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ハロー!Steam広場 第354回:密にさせない“5秒ルール”の緊張感でエアライン構築が楽しめる航空会社運営シム「Fly Corp」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,常に人差し指を動かしていないと落ち着かない上級クリッカーにジョブチェンジできるかも。
密にさせない“5秒ルール”の緊張感でエアライン構築が楽しめる「Fly Corp」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回はロシアのデベロッパ,KishMish Gamesが手掛ける「Fly Corp」を紹介しよう。
本作は,航空会社を運営するリアルタイム制のシミュレーションゲームだ。テーマ自体はそれほど珍しいものではないが,見た目のとおりシステムやルールが極限までシンプルな構成となっており,とにかく手軽にプレイできるのが特徴。航空ビジネスと聞くとハードルが高そうな印象だが,本作で管理するリソースは基本的に資金と乗客だけであり,飛行機や経営の知識はまったく必要ない。老若男女,誰もが楽しめるだろう。
基本ルールは,世界各国にある空港を空路でつなぎ,旅客機が目的地に到着すれば,乗客の数に応じて収益が上がるというもの。空港同士を直接結んでもいいし,途中で別の空港を経由してもいい。ただし距離が長くなるほどラインをつなぐときのコストが上がるので,まずは手近な空港をつないでいくことが基本だ。
時間経過に応じて,つなげられる空港が開いていくが,資金を使って別の国をアンロックすると,そこの首都を中心に新たな空港も利用可能になる。「航空路をつなぐ → 徐々に資金が貯まっていく → そのお金で国と航空網を広げる → 次々空港が開港するのでさらにネットワークを広げていける」というループは非常にシンプルだが楽しく,途中で止めたくない。赤字路線の概念もないので,基本は拡大策を続けていけばよく,見慣れた世界地図に自分の(会社の)航空機が大量に飛び交う様子を眺めると,なかなかに達成感がある。
赤字や倒産という概念がない本作だが,一部のモードを除き,厳しいゲームオーバー条件が存在する。それは「空港が乗客でいっぱいの状態が5秒以上続いたら終了」というものだ。
空港規模は資金を払えば拡張できるし,航空路線を飛ぶ旅客機のサイズや機数もアップグレードできる。また収容率は,高くなるほど赤く表示されるので「空港や旅客機がいっぱいになりそうなら即アップグレード」が基本となるのだが,路線が増えるほど見落としやすくなるし,警告が来た時点で資金が足りなければ手遅れになる。調子に乗って路線を増やしすぎて,さらにハブ空港(中継の拠点)を量産してしまって手が回らない……といったことになるのもそう珍しくはない。
つまり,乗客はお金を稼ぎ路線を大きくしていくための原動力なのだが,同時にため込みすぎると破裂してしまう爆弾のようなものでもあり,扱いが難しい。ここのマネジメントをどうするかこそが,本作の攻略のキモとなるだろう。傾向としては予算に余裕があれば何とかなることが多いので,ときおり路線拡張の手を止め,予算を貯めつつ飛行機の行き来を眺めて楽しむ……なんてプレイも悪くないだろう。
ゲームモードは基本を学べる「チュートリアル」,それぞれ個別のルールやイベントが用意されている「シナリオ」,6分ごとに新しい国をアンロックする必要がある「すべての国をロック解除」,そして制限なく自由に楽しめる「フリープレイ」(プレイ時点での訳は「無料でプレイ」)などけっこう充実しており,本格的に攻略に挑んでもいいし,お手軽に“世界制覇”を目指すことも可能だ。
製品版は日本語に対応しており(体験版は,筆者がプレイした時点では非対応),一部,翻訳の怪しいところもあるが,普通にプレイするぶんには困らないクオリティである。
とにかくシンプルな見た目とルールながら,ああでもないこうでもないと悩みつつ,世界中に思い通りの航空路線を広げていく醍醐味を味わえる本作。手軽に楽しめるが,ちょっと資金的に少し無茶な拡張を行ったせいで,ゲームオーバーが何度も目前に迫るスリリングな展開のプレイになったりするところは面白い。価格的にもかなり手軽な作品だと思うので,気になったらぜひプレイしてほしい。
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