ワームホールを使った移動に数ターン消費することがある。このため,敵の陽動に乗って主戦力を移動させてしまうと,気づいた時には完全に手遅れ,ということも起こり得るだろう。

画像集 No.013のサムネイル画像 / [gamescom]これぞまさに正統派4Xゲーム。「Master of Orion」のデモプレイを見てきた

 また,スパイを放って敵艦隊の場所や強さを知るというのも大切だ。これにより,敵の動きを先読みして,機動性に富んだ艦隊を囮として用意したり,国境からある程度までの空間を緩衝地帯として保持したり(「空間を消費して時間を稼ぐ」ことが可能となる)といった発想も活きてくる。
 無論,優れたストラテジーゲームは,こういった偵察や機動防御,あるいは「空間と時間のトレード」といった要素を,必ずと言っていいほど有している。ゆえにCivにだって当然,こういった要素はある。
 だがMoOが採用しているマップは,上記のような要素をより強調して,かつ手軽にプレイヤーに体験させられるというメリットがある(反面,これによって失われるものもあるが)。そしてこの「何を誇張し,何を省略するか」こそが,ストラテジーゲームをデザインすることだと言ってもいいだろう。


質疑応答


 最後に,今回のデモプレイを見て気になったところを,いくつか聞いてみたので,そちらの内容も掲載しておこう。短くなってしまったのは,ゲームの説明に熱が入りすぎて,終わった(というか途中で切り上げた)ところで規定時間をオーバーしつつあったからだ。

4Gamer:
 この手のゲームは,1ゲームのプレイ時間が重なるほど,動作が急激に重たくなり,場合によっては事実上プレイ不能になることも珍しくありませんが,MoOではトータルでどれくらいのプレイ時間を想定していますか。

画像集 No.014のサムネイル画像 / [gamescom]これぞまさに正統派4Xゲーム。「Master of Orion」のデモプレイを見てきた
King氏:
 最短で2時間程度で勝者が決まるように調整しています。ただし,10種族全部をマップに投入すると,10〜15時間くらいかかることもあるでしょう。

4Gamer:
 1ターンは1年とのことですが,例えばこれを10年くらいにして,もっと素早くゲームが終わるようなモードは考えていますか。

King氏:
 スタッフ内でもそういう意見は出ていて,検討しているところです。

4Gamer:
 MODについてはどうでしょうか。

King氏:
 それも現在討議中です。

4Gamer:
 ボイスが大量に入っていますが,日本語でローカライズする予定はありますか。

King氏:
 実はそれが,今最も大きな話題になっている課題の1つです。今のところお話はできません。

4Gamer:
 プレイヤーは,そういった要望などを,どうやって伝えればいいのでしょうか。

King氏:
 現状はまだクローズドαテストの段階ですが,やがてクローズドβテストへと移行していくので,その時にぜひ参加してもらって,そこでフィードバックを貰えると,大変嬉しいです。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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