連載
【山本一郎】「信長の野望・創造 with パワーアップキット」プレイレポート――輝け! 魂の姉小路家!〜怒涛の勢力拡大篇〜
山本一郎 / アルファブロガーにしてゲーマー。その正体は,コンテンツ業界で今日も暗躍(?)する投資家
山本一郎:茹で蛙たちの最後の晩餐 |
山本一郎です。元気ですか。
いやね,こういう連載って「山本さんの好きなことを好きなペースで書いてください」といったありがたいお話でスタートするものなんですけど,そういう締め切りのない仕事って,どうしても間が空いてしまうんですよね。子供が熱出したり,取引先でお家騒動が起きたりするしさ。で,例えば前回掲載した原稿から半年後に続編が出るとか。めざせ田中芳樹。そのように思うわけです。遅れまして申し訳ございません。
というわけで,「信長の野望・創造 with パワーアップキット」(PC/PS4/PS3/PS Vita)で,どのような弱小大名でもやってやれないことはない。人に知性が備わる限り,技巧の限りを尽くしていかなる貧乏国でも坂の上の雲を目指し,成り上がって京に上り,世界征服しアンドロメダの彼方まで支配してやろうじゃないかという本企画。今回は,我らが姉小路家の野望「中編」をお伝えしたいと思う次第であります。ええ,前編のあとは後編と思うのが人情かもしれませんがね,文量が多くなってしまって,編集部に「いくらなんでも長すぎねえ?」と言われたので三部作にしてみた。すまんな。以前,ローマ時代を扱った作品の連載でも怒涛の前編中編後編という三部作にする荒技を見せましたが,まさか今回もこうなるとは思ってもいませんでした。
【山本一郎】「信長の野望・創造 with パワーアップキット」プレイレポート――輝け! 魂の姉小路家!〜風雲嫁取り篇〜
なお,執筆当初は2014年12月から2015年1月がプレイ期間だったわけですが,その間,コーエーテクモゲームスの開発陣の皆様方による絶え間ない改善,バグフィックスなどが行われております。それゆえ,この連載内容とゲームの仕様が一部変更になっておりますが,それはそれとして歴史のダイナミズムを肌で感じていただければ幸いです。それでは,はじまりはじまり。
「信長の野望・創造 with パワーアップキット」公式サイト
昨日の友は今日の草刈場。さらば本願寺
ヤバ過ぎるご近所・上杉家,武田家,織田家に囲まれた情けない山岳の貧乏国,飛騨・姉小路家。生き残るためにセコい作戦の限りを尽くして気合と根性の土下座を敢行,織田家と政略結婚に漕ぎ着けて,本願寺の皆さんの力も借りながら隣国・神保家や宿敵・能登畠山家を服従させることに成功します。神保&畠山領を吸収して,少しは見られる大名に進化しつつありました。その後も,度重なる武田家からの侵攻を撃退するなど地味な小競り合いに巻き込まれながら,ついに飛騨,越中,能登の3国をだいたい治めるところまで到達したわけなんですが……なんか立地的に本願寺が邪魔なんですよね。なんでしょう,あの集団。腹立ちますね。
我らが姉小路家当主,良頼パパ。極貧の零細大名から身を立て,戦国大名に,ひいては日ノ本を統べる征夷大将軍となって姉小路幕府を開いたりするのが夢の夢のそのまた夢 |
そんな姉小路家の悲惨な外交環境。同盟国・織田家も徳川家も関係は「普通」で真顔,それ以外は武田家も上杉家も本願寺も朝倉家も,ついでに今川浅井も全部敵。味方少なすぎィ! 誰か助けて! |
思い返せば数年前,飛騨の山に囲まれてふーふー言いながらハイキングしていたころは,どうしても本願寺の助力がなければ生き残れませんでした。でもそんな零細大名な屈辱の日々とはもうサヨナラ。いまや,姉小路家当主である良頼パパは,CHO☆NAN頼綱とその妻の猛将・葵ちゃんを二枚看板に,ついでに滅ぼして合流した斎藤家や神保・畠山の強力な遺臣団を従え,さらなる勢力拡大に舵を切ろうとしています。竹中半兵衛とか斎藤利三とかも部下にいるよ。凄いよね姉小路家。辛気臭い坊主に恩着せがましくされて大人しくしているほどの小物では,もうありません。
国力の大きさを示すのは,国ごとに1個ずつある「本城」と,養える兵隊数に直接の影響を与える「人口」です。とりわけ,人口は大事なパラメータで,そもそも飛騨がなぜ貧乏だったかというと,山ばっかの地形で住んでいる人の数が少ないからです。城下町も拡張できないし,田んぼが作れなくて食い物も足りないから人が増えねえんだよ。つまり,多くの領民があり,彼らが幸せに暮らしてこそ,国は豊かになり強くなっていくのであります。
そこで良頼パパは,拡大した各城の城下町に,おもむろに教会を建て,そして大聖堂を建立します。仏教? 知らねえな。そこに,なぜか兵隊が集まります。神兵か何かでしょうか。これはゲームの仕様ですので,細かいことはあまり気にしないでおきましょう。そんな大聖堂が増えるとあら不思議,姉小路家の家風が「保守」から「中道」へ向かって移り変わっていくではありませんか。
すべては飛騨の,姉小路家の領民のために,より良い時代を拓く。その揺るぎない決意が,唇を固く結んだ良頼パパの考えでありました。そして,姉小路家の精神が「中道」に到達すると,飛騨屈指の桜の名所である桜洞城に本拠地を移した良頼パパは政策を執り行います。
「そうだ,2ちゃんを作ろう」
良頼パパは領内社会の風通しをよくするために,中道の政策「目安箱」を設置します。一部から「便所の落書き」などと揶揄され後世には匿名掲示板2ちゃんねるとして,多くの日本人に親しまれるサービスを先駆けて実施するなどの開明的な方針を採り,信長の野望シリーズ伝統の「民忠(民忠誠度)」を押し上げることを狙います。なぜ「目安箱」を設置すると民忠が上がるのかは謎ですが,そういうゲームの仕様なんだから気にしたってしょうがないだろお前ら静かにしろ。それにしても,戦国時代の皆さんは日々の鬱憤をあおり合いでどんだけ消化しようとするのか。テーブルを挟んで殺伐としすぎです。
さらに,取引で商品が安く買えるように,現代日本でアベノミクスなどと称される金融政策の先駆けとなる「撰銭令」(アネノミクス)を実施。飛騨中央銀行に長期姉小路家債を買い取らせるなどして無理やり市中に大量のカネが回ることを目指し,飛騨平均株価がバブって享楽的な社会へとシフトするよう画策したのです。なんだよ飛騨平均株価って。
中道の政策――それは,天皇家を扶(たす)け,朝廷の権威を集(たか)らしめて,自らをその護持者としての征夷大将軍とすることで幕府を開き,武家政治の中核となることを目標とした政治です。天皇陛下万歳。そんな中道の精神こそ,念願の飛騨・姉小路幕府を開くための一里塚。大名家家臣領民同士,匿名であおりあおられながら幕府を目指し頑張っていくのだ!
姉小路家が開放的な政策をとるごとに,保守的な政治態度で頑迷な宗教主義を貫く本願寺との関係は悪化。いまや一触即発の状態であることを示す「敵視」の外交状況にまで陥ってしまいました。旧恩はあれどもその髪型が気に入らないということで,宣戦布告を意味するアフロのヅラをどのタイミングで本願寺に送りつけるのか。良頼パパは虎視眈々と機会をうかがいます。
一方で,いまでこそ片手間に攻めてくる武田家の軍勢を捌けてはいるものの,将来はわかりません。いずれ武田家,ひいてはその背後にいる北条家を倒さなければ,姉小路家に未来はない。良頼パパは姉小路家の軍略目標を遠く北条家に見定めます。
北条家は関東平野を領地とし,その関東は膨大な人口を擁する近畿一帯と並ぶ重要なエリアです。天下を取るには,人口の少ない地域の城をちまちま領有しているだけではダメで,まずは近畿か関東か人口の多いところをでーんと領国としない限り,武家政治の領袖は務まらないのであります。その意味では,越後を本拠地とする上杉家も腹立ちますが人口という意味ではそこまででもなく,武田家も武将は強力だけど飛騨と同じく山ばっかりなので道が細いうえ平地も少なく,兵隊をそう多くは養えません。やはり,「天下を狙う=人口の多いところを確保する」となると,必然的に近畿か関東が必要となります。しかしながら,近畿は織田信長兄さん(通称「ノビー」)が治めるでしょうから,姉小路家は必然的に関東領有を目論むことになるのです。
そんな北条家攻略のために必要なことは,領土拡大です。もう軍拡に次ぐ軍拡ですよ。富国強兵だ。力の限り攻め込んで,勝ち抜いて,屈服させてこそ,姉小路は天下を取ることができる。わしはやったるぞーっ。そんな闘志に炎の湧き立つテンション高めの良頼パパのもとに一報が届きます。
「本願寺が,朝倉家に攻め込みました」
「朝倉家から,我が家に救援依頼が来ています」
叫ぶ伝令の顔に理不尽な往復ビンタを食らわすと,興奮した良頼パパは立ち上がりました。
「いまこそ好機! 攻めるのだ!」
良頼パパは全軍で兵を挙げ本願寺攻略を指揮します。ああ,こんな勇ましい姿を7年前の自分に見せてあげたい。飛騨全土を染める桜の下に,姉小路軍は集結します。
姉小路,徳川,武田各家と結び,近畿攻略に乗り出す織田家。一門衆である我らも,織田政権の一角として奮励せねば |
隣の坊主こと本願寺が,坊さんの大軍を連れて朝倉家攻略に向かうのを発見。これは空き巣狙いを戦術の妙とする姉小路家の血が騒ぐ……! |
美しく咲き誇る桜を,春風に吹かれながらいつまでも見ていたい。しかし良頼パパには危機感と焦燥感がありました。いま,飛躍しなければ未来はない。そのためにも豊かな加賀を勝ち取る。ついでに……半笑いの表情のまま,徳川家との政略結婚を指示します。本願寺攻略中の留守に,武田家から攻め込まれたときの抑えが,どうしても必要だったのです。
ただでさえ微妙なCHO☆NAN頼綱よりもはるかに無能で一族の恥さらし状態となっている次男・顕綱(通称「ルイージ」)ですが,姉小路家に残る一門衆(血族)は彼しかいません。あー,ギリギリ言うと良頼パパも仕様上未婚なんですけど,徳川家の督姫さん,4歳なんすよね。ナイスミドルの良頼パパの結婚相手が4歳て。いくらゲームとはいえさすがに犯罪でしょ。だめだめ。目安箱に何書かれるか分からん。「【ロリ】パパが新嫁を迎えた結果wwwwww【ロリ】」とかいうスレッドが乱立しそう。で,やむなく次男・顕綱に徳川家康公の娘・督姫を貰い受ける外交を展開するのです。何でしょう,この長男に織田家の娘,次男に徳川家の娘を頂戴するというゴージャスな展開は。しかも,たかが姉小路家ですよ。
あまりにも味方がいない惨状をうれいて,武田家対策も踏まえルイージこと次男・顕綱に徳川家の幼女・督姫を貰い受ける。督姫,御歳4歳。ロリすぎる,大丈夫か |
あんまり嬉しくなさそうな徳川家康公。逆の立場なら私だって浮かない顔のひとつもしたくなります。なんせルイージですし。そこは両家の繁栄のためにも,堪忍ということで……。必ずご息女は姉小路家が守り通します |
そして手筈どおり,本願寺の加賀本城・御山御坊に大量のアフロのヅラを送りつけると,三隊に分かれた姉小路軍はCHO☆NAN頼綱,葵ちゃん,長女・錦女史や斎藤利三さんらに率いられ,一気に本願寺領内に突撃します。留守中いきなり攻め込まれ,慌てふためく坊主の軍勢。ざまあ。朝倉家攻略のため進軍していた本願寺顕如さんの軍勢も,本領の危機を聞いて取って返してきたところを姉小路家得意の包囲攻撃で分断され,ついには本願寺さんを捕らえることに成功します。見たか,これが姉小路家秘伝の「空き巣殺法」だ!
良頼パパの前に,引っ立てられる一向一揆首謀者の本願寺顕如さん。無情にもアフロのヅラが乗せられたその本願寺さんの手をとると,良頼パパは笑みを湛え無言で本願寺さんを釈放。国に帰るんだな。彼にも,待っている家族がいるだろう。そうこうしているうちに加賀本願寺の一派を完全に一掃,大聖寺城も陥落して,加賀一向一揆は終息を迎えることになりました。一向一揆に従事した人々を前に,良頼パパは宣言します。信仰に生きた真面目な人々よ,これからはアフロをかぶり,田を構え,家族をきちんと養って立派に暮らしていくのだと。
本願寺さん以下,姉小路家に降らなかった武将は石山本願寺方面や長島方面に落ち延びていきましたが,彼らとまた戦場で会う日は来るのでしょうか。
本願寺相手に大勝利! ……ところで,この戦いって何で始まったんでしたっけね。本願寺が朝倉家に攻め込んだからだっけ? 越前を領有する朝倉家は,少しだけ織田家に領地をかじられておりますが講和をしている状態です。本願寺が朝倉家に攻め込んだのは,朝倉家はその程度の国力だということにほかなりません。彼らに足りないのは,土下座力(どげざりょく)だと思うんですよ。言い換えれば,生き残るために必死である魂(ソウル)の強さってやつです。石にかじりついてでも生き残る心っていうか。最近の公家は根性が足りないと思うんですよね。
というわけで,そのまま朝倉家に攻め込む姉小路軍。上杉家や武田家ともやり合う姉小路家の強さに敵うはずもなく,朝倉家はあっという間に占領されていきます。その間に……またしても武田軍が! 斎藤家が最後に篭った美濃・岩村城を守る竹中半兵衛さんの元へ,赤備えを着こなしたオサレな武田勢が迫ります。畜生め。
さすがにすぐに軍を向かわせる余裕はなく,救援が届くのはおよそ二か月後。何とか半兵衛に,その知略で踏ん張ってほしい。そう願う良頼パパに「竹中半兵衛さん降伏!」の報告が。はえーよ。一回当たって篭城しただけじゃん。ちょっとくらいイケメンだからってすぐ折れやがって,期待外れすぎる。もう少し粘れ。
そうこうしているうちに,朝倉家は葵ちゃん以下姉小路勢に轢かれ,わずか4か月で滅亡。お疲れ様です。姉小路家の家訓どおり,朝倉家の皆さんも姉小路家の禄を食んでいただきます。領国は召し上げだけどな。でも一緒に天下を目指して頑張っていきましょう。共に,未来の日本を作っていこうじゃありませんか。良頼パパは,救援に呼んだはずの姉小路家に滅ぼされて呆然としている朝倉義景さんの肩を抱き,日本海に沈み行く燃える夕日を指差すのでありました。
朝倉家を蹴散らしている途上で,なんと姉小路家のスキを突くように武田家の大軍が迫る! もうこれ以上は我慢できない。ついに本格的な戦争が始まる…… |
竹中半兵衛と共に岩村城を守っていた畠山遺臣・温井続宗が討ち死に。武田家に包囲され,岩村城は風前の灯火。頼むよ城主・竹中半兵衛! |
はあああああ? 竹中半兵衛が敵にあっさり降ったんすかあああ? お前さあ……「城を枕に死ね」とは言わないけど,もう少しどうにかなりませんでしたかね? |
いざというときのために,朝廷へ使者を送り地味に官位をねだる良頼パパ。何事も,準備準備ですよ奥さん |
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