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「Intel Z170」搭載のゲーマー向けマザーボードを各社が発表。高速化されたM.2スロットやUSB 3.1 Type-A&Cポート搭載が標準に
本稿では各社からの情報をもとに,一足先にラインナップを発表したMSI製品を除いた,ASUS,ASRock,GIGABYTEの製品概要をまとめてみた。
なお,Intel Z170チップセット(以下,Z170)自体の説明は,Skylake-Kの解説記事を参照してほしい。
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R.O.G.に加えて,やや安価なPRO GAMINGも登場
ASUSTeK Computer
ASUSのゲーマー向け製品といえば,「R.O.G.」(Republic of Gamers)ブランドというイメージを持つ人が多いだろうが,最近ではR.O.G.ブランド以外から,やや安価なゲーマー向けマザーボードが販売されることもある。それを反映してか,今回のZ170シリーズ搭載マザーボードでも,R.O.G.からの4製品だけでなく,新シリーズとなる「PRO GAMING」からも1製品という,計5製品が登場することとなった。
ラインナップと主な仕様,メーカー想定売価と価格をまとめたものが表1となる。
製品名 | フォーム |
PCI Express |
M.2 |
USB 3.1 | 想定売価(税込) | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|---|
MAXIMUS VIII EXTREME | EATX | 未定 | 未定 | Type-A×未定, |
未定 | 未定 |
MAXIMUS VIII HERO | ATX | PCIe x16×3, PCIe x1×3 |
1 | Type-A×1, |
3万7500円前後 | 8月8日以降 |
MAXIMUS VIII RANGER | ATX | PCIe x16×3, PCIe x1×3 |
1 | Type-A×1, |
3万1000円 | 8月8日以降 |
MAXIMUS VIII GENE | microATX | PCIe x16×2, PCIe x4×1 |
1 | Type-A×1, |
3万4500円 | 8月8日以降 |
Z170 PRO GAMING | ATX | PCIe x16×3, PCIe x1×3 |
1 | Type-A×1, |
2万6000円前後 | 8月8日 |
R.O.G.ブランドのZ170搭載マザーボードでは最上位モデルとなるMAXIMUS VIII EXTREME。なお,本製品は発売日が未定で,詳細なスペックも公表されていない |
MAXIMUS VIII EXTREMEのCPUソケット,LGA 1151パッケージ対応の新しいソケットだ。左側には電源回路を構成するコンデンサが12個並んでいる |
それでは,R.O.G.のZ170搭載マザーボードからチェックしていこう。まず目に付くのは,色の変更だ。R.O.G.のマザーボードといえば,黒地に赤色をあしらった配色をしていたものだが,今回の4製品はいずれも,黒色が主体の配色に変更されて,赤色はアクセント的に使われる程度になっている。他社のゲーマー向けマザーボードでも,黒地に赤という似たような配色を使う製品が販売されていたので,差別化を狙ったのだろうか。見た目はシックで,派手な配色の多いゲーマー向けマザーボードに違和感を感じる人には,こちらのほうが受け入れられやすそうだ。
今回発表されたマザーボードでは,いくつかの共通した特徴が用意されている。
その中でもポイントとなるが,USB 3.1対応ポートの標準搭載だ。MAXIMUS VIII HERO/RANGER/GENEの場合,I/Oパネル部分に従来のUSB Type-Aポートと同じ形状のUSB 3.1 Type-Aポートが1つと,小型で上下対称形状のUSB 3.1 Type-Cポートが1つ装備されており,ともに最大転送速度10Gbpsの高速データ通信が可能となっている。
オーバークロック用途を想定した独自のクロックジェネレータ「PRO Clockチップ」の採用も,今回の新製品に共通した特徴の1つだ。出力可能なクロックを最大400MHzまで設定可能なPRO Clockチップを新たに採用し,従来からあるCPU電圧制御用チップ(TurboV Processing Unit)と電力供給関連チップ(Energy Processing Unit)の計3つを組み合わせることによって,安定したオーバークロック動作を実現すると,ASUSではアピールしている。
そのほかの特徴をざっと見ていくと,まずM.2対応SSDの接続に利用するオンボードのM.2スロットは,PCIe 3.0 x4接続に対応し,最大32GB/sの高速なデータ転送が可能になった。
オンボードのサウンド機能である「SupremeFX」は,「SupremeFX 2015」にアップデートされた。ニチコン製コンデンサやESS Technology製DACの採用,クロックジェネレータの追加などによって,さらに高音質なサウンド機能を実現しているとのことだ。
MAXIMUS VIII EXTREMEのストレージ接続用コネクタとM.2スロット。詳細は未公開だが,SATA 6Gbpsポートは8ポート備えるようだ |
カバーに覆われたサウンド機能のSupremeFX 2015。コンデンサはゲーマー向けマザーボードでの採用事例が多いニチコン製に |
ソフトウェア面の改良点としては,メインメモリの一部をSSD用のキャッシュメモリに割り当てる「ROG RAMCache」の導入や,通常のキーボードにゲーマー向けキーボードのようなマクロ機能を持たせる「KeyBot II」といった機能が挙げられている。KeyBot IIは格闘ゲームを想定して,マクロの左右入力を反転させる機能も備えているそうだ。
なお,ゲーマー向けマザーボードでは,1000BASE-T LANコントローラとしてRivet Networksの「Killer」シリーズを採用する製品が多いのだが,ASUSでは実効性能に大差がないことと信頼性を重視して,Intel製1000BASE-T LANコントローラ「Intel I219-V」を採用し続けている。ゲームの通信データを認識して,自動で高い優先度を割り当てる機能を持つソフトウェア「GameFirst III」も提供されており,機能面ではKillerシリーズと大きな差はなさそうであり,信頼性をとってこちらを選ぶというのもありだろう。
派手な新機能こそ見当たらないものの,ゲーマー向けマザーボードに求められる仕様を過不足なく備えた,そつのない製品といった印象を受ける。信頼性や安定性に重点を置くなら,候補に挙がる製品群ではないだろうか。
ATXモデルはKiller E2400搭載がウリ
ASRock
製品名 | フォーム |
PCI Express |
M.2 |
USB 3.1 | 想定売価(税別) | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|---|
Z170 Gaming K6 | ATX | PCIe x16×1, PCIe x8×1, PCIe x4×1, PCIe x1×3 |
1 | Type-A×1, |
2万6980円 | 8月5日 |
Z170 Gaming K4 | ATX | PCIe x16×1, PCIe x4×1, PCIe x1×3 |
1 | 非搭載 | 1万9980円 | 未定 |
Z170 Gaming-ITX | Mini-ITX | PCIe x16×1, mini |
1 | Type-A×1, |
未定 | 未定 |
Z170 Gaming K4。PCIe x16形状のスロットは2つあり,CrossFireには対応するものの,SLIには対応していない |
Mini-ITXタイプのZ170 Gaming-ITX/ac。製品名末尾の「/ac」は,IEEE 802.11ac対応無線LANモジュールが付属することを示す |
ASRock製ゲーマー向けマザーボードの特徴として筆頭に挙げられているのは,Rivet Networks製の1000BASE-T LANコントローラ「Killer E2400」の搭載である(※Z170 Gaming-ITX/acのみIntel製を採用)。ASRockでは,低レイテンシというKiller E2400の特徴によって,オンラインゲームを快適にプレイできるとアピールしていた。
Z170 Gaming K6+のI/Oパネル部。赤枠で囲んだポートがUSB 3.1対応ポートだ |
ASRock Front USB 3.1 Panelは,マザーボード上のSATA ExpressポートをUSB 3.1に転用して,PC前面にUSB 3.1ポートを増設するオプションだ |
そのオプションは,PCのフロントベイに取り付ける「ASRock Front USB 3.1 Panel」というもの。マザーボード上にある未使用のSATA Expressポートに接続することで,USB 3.1 Type-Aポート×1とUSB 3.1 Type-Cポート×1をPC本体前面に設置できるのだという。
ASRock Front USB 3.1 Panelの販売代理店想定売価は7980円前後(税別)で,発売時期は8月中頃の予定だ。
ちなみに,SATA ExpressポートをUSB 3.1に転用する理由について,ASRockマーケティング副本部長のChris Lee氏は,「SATA Express対応のデバイスは販売されておらず,ポートがあっても使い道がなかった」ためと述べている。使い道のないポートを遊ばせておくよりは,フロントからアクセスできるUSB 3.1ポートのほうが使い道は多そうなので,なかなか面白い手法ともいえる。
ASRock製品ではそのほかにも,従来のオンボードサウンド機能と比べて,回路設計の改良でコーデックに入力する信号がクリアになったという「Purity Sound 3」の搭載や,キーボードマクロ機能やマウスの速度調整機能を備えた専用ソフト「Key Master」なども特徴とされている。
Z170搭載のゲーマー向けマザーボードとしては,比較的安価な製品となっているので,コストを抑えてSkylake搭載ゲームPCを自作したいときに,ASRock製品は選択肢の1つになりそうだ。
派手な見た目と豊富な機能を備えた6製品が登場
GIGABYTE
製品名 | フォーム |
PCI Express |
M.2 |
USB 3.1 | 想定売価(税別) | 発売日 |
---|---|---|---|---|---|---|
GA-Z170X-Gaming G1 | ATX | PCIe x16×2, |
2 | Type-A×1, |
7万9920円 | 8月第4週頃 |
GA-Z170X-Gaming 7 | ATX | PCIe x16×1, |
2 | Type-A×1, |
3万6709円 | 8月第4週頃 |
GA-Z170X-Gaming 5 | ATX | PCIe x16×1, |
2 | Type-A×1, |
2万6989円 | 8月第4週頃 |
GA-Z170X-Gaming 3 | ATX | PCIe x16×1, |
2 | Type-A×1, |
2万1492円 | 8月第5週頃 |
GA-Z170MX-Gaming 5 | Micro ATX | PCIe x16×1, |
1 | Type-A×1,Type-C×1 | 未定 | 9月第3週頃 |
GA-Z170N-Gaming 5 | Mini-ITX | PCIe x16×1, |
1 | Type-A×1,Type-C×1 | 未定 | 9月第3週頃 |
今回のGIGABYTE製品は,実に多くの特徴を備えているので,主なポイントを順に説明していこう。なお,ラインナップ最上位のGA-Z170X-Gaming G1については,COMPUTEX TAIPEI 2015でのレポート記事で詳しくレポートしているので,興味のある人はそちらも参照してほしい。
さて,GIGABYTEの新製品でまず目に付くのが,白地に赤という派手な配色のヒートシンクやI/Oパネルのカバーだ。G1 Gamingが「G1 Killer」と呼ばれていた頃も,GIGABYTEは黒地に緑色という珍しい配色や銃器を模した形状のヒートシンクを使った,派手なゲーマー向けマザーボードを製品化していたものだが,新製品も負けず劣らずに派手だ。
派手な配色に輪をかけるのが,マザーボード各所に埋め込まれたカラーLEDによるLEDイルミネーション機能「G1 Looks」である。製品名のロゴやオンボードサウンド機能の周辺などを光らせることが可能で,色や発光パターンは,Windows用アプリから設定できるとのこと。マザーボードのイルミネーションがゲーマーにとって売りになるのかは正直疑問なのだが,少なくともかなり派手なマザーボードであることは間違いない。
外観上でもう1つの特徴は,PCIe x16スロットが金属製のシールドで覆われていることだ。これは,大重量のグラフィックスカードを装着したときに,スロットが損傷することを避けるほか,静電気やノイズを防ぐ効果もあるという。大きな冷却機構を備える重いグラフィックスカードを使っていて,マザーボードやスロットが破損しないかと不安を感じる人なら,ちょっと安心できるかもしれない。
ただ,MSIのZ170搭載マザーボードも,同様の特徴である「Steel Armor」を備えているので,
また,ATXタイプの製品は,PCIe 3.0 x4接続のM.2スロットを2スロット備えている点も特徴の1つだ。M.2スロットを2つ備えているのは,GIGABYTE製品とMSI製品くらいなもので,PCIeスロットを使わずに高速なSSDを2枚まで装着できるという点は,魅力的な要素といえそうだ。
以上のように,GIGABYTEのZ170搭載マザーボードは,実に盛りだくさんな機能を備えている。機能豊富な上位モデルはやや価格が高めなのが難点だが,「とにかく機能が豊富な製品が欲しい」という人には,うってつけの製品といえるのではないだろうか。
ASUSTeK Computer 日本語公式Webサイト
ASRock 日本語公式Webサイト
GIGA-BYTE TECHNOLOGY 日本語公式Webサイト
- 関連タイトル:
Core i7・i5・i3・M(Skylake)
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