プレイレポート
「Star Wars バトルフロント」を一足先にプレイ。フォースと共にあらんことを!
「Star Wars バトルフロント」公式サイト
11月10〜11日,北米での発売に先立ちメディア向けの試遊会が開催されたのは,すでにお伝えしたとおりだ(関連記事)。Electronic Arts本社の体育館にDUALSHOCK 4コントローラをつないだ40台のPCが設置され,世界中から集まったメディアがそれを使ってテストプレイを楽しむというイベントで,筆者も10時間ほどプレイする機会を得た。というわけで,プレイの印象をここで紹介しよう。
ただ,プレイしたのはあくまでも開発途中のバージョンであり,製品版で微妙な変更が行われるかもしれないということは,あらかじめご了承願いたい。
さて,「Star Wars バトルフロント」は,Lucasfilmの正式ライセンスを得て制作されたElectronic Artsの新作ゲームで,開発は「バトルフィールド」シリーズでおなじみのDICEが担当している。同シリーズとは,「バトルフィールド 4」や「バトルフィールド: ハードライン」でフィーチャーされた最大64人(32人対32人)のプレイヤーが参加できる大規模対戦で知られているが,「Star Wars バトルフロント」では最大プレイヤー数が40人(20人対20人)になったものの,「スター・ウォーズ」らしいさまざまなモードが用意されている。まず,その点がファンにとっての見どころだろう。
マルチプレイのシステムは最新の「バトルフィールド」シリーズと同じで,オンラインでつながったほかのプレイヤーとチームを組み,敵のチームとさまざまなルールで戦うというものだ。マッチが終了すると,戦いの成績や目標をどれだけ遂行したか,キル数やヘッドショットなどで好成績を収めたプレイヤーに与えられる報酬(アワード),さらに勝利ボーナスなどの合計が経験値として加算される。
「ブラスター」と総称されている武器は,すべてアンロックしても11種類とそれほど多くないが,武器にアイテムやアビリティを加えたこの「ハンド」によって,プレイヤーは自分のプレイスタイルに合ったキャラクターでマッチに挑めるのだ。
視点は一人称と三人称を切り替えることが可能。武器となるブラスターに「弾丸」という概念はないものの,撃ち過ぎると過熱して,クールダウンが必要になる。グレネードは「カード」として用意されているが,こちらも一度使うと,次に使えるようになるまでクールダウンの時間を要する。
また,ほとんどのゲームモードでマップのあちこちに「パワーアップ」がポップアップし,これを拾うことで爆弾やシールドなどのアイテムが使えるようになったり,AT-STやXウイングなどのビークルを呼び出したりできる。最も特徴的なのは,やはりルーク・スカイウォーカーやダース・ベイダーといった強力なヒーロー/ヴィランに変身できることだろう。彼らヒーロー/ヴィランは戦局に大きな影響を与えうるので,常にパワーアップを探し回りながらプレイしたいところ。
ポップアップは完全にランダムで,必ずしもプレイに慣れていなくても,パルパティーン皇帝となって絶大なパワーが使えたりするのだ。
この「Star Wars バトルフロント」が,2015年を代表するビッグタイトルになるのは間違いない。オープンβテストの参加者が約950万人という信じられない記録を残しており(関連記事),これは,EAが行ったすべてのOBTにおいて最高の数字だという。これを見ただけでも,「スター・ウォーズだからプレイしてみる」という人が多く参加してくるのは間違いない。FPSとしてコアゲーマーの期待に十分に応えるものにしつつ,カジュアルな「スター・ウォーズ」ファンを取り込んでいくという,難しい開発がDICEに求められたはずだ。
1人でも遊べる「ミッション」は
何度でもプレイ可能なやり込み要素
11月13日に掲載した記事でもお伝えしたように,本作にはシングルプレイキャンペーンは用意されていない。同記事中,DICEで本作のクリエイティブディレクターを務めるニクラス・ファグレアス(Niklas Fegraeus)氏に行ったインタビューで述べられているように,このゲームは「最新ゲームエンジンを使った壮大な戦場に身を置く」ことに焦点が置かれているのだ。
「スター・ウォーズ」ゲームの最新作として,新たな物語に期待していた人は,ちょっと注意が必要だろう。
ゲームは大きく「マルチプレイヤー」と「ミッション」に分かれており,「ミッション」に用意された「トレーニング」は,ゲームの基本を学ぶチュートリアルモードとなる。ここでは主にビークルの操作を学ぶことが可能で,Xウイングを操縦する「ベガーズ渓谷」,スピーダーバイクで疾走できる「エンドア・チェイス」,AT-STを使った「オーバーパワー」,ダースベイダーでヒーロー(ヴィラン)キャラクターの操作を学ぶ「ダークサイド」,そしてAウイングを操縦する「インベージョン」の5つがある。
とはいえ,「Star Wars バトルフロント」の「トレーニング」は,ただのチュートリアルモードではない。本作ではフレンドと共にオンラインやスプリットスクリーンでのCo-opプレイが可能になっているのだ。また,各種トレーニングをクリアした時間が記録されて評価されるほか,フレンドとタイムを競うというような楽しみ方もでき,ちょっと気が向いたときにプレイするのに最適なものになっている。
これは,「ミッション」にある残りの2つ,「バトル」と「サバイバル」も同様だ。「バトル」は歩兵同士で先に100キルすることを目的に戦うもので,「バトル・ホス」や,ヒーロー/ヴィランキャラクターの「ヒーローバトル・エンドア」など,合計8つのマップが用意されている。また,「サバイバル」は,敵勢力が15波にわたって波状攻撃を仕掛けてくるというモードで,「サバイバル・タトゥイーン」「サバイバル・サラスト」など,4つの惑星を舞台にした4つのマップが用意される。
いずれもそれなりの設定が用意されているが,それぞれのストーリーがつながっているわけではなく,どれから始めても構わない。
「サバイバル」にはさらに,それぞれのマップに「コレクタブル」と呼ばれる,青いダイヤモンド型のアイテムが5つ存在しており,敵の波状攻撃をかわしつつ,マップを走り回って「コレクタブル」を集めることも可能だ。目につかない岩陰に隠されていたり,ジェットパックを使わなければ行けないほど高いところにあったりして,全部集めるのはなかなかホネでもある。筆者がプレイした限り,これらを集めるとミッションの成功レベルを向上させるポイントが得られたが,それ以外にどんな報酬が得られるのかは分からなかった。きっと,いいことがあるのだと期待したい。
DICEらしい,総勢40人の大バトル
「Star Wars バトルフロント」のメインは,なんといっても「マルチプレイヤー」だ。本作には実に9種類ものマルチプレイモードが用意されているというのは,すでに上記の記事にも書いたとおりだ。
中でも,最大40人のプレイヤーが参加する「ウォーカー・アサルト」の楽しさは抜群だ。氷の惑星ホスを舞台にした「ウォーカー・アサルト」はオープンβテストですっかりおなじみになったが,OBTの段階ではバランスがうまく取れておらず,AT-ATを先頭に反乱同盟軍の基地に攻め込んでいく帝国軍側が勝ちやすかったという。具体的にどのような修正がされたのかは説明されなかったが,使用武器の威力や被弾地点などに細かい調整が施されているという。どうやら,AT-ATの首回りはダメージを受けやすい設定になった模様だ。
両勢力が5つの拠点の占領をめぐって戦う「スプレマシー」は,「バトルフィールド」シリーズの代名詞ともいえる「コンクエスト」を20人対20人で楽しむモードで,シリーズのファンにはなじみやすいだろう。すでに述べたように,「バトルフィールド 4」などの最大64人と比べると参加人数は減っているが,“チョークポイント”がうまく設定されており,プレイヤーが激戦地に集まりやすい仕掛けになっている。リスポーン地点も激戦地に近く,すぐにアクションに身を投じたり,ビークルや強力なアイテムを利用できる「パワーアップ」を手に入れたりできる。
「ウォーカー・アサルト」や「スプレマシー」などでは,上にも書いたように,「パワーアップ」によって反乱同盟軍のルーク・スカイウォーカー,レイア・オーガナ,ハン・ソロ,また帝国軍ではダース・ベイダー,パルパティーン皇帝,ボバ・フェットというヒーロー/ヴィランになれる。
これらのキャラクターは,それぞれが異なるアビリティを持っており,それをうまく使えれば戦況を一変させることも可能だ。周囲の兵士がヒーロー/ヴィランを守ったり,ルークとダース・ベイダーが一騎打ちを演じたりといったことも起き,まさに「スター・ウォーズ」の世界がゲームで体験できる。なにより,これらのキャラクターをプレイしたときに鳴り響くサウンドが,「さあ,ヒーローがやってきましたよ!」的にやたらとカッコ良く,盛り上がってくる。
「スター・ウォーズ」らしさを味わえるゲームモード
「スター・ウォーズ」らしさを味わえるユニークなゲームモードとしてオススメなのが,「ヒーローvs.ヴィラン」モードだ。これは,6人対6人のチーム戦で,ランダムに選出された3人ずつのプレイヤーが異なるヒーロー/ヴィランキャラクターを担当し,彼らが先に倒されたチームが負けになる。
選ばれなかった残りの3人ずつは護衛としてプレイすることになるが,5マッチ先取するのが目的であるため,よほど運が悪くない限り,全員にヒーロー/ヴィランになれるチャンスは回ってくるはずだ。
当然ながら,それぞれのキャラクターの特性をきちんと理解したプレイヤーがチームにいれば,勝率はグンと上がるものの,1マッチの展開が非常に早いこともあり,どのプレイヤーがうまいかを見抜くのは難しい。
「ヒーロー・ハント」は,1人のヒーロー/ヴィランに,ほかの7人のプレイヤーが挑むという非対称的なゲームプレイになる。ヒーロー/ヴィランが倒されると,倒したプレイヤーが新たなヒーロー/ヴィランとして,数秒後にランダムな位置にスポーンする仕掛けで,15分間のマッチ中,もっとも長くヒーロー/ヴィランとしてプレイしていたプレイヤーが勝者となる。
「ヒーローvs.ヴィラン」と同様,それぞれのキャラクターの特性を理解していることが何より重要だ。ただ,ヒーロー/ヴィランのヘルスゲージを眺めつつ,ラストショットだけを放つというおいしいトコ取りを狙って隠れていたり,遠距離攻撃のみに終始するプレイヤーが出現したりするのは避けられない。
筆者も,死ぬ思いをしてヒーローのヘルスをジワジワと削ったのに,最後の最後に別のプレイヤーにキルをを持っていかれたこともあり,ラストショットだけでなく,与えたダメージの多さなどで次のヒーロー/ヴィランが選ばれるシステムでもいいのではないかと思った。
チームデスマッチの「ブラスト」,キャプチャー・ザ・フラッグ風の「カーゴ」,そしてそれらのバリエーションである「ドロイド・ラン」や「ドロップ・ゾーン」は,ルールも理解しやすく,かなり楽しめる。
ただ,キャラクターや設定が「スター・ウォーズ」であるとはいえ,ほかのオンラインFPSでも見られるモードであるのは間違いないだろう。「ドロイド・ラン」や「ドロップ・ゾーン」は,いずれも両チームが同じ地点に向かって走り出すというシチュエーションが多く,ややワンパターンだ。
映画ではおなじみの戦闘機によるドッグファイトが楽しめる「ファイター・スコードロン」は,コンバットフライトシムという,最近ではあまり人気のないジャンルを採用したという点で非常に興味深い。10人対10人で対戦するのだが,NPCの戦闘機が両勢力に同じくらい登場するので,常に乱戦状態で,戦いの密度は濃い。またミレニアム・ファルコンやスレイヴIのパワーアップを手に入れようと地表近くを飛び回るプレイヤーは,やはり標的にもなりやすく,こうしたホットスポットも存在するので散漫なプレイにはならない。このジャンルのゲームを遊んだ経験がなくても,十分に楽しめそうだ。
試遊では,タトゥイーンとサラストのマップが確認できたが,せっかくなのだから,例えばデス・スターを攻撃する反乱同盟軍と,それを阻止しようとする帝国軍といった,映画でおなじみのシチュエーションも欲しかったと思う。コンバットフライトシムが「スター・ウォーズ」ファンやFPSファンにどの程度受け入れられるか分からない,という事情もあるだろうが,筆者としては物足りなさを感じる部分だ。
コアゲーマーにも,
「スター・ウォーズ」ファンにも楽しめる良作
以上のように,本作に用意されたゲームモードは豊富であり,「スター・ウォーズ」という完成した世界観があるだけに,ファンの感情移入という点では圧倒的な力を持っている。マップに散らばる「パワーアップ」を得ることで,誰でもヒーロー/ヴィランになれたり,AT-ATやスピーダーバイクを操って活躍できたりなど,シューティングのスキルに関係なく誰でも楽しめるゲームとしてうまく作られている印象だ。
ストーリーキャンペーンがないところに物足りなさを感じる人もいるだろうし,登場する武器やアイテムなどの種類はそれほど多くはなく,カスタマイズできないのも気になるところだ。
その一方,DICEが期待するように,「Star Wars バトルフロント」は「壮大なバトルに身を置くというファンの願望」を十分に叶える作品であり,一人でマルチプレイに参加してスキルを磨いてもいいし,「スター・ウォーズ」が大好きだという人達が誰かの家に集まり,スプリットスクリーンでマルチプレイモードをわいわい楽しむのもよしと,さまざまな層にアピールしそうだ。
インタフェースやマップ構成など,DICEのゲーム作りの経験がしっかりと生かされている印象で,遊びやすさは格別。このゲームを機に多くの新しい人々がオンラインFPSというジャンルに親しみ,大きなコミュニティが形成されていくことに期待したい。
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(C)2015 Lucasfilm Ltd. All rights reserved. Underlying technology and game design(C)EA. All rights reserved.
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