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Intel,「Atom x7」「Atom x5」「Atom x3」の概要を発表。タブレット向けのAtom x7&x5は「Cherry Trail+第8世代グラフィックス」に
Atom x7とAtom x5は開発コードネーム「Cherry Trail」(チェリートレイル)と呼ばれてきたもので,おもに大画面スマートフォン(≒ファブレット)やタブレット端末を狙ったSoC(System-on-a-Chip)である。モデム機能を提供するベースバンドモデムは外付けなので,いわゆる「アプリケーションプロセッサ」という位置づけになる。
一方のAtom x3は開発コードネーム「SoFIA」(ソフィア)と呼ばれてきたSoCで,3GやLTEのベースバンドモデムを内蔵し,主にスマートフォン向けと位置づけられる。
Atom x7とAtom x5は「Airmont MA」ベース
第8世代のIntel製GPUを採用するのも特徴
Cherry TrailことAtom x7およびAtom x5からチェックしてみよう。
発表時点のラインナップは,「Atom x7-8700」と「Atom x5-8500」「Atom x5-8300」の3製品となるようで,いずれも,2015年第2四半期には採用製品が登場する見込みという。サポートされるOSは,Androidと,PC用Windowsの2種類だ。
Cherry Trailは,Atomプロセッサとして初めて14nmプロセス技術を用いて製造されるSoCとなる。14nmプロセス向けに開発された「Airmont」(エアモント)マイクロアーキテクチャに基づくCPUコアと,Broadwell世代のCoreプロセッサ(関連記事)と同じ,第8世代の統合型グラフィックス機能(以下,iGPU)を統合している。
Intel製iGPUにおける演算ユニット「Execution Unit」(以下,EU)の数は,Atom x7-8700が16基,そしてAtom x5の2モデルが12基である。
ちなみに,Bay Trailコアベースとなるタブレット向けAtomの現行製品「Atom Z3000」の場合,CPUコアは「Silvermont」(シルヴァーモント)マイクロアーキテクチャベース,iGPUは第7世代だったので,いずれもCherry Trailで一世代新しくなったわけだ。
付け加えると,Bay Trail時代のEU数は4基だったので,iGPUの規模はCherry Trailで相当に大きくなった。実際,Bay Trail世代のタブレット向けプロセッサ最上位モデル「Atom Z3795」(定格1.59GHz,最大2.39GHz,4C4T,L2 2MB,SDP 2W)と比べると,Atom x7-8700は,1.5〜2倍高い3D性能を発揮できるとのことだ。
そんなAtom x7とAtom x5のスペックをまとめたものが表1となる。今回公開されていないTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は正式発表待ちということになりそうだ。
Atomプロセッサとして初めて
ARMのMaliをiGPUとして採用するAtom x3
一方,モデム内蔵SoCであるAtom x3には,正式発表時点で3モデルが用意されるという。具体的には,LTEをサポートする最上位モデル「Atom x3-C3440」(開発コードネームSoFIA LTE,以下C3440)と,3G対応の上位モデル「Atom x3-C3230RK」(開発コードネームSoFIA 3G-R,以下C3230RK)と「Atom x3-C3130」(開発コードネームSoFIA 3G,以下C3130)だ。
そんなAtom x3でまず注目したいのは,iGPUとしてARM製のGPUコア「Mali」を採用している点だ。これまでIntelのスマートフォン向けSoCは,Imagination Technologiesの「PowerVR」を採用していたので,大きな方針転換となる。
もっとも,最近はARMアーキテクチャのCPUコアを採用するSoCでも全体的にPowerVRの採用が減り,Maliが増えているので,Maliに実装上,あるいはコスト上のメリットがあるということなのかもしれない。
ちなみにC3440はOpenGL ES 3.0とOpenCL 1.2に対応した「Mali-T720」(演算ユニット2基),C3230RKはOpneGL ES 2.0対応の「Mali-450」(演算ユニット4基),C130は同じくOpenGL ES 2.0対応の「Mali-400」(演算ユニット2基)をそれぞれ採用するが,これらはいずれもエントリー以下の市場向けiGPUである。
C3440の概要 |
C3230RKの概要 |
もう1つ,Atom x3で注目すべきポイントは,28nmプロセス技術を採用して製造され,64bit命令に対応したCPUコアを採用している点だ。
Intelは以前から,SoFIAでは外部のファウンドリ(半導体製造事業者)に製造委託すると説明していた(関連記事)。一方でIntelは「28nmプロセス技術を採用して製造され,64bit命令に対応したAtom用CPUコア」を持っていない。おそらくSoFIAで採用されるのは,Silvermontマイクロアーキテクチャを,ファウンドリが28nm世代で実装したコアになるのだろう。
以上を踏まえて,Atom x3の主なスペックを表2にまとめてみた。
ちなみにAtom x3の対応OSは「当面の間,Androidのみ」(Intel)。WindowsやFirefox OSといったOSのサポート計画は,いまのところないそうである。
ちなみに,下に示したスライドは,ベンチマークソフト「MobileXPRT 2013」の「Light Media Editing」における性能を競合製品と比較したスライドだ。それによれば,「Cortex-A7」や「Cortex-A53」ベースとなるQualcommやMediaTekの新興国市場向けSoCと比べて,Atom x3のほうが高速だという。
新興国市場向けのAtom x3を採用するスマートフォンが日本市場に投入されるかどうかは微妙なところだが,Atom x7やAtom x5搭載製品は,とくにWindowsタブレットの人気が高い日本では,登場の可能性が高そうだ。
2015年第2四半期以降,どんな搭載製品が日本市場を賑わすことになるのか,いまから楽しみである。
IntelのMWC 2015情報ページ(英語)
Intel日本語公式Webサイト
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