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Coffee Lake-S対応のIntel Z370チップセット搭載マザーボードを各社が発表。前世代マザーボードからの変化は少ない
ただ,Coffee Lake-Sの国内発売時期が未定――Intelの公式発表では「2017年第4四半期中」――であるため,発売日やメーカー想定売価が明らかになっていない製品も多い。
2017年10月6日12:20頃追記:ASUSの一部製品でメーカー想定売価が公表されたことを受けて,関連する記述を修正しました。
Z370チップセット自体が,前世代に当たるIntel Z270チップセットと機能面で変わりがないこともあって,マザーボード新製品ではあるものの,前世代のマザーボードと比べて,機能面での違いはあまりないのが正直なところ。とはいえ,Coffee Lake-Sに対応するチップセットは,今のところZ370しか存在しないので,新CPUを使ってゲーム向け自作PCを作りたいのであれば,これらを選択するしかないのが現状だ。
ともあれ本稿では,アルファベット順に各社の新製品をまとめて紹介しよう。
ASRock:Fatal1tyシリーズのハイエンドマザーボードを発表
ASRockは,Z370チップセットのゲーマー向けマザーボードとして,「Fatal1ty」の名を冠するATXタイプの製品「Fatal1ty Z370 Professional Gaming i7」(以下,Z370 Professional Gaming i7)を国内市場向けに発売する。
基本的には,Intel Z270チップセット採用の「Fatal1ty Z270 Professional Gaming i7」をZ370チップセットに置き換えたもので,一般的なIntel製LANコントローラに加えて,高速有線LAN規格のIEEE 802.3bz(※別称はNBASE-T)に対応するAquantia製LANコントローラの2つを搭載する特徴は,従来モデルと変わっていない。
ただ,前モデルのAquantia製LANコントローラが最大通信速度5Gbpsだったのに対して,Z370 Professional Gaming i7では,カテゴリー6以上のLANケーブルおよびIEEE 802.3bz対応のネットワーク機器と組み合わせることで,最大10Gbpsでの高速データ転送が可能であると,ASRockはアピールしている。
そのほかにも,3基のNVM Express(以下,NVMe)対応M.2スロットを備える点や,Creative Technology(以下,Creative)のOEM向けサウンド拡張ソフトウェアスイート「Sound Blaster Cinema 3」をオンボードサウンド機能に採用する点,IEEE 802.11ac対応無線LAN機能の標準搭載なども特徴といえよう。
ASRock 日本語公式Webサイト
ASUS:「TUF」ブランドの名を冠するゲーマー向けマザーボードをラインナップ
ASUSのゲーマー向けマザーボードといえば,「オーバークロッカーとゲーマー向けに特化したプレミアムシリーズ」という位置づけの「ROG MAXIMUS」と,価格対性能比重視のゲーマー向け製品「ROG STRIX」という2シリーズ展開となっていた。そこに新しく,「TUF GAMING」という新シリーズが加わり,3シリーズの計8製品というラインナップになったのが,今回のトピックだ(表1)。
製品名 | フォーム |
チップセット | PCIe |
M.2 |
USB 3.1 (Gen.2) |
想定売価(税別) |
---|---|---|---|---|---|---|
ROG MAXIMUSシリーズ | ||||||
ROG |
ATX | Z370 | PCIe x16×1 PCIe x16×1 PCIe x16×1 PCIe x1×3 |
2 | 搭載 (詳細は確認中) |
未定 |
ROG |
ATX | Z370 | PCIe x16×1 (x16またはx8動作) PCIe x16×1 (x8動作) PCIe x16×1 (x8またはx4動作) PCIe x16×1 (x4動作) PCIe x1×2 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
ROG |
ATX | Z370 | PCIe x16×1 (x16またはx8動作) PCIe x16×1 (x8動作) PCIe x16×1 (x8またはx4動作) PCIe x16×1 (x4動作) PCIe x1×2 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
4万5000円前後 |
ROG |
ATX | Z370 | PCIe x16×1 (x16またはx8動作) PCIe x16×1 (x8動作) PCIe x16×1 (x4動作) PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
4万1000円前後 |
ROG STRIXシリーズ | ||||||
ROG |
ATX | Z370 | PCIe x16×1 (x16またはx8動作) PCIe x16×1 (x8動作) PCIe x16×1 (x4動作) PCIe x1×4 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
2万8000円前後 |
ROG |
Micro-ATX | Z370 | PCIe x16×1 (x16またはx8動作) PCIe x16×1 (x8動作) PCIe x1×2 |
2 | Type-A×2 | 2万6000円前後 |
ROG |
Mini-ATX | Z370 | PCIe x16×1 | 2 | 非搭載 | 3万1000円前後 |
TUF GAMINGシリーズ | ||||||
TUF |
ATX | Z370 | PCIe x16×1 (x16動作) PCIe x16×1 (x4動作) PCIe x1×4 |
2 | Type-A×2 | 2万2000円前後 |
既存のTUFシリーズは,耐久性や信頼性を重視したマザーボードであるが,TUF GAMINGはそれと異なり,「一部TUF機能を搭載したゲーミング入門者向け」のシリーズであるという。位置付けとしては,ROG STRIXよりも,さらに入門者向けに振った製品になるそうだが,TUFシリーズで使われる高耐久性の部品を採用しているそうなので,PCに高負荷を与えるゲームを長時間プレイするゲーマーには,魅力的に感じられるかもしれない。
そんなTUF GAMINGのマザーボードとしては,「TUF Z370-PLUS GAMING」という1製品がラインナップされている。
TUFシリーズといえば,マザーボード表面を保護カバーの「TUF Thermal Armor」で覆った外観が特徴だったが,TUF GAMINGは入門者向けにコストを下げる必要があったのか,保護カバーを備えていない。その一方で,正面から見てマザーボード右端部分に,カラーLEDイルミネーション機能を内蔵している点が,ゲーマー向け製品らしいポイントといえよう。
TUG GAMING以外の製品における特徴も簡単に見ていこう。
Z370チップセット採用のROG MAXIMUSとROG STRIXでは,CPUとメインメモリ間の信号を均等に整えて,高クロックでも安定した動作を実現するという「OptiMem」という技術の導入が,新しい特徴となっている。
また,X299チップセット採用マザーボードで導入したM.2 SSD用のヒートシンクや,PCI Express x16スロットに接続するM.2 SSD用拡張カード「ASUS HYPER M.2 X16 card」への対応,マザーボード上に小さな支柱を設置し,そこに別売りの小型ファンを取り付けることでVRM部分を冷却できるという「ASUS ファンホルダー」といった機能もポイントであるとのことだ。
ASUSTeK Computer 日本語公式Webサイト
GIGABYTE:X299搭載マザーボードの仕様を取り込んだ2製品を投入
GIGABYTEは,Z370チップセットを搭載するゲーマー向けマザーボードとして,「Z370 AORUS Gaming 7」と「Z370 AORUS Ultra Gaming」というATXタイプの2製品を,11月23日に国内市場で発売する予定だ。世界市場向けには,これらを含む計6製品がゲーマー向けにラインナップされているのだが,今のところ国内では,この2製品のみとのこと。
ちなみに,Z270世代のGIGABYTE製マザーボードは,製品名の頭に「GA-」という接頭語が付いていたが,Z370世代の製品名には付かなくなったようだ。
製品名 | フォーム |
チップセット | PCIe |
M.2 |
USB 3.1 (Gen.2) |
---|---|---|---|---|---|
Z370 |
ATX | Z370 | PCIe x16×1 (x16またはx8動作) PCIe x16×1 (x8動作) PCIe x16×1 (x4動作) PCIe x1×3 |
3 | Type-A×1 Type-C×2 |
Z370 |
ATX | Z370 | PCIe x16×1 (x16またはx8動作) PCIe x16×1 (x8動作) PCIe x16×1 (x4動作) PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
ラインナップの上位モデルとなるZ370
また,サウンドプロセッサ用ソフトウェアスイートとしては,Creative製の「Sound BlasterX 720°」を採用するとのことで,2017年6月に登場したIntel X299チップセット搭載マザーボード(関連記事)から,サウンド周りの仕様を継承しているようだ。
また,電源回路にデジタルPWMコントローラと「Smart Power Stage」と呼ばれるパワーIC,サーバー製品向けのチョークコイルを組み合わせて採用することで,電力の変動に敏感なコンポーネントにも高い精度で電力供給を行えることも特徴であるという。
GIGA-BYTE TECHNOLOGY 日本語公式Webサイト
MSI:10製品ものゲーマー向けマザーボードをラインナップ
チップセットがZ370の1種類しかないこともあってか,Intel 200シリーズ世代と比べて控えめなラインナップとなっている3社に対して,MSIは,3シリーズ計10製品ものゲーマー向けマザーボードをラインナップしてきた(表3)。ただ,MSIが発表した10製品すべてが国内市場向けに販売すると決まったわけではないそうで,実際に何製品が登場するかは未定であるという。
製品名 | フォーム |
チップセット | PCIe |
M.2 |
USB 3.1 (Gen.2) |
---|---|---|---|---|---|
Enthusiast Gamingシリーズ | |||||
Z370 |
E-ATX | Z370 | PCIe x16×4 PCIe x1×1 |
3 | Type-A×1 Type-C×2 |
Z370 |
ATX | Z370 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
Performance Gamingシリーズ | |||||
Z370 |
ATX | Z370 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
Z370 |
ATX | Z370 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
Z370I |
Mini-ITX | Z370 | PCIe x16×1 | 非搭載 | Type-A×1 Type-C×1 |
Z370 |
ATX | Z370 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
Z370 |
ATX | Z370 | PCIe x16×2 PCIe x1×4 |
1 | 非搭載 |
Z370M |
Micro-ATX | Z370 | PCIe x16×1 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
Arsenal Gamingシリーズ | |||||
Z370 |
ATX | Z370 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
Z370M |
Micro-ATX | Z370 | PCIe x16×2 (x16またはx8動作) PCIe x1×2 |
1 | Type-A×1 Type-C×1 |
今回のMSI製品で興味深いのは,最上位モデルに位置付けられる「Z370 GODLIKE GAMING」だ。Coffee Lake-Sは,統合型グラフィックス機能を備えたCPUであるが,Z370 GODLIKE GAMINGはオーバークロック用途に最適化するという目的で,あえて統合型グラフィックス機能をサポートしていないのだという。
統合型グラフィックス機能をサポートしないことが,どの程度オーバークロック性能に影響するのかは疑問であるが,ハイエンドのマザーボードを使うゲーム用のPCで,グラフィックスカードを使わない構成が現実的ではないことを考えると,割り切り方としてはありかもしれない。
また,Z370 GODLIKE GAMINGの変わった特徴として,MSIは,「Killer xTend」という機能をアピールしている。これは,「Killer」シリーズのLANコントローラで知られるRivet Networksが開発した技術で,Z370 GODLIKE GAMINGベースのPCを無線LANアクセスポイント,または無線LANルーターとして使うというものだ。
家庭内で使われるPCやゲーム機,モバイルデバイスの通信を,Killer xTendに対応するPCで一元管理することにより,PCゲームやビデオストリーミングといった重要なアプリケーションに対して,優先的に帯域を割り当てることで快適な通信を実現できるという。ゲーマー向けを謳う無線LANルーターが搭載している機能を,ハイスペックなPC上でソフトウェアにより実現しましょうというわけだ。
ゲームPCにおいて,この機能が実用的か否かは,テストをしていない現状ではなんとも言えないが,ゲーマー向けを謳うネットワーク製品を手がけるRivet Networksらしいアプローチで,なかなか興味深い。
Intel 200シリーズチップセット搭載マザーボードで導入された仕様,たとえば,PCIe x16スロットやメインメモリスロットの金属製保護カバーや,対応周辺機器と連動して光るカラーLEDイルミネーション機能「Mystic Light」の搭載といった特徴は,今回も引き続き採用している。
MSI 日本語公式Webサイト
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Fatal1ty Gaming Products
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