イベント
吉川晃司さんが曹操と張角を愛する理由とは? ディープなトークが展開された「三國志13」完成発表会レポート
イベントのオープニングでは,中国民族芸術団による伝統芸能「龍舞」が披露された。賑々しい音楽と共に龍が舞い踊るというもので,三國志シリーズ最新作の発表会にふさわしい幕開けだ。
最初に登壇したのは鯉沼氏。「シリーズ30周年を記念するタイトルとして,三國志13には期待しています。1か月ほど発売を延期させていただき,皆様にご迷惑をおかけしましたが,その分ゲームとして面白くまとめることができました」と挨拶した。
続いて,ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア プレジデントの盛田 厚氏が登場。「私も三國志13を,首を長くして待っていました。13といわず,3594(さんごくし)作品,シリーズを続けて下さい」とエールを送った。
そして,この人なしにはシリーズを語れない,シブサワ・コウが登場。「1985年当時は,『信長の野望』を出した後ということもあり,新たな切り口をどうしようかと考えたところ,三國志の英傑たちの人間ドラマをゲーム内で再現していこうということで,初代作の開発をスタートしました。30周年を迎える今回,原点に戻り人間ドラマを中心にして組み立てていきました」と,初代作品のエピソードを交えつつ挨拶した。
続いて登場した鈴木氏によって,ゲームの見どころが解説された。
氏によれば,本作のキーワードは「人間ドラマ」「スペクタクル」「ダイナミズム」であるという。
まず人間ドラマは,700名もの武将から好きな人物を選んでのプレイが可能で,一部の武将に関しては,内政時と戦闘時,そして年齢や地位の変化に応じたビジュアルが用意されていることが明かされた。また,新システムとなる「相関図」「絆」では,武将同士のつながりと存在感を表現しているという。こうしたシステムに関しては,三國志の歴史を追う「英傑伝」というモードで学べるとのことだ。
続くスペクタクルは,三國志の華である戦のこと。壮大な戦闘シーンは3Dグラフィックスで表現され,部隊の士気を高めれば兵数の差をひっくり返すような戦いもできるそうだ。また,英傑の策略や一騎打ちなど,これぞ三國志というようなシステムも用意されている。
最後のダイナミズムとは,3Dグラフィックスで描かれた中国の風土だ。地方ごとに異なる風景が広がり,都市の描写も建物が増えたり,行き交う通行人が増えたりといった形で内政による発展が表現されるという。また,中国大陸から都市内部までをシームレスでズームイン/アウトできるとのことだ。
続いて本作の購入者特典やタイアップ情報が紹介された。
初回限定特典は,「英雄十三傑」「呂布討伐戦」「赤壁の戦い」のシナリオダウンロードシリアルと,「三国志ツクール」用のDLC「顔登録素材“三國志13”セット」。また,PC版限定で初代「三國志」が収録される。PC版は1月22日にベンチマークデモの配信がスタートするので,購入予定の人は自身の環境での動作を確認しておこう。
1月28日には,横山光輝氏の傑作漫画「三国志」とのタイアップ企画がスタート。ゲームで使える「諸葛亮」のグラフィックスが期間限定で無料ダウンロードできる。その後もさまざまなキャラクターのグラフィックスが配信予定とのことだ。2月4日からは,ドラマ「三国志 Three Kingdoms」に登場する武将37名のグラフィックスが勢力ごとに無料配信される。
4月16日に「三國志」30周年記念コンサートが神奈川県のミューザ川崎シンフォニーホールにおいて行われることも明かされた。シリーズでは初となるオーケストラコンサートで,三國志13の購入者の中から抽選で1000名が無料招待されるという。また,同社のソーシャルゲーム「100万人の三國志 Special」でも同様の無料招待が行われるとのことだ。
「三國志」30周年記念コンサートの演奏は神奈川フィルハーモニー管弦楽団が務める |
春秋航空日本とのタイアップによる,成田・武漢間往復航空券が当たるTwitterキャンペーンも |
情報紹介が一段落したところで,テーマソング「Dance To The Future」を歌う吉川さんを迎え,シブサワ・コウと鈴木氏を加えた3人によるトークコーナーがスタートした。
吉川晃司さん |
三國志シリーズが楽曲タイアップを行うのは,30年の歴史で初めてのことだが,吉川さんが三國志を含む古代中国史通であることからオファーが行われたという。吉川さんは信長の野望を初代から遊んでいるほか,「提督の決断」シリーズも嗜むというシミュレーションゲームファンで,シブサワ・コウからのオファーを「こんな光栄なことはない」と快諾し,今回のタイアップが実現したそうだ。
吉川さんは,三國志に登場する武将の中では曹操,馬超,呂布が好きだという。その中でも一番好きなのは誰かという質問に対し,吉川さんは選んでいくと切りがない……と前置きしたうえで「ここは曹操さんでいきたいですね」と回答。TVの企画で曹操の墓所を訪問したとき,頭痛持ちの曹操が頭を冷やすための石枕を見たことから思い入れが強くなったのだという。
続いて,三國志13に登場する貂蝉,大喬,小喬,孫尚香のうち,特に好きなのは誰かと聞かれた吉川さん。「曹操さんの話はもう終わりですか?」と,未練を見せつつも,架空の人物でありながら“中国四大美女”に選ばれるインパクトから貂蝉を推していた。なお,鈴木氏によれば,貂蝉を巡って董卓と呂布が仲違いした「美女連環の計」はゲームにも登場するそうなので楽しみにしておこう。
話題はまた武将に戻り,もう一人の好きな武将ということで吉川さんが挙げたのは張角。「大賢良師」を名乗って黄巾の乱を起こした人物だ。とくに「三国志演義」のファンにとっては悪役としての印象が強いはずで,少々意外な選択だが……。
吉川さんは,演義であれば劉備,正史だと曹操が中心というように,編者や為政者の視点や思惑によって主役が異なってくる……と前置きしたうえで,これが農民の視点であれば,張角がメインとなってもおかしくないのではないか,と指摘した。
黄巾の乱は政治の腐敗に耐えかねた民がやむにやまれず蜂起したものであるという経緯を考えると,民衆から見た張角は“正義の人”なのではないかというわけである。
歴史というのは,語り継ぐ者によっていかようにも変化していくものだが,そこを鋭く突いた吉川さんの古代中国史愛に,シブサワ・コウ,鈴木氏も感心していた。
鈴木氏は中国の人と話をしたとき「日本では張角らの蜂起を“黄巾の乱”と呼ぶが,あれは“乱”ではない」と怒られたことがあるそうで,吉川さんの考察が的を射ていることが分かる。
そんな吉川さんが歌う「Dance To The Future」は,「現代だって乱世じゃないか。生き抜くための術をシミュレーションして一歩前に出ろ!」という思いから,自分の未来や愛する者を守るための戦いを,未来へ向けたダンスに例えた曲であるという。
1月28日からの2か月間,Dance To The Futureを「レコチョク」から購入すれば,限定特典として,ゲーム内でオリジナル武将「吉川晃司」が使えるシリアルコードがプレゼントされる。この武将・吉川晃司は,吉川さんの座右の銘から名前が取られた計略「蘭心竹生」(らんしんちくしょう。蘭のように気高く,竹のように真っ直ぐ生きるという意味)を持っている。これは味方の士気と攻撃力をアップさせる強力な効果の計略だ。
能力値は吉川さんのイメージに基づいて決められているのだが,「統率」「武力」「知力」は非常に高い一方で,なぜか「政治」の値は1という,極端な設定となっている。
開発チームとしては政治の値も高いイメージを持っていたそうだが,「政はとても大切なのだが,そこに乗っかってしまったろくでもない人間が多い。歴史で尊敬できる政治家もそうそういないし,だったら自分は猪突猛進の武将でいい」という吉川さん自身の意見を反映させて1になったのだという。
また,「水練」と「一騎」の適性が9というのは,吉川さん本人が水球をしていること,そして“芸能界で最強”という噂が流れていることから決まったとのこと。「武力が高くて政治が低いというのは初戦で死んでしまうタイプですね。水の中なら結構戦えるので,蔡瑁の水軍に入れてもらおう」と,吉川さんはここでもディープな三國志トークを展開していた。
冒頭でも触れたように,「三國志13」は1月28日発売。30年という長い歴史を誇る人気シリーズの最新作だけに,これまでプレイしたことがなかったり,三国志にあまり興味がないという人も,これを機に触れてみてはどうだろうか。
「三國志13」公式サイト
キーワード
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
- 三國志13 初回封入特典(シナリオ「英雄十三傑」「呂布討伐戦」「赤壁の戦い」ダウンロードシリアル)付
- Software
- 発売日:2016/01/28
- 価格:¥7,800円(Amazon) / 8422円(Yahoo)