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東京レトロゲームショウ2015:第4回「天下統一」で天下を統一してみたい
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印刷2015/06/04 12:00

連載

東京レトロゲームショウ2015:第4回「天下統一」で天下を統一してみたい

画像集 No.003のサムネイル画像 / 東京レトロゲームショウ2015:第4回「天下統一」で天下を統一してみたい

今週のテーマ:貧弱な大名と言われても天下を統一してみたい

 たぶん人気連載「東京レトロゲーショウ2015」も,ついに第4回。テレビアニメならこのあたりでテコ入れの「お風呂回」とか「水着回」が挿入される頃合だが,なかなかそういうゲームも見つからないので,今回は「天下統一」で天下を統一してみようと思う。

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 無理に「あまくだりとういち」と読むと,なんだか人の名前みたいだが,「天下統一」は1989年にシステムソフトから発売された戦国シミュレーションだ。対応機種は当時「国民機」と呼ばれたPC-9801シリーズで,プレイヤーは戦国時代に生きる1人の武将となり,領国を発展させ,兵を揃え,他国に攻め入って日本の統一を目指すことになる。人として生まれたからには,一度ぐらい日本を征服してみたいという日本征服マニア垂涎の一本だ。

オリジナル版では,一度クリアすることで全国の大名を選択できたが,EGG版では最初から全国の大名を選択できる特別版になっているとのことだ
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 戦国シミュレーションと聞くと,光栄(現コーエーテクモゲームス)の「信長の野望」シリーズを思い浮かべる人も多いはず。この「天下統一」のリリースは,タイミング的に「信長の野望・戦国群雄伝」(1988年)と「信長の野望・武将風雲録」(1990年)の間で,戦国シミュレーションというジャンルがPCゲーマーの間で広く認知された頃でもあったため,「天下統一」もかなりのヒット作になったと記憶している。筆者の周囲でも「信長の野望」派と「天下統一」派に分かれて日夜,天下分け目の合戦を繰り広げていたような,それほどのこともなかったような気がするが,ちなみに,事なかれ主義の筆者は「どっちもいい」派に属していた。

更新フェーズで全国の状況を確認する。ほほう,後藤がやったか
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 プレイすれば分かるが,ゲーム画面はいたってシンプルで,「信長の野望」シリーズではすでに使われていた武将の顔グラフィックスもなく,すべては脳内補完。戦略を立てるときにも「殿,次は最上を攻めましょうか,それとも芦名?」「うむ,芦名にしよう。あいつの冗談,つまらないから,滅ぼしちゃえ」みたいなことを頭の中で考える必要があるわけだが,声に出してそれをやると隣の席の同僚から変な目で見られるので,注意が必要だ。

左が軍備フェーズで,なけなしの予算で鉄砲を買っている。右の政略画面では,内政や部隊の移動などが行える
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 ゲームは,「更新」「軍備」「政略」「作戦」,そして「合戦」の各フェーズが順に進み,5つのフェーズをこなすと1ターン終了となる。
 具体的には,更新フェーズで全国の状況を把握し,軍備フェーズで配下武将の俸禄を決めたり兵を新規募集したりする。続く政略フェーズでは,ほかの大名との同盟や,武将の引き抜きなどを行うが,治水開墾や楽市楽座のオープンといった内政もこのフェーズになる。そして,作戦フェーズで敵に計略を仕掛けたり,武将に命令を下す。もしここで,敵の城を攻めるように命じていれば,次の合戦フェーズで実際の戦闘が行われる,というダンドリだ。もっとも,敵の攻撃を受けた場合も合戦フェーズに突入する。

合戦は,城の奪い合いという形で進んでいく
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落城させた
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 これらの行動は,ほとんどの場合CP(コマンドポイント)と呼ばれる数値を消費して行われる。例えば城の普請には1CP,鉄砲の購入には5CPというアンバイだ。CPはターンが終了すると新たにもらえるが,繰り越しはできない。したがって,兵士を集めて,鉄砲を購入して,城を普請して,部隊を移動させて合戦,これを1ターンで済まそうと考えても,途中でCPが足りなくなって悲しい思いをする。長期的,かつ計画的なご利用が求められるわけで,筆者のように思いつきでやっていると,時間ばっかりかかっちゃう。

 どちらかといえば「天下統一」は,内政よりも合戦に軸足を置いたシミュレーションであり,合戦は城単位で行われる。城と城とは街道で結ばれていて,1つの城から行ける城は限られるので,どの城をどんな順番で落としていくかが重要になるのだ。

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迫力の戦闘場面。ときの声を上げ,無数の兵士達が干戈を交え,命を失った者達が次々に大地に倒れる。すべて筆者の脳内映像だが,キミにも見えてくるはずだ
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 合戦そのものは,部隊の陣形を選び,進退を決め,槍攻撃,鉄砲攻撃,そして突撃などの命令を下していくという,これまたシンプルなものだが,意外にも手に汗を握る。なにしろ,勝てば城が手に入り,うまくいけば配下になる優秀な武将を獲得できるが,負ければ損害だけが残り,またしてもCPを消費して兵士募集からやり直さなければいけないのだ。ハイリスク・ハイリターンってやつ。
 しかも,合戦に敗れた場合,敵が調子に乗って追撃してくることもあって,最後の城に追い詰められて「我が家は全滅しました」という画面を泣きながら見ることにもなりかねない。「殿,落城にございます」「うむ。雨で鉄砲隊が使えなかったからなあ」みたいなことを頭の中で考えるわけだ。
 本作の各勢力はかなりアグレッシブで,思わずみんな,平和に暮らそうよ!と訴えたくなるが,そうはいかない。だって,戦国時代だもん。

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 画面と同様,操作もシンプルで,この手のシミュレーションをプレイした経験があるなら,マニュアルを読まなくても遊べるだろう。ただ「編成係数」がなんなのか,筆者はいまだに分からないので,少しぐらいは読んでおいたほうがいいかもしれない。ともあれ,操作がシンプルということもあって,いったん始めると,ついもう1ターン,さらにもう1ターン,原稿の締切が迫っているけど,もう1ターンやっとくか,という感じでプレイが止められなくなるのは,さすが「不朽の名作」と呼ばれるだけのことはある。えーと,もう1ターン,やってみるか。

各武将のパラメータも,そんなに種類がないので助かる
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 島津家や毛利家,織田家など,地の利を得,著名な武将がキラ星のように登場する勢力でプレイすれば,天下統一ビギナーでも自分が偉くなったような気分になれるはずだ。
 もちろん,慣れてくればやはり弱小大名が面白いはず。一向一揆にさらされまくる加賀の富樫家とか,龍造寺家&島津家という強豪に対峙しなければならない秋月家とか,のるかそるかの領国運営を強いられるものの,何度かやっているうちに運良く軌道に乗り始めることがある。そうなるとかなり嬉しいので,ぜひチャレンジしてほしい。

 「天下統一」は,D4エンタープライズが運営中の「プロジェクトEGG」で入手可能で,そのほか,グラフィックスが美しくなったX68000版「天下統一」や,システムの完成度がさらに高まった「天下統一 II」がラインナップされている。さあ,キミも天下に覇を唱えよう。ああ,また滅びた……。

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プロジェクトEGG「天下統一」紹介ページ

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(C)2006 D4Enterprise Co.,Ltd.
(C)2006 MSX Licensing Corporation.
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