プレイレポート
騎士と魔女が奏でる物語。3DS向け王道ファンタジーSRPG「STELLA GLOW」のプレイレポートを掲載
■インタビュー記事
「STELLA GLOW」は原点に立ち戻って,作り込んだシミュレーションRPG。水谷英之氏が目指した「見て聴いて楽しい,感じるSRPG」とは
「STELLA GLOW」公式サイト
本作は「ルミナスアーク」シリーズのプロデューサーとして知られる水谷英之氏が,シミュレーションRPGの本質を見つめ直しながら新たな可能性に挑んだという意欲作。歌を魔法に変えて戦う「魔女」がメインテーマである本作は,その魔女が唱える「歌魔法」がストーリー,システム共に重要な役割を担っている。また,魔女役の南條愛乃さん,田村ゆかりさんら,歌手としても人気・実力のある声優陣が実際に歌声を披露していることでも注目を集めている。
物語のカギを握る5人の魔女
サクヤ(CV:榊原ゆい) “火の魔女”であり,ゴウラ火山を鎮める役目を担うアマツの姫巫女。固有の特性「居合の構え」からの反撃をはじめ,剣技のスキルや特性を覚えていく |
モルディモルト(CV:新田恵海) 引きこもり気味でちょっと後ろ向きな,砂漠の都・カシミスタンの魔女。“土の魔女”として,敵・味方に特殊な効果を与える魔法を唱える |
まさに日本のファンタジーの王道といった幕開けを迎える本作の物語は,序章で昔話として語られる「英雄エルクレストの物語」や,魔女の存在についてなど,謎の部分が多く,その展開がとても気になる導入となっている。また,主人公のアルトが入団する「レグナント王立騎士団 第9小隊」の面々をはじめ,一癖も二癖もあるキャラクターが続々登場。彼らと交流することでさまざまなサブストーリーも生まれるので,王道でありながらも一筋縄ではいかないストーリー展開が待っている。
アルトが属する「レグナント王立騎士団 第9小隊」
ラスティ(CV:間島淳司) ナンパなところがたまにキズだが,後輩の面倒見もいい騎士団の兄貴分。移動力とジャンプ力が高く,フィールドを縦横無尽に駆け巡ることができるため,切り込み役として力を発揮する |
アーチボルト(CV:櫻井トオル) 代々王家に仕えるアーチボルト家当主。たくましい外見のとおり,物理系攻撃スキルや,隣接する味方をかばってダメージを無効化する守備役としての特性が伸びる |
絆を深めて味方を強化。魔女は「調律」によって
新たな「歌魔法」を覚える
さて,ここからはゲームのシステムを紹介しよう。章立てでストーリーが進む本作は,各章が「自由時間」と「作戦時間」という2つのパートで構成されている。
アドベンチャーパートの自由時間では,行動コストを消費することで最大3回,王都ランベルトを拠点として自由な行動がとれる。
章立てで進むストーリー。まるで小説を読み進めているような気分に |
画面左上に表示されているのは「運命時計」。青は自由時間,赤は作戦時間を示しており,いまどちらのパートなのかが一目で分かる |
そのなかの一つ「騎士団宿舎」では,仲間との交流ができる。仲間は好感度を上げて絆を深めることにより,新たなスキルや特性を覚えていく。「シンクシステム」と呼ばれるこのシステムを活用して仲間を強化しよう。さらに,個別のイベントも多数用意されているので,戦力アップを図りながら各キャラクターとのやりとりも楽しめる。
仲間になった魔女達の好感度を上げると,突然「心の鎖」が発生することがある。この状態では好感度が上がらないので,「調律」によって魔女の心の闇を払ってあげよう。
「調律ノ館」で魔女の精神世界に入り,負の感情(マモノ)を倒すことで,本作の目玉要素である「歌魔法」を覚えることができる。調律を始めると魔女とのバトルになるが,ただ戦って勝てばいいというものではなく,その成功条件は対象の魔女や覚える歌魔法によってさまざま。なお,ここで覚えた歌魔法は,後述するバトルパートで重要な要素となる。
自由時間では,ほかにもアルバイトができる「赤熊の酒場」や,貴重なアイテムが手に入る「探索」が選択可能。ほとんどが戦闘に役立つものなので,どの行動をとるかで悩むことになるだろう。
魔女の奏でる「歌魔法」が勝利のカギ
自由時間で得た歌魔法やスキルを用いて強敵に挑め
バトルはSRPGとしてオーソドックスなシステムが採用されている。クォータービューの戦闘マップに最大6人のユニットを配置して,いざバトル開始となるのだが,敵・味方のユニットにはそれぞれ固有の属性,さらに「スキル」と「特性」が設定されている。
スキルは強力な攻撃や回復魔法といった,コマンド選択時にSP(スキルポイント)を消費して使用する技で,特性はカウンターやダメージ無効,戦闘マップの地形や敵の属性との相性ブーストといった各条件で自動的に発動するものだ。戦闘マップの地形や敵の属性,そしてスキルと特性などに留意しながらパーティを組むことで,戦略性の高いバトルを楽しめる。
また,自由時間と作戦時間で共に利用できる王都ランベルトの「フランツ工房」では,オーブの精製や購入が可能。「オーブ」を武器に装備することで,命中率アップや毒攻撃などさまざまな効果を得られ,スキルと特性との兼ね合いでユニットにさらなる個性を与えられる。
オーブは直接購入するか,敵がドロップする素材から精製することによって手に入る |
武器によって装備できるスロット数が違う。中には元から装備されているものも |
本作のシンプルなバトルシステムに,程よいアクセントが効いていると感じたのは「行動順番」だ。一般的なSRPGだと,素早さのステータスなどで決まった順番でターンが回るところだが,本作では待機すると次ターンが早く回ってきたり,逆に強力なスキルを使用すると遅くなったりと,そのターンの行動によって以降の行動順が頻繁に変化するのだ。その要因もさまざまで,味方だけではなく敵の行動によっても左右されるため,バトルは単調にならず,適度な緊張感を保ちながらプレイすることができる。
そして本作のメインシステム,魔女が唱える「歌魔法」だ。歌魔法は,敵への攻撃や撃破などで溜まっていく「歌唱石ゲージ」を消費することで詠唱できるのだが,その種類は大きく2つに分けられる。
魔女ひとりで詠唱でき,主に自分の周囲の敵・味方に効果を与える「ソロ」は,ゲージ消費が少ないため何度も使用することができる。一方,主人公のアルトと唱える「合奏」(アンサンブル)はフィールド全体に影響を及ぼす強力な魔法だが,ゲージの消費が多いため使用するタイミングが重要になる。
ソロを用いて堅実に敵を各個撃破するか,あるいは合奏の全体効果に乗じて一斉に攻撃を仕掛けるか。どのような戦略で歌魔法を生かすかはプレイヤー次第だ。
この歌魔法,システムとしての面白さはもちろん,高クオリティの楽曲,そしてリゼット役の南條愛乃さんやヒルダ役の田村ゆかりさんら,豪華声優陣の歌唱力に圧倒されることとなるだろう。その楽曲も,攻撃系パラメータがアップする曲は激しいアップテンポなナンバーだったり,回復系であれば癒される曲であったりと,歌魔法を唱える魔女の個性や,魔法の効果にあった曲調となっているので,プレイヤーも共に励まされ,共に癒され……といったようにキャラクター達の心境とリンクできるものばかりだ。
ちなみにこの歌魔法は,さまざまなジャンルの楽曲が20曲以上用意されているという。残念ながら,今回はわずかな曲数しか聴くことができなかったが,いずれも力強い楽曲ばかりだった。6章以降に登場する楽曲にも大いに期待したいところだ。
以上,多くのシステムがあり,一見複雑に見えるかもしれないが,そのバランスは絶妙で,新要素が加わるたびにチュートリアルが入るため,覚えながら進められる丁寧な作りとなっている。また,スキルや特性,装備品,所持アイテムの効果に至るまで,下画面のタッチペン操作で戦闘中,いつでも確認できるようになっている。SRPGの初心者はもちろん,じっくり戦略を練って進めたいプレイヤーにとっても嬉しい仕様といえるだろう。
さらに,バトル中の演出,ボイスが多数収録された美しいイベントシーンやアニメーションなど,いろいろな角度から楽しめる要素も盛りだくさん。もしSRPGに苦手意識を持っていたとしても,自分なりの楽しみが必ず見つかる作品だ。
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