連載
東京レトロゲームショウ2015:第18回「Grand Theft Auto III」で,全米ナンバーワンの犯罪都市「Liberty City」の裏社会でがんばってみたい
2001年にPlayStation 2向けにリリースされた(PC版は2002年)「Grand Theft Auto III」は,発売と同時に非常なセンセーションを巻き起こした問題作だ。プレイヤーが操作するキャラクターが街に巣くうさまざまな犯罪組織のミッションを請け負っていくというアクションゲームであり,そういう組織の依頼なのだから,当然中身は犯罪そのもので,暗殺あり強盗ありの悪いことのオンパレード。それらを次々にクリアしていくことで,謀略と裏切りのストーリーを進めていくというものだ。
暴力的な内容には賛否両論あったのだが,巷の大きな話題になっただけあって,販売本数もかなりのものを記録している。いささか古い数字だが,2008年3月の段階で1450万本に達したとパブリッシャのTake-Two Interactiveから発表されている。最新作の「Grand Theft Auto V」が販売本数4000万本だの5000万本だのという怪物的なレベルに達しているので,現在の我々にとっては驚いて目玉が飛び出すような数字ではないかもしれないが,当時はさまざまな記録を塗り替える大ヒットだった。
メディアの評価も非常に高く,現在Metacriticのメタスコアでは,PC版が93ポイント,PS2版が97ポイントと,高い得点をマークしている。
ちなみに彼は,2004年にリリースされた(PC版は2005年)「Grand Theft Auto: San Andreas」にもカメオ出演しており,そのときに一応,名前らしきものも明らかになっている。興味のある人は調べてみよう。
逮捕されて囚人護送車に乗せられていた主人公だったが,移送中にカルテルのギャング達が襲ってくる。ギャングの目的は,主人公と一緒に乗せられていた男を助けることだったのだが,そのどさくさにまぎれて仲間の爆弾屋と共に逃げ出した彼は,隠れ家に潜み,さまざまな組織からのミッションを引き受けつつ,彼を裏切った女を追っていくことになる……というのが,本作のメインストーリーだ。
細かく作り込まれた「Liberty City」は,行ったことはないが,まさにニューヨークの息吹を感じさせてくれるものになっている。歩道には人々が,道には車が行き交い,高架線を列車が走る。時間が経てば日が傾き,夜になると歓楽街にネオンが灯る。天気のいい日もあれば,悪い日もある,といった感じで,この「Liberty City」の存在感がゲームの中核の一つと言えるだろう。最初に「Liberty City」を見たときは,そりゃあ,びっくりしたものさ。
開発元のRockstar Gamesもそのへんのことは分かっているようで,GTAシリーズの歴史は,都市拡大の歴史でもある。本作では,行きたいところへ目をつぶっても行けた筆者だが,それも「Grand Theft Auto: San Andreas」あたりまでで,メインターゲットがPlayStation 3になった「Grand Theft Auto IV」以降は,地図なしではにっちもさっちもいかなくなった。まだ何の話も出ていないが,たぶん出るであろう「Grand Theft Auto VI」がどうなっちゃうのか今から心配だ。
もっとも,ただ細かく作ってあるのを見るだけでは,すぐに飽きてしまうはず。「Liberty City」には,街のあちらこちらにさまざまなアクティビティが用意されており,メインミッションの合間にそれらを楽しむことができるのだ。例えば「Paramedic」というアクティビティでは,救急車を奪って急病人やケガ人を病院まで運ぶことになる。成功すれば,ヘルスアイテムが隠れ家に出現したり,いくら走ってもスタミナの切れない体になったりして便利なのだが,制限時間が短いため,勢いカミカゼ救急車にならざるを得ない。あっ,道行く人をひいちゃった。でも,病人の命を助けるためには,多少の犠牲は仕方ないのだ。
このほか,街のあちこちにある謎の小包を集めるアクティビティもあり,筆者はそれに熱中した。一定の数になるたびに,隠れ家に新たな武器が現れるので,メインミッションを遂行するのにも便利で,100個集めると,なんとロケットランチャーが出現する。これさえあればたいていの敵はなんとかなってしまうのだが,それにしても,誰が何のために隠しているのだろうか,この小包。
このほか,アクティビティは数え上げるとキリがないが,もちろんメインミッションも街のいたるところが舞台になって行われ,あっちで銃撃戦,こっちでカーチェイスと,さすが全米ナンバーワンの危険な街を自称するだけはある。住みたくないなあ。
「Liberty City」の犯罪組織はお互いに反目しあっているが,彼はどの組織の仕事もためらうことなく請け負い,場合によっては,それまで仕事をくれた相手を暗殺するということもやってのける。彼が危険なミッションをクリアするたびに,組織間の抗争は過熱し,ボス達は次々に命を落としたり,逃走したりすることになる。ダシェル・ハメットの「血の収穫」を思わせるプロットで,何にもしゃべらないのでよく分からないのだが,彼ってば,もしかするといい人なのかもしれない。
ミッションの難度はまちまちで統一感に欠けるところがあり,登場人物はステレオタイプ,ストーリーにはちょっと頭をひねってしまうところもあるが,それでも,まるで実在するような「Liberty City」を舞台に行われる荒々しくも爽快なプレイは,プレイヤーを引き付けて止まない。
筆者はかつて100%クリアを達成して,それは社会人としてどうなの? と褒められたものだが,この記事のために再プレイして,いろいろと忘れていることに衝撃を受けた。ちなみに本作は,のちのシリーズ作品と異なり,100%クリアしてもとくに何かが起きるわけではないのがちょっと残念だ。戦車ぐらいくれればいいのに。
長くなったので強引にまとめるが,飛ぶ鳥落とす勢いのGTAシリーズの基礎を作った本作は,Steamで購入可能だ。このほか,続編の「Grand Theft Auto: Vice City」や「Grand Theft Auto: San Andreas」も面白いので,ぜひプレイしてみよう。
Steam「Grand Theft Auto III」紹介ページ
- 関連タイトル:
Steam
- この記事のURL:
キーワード
(C)2019 Valve Corporation.All rights reserved.