プレイレポート
「ドローン・トゥ・デス」プレイレポート。下ネタ&罵倒&中二病,何でもありのラクガキ対戦シューターは,デタラメな見た目に反してかなり遊べる作品だ
「ドローン・トゥ・デス」公式サイト
本作は,高校生が描き殴ったラクガキキャラクターが,ノートの中にあるステージで血みどろの戦いをくり広げるオンライン専用対戦シューターである。通常は有料販売(税込み2460円)となるが,PlayStation Plus加入者に限り,2017年5月9日まではフリープレイタイトルとして,無料でダウンロードできる。
「God of War」を手がけた開発者デイビッド・ジャッフィー氏がディレクターを務め,悪口,下ネタ上等のかなり弾けた内容になっており,期間限定無料ということもあって話題に挙げるプレイヤーも多い。そんな本作のプレイレポートをお届けしよう。
ゲームを始めてまず驚くのは,本作を象徴する描き殴られたラクガキのグラフィックスとは正反対の,実写映像による演出だ。ハイスクールの教室で授業を聞いている生徒達を後方から眺めている視点は,ラクガキをしているプレイヤー本人のもので,ボタンを押して視線を下げると,そこにはラクガキだらけのノートがあり,そこから本作へ突入していくというわけである。
主役はもちろん,このノートに描き込まれたラクガキキャラクター達だ。いわゆる“中二病”的なセンスを売りにしている本作ながら,絵自体はアメリカンハイスクールの生徒が描いたラクガキというだけあって,我々のような日本人が学生時代にノートに描いていたラクガキよりもグッとアーティスティックである(たぶん)。グラフィティやストリートアートにも通じるものがあり,その手のジャンルが好きならば,見ているだけでも楽しめることだろう。
ゲームはもちろん日本語ローカライズ済みで,独自のラクガキ文字がフォントに使用されているため,雰囲気も壊れていない。ただし背景に描かれた文字などはスラング混じりの英語のままなので,意味の分からないところもあるかもしれない。
特筆すべきは,ラクガキの下品さをそのまま残して訳している点だろう。解剖されて内臓丸出しのナビゲーター「カエル紳士」はチュートリアルから,ほかのゲームでは見たことがないような悪口,下ネタ上等の汚い言葉を交えてプレイヤーを罵倒し,マッチング時のプレイヤー同士のシンボルチャットによる挨拶は,煽り合いがデフォルトだ。
これでも一部翻訳されていないスラングもあるので,オリジナルの北米版よりはマイルドになっているのだろうと思われるが,ともかくこうした言葉がゲーム中に飛び交う作品なので,そのあたりは覚悟のうえでプレイしたほうが良いだろう。
ゲームはTPSスタイルで,最大4人でのオンラインマルチプレイ対戦がメインとなっている。実際に操作した感覚としては,キャラクターはぬるぬると移動し,フワッとしたジャンプをするという印象で,あまりカッチリとした感触ではないが,それが本作の味わいでもある。
選択できるキャラクターは6人で,ラクガキがそのままキャラクターとなって登場している。ラクガキといってもグラフィックスは2Dではなく,ちゃんと3Dモデルとして起こしてあり,ゲーム中はアニメーションするのでご安心を。
各キャラクターはゲームスタート時に,全25種類(最初から選べるのは5種類)の武器から5種類を選択して戦いに挑むわけだが,これらがまたぶっ飛んでいる。アサルトライフルやショットガンのようなオーソドックスな武器もあるが,次に挙げているような“どうかしている”武器のほうが,使っていて楽しいものが多い。
ちぎれた人の上半身が爆発性のあるボールを投げつける「ドッチボール・ダン」,ダイナマイトを持った手首を弓で射る「フィストフ○○カー」,かたわらにいる猿のエミリーがウ○コを次々と放り投げる「エミリー」,ゲーム機からホーミング性のあるカセットを撃ち出し着弾するとドット絵のRPGキャラクターが大きく広がる「JRPG」,肩に担いだ棺で寝ている太ったおじさんをぶん投げて特大のダメージを与える「ジョーおじさん」などなど。……何を言っているのかよく分からないかもしれないが,そういう武器が本当にあるので仕方がない。
これらの武器はどんな形のものでも撃つと弾薬を消費し,なくなったときはステージ上に落ちている弾薬を拾う必要がある。また,武器は規定数を撃ち出すとリロードが必要で,強力な武器ほどリロードの時間が長いというバランスになっている。
例えば連射で少しずつダメージを与えるアサルトライフル風の武器「FU47」なら一気に270発も撃て,リロードも4秒程度だが,前述のジョーおじさんなどは,敵を一撃で倒せるほどの破壊力を持っているものの,弾が発射されるまでにタイムラグがあり,1発ごとのリロードに約8秒もかかるうえ,その間は動けないといった具合だ。このように,武器ごとに明確な差別化が施されているのである。
こうした武器類はゲーム開始時に手持ちの2種類と,ステージ中で拾えるものを3種類選択できるようになっている。扱いやすい武器と強力な武器をバランスよく選ぶのが基本となるが,派手なものばかり選んで対戦の場を荒らしてみるのも,本作らしい戦い方と言えるかもしれない。
吸血サイボーグや爆乳サメ忍者,連続殺人クマなど,ルックスもかなりキているキャラクター達は,特徴的な「スペシャルアタック」2種類と,ボタンとアナログスティックの組み合わせで発動させる「ナビゲーションムーブ」という独自のアクションを持っている。人数は若干少ないような気もするが,単純に強い弱いだけではなく,どれもかなり個性的な力を持っているので,リリース直後の今としては,このぐらいの数がベストなのだろう。
また一つ面白いのは,6人のキャラクターにちょっとした相性が設定されているということ。どのキャラにも特定の相手に対して攻撃や能力の効果が倍増したり,逆に効果がなかったりすることがあるので,マッチングによって立ち回りを変えて戦う対戦格闘ゲームのような,高度な駆け引きも楽しめるようになっている。
ゲームは現状,任意の対戦相手とマッチングされる「フリーマッチ」,称号を目指して戦う「ランクマッチ」,PlayStation Networkのフレンドと楽しむ「フレンドマッチ」といったモードが用意されており,それぞれ最大4人によるバトルロイヤル「デスマッチ」,2対2のチーム戦「チームデスマッチ」,1対1の「タイマンマッチ」,倒した敵などから奪った心臓を拠点に運んでポイントを競う「臓器摘出マッチ」のいずれかのルールが選ばれる。すべてのルールは,敵を倒してポイントを獲得し,規定のポイントに達するか,制限時間が0となった時点で一番多くのポイントを獲得したプレイヤーが勝利するシンプルなものだ。
個人的にはチームデスマッチが一番面白いと感じているのだが,残念ながらルールは任意に選べないので,できるならアップデートなどで選択できるようになればと思っている。また,ハチャメチャな内容に合わせて一度にマッチできるプレイヤーが最大8人ぐらいまで増えればいいなという気もするのだが,物理的に難しいのだろうか!?
ゲームはプレイヤーの体力がやや高めに設定されていて,よほど腕の差がないかぎり瞬殺されてしまうことはないバランスとなっている。そのため,前述のように武器やキャラクターの性質,あるいはキャラクターの相性などをある程度理解して戦うことで,相手により大きなダメージを与えられるようになり,ゲームもグッと面白くなってくる。見た目以上に駆け引きが楽しいゲームなので,PlayStation Plus会員ならば,ぜひ今のうちにダウンロードして,しっかりと遊び込んでみることをオススメしたい。
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