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AMD,デュアルFijiカード「Radeon Pro Duo」の詳細を公開。国内でのカード単体販売はなし
だが,日本のRadeonファンにはとても残念なことに,日本市場においては,
AMDによる資料をもとに,Radeon Pro Duoの詳細を確認してみよう。
Radeon R9 Nano×2のスペックと消費電力
まずは,Radeon Pro Duoのスペックから見ていこう。
本製品は,演算ユニットである「Compute Unit」にして64基,総シェーダプロセッサ数4096基,オンパッケージのHBM1(High Bandwidth Memory 1)によるグラフィックスメモリ容量は4GBという,FijiコアのGPUを2基搭載する製品だ。GPUコアの最大動作クロックは1000MHz,メモリクロックも1000MHzなので,GPUコア1基あたりの仕様は「Radeon R9 Nano」(以下,R9 Nano)と同じという理解でいいだろう。カード全体のTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は350Wで,これはR9 Nanoのちょうど2倍だ。
表は,Radeon Pro Duoのスペックを,R9 Nano,そして既存のデュアルGPUカード「Radeon R9 295X」(以下,R9 295X)および競合製品である「GeForce GTX TITAN Z」,シングルGPUカード「GeForce GTX TITAN X」(以下,GTX TITAN X)と比較したものだが,16.38 TFLOPSという単精度浮動小数点演算性能は圧巻であり,AMDはこの値を基に,Radeon Pro Duoを史上最速のグラフィックスカードと呼んでいる。
カード自体の全長は268〜270mmで,厚みは2スロット分。これに,「Radeon R9 Fury」と同じように,120mm径の空冷ファン付きラジエータが“生えて”いる簡易液冷ユニットを組み合わせてある。
ビデオ出力インタフェースは,DisplayPort 1.2×3とHDMI 1.4×1という仕様になっている。FijiがHDMI 2.0には対応していないので,4K解像度の60Hzで出力するには,DisplayPortを使うしかない。
なお,PCI Express補助電源コネクタは,8ピン×3という極めて珍しい仕様となっている。この8ピン×3仕様は,「Radeon R9 290X」を2基搭載したASUSTeK Computerの「ARESIII-8GD5」といった特殊なカードでの採用実績はあるものの,リファレンスデザインで8ピン×3を採用したものは,Radeon Pro Duoがおそらく初めてではないだろうか。
ゲームにおいてもGTX TITAN Xの1.5倍も速いとアピール
GDC 2016での発表でAMDは,「Radeon Pro DuoはVRコンテンツ制作用である」
ただ,ゲーマーとして気になるのは,Radeon Pro Duoでゲームを動かしたらどれくらいの性能が出るのかだろう。そして今回,AMDは,いくつかのゲームを使ったベンチマークスコアを公開して,性能の一端を明らかにした。
AMDによると,Radeon Pro DuoはGTX TITAN Xの1.5倍,R9 295X2の1.3倍も高速とのこと。とくに4K解像度でゲームを実行した場合のグラフを見ると,GTX TITAN Xと比べて20〜60%ほど高いフレームレートを実現しているようだ。
また,DirectX 12対応ゲーム「Ashes of the Singularity」を4K解像度で比較した場合,GTX TITAN Xの2-way SLI構成よりも,Radeon Pro Duoのほうが20%ほど高いフレームレートを実現できる。
VRコンテンツ制作において重要な,VR対応ヘッドマウントディスプレイ(以下,
AMDではそのほかにも,レイトレーシングエンジン「FireRender」に対応するAutodeskのCG制作ソフト「3ds Max」での処理性能が,Intelの「Core i7-5960X Extreme Edition」(以下,i7-5960X)と比較して15倍高速であるなど,コンテンツ制作用途における性能の高さもアピールしている。
AMDが公表した性能を見る限りでは,VRコンテンツ制作のみならず,ゲーム用途に使っても面白い製品ではないかと思えるRadeon Pro Duo。ただ,繰り返しになるが,現時点では日本市場でのカード単体販売の予定はない。どうしても欲しいという場合は,BTO標準構成価格で43万円強というProject WhiteのデスクトップPCを買うしか選択肢がない状況だ。
一般のゲーマーは次世代GPUである「Polaris」(開発コードネーム)を待つだろうという判断が働いたのかもしれないが,「史上最速のグラフィックスカード」を単体で購入する機会がないというのは,やはりちょっと残念である。
Radeon Pro Duo 製品情報ページ(英語)
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