インタビュー
ZUNTATA土屋昇平氏にインタビュー。2月24日に発売となる「ZUNTATA RARE SELECTION」新盤に関して,制作意図や作曲スタイルなどを聞いた
シリーズとはいえ,以前のZUNTATA RARE SELECTIONがリリースされたのは16年前となる2000年のこと。そこで,ZUNTATAコンポーザーのソロアルバムがこのタイミングでリリースされる理由,収録楽曲の詳細などを,土屋氏本人にうかがってきた。また,ZUNTATA自体の動向については石川勝久氏から補足のコメントをいただいている。
タイトル:「ZUNTATA RARE SELECTION "SHOHEI TSUCHIYA" WORKS」
発売日:2016年2月24日
盤面:スーパーピクチャーレーベル
ブックレット:カラー6P
収録曲数:約46曲(予定)
価格:2400円(税込2592円)
製作・販売:タイトー ZUNTATA RECORDS
流通:ソニー・ミュージックマーケティング
収録曲:
01.ゴシップライターのテーマ(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
02.意志(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
03.街(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
04.女性(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
05.日常(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
06.遣る瀬無さ(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
07.おどける感じで(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
08.調査(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
09.匆々(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
10.寒々しい(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
11.安心(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
12.夕方の空気(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
13.走れ!(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
14.謎(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
15.無念(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
16.まだ続く(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
17.何ということだ(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
18.失敗(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
19.息抜き(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
20.展開(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
21.近い(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
22.Never gonna give up(ゴシップライター 〜消えたアイドルを救え!〜)
23.我戦うなり(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
24.村落(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
25.酒場(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
26.休息(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
27.商店(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
28.寺院(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
29.倉庫(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
30.訓練場(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
31.資料室(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
32.準備(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
33.出口(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
34.洞窟(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
35.特殊な洞窟(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
36.奇妙な洞窟(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
37.募兵(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
38.戦闘(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
39.親玉(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
40.終焉(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
41.物語(Wizrogue Labyrinth of Wizardry)
42.sound 3(ELEVATOR ACTION DELUXE)
43.sound 4(ELEVATOR ACTION DELUXE)
44.sound 101(ELEVATOR ACTION DELUXE)
45.Smash a mirror(Groove Coaster 3 Link Fever)
46.Bass on Bass
16年ぶりにリリースされる「ZUNTATA RARE SELECTION」の内容は?
4Gamer:
まず,16年ぶりにZUNTATA RARE SELECTIONが復活した経緯をお聞かせください。
土屋昇平氏(以下,土屋氏):
自分では特に想定していなかったのですが,アルバム化できていない楽曲がいろいろと溜まってきていたタイミングで石川から「やってみないか」と持ちかけられて,引き受けることにしました。
石川勝久氏(以下,石川氏):
これまでに主だったZUNTATAコンポーザーのソロアルバムはだいたい出ていますし,ここ数年はZUNTATAの新しい体制の地盤づくりに専念していたので,なかなか新しいソロアルバムを出す機会がありませんでした。あと,僕がZUNTATA全体やZUNTATA RECORDSというレーベルをブランドマネージャーとして仕切るようになったのも,ここ5〜6年くらいのことなので,僕にとっては“復活”というより「初めてのZUNTATA RARE SELECTION」といった感覚です。
4Gamer:
名称は引き継いだものの,「新たな一歩」のようなスタンスなのですね。
石川氏:
「ダライアスバースト」シリーズや「グルーヴコースター」シリーズで土屋本人の固定ファンが増えたと思うんですよね。土屋というコンポーザーの名前がファンに浸透しましたし,外の仕事で土屋のいろいろな曲が溜まっていて,土屋がサウンドを手掛けた「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ(以下,DBCS)」(PC/PS4/PS Vita)も出る。そんな今こそがソロアルバムを出すタイミングだと感じました。Twitterで女性と思われるお客様が「ゴシップライターっていうゲームの曲いいね」とつぶやいているのなどを見たりして,曲そのものの良さも認めてもらえているとも感じられましたし。
4Gamer:
今回リリースされるアルバムはどういった内容になっているのか,改めてお聞かせください。
土屋氏:
ゴシップライターとウィズローグの楽曲を軸として,アルバムにまとめています。この2作はとくに面白い曲がたくさん入っていますし,とくに後者はサービスが終了していて二度と楽曲を聞けない可能性があったので,僕自身としても「何とか形にしておきたい」という気持ちがありました。
それ以外にも,2016年春のアーケード稼動を予定しているグルーヴコースター3用の新曲や,「エレベーターアクションDX」の曲も数曲入っています。グルーヴコースター3の新曲は,2016年春の稼動に先駆けてCDに先行収録し,さらに「グルーヴコースター2 オリジナルスタイル」(iOS/Android)でも,CDの発売に合わせたイベントで登場する予定です。これは初めての試みです。プレイヤーの方には,ぜひ予習を兼ねて聴いていただきたいですね。
ゴシップライター |
ウィズローグ |
4Gamer:
ZUNTATAはゲームメーカー内のサウンドチームとしては珍しく外部メーカーへの楽曲提供を行っていますが,年間で何曲ぐらいを手掛けているのでしょうか。
土屋氏:
これは本当にまちまちで,50曲くらいで終わってしまうこともあれば,200曲行くこともあります。年によって大きく違いますね。
4Gamer:
他社へ提供した音源を商品化するというのは難しいのでしょうか。
そのゲームのメーカー次第でしょうね。例えば,12月24日には「ファントム オブ キル」のサウンドトラックが発売されます。スマートフォン用のゲームは音楽をあまり押し出せないのですが,gumiさんにはCDのリリースまで取り組んでいただいています。
4Gamer:
ファントム オブ キルでも土屋さんがメインで作曲を担当されていたのでしょうか。
土屋氏:
ファントム オブ キルの音楽は,全体の半分くらいを僕が担当しておりまして,友人でもある三浦(健)さんにも一部を手伝ってもらっています。
※三浦 健氏……サウンドグラフィティースタジオ取締役。ファントム オブ キルのほか,「プロジェクトクロスゾーン2: ブレイブニューワールド」や「東京喰種トーキョーグール JAIL」などにも携わる。
土屋氏:
ソロアルバムだけでなく,ファントム オブ キルやDBCSのサウンドトラックも出るわけですが,ひと月くらいの期間で自分の関わったアルバムが3枚も出るというのは今までなかったので驚いています。自分でも信じられないくらいです。
4Gamer:
ウィズローグとゴシップライターはまったく違うジャンルのゲームですが,楽曲はそれぞれどのようなテイストなのでしょうか。
土屋氏:
ウィズローグの曲は,“土の匂いが混ざった神秘的な空気”の表現にこだわって作りました。自分はファンタジー作品の音楽についてあまり経験がなかったのですが,ウィズローグにガッツリと関わらせてもらえたお陰で,自分にとっての“ファンタジーの世界を表現する音楽”の指針を見つけられました。
ゴシップライターは,恐らく僕が初めて関わったアドベンチャーゲームです。シーンごとの意味合いがはっきりしているアドベンチャーゲームは,曲の表現も他のゲームより明確になりますから,作っていて面白かったですね。楽曲的には,かなり渋いところを突っ込みました。例えば“ちょっと焦るシーン”の音楽はJazzy Hip-Hopなどをベースにして,1970年代の刑事ドラマのような匂いがします。僕の好きな音楽を存分に盛り込ませていただいたので,とても感謝しているタイトルです。
4Gamer:
ちなみに,ファントム オブ キルの楽曲はいかがでしょう。
土屋氏:
すごくハッキリした,分かりやすいオーケストラメインの曲です。自分のエッセンスは十二分に入っていますが,僕としては珍しいタイプの楽曲なので,「こんな曲も書けるんだ!」と驚いていただけると思います。
4Gamer:
曲名はどれもシンプルにまとめられていますね。
土屋氏:
BGMの題名って「どういうのがベターかな」と毎回考えるのですが,今回は“何の曲か”をそのまま表現してみました。というのも,ゲームをプレイされずにアルバムを聴いていただく方にも「この曲はこういうシーンで流れる曲」というのを,しっかりお伝えしたかったからです。
4Gamer:
ファンタジーの音楽はあまり経験がなかったとのことですが,そういった場合はどうやって作曲を進めるのでしょうか。
土屋氏:
作曲の方法は人によってさまざまですが,まずインスピレーションがあって,それを演奏なり打ち込みなりで表現していくという,方程式のようなものはあります。
ウィズローグでは,ファンタジー世界から得たインスピレーションに自分との共通項を見つけて,自分の経験や好きなものを混ぜ込んでいきました。言葉にすると安っぽくなってしまうのですが,今回はアンビエント・テクノやジャズなどのエッセンスを,ファンタジーらしいオーケストラに混ぜ込んでいます。
4Gamer:
グルーヴコースター3用の新曲はどういった曲なのでしょうか。
土屋氏:
曲調は,ラテンっぽい匂いのするトライバル系のハウスという感じです。BPMは140〜150くらいですね。
※BPM……Beats Per Minute(1分間の拍数)の略称。テンポの速さを示す。
4Gamer:
音楽ゲーム用の楽曲として,譜面を意識した曲作りなどは行っていますか?
譜面はまったく意識していません。グルーヴコースターシリーズに関して言えば,少なくとも僕は“音楽ゲームらしい曲”というのは書いてきていません。
初代「グルーヴコースター」開発当初、石田(礼輔)には「土屋には今までの音ゲーになかった音楽を期待している」という思惑があったので,スマートフォン版のときからあまり気にせず曲を書いています。
※石田礼輔氏……スマートフォン版「グルーヴコースター」や「スペースインベーダー インフィニティジーン」,「スピカ★アドベンチャー」などを手掛けたゲームデザイナー。
土屋氏:
ただ,グルーヴコースターには“持っていてカッコいいゲームにしよう”,“スマートフォンに入っていること自体がオシャレなゲームにしよう”という目標が最初にあったので,今でも「とにかくカッコいい曲を書こう」ということは大事にしています。ダラ〜っと続く曲にはしません。
担当のスタッフが「どのように曲を使って楽しい譜面にするか」をすごく考えてくれるので,不安なく曲を作れます。
4Gamer:
本盤用の書き下ろし楽曲はどういった曲なのでしょうか。
土屋氏:
どんな曲を書くか悩んだのですが,今回はとにかく渋い曲にしました。自分がベースを弾くということもあり,3本のベースとドラムだけで作った曲となっています。
4Gamer:
かなり“自分らしさ”を押し出した曲なんですね。
土屋氏:
久々に……だからというわけでもないのですが(笑)。「こういうのをゲームに入れてもいいんだよ」みたいな,そういう感じで作りました。
最近は,“人間らしさを感じられる音楽”をもっとゲームに載せていきたい,ゲームの中で表現したいと思っています。また,スカスカな音楽と言うか,“あまり密度の濃くない,空間を感じられるような音楽”でゲームを表現できないかなとも思っています。個人的に,スリーピースバンドくらいの編成が好きだというのもあるのですが(笑)。
4Gamer:
書き下ろし曲を実際にゲームで鳴らすとしたら,どのようなシーンに使いたいですか?
土屋氏:
僕はスニーキングアクションやパズルアクションなどが好きなのですが,そういうタイトルに,こういったカラフルじゃない曲を載せてもいいんじゃないかなと思っています。とくにパズルアクションはポップでカラフルな音が多くなるんですけれども,もっとスカスカでいいんじゃないかな……と。
4Gamer:
あまり渋い曲だと,それを好むユーザーの年齢層とゲームのターゲット年齢層が乖離することもあるかと思いますが,いかがでしょう。
土屋氏:
確かにその通りで,ゴシップライターでは僕が作った曲を好むような層と想定したターゲット層にギャップはあったと思います。それでも,僕が子どものころ「ルパン三世」の音楽を聞いて楽しんでいたように,プレイヤーの年齢に関わらず幅広い層に楽しんでいただけると信じていました。そしてゴシップライターを提供しているボルテージの加藤(慶太)さんと話し合って,チャレンジを受け入れていただけることになりました。
※加藤慶太氏……ボルテージ 執行役員 サスペンスBusiness Unit長。ゴシップライターではプロデューサー/ディレクターを兼務。
土屋氏:
渋い曲がゲームから流れてほしいと思うのは,僕が年を重ねたからというのもありますね。今はゲームを作っている側もプレイしていただいているお客様も30〜40代ということがありますが,その中で日和見的に「若い人が楽しめるようにしよう」としている部分が時々あって,不自然さを感じます。
4Gamer:
収録曲の中でとくに挑戦的な曲を挙げるとしたら,どれでしょうか。
土屋氏:
ゴシップライターの,フィールドの曲と会話シーンの曲です。残念ながら1曲は短いのですが,かなり渋いJazzy Hip-Hopになっています。ゴシップライターでプランナーを務めた方はDJもされているのですが,「回したい(フロアで音源をプレイしたい)」と言っていただけました。
4Gamer:
スマートフォン用のゲームでここまで音楽にこだわるのは珍しいですよね。
土屋氏:
ウィズローグとゴシップライターは,ありがたいことに音質でもこだわらせていただきました。その分,曲自体を短くするなどの工夫も必要にはなりましたが,可能な限りいい音で収録されています。サウンドトラックでは,マスタリングでさらに音質を磨いていきます。
4Gamer:
コンポーザーの中には,異なるテイストの楽曲が1枚のCDに詰め込まれるのを嫌がる人もいらっしゃいます。その点はあまり気にならなかったのでしょうか。
土屋氏:
確かに「別にしたい」とは思いました(笑)。とくにゴシップライターは容量の問題で1曲が短いので,アレンジしてもっと長くしたかったんですよね。ただ,今回は「記録」という面も大きいので,一部をチョイスして1枚のアルバムにまとめ上げるのではなく,ゲーム中の全曲を入れることにしました。
4Gamer:
気の早い話ではありますが,第2弾を出すとしたらどのような曲を入れたいですか?
土屋氏:
例えば「ギャングコネクション」や「SHOGUN DEFENSE」の曲は面白いことになっているので,円盤にしてみたいですね。
「ビッグバンギャラクシー」(iOS/Android)は曲数が少ないのですが,ウィズローグがファンタジーの指針になってくれたように,SFの指針になってくれたゲームです。僕がSFの曲を作るときに迷っていたことを,BIG BANG GALAXYが晴らしてくれました。これも円盤で出したいです。
ギャングコネクション |
SHOGUN DEFENSE |
(C) TAITO CORP. 2010
(C) Ateam Inc.
石川氏:
レーベルとしても,評判がよくて皆さんが聞きたいというのであれば,第2弾,第3弾とやっていきたいですね。
ディープなゲーマーの土屋氏。イチオシは「Transistor」
4Gamer:
先日行わせていただいたDBCSのインタビュー時に「Steamでいろいろなゲームを遊んでいる」とお聞きしたのですが,具体的にはどういったタイトルを遊んでいらっしゃるのでしょうか。
ゲームがめちゃくちゃ好きなので,たくさんやってますよ。ここだけで2,3時間は話せる勢いです(笑)。Steamだけでなく,家庭用機でもアーケードでも,スマートフォンでもゲームを楽しんでいます。
4Gamer:
ゲームをプレイされるときは,やはり音楽家としてBGMや音効などを重視されるのでしょうか。
土屋氏:
そこは普通にいちプレイヤーとして,楽しくゲームを遊んでいます。ジャンルとしてはアクションを軸にしたゲームを好きになることが多いです。とくに,プレイ中に少し立ち止まって考えられるゲームが好きですね。
音楽を聞くときもまったく同じです。作曲家仲間の中には,研究を考えてしまって音楽を楽しんで聞けなくなったという方も多いのですが,僕は普通に好みで音楽を聴いちゃっています(笑)。
音もゲームプレイも凄く面白いと思ったのは「Transistor」で,これは本当に素晴らしかったです。あとは「This War Of Mine」や「Valiant Hearts The Great War」なども面白かったですし,「Monument Valley」や「botanicula」などアート系のゲーム,それから「Goat Simulator」や「I am Bread」のような変なゲームも好きです。本質的にはゲームではないのですが,「Plug & Play」も凄く気に入りました。
This War Of Mine |
Valiant Hearts The Great War |
Monument Valley |
botanicula |
Goat Simulator |
I am Bread |
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(C) Etter Studio 2015
最近はいわゆるジャケ買いもしています。「Stick It to the Man!」なんかは完全にジャケ買いでした。一応,サイトに乗っている動画は見たのですが,何をやっているのかさっぱり分からないゲームだったんですよ。でも,プレイしてみたら曲がべらぼうにカッコよくて,ポイントクリック系のゲームなのですが特に難しいこともなく,楽しくプレイできました。
色味や雰囲気が音楽と一致することはよくあるので,ジャケ買いはけっこう成功します(笑)。
ステルス系のゲームも好きです。2Dでもセガの「ボナンザブラザーズ」みたいなゲームはありましたが,「Mark of the Ninja」は「2Dでこれをやれるんだ!」と驚き,ゲームのテンポや音にも感動しました。スマートフォンですと,最近アップデートされた「Lara Croft Go」が,ちょっと難しいですけど面白いですね。
AAA系では,「アサシンクリード シンジケート」(PC/PS4/Xbox One)が遊んでいて面白かったですし,曲もかなりカッコよかったです。オーケストラなのですが,弦カルのような小編成で演奏されているんですよ。少ない音数の1つ1つをくっきりと出しているのは,自分がやりたい方向性の1つでもありました。
音作りは視覚的イメージと劇中の雰囲気から
4Gamer:
限られた音で曲を作るスタイルとなると,音色(おんしょく)に相当こだわることになるかと思います。普段はどのようなスタイルで音作りを行っているのでしょうか。
ゲームで使われている色と曲に使う音色を合わせるという点は,重視しています。
色からインスピレーションをもらって曲ができることも多いですね。ビビッドな色使いのゲームであれば自分の中にカラフルな音が浮かんできますし,くすんだ色使いのゲームであればそういう音が浮かんできます。
4Gamer:
視覚的なイメージから曲作りを行うことが多いのでしょうか。
土屋氏:
そういう面も大いにあります。後はもちろん,例えば廃墟や未来的な雰囲気,森や草原などの舞台背景もインスピレーションを与えてくれます。
ディレクターさんがどういう曲にしようか迷っているときには,こちらから「こういう曲はどうでしょう」と提案するのですが,背景のイメージをつかむため「街で例えると,どんな雰囲気の街ですか?」と聞くことが多いです。下北沢なのか,原宿なのか……といった感じで。
4Gamer:
ウィズローグはファンタジー世界が舞台なので色的な雰囲気が分かりやすいですが,現代が舞台となっているゴシップライターではどのような色のイメージで曲を作ったのでしょうか。
土屋氏:
イメージしたのは,夕焼けみたいなくすんだオレンジです。街の雰囲気で言うと“無味乾燥な都会”ですね。綺麗に晴れているけれど空気に不透明感のある都会の青空みたいな,そういうイメージで曲を作りました。
4Gamer:
ファントム オブ キルはいかがですか?
土屋氏:
ファントム オブ キルでは赤やピンク,そして生き生きとした草の緑のイメージがあって,それらが楽曲に反映されています。同じファンタジーでも,茶色い土や薄黄色の光といったイメージがあるウィズローグとは全然違いますね。
4Gamer:
DBCSのインタビューでお聞きした,「Freedom」の前に構想してたという「音楽か音楽じゃないか」際どい曲が気になるのですが,「どこかでやってやろう」みたいな目論見はありますか?
土屋氏:
グルーヴコースターでも「Spring to mind」という曲を書かせていただいたのですが,ああいうのは何かでまたやりたいと常々思っています。僕はコンテンポラリーバレエが大好きなのですが,それに合う音楽はゲームにもすごく面白い効果をもたらすのではないかと考えています。
CDリリースやイベント出演など,2016年1月はZUNTATA盛りだくさん
4Gamer:
今後の展望をお聞かせください。
自社のタイトルをきっちりやっていくのは大前提として,ほかの会社さんへの楽曲提供も積極的にやっていきたいです。メーカー内のサウンドチームが受託を行うのは珍しいことだと思いますし,そこからタイトー自体と他社が一緒に何かをするような,新しい面白さも生まれてくると思っています。僕自身としても,いろいろなゲームに音を付けていきたいですね。
今回のような“個人に焦点を当てる”という楽しみ方は,今後もっと進むだろうと思っているので,「土屋昇平という人間はどういう音楽を書くのだろう?」ということをもっと分かりやすく伝えられるよう,頑張りたいと思います。
4Gamer:
イベントなどへの出演予定はいかがでしょうか。
土屋氏:
2016年1月23日の「東京ゲーム音楽ショー2016」でトークや直販を行います。そして1月31日の「闘会議2016」では,音楽ステージに出演する予定です。
4Gamer:
以前の東京ゲーム音楽ショーではセガのHiro師匠とトークをされていましたが,今回は?
土屋氏:
またHiro師匠に付き合わされます(笑)。今年もなんとかしゃべりたいです。
4Gamer:
あそこで土屋さんが起用されているのは,Hiro師匠からの指名なのでしょうか。
土屋氏:
少なくとも,僕から「Hiro師匠とトークをしたい」と言ったことはないです(笑)。気付いたら横に座らされていました。でも,人前で話す機会が少ないので,年に1回の楽しみにはなっていますね。今後も毎年続けていきたいと思っています。
ZUNTATAを去った小塩広和氏。土屋氏の目にはどう映る?
4Gamer:
今回のインタビューの趣旨とは外れた余談なのですが,ZUNTATAファンにとって気になると思われる小塩広和氏の独立について,コメントをいただけますでしょうか。
土屋氏:
最初に小塩くんから独立の話を聞いたときは,やっぱり寂しかったですよ。僕がタイトーに入った当時,僕以外では唯一のコンポーザーでしたし,いろいろ話したり一緒に飯を食ったりもしたので。
ただ,この業界はこういったことが往々にしてありますし,ZUNTATA自体も設立当時とは少し変わっていると思うんですよ。タイトー自体も設立から60年以上が過ぎているので,オリジナルメンバーは1人も在籍していないんですよね。
4Gamer:
業態も,最初はゲームでなくウォッカを売っていたと聞きますね。
土屋氏:
そのように,「こういう形だからZUNTATA」というのではなく「ZUNTATAとは屋号のようなもの」なのだと,すでに独立されているZUNTATAの先輩方についても「その人の歴史に,ZUNTATAにいた時期があった」ということなのだと思います。僕自身,以前はオリジナルメンバーが1人もいないことに疑問があったのですが,そう考えて納得できました。
小塩くんの独立は「いい感じになってきたから家から出て行った」というイメージです。独立したからといって連絡を閉ざしているわけではありませんし,恐らく今後もゲーム業界で活動していくでしょうから,ZUNTATAと何かをやる機会も十分にありますよ。
先ほども言いましたが,これからは“個人に焦点を当てる”のがエンターテイメントの主流な楽しみ方になると考えています。なので,ZUNTATAファンの方は小塩くんをウォッチしていただければ,また楽しいことに出会えると思います。まあ,あまり外に出なくなるので,太るんじゃないかとは心配しています(笑)。
4Gamer:
本日はありがとうございました。CDのリリース日を楽しみにしています。
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