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[E3 2015]シンラ・テクノロジーがプレス向けの発表会を実施。ついに対応タイトルの姿が明らかになった
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印刷2015/06/17 16:59

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[E3 2015]シンラ・テクノロジーがプレス向けの発表会を実施。ついに対応タイトルの姿が明らかになった

画像集 No.002のサムネイル画像 / [E3 2015]シンラ・テクノロジーがプレス向けの発表会を実施。ついに対応タイトルの姿が明らかになった
 北米時間2015年6月16日,クラウドゲーム技術開発スタジオのシンラ・テクノロジーは,E3 2015開催中のロサンゼルスにて,プレス向けの発表会を実施した。
 シンラ・テクノロジーについては,4月28日に掲載した記事に詳しいが,簡単に説明すると,新世代のクラウドゲームプラットフォームとなる「シンラ・システム」を開発するために設立された会社だ。

 ご存じのようにクラウドゲームとは,サーバー側で動いているゲームの映像をプレイヤー側にストリーミング配信し,プレイヤーが行ったコントローラ操作などの入力情報をサーバーに返すという仕組み。サーバー側がゲームの処理を行うため,インターネットにアクセスできる環境さえあれば,PCの性能に関係なく,どのようなゲームでもプレイ可能になる。

 とはいえ,鳴り物入りで参入した先行メーカーの実績があまり振るわなかったことから,クラウドゲーミングにはあまりいい印象を持っていない人もいるかもしれない。しかし,従来型のクラウドゲームサービスが,既存のタイトルをプレイさせるだけだったのに対して,シンラ・システムは専用タイトルを制作することが前提になっている点が新しい。
 これまで,ゲーム開発者はPCでもコンシューマ機でも,まずターゲットとなるマシンを決め,そのうえで動くゲームを開発する必要があったが,シンラ・システムではその制約がなくなり,開発者の思い描くものを作れるというわけだ。

「シンラ・システム」公式サイト


 今回の発表会では,そんなシンラ・システムに対応する3本のタイトルが発表され,それぞれの作品の開発者がディスカッションを行った。
 出席したのは,主催であるシンラ・テクノロジーの和田洋一氏に加え,Camouflajという新たなデベロッパの設立者であるRyan Payton(ライアン・ペイトン)氏,「Blacklight Retribution」の開発者らによって設立されたHardsuit LabsのCEO,Andy Kipling(アンディ・キプリング)氏,そして「Rune」シリーズや「Prey」などで知られるHuman Head Studiosのクリエイティブディレクター,Ted Halsted(テッド・ハルステッド)氏だ。3社とも,シンラ・テクノロジーが実施している「プロトタイプ・アクセラレーター・プログラム」の参加メーカーである。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [E3 2015]シンラ・テクノロジーがプレス向けの発表会を実施。ついに対応タイトルの姿が明らかになった
写真左から,和田氏,ハルステッド氏,ペイトン氏,キプリング氏。右端は司会を担当したシンラ・テクノロジーのジェイムズ・ミルキー(James Mielke)氏

 まず和田氏は,「E3 2015にはすばらしいビジュアルのゲームがたくさん出展されますが,どれも似たような内容になっています。私は,新しいゲーム体験によって市場はさらに大きくなると考えており,新しいゲーム体験のためには既存のルールを変える,つまり新しいプラットフォームを作ることが大切だと思い,そのためにシンラ・テクノロジーを作りました」と挨拶を行った。

 ここからは,会場で発表された3作品について簡単に説明したい。まず,Camouflajの作品はアリーナを舞台にしたステルスアクション。Hardsuit Labsの新作は,さまざまな生物が進化する様子を描く「適者生存」を再現した進化シミュレータだ。そして,Human Head Studiosの作品は,シンラ・テクノロジーの流体物理モデル「リアル・オーシャン」を活用した海戦モノになるとのこと。海賊や,伝説の海の怪物クラーケンなどが登場する神話の世界が背景だ。

画像集 No.006のサムネイル画像 / [E3 2015]シンラ・テクノロジーがプレス向けの発表会を実施。ついに対応タイトルの姿が明らかになった 画像集 No.008のサムネイル画像 / [E3 2015]シンラ・テクノロジーがプレス向けの発表会を実施。ついに対応タイトルの姿が明らかになった
Camouflaj(左)とHuman Head Studios(右)の作品のアートワーク

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Hardsuit Labsの作品のアートワーク

 3作ともにマルチプレイ対応が予定されているが,これはシンラ・テクノロジーが現在,シンラ・システムのアドバンテージとして「ダイナミックに地形が変化する巨大マルチプレイゲーム」の実現を訴求しているからだ。

 冒頭で触れた記事にあるように,公開されているテクノロジーデモ「The Living World」では,32km×32kmのマップに1万6000ものキャラクターが飛び交っており,画面を1つ1つキャラクターの視点に切り替えることが可能であるほか,地形がダイナミックに変化する様子も確認できる。
 ただし,シンラ・システムで動くシングルプレイゲームを作ることも可能なのは言うまでもない。今後は,とくにインディーズメーカーにアプローチして,巨大マルチプレイではないゲームの開発をお願いすると和田氏は述べている。

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 ともあれ,Camouflajの作品ではこうした機能を利用して,アリーナの地形がダイナミックに変化するほか,Hardsuit Labsの進化シミュレータでも,火山の噴火による地形変化やプレート移動の要素などが盛り込まれるという。
 もっとも,3作品ともにまだタイトルさえ決まっていないコンセプト段階にあり,ディスカッションではゲームの概略が話されただけだった。和田氏によれば,たとえばCamouflajの作品はストーリーも重視されるが,プレイヤーのインタラクションで変化し続けるような世界にストーリーを盛り込むのは,かなり難度の高い作業になるとのこと。一方,Hardsuit Labsの進化シミュレータでは,プレイヤーが誰も参加していないときでも勝手に進化が続くのかどうか,いろいろな要素を勘案しているところだという。

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 しかし,登壇した3人の開発者は,以前のようなハードウェアの制約なしにゲームを開発できるのは,非常に興奮することであり,シンラ・テクノロジーの先進性と将来性に魅了されていると口々に述べている。ダイナミックに変化する戦場,リアルに波打つ海面,優れたAIによってコントロールされたファンタスティックな生物の住む世界など,開発者達の説明を聞いていると,なんだかプレイしてみたくなってきた。

 最後に和田氏は,自律的に変化する「生きている」世界を舞台にしたマルチプレイという,シンラ・テクノロジーの提案に沿って3人がすばらしいコンセプトを作り上げてくれたと述べ,彼らと一緒に働けることが光栄だと語っていた。そして,シンラ・テクノロジーに興味のある人は,ぜひ同社を踏み台にしてゲームを開発してほしいとし,ディスカッションを締めくくっている。

画像集 No.005のサムネイル画像 / [E3 2015]シンラ・テクノロジーがプレス向けの発表会を実施。ついに対応タイトルの姿が明らかになった
 今後のロードマップとしては,8月にカンザス州でのβテストが用意されているという。また,シンラ・システム向けの開発キット「Community Cloud Development Kit」について聞くと,大々的に宣伝はしていないが,反響はそれなりにあって,手応えを感じていると和田氏は述べた。そろそろ開発も大変になってきたので,開発者を増やすことを考えているそうだ。

 今回発表された3作品が,いつ遊べるようになるのかについては,そんなに遠い将来ではないとしながらも,従来とはまったく違うゲームになるので,最終的な調整に時間がかかりそうとのこと。まだどうなるのか分からないことも多いようだが,対応タイトルが明らかになったことで,シンラ・テクノロジーの目指すところが,これまでよりはっきりしてきたような印象を受けた。続報を楽しみにしたい。

「シンラ・システム」公式サイト

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