インタビュー
「Vainglory」,新ゲームモード“5V5”でPC向けMOBAに迫るゲームプレイを実現。開発会社のCEOに行ったインタビューを掲載
本大会の会期中,Super Evil MegacorpでCEOを務めるKristian Segerstrale氏に,直接話を聞く機会が得られた。世界大会の感想や,Vaingloryの開発/運営ポリシーについて聞いてきたので,プレイヤーはぜひ目を通してほしい。
Vaingloryにとって2回目となる世界大会が閉幕
スマホでもe-Sportsとして盛り上がれることを実証
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
世界大会「Razer 2017 Vainglory World Championship」を振り返って,感想はいかがですか。
Super Evil Megacorp, Segerstrale氏(以下,Segerstrale氏):
大会前における下馬評では,Impunityはダークホース的な存在だったのですが,実際には決勝トーナメントの準決勝まで勝ち進んでくれました。あれだけの声援を一身に受けたことで,きっと大きく後押しされたことでしょうし,シンガポールの観客は本大会の立役者だと思いますね。
4Gamer:
自分も観客席を眺めていて,みんな心の底からイベントを楽しんでいるんだなあと微笑ましくなりました。
Segerstrale氏:
そうですよね。連日チケットは完売し,2000名以上もの来場客が訪れてくれて,シンガポールで大会を開催して本当に良かったです。
また,シンガポール以外の国も含めた,ライブ配信の視聴者数にも満足しています。前回の世界大会から1年しか経っていないのに,e-Sportsとして大きく成長できたことを実感しています。
4Gamer:
試合内容そのものに対しては,どのような感想でしょうか。
Segerstrale氏:
出場チームのレベルが非常に高いですね。今回出場した12のチーム全部が,昨年の世界王者であるROX Armadaよりも上手いと思いました。
また,予想外かつドラマティックな試合展開が多いことも印象に残っています。昨年の世界大会で決勝戦の舞台に立った,ROX ArmadaとTeam SoloMidの両方がグループ予選で姿を消すとは,きっと誰も予想していなかったでしょう。
4Gamer:
Vaingloryはリリースから3年で,このように大規模な世界大会を2回も行っています。e-Sports的な展開をここまでアグレッシブに行うスマホ向けアプリは,とても珍しいですよね。
Segerstrale氏:
ええ,そこは我々がとくに力を入れている部分のひとつですから。
Vaingloryの開発をスタートした頃は,シンプルなゲーム内容のスマホ向けアプリが大半を占めていました。しかし我々は,スマホでもPCに劣らないクオリティのゲームが実現できると確信しており,だからこそVaingloryの開発に着手したわけです。
また,コアなスマホアプリがあれば,e-Sportsの競技種目としても盛り上がるはずです。今回の世界大会を通じて,そのことを実証できたと思います。
コアゲーマーを満足させるべく最新テクノロジーを追求
4Gamer:
Super Evil Megacorpはスマホ関連の最新テクノロジーを積極的に取り入れていますが,これにはどういった狙いがあるのでしょうか。
Segerstrale氏:
一言でいうと,コアなゲームを作るためです。
スマホは急速に普及し,またスペックも向上し続けています。スマホを手にするコアゲーマーは当然,スマホでもコアゲームを求めるはずです。私たちは,そういった人たちが満足できるゲームを作るべく,常に最新テクノロジーを研究しています。
4Gamer:
Super Evil Megacorpが次に注目しているテクノロジーに関して,差し支えのない範囲で教えていただけませんか。
Segerstrale氏:
CPUやディスプレイといった基本スペックに関しては,今後も堅実にアップグレードされていくでしょう。しかし,すでに上限に近いところまで到達していると感じており,この方面におけるゲームプレイの劇的な変化というのは,あまり期待できないでしょう。
4Gamer:
確かにそうかもしれません。
Segerstrale氏:
そういったなか,我々が現在注目しているのは「5G」(第5世代移動通信システム)です。
Vaingloryに限らず,オンラインゲームである以上,ネットワークの制約はどうしても生じます。5Gが登場することで回線品質が安定し,より大規模で低遅延なゲーム環境が実現します。Vaingloryのみならず,スマホ向けアプリ業界にとって革新的なテクノロジーといえるでしょう。
4Gamer:
そういえば前任のCEOであるBo Daly氏が,Game Developers Conference 2017で5Gに関する講演を行われていましたね。
Segerstrale氏:
ええ。Super Evil Megacorpは5Gに対しても,いちはやく取り組んでいます。現在は通信キャリアなどの対応を待っている状態ですが,少なくとも今後5年間のスマホ向けコアゲームにおいて,最も重要なテクノロジーのひとつになると思いますよ。
コアゲーマーでも満足できるスマホ向けMOBAを実現
4Gamer:
世界大会の会場で,Vaingloryの新ゲームモード“5V5”(5対5)が発表されましたが,その導入経緯についてお聞かせください。
Segerstrale氏:
Vaingloryのリリース当時からプレイヤーは5V5を渇望しており,我々としてもぜひ実現したいと思っていました。しかし,当時における一般的なスマホ端末のスペックでは,我々が求めるクオリティでの5V5のゲーム体験が実現できなかったんです。
そこで,ゲームエンジンのブラッシュアップなどを行いながら,多くの人に普及しているスマホ端末のスペックが向上するのを待ち続けていたわけです。
4Gamer:
Vaingloryはこれまで“3V3”がメインコンテンツに据えられていましたが,5V5の実装後はどうなるのでしょう。
Segerstrale氏:
確実に,5V5がメインコンテンツになります。
現在は少人数でのテストプレイを行っているのですが,ほぼすべてのプレイヤーが5V5を支持してくれています。もし半年前に同じ質問を受けたら回答に悩んでいたでしょうけど,ゲームバランスの改善を重ねた今なら確信をもって答えられますね。
4Gamer:
5V5が導入されることで,VaingloryはPC向けMOBAと同様の規模感/戦術でゲームプレイを楽しめるようになります。MOBAのゲームジャンル全体におけるVaingloryの強みについて,あらためて聞かせください。
Segerstrale氏:
Vaingloryにとって最大のアドバンテージは,PC向けMOBAと同じゲーム体験を,スマホで味わえるという部分です。学校やカフェ,職場など,どこにいても仲間と一緒に本格的なMOBAが遊べるわけです。
またVaingloryでは,PCゲーマーが求めている部分,たとえばグラフィックス,操作性,フレームレートなどを,とても大切にしています。先ほども申し上げたとおり,「コアゲーマーでも満足できるスマホ向けMOBA」が,Vaingloryの5V5なのです。
4Gamer:
スマホ向けのMOBAで,5対5のコンテンツを導入するタイトルは他にもあります。それらに対するVaingloryのアドバンテージは,どの部分にありますか。
Segerstrale氏:
他のスマホ向けMOBAは,シンプルでカジュアルなゲーム内容が多いと思います。実際にVaingloryを遊んだうえで見比べてもらえると,「ジャンケンと囲碁」くらいの違いがあることに気付くはずですよ。
4Gamer:
5V5が導入されることで,VaingloryはPC向けMOBAに追いついたという見方もできます。その次にVaingloryは,どこを目指していくのでしょうか。
Segerstrale氏:
そのほかには,ゲームを遊ぶための環境周りを整備する必要性を感じています。たとえば新規プレイヤーが触れるチュートリアルの改善や,一緒に遊ぶ仲間を探すための,コミュニケーションをサポートする機能などが必要です。
もちろん,最新テクノロジーの研究は今後も行いますし,やるべきことはまだまだ山積みです。5V5の導入はVaingloryにとってのゴールではなく,新たなスタートですね。
4Gamer:
なるほど。
Segerstrale氏:
Vaingloryのゲームプレイは,険しい山の頂上で,仲間といっしょにパーティーを行うようなものだと考えています。パーティーは最高に楽しいのですが,この山は“コアゲーム”という名前で,普通の人が頂上にたどり着くのはとても大変です。そこで我々は,誰でも頂上にたどり着けるように,山にエレベーターを作っているわけです(笑)。
4Gamer:
来年の世界大会にも期待しています。
本日はありがとうございました。
「Vainglory」公式サイト
「Vainglory」ダウンロードページ
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(C)2013-2014 Super Evil Mega Corp.
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