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GIGABYTE「AORUS X7 Pro V4」レビュー。Amazon限定販売で日本市場上陸を果たしたゲーマー向けノートPCの実力に迫る
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印刷2015/08/18 11:00

レビュー

Amazon限定で販売が始まった「GIGABYTE製ゲーマー向けノートPC」の実力検証

GIGABYTE AORUS X7 Pro V4

Text by BRZRK


AORUS X7 Pro V4
メーカー:GIGA-BYTE TECHNOLOGY
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
実勢価格:37万7784円(税込,2015年8月18日現在)
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 2015年8月18日,PCパーツなどの販売代理店であるアスクが,GIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGABYTE)のゲーマー向け製品ブランド「AORUS」(オラスもしくはオーラス)に属するゲーマー向けノートPCの国内発売を発表した。

 第1弾となるのは,17.3インチで解像度1920×1080ドットの液晶パネルを搭載するノートPC「AORUS X7 Pro」に属する「AORUS X7 Pro V4」(型番:X7 Pro-SYNC)と「AORUS X7 Pro V2」(型番 X7 V2)の2製品で,いずれもAmazon.co.jp限定販売となる。18日時点における販売価格は順に37万7784円,29万9138円(いずれも税込)だ。

AORUSは,GIGABYTEが2014年に立ち上げたブランドだ(関連記事)。“中華フォント”全開ながら,AORUSの日本語Webサイトもすでに用意されており,マウスやキーボード,ヘッドセットといった,ノートPC以外のラインナップも確認できる
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 両製品の主なスペックはのとおり。4Gamerでは,「GeForce GTX 970M」をSLI構成で搭載し,ノートPC向け「G-SYNC」に対応するAORUS X7 Pro V4を入手できたので,筆者らしく,ゲーマー目線多めで,この新しいゲーマー向けノートPCをチェックしてみたいと思う。

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薄さが目を惹くAORUS X7 Pro V4。キーボードレイアウト以外はよくできている


AORUS X7 Pro V4の製品ボックス,外箱
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 外箱と内箱を開けて取り出せるAORUS X7 Pro V4は,さすがに17.3インチ液晶パネル搭載モデルといった感じで,やはり大きい。他社からも17.3インチ液晶搭載のゲーマー向けノートPCというものはリリースされているので,サイズ感はイメージできるかもしれないが,それでも,Amazon.co.jpでポチっと購入して,いざAORUS X7 Pro V4が届いてみると,軽く驚くことになるかもしれない。

内箱(左)とその内容物(中央)。面白いのは,タッチパッド用の保護シールが付属していることだろうか(右)
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天板を目いっぱい開いた状態で横から。薄型ノート並みとはさすがに言わないが,SLIノートPCとしては相当に薄い
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 ただ,AORUS X7 Pro V4は,GeForce GTX 970Mの2-way SLI構成とBroadwell世代の4コア8スレッド対応CPUである「Core i7-5850HQ」を搭載する割に,閉じた状態の高さは22.9mmと,とても薄い。これで本当に冷却・排熱できるのかと,嫌な記憶が蘇ってくるが,結論からいうと,冷却に問題はなかった。
 3Dゲームを起動して,長時間プレイし続けても,本体のキーボード面が熱くて触れなくなるような心配は無用だ。厳正を期すなら,長時間プレイしていると,[I][K]キーあたりから右側がほんのり温かくなってはくるが,触れないということは全然ないのだ。

 比較的“かさ”のあるゴム足で浮いた底面から吸気し,本体正面向かって背面側両サイドに埋め込まれたファンを使って,本体背面および両側面に排気するという冷却機構は,きちんと機能できていると言っていいだろう。

吸気用スリットの多い,本体底面(左)。吸気効率を上げるべく,滑り止めのゴムは脚の先に取り付けられている
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 17.3インチクラスのノートPCは,そう頻繁に持ち運ぶものでもないのだが,それでも,薄さのおかげで,机上で畳んだときなどの自己主張が少ないのは悪くない。

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畳んだ状態の前面(左)と背面(右)。前面にインタフェースはなく,背面にはACアダプター接続用端子とUSB 2.0(Type-A)×2が用意される
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本体左側面には1000BASE-T LANとアナログRGB(D-Sub 15ピン)出力,USB 3.0(Type-A)×1,ヘッドフォン出力兼光デジタルサウンド出力およびマイク入力(ミニピン×2)が並ぶ(左)。右側面はSDカードリーダ−,HDMI(Type A),Mini DisplayPort各1とUSB 3.0(Type-A)×2の並びだ

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キーボード部を正面から。試した限り,キーボードバックライトは用意されていないようだ。光るのは,プロファイルとして管理されるマクロキーの組み合わせを切り替えることのできる,写真左上の[G]キーに埋め込まれた,プロファイルインジケータだけである
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メインキーボード部と10キー部の間に隙間がなく,この点が使いづらい。個人的には[Back Space]キーのタッチタイプしづらさがとても気になった
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プロファイル切り替え用キーとなる[G]キーは,押すごとに色が変わって,「どのプロファイルが選択されているか」を通知する仕様。マクロはプリインストールのソフトウェアから設定できる
 キーボード部の奥,AORUSのロゴ入りエンブレム部が電源ボタンで,これを押すとエンブレムが光り,そこから10秒ほどで64bit版Windows 8.1のログイン画面が表示される。いまとなっては「mSATA接続のSSDによるRAID 0」は,ハイクラス以上のゲーマー向けノートPCだと珍しくないのだが,やはり速いのは正義だ。

 キーボードは,最近の流行でもあるアイソレート型で,打鍵感は少しペコペコしているものの,柔らかすぎず固すぎずで,大きな問題はない。ただ,フルキーボード仕様なのはいいのだが,メインキー部と10キー部との間に隙間がまったくないため,メインキー部の[Enter]キーや矢印キーを押そうとしてその右隣の数字キーを“誤爆”してしまうということが,かなり頻繁に発生した。本体の左端に並んだキーは,ご推察のとおりマクロキーなのだが,これを用意するよりも先に,メインキーと10キーの使い勝手に注力してほしかったところだ。

 なお,Microsoftが公開している「Keyboard Ghosting Demonstration」で確認する限り,キーのロールオーバー数は組み合わせによって3〜10といったところで,配慮がゼロというわけではないが,及第点にも達してはいない。
 残念だが,他社製品のほとんども同じような感じなので,ここはやむなしか。

天板部のデザインはこんな感じ。天板部に限ったことではないが,指紋汚れなどは残りやすく,やや安っぽい表面加工とはいえる
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 ノートPC向けG-SYNC対応ということで注目の液晶パネルは,ノートPC向けG-SYNCに関するNVIDIAの説明から推測するに,おそらくLG Display製。NVIDIAから「G-SYNC Panel」として認証を受けたパネルの数がそもそも少ないうえ,15.6インチパネルと比べると17.3インチパネルは解像度の選択肢が非常に少ないという事情もあると聞いているので,1920×1080ドットという,ハイエンドクラスのノートPCとしてはやや物足りない解像度も,やむを得ないところなのかもしれない。

G-SYNCうんぬんは抜きにして,IPSパネルなので,正面以外から見ても見栄えに大きな変化は生じない
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 なお,筆者はテクニカルライターではないので,G-SYNCそのものについて触れることはしない。「ノートPC向けG-SYNCとは何であって,デスクトップPC向けG-SYNCと何が違うのか」という込み入った話は,4Gamerの過去記事を参照してもらえればと思う。

NVIDIA,ノートPC向け「G-SYNC」を発表。ようやく「G-SYNCモジュールが何をしているのか」が明らかに


AORUS X7 Pro V4では本体底面にあるネジの一部にシールがあり,それを剥がして底板を外すと保証の対象外となる。その点をお断りしつつ,今回は特別に開けてみた。2つのGPUクーラーが,ついでにCPUの熱もファン部にあるヒートシンクへ運ぶような構造になっているのが分かる。mSATAスロットがもう1つある点,そして,説明は後ほどするが,本体手前側の左右両端にスピーカーが底面側を向いて用意されている点にも注目してほしい
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クーラーを取り外したところ。GeForce GTX 970MとCore i7-5850HQにお目にかかれる
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ロットによって異なる可能性があるので,「あくまでも入手した個体では」という話だが,RAID 0構成で搭載される容量128GBのSSDはLite-On IT製の「LMT-128L9M」,2.5インチHDDはHGSTの「Travelstar 7K1000」(HTS721010A9E630)だった
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実際にゲームをプレイして,AORUS X7 Pro V4の実力に迫る


 読者にとって気になるゲーム性能は,実際にゲームをプレイして確認しよう。今回は,筆者が最近最もよくプレイしている3本「World of Warships」「DayZ」「ARK: Survival Evolved」でテストを行う。テストに用いたグラフィックスドライバは「GeForce 355.60 Driver」だ。

ゲームのテストを開始していきなりこれ。SLIを無効化して事なきを得たが,少なくとも,SLIに全幅の信頼は寄せられないとはいえる
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 というわけでまずは迫力ある艦隊戦を楽しめるWorld of Warshipsを起動したのだが,World of WarshipsがSLIに対応していないのか,画面表示がメニューの時点から完全におかしくなってしまった。NVIDIAコントロールパネルからSLIを無効化することで事なきを得たが,マルチGPU構成が常に複数あるGPUを効率よく使えるわけではないので,この点は押さえておきたい。

World of Warshipsをプレイするにあたってのグラフィックス設定
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 ただ,World of Warshipsをプレイするだけなら,GeForce GTX 970Mは1基で十分のようだ。今回は,G-SYNCを有効化のうえで,グラフィックス設定プリセットを「最高」に設定したうえでプレイしてみたが,フレームレートは平均71fpsを確保できた。ごくまれに50fps台まで落ち込み,さらに低い頻度で25fps前後まで落ちることはあったが,平均が70fps超えなので,AORUS X7 Pro V4側の問題ではなく,ネットワーク周りが原因の可能性のほうが高いだろう。ずばっと言い切ってしまうと,GPU 1基でも,何の問題もなく,快適にゲームをプレイできる。

 下に示したのはそのムービーだが,実際,何の問題もなくプレイできているのが分かるだろう。
 また,ムービーは60fps化されているので,これだけだと分からないのだが,体感レベルでは,ヌルっとした動きを確認することができた。正直,テストするまで筆者は,垂直リフレッシュレート120Hzの液晶パネルを搭載したゲーマー向けノートPCが存在する中で,75Hzなどという中途半端なスペックでは,垂直リフレッシュレート強化の恩恵はほとんど得られないのではないかと高をくくっていたのだが,この結果を見ると,考えをあらためざるを得ない。


 お次は,開発速度が遅く,それが原因でプレイヤーの数が確実に減ってきているものの,筆者がこよなく愛しているスタンドアローン版DayZである。

スタンドアローン版DayZをプレイするにあたってのグラフィックス設定
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 ネットワークコードに引っ張られて性能がなかなか出なかったり,グラフィックスの最適化がいい方向に進んでいなかったりと踏んだり蹴ったりなタイトルなではあるのだが,GeForce GTX 970Mを2-way SLIで動作させるAORUS X7 Pro V4では20〜50fpsあたりのフレームレート内でうろうろする感じだった。
 人里から離れたエリアや海沿い道を走っているときはだいたい40〜50fpsで落ち着いている一方,大きな街に入って,建物やオブジェクトが増えてくると,最小では15fpsまで落ちるが,平均では20〜30fps程度を確保できる。


ARK: Survival Evolvedをプレイするにあたってのグラフィックス設定
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 最後は,恐竜のはびこる巨大な島でサバイバル生活をするARK: Survival Evolvedである。「GeForce GTX 980」以上でないと快適にプレイできないと言われている“重い”タイトルだけに,GeForce GTX 980以上の性能を期待できるGeForce GTX 970MのSLI構成に期待が高まったのだが,ここでもSLIはあまり効率よく機能せず,グラフィックス設定のプリセットを「High」にしてみたが,最低12fps,平均25fps前後という結果だった。
 ただ,下に示したムービーを見てもらうと分かるように,体感レベルでは,フレームレートが低すぎてゲームにならない,という感じではない。これが,NVIDIAのいう「G-SYNCによって,低フレームレート時のちらつきが抑制されている」効果なのか,単純に75Hzの液晶パネルを採用する効果なのかは断言できないものの,それほど残念な感じにはなっていないのだ。


 性能を体感だけで書くなよ,という人がいるかもしれないので,4Gamerのベンチマークレギュレーション17.0で設定されている「3DMark」(Version 1.5.915)の「Fire Strike」と「Fire Strike Extreme」を実行した結果もお伝えしておこう。レギュレーションでは,2回実行して,高いスコアを採用することになっているので,そのスクリーンショットを下のとおりお届けする。

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Fire Strikeのスコア
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Fire Strike Extremeのスコア

 Fire Strikeで10709というのは,ノートPCとしては相当に高いレベルにあると言っていいだろう。CPUなど,ほかのコンポーネントが異なり,ドライババージョンも異なるので,参考程度にしかならないが,SLIが有効に機能すれば,GeForce GTX 980並みか,少し高い程度のスコアは得られていると述べてもよさそうだ。


DayZでG-SYNCのメリットを確認してみる


 ここで,DayZを使って,G-SYNC有効時とVsync有効時,Vsync無効時における挙動の違いを見てみよう。テスト方法は至って簡単で,比較的大きな街の中でフレームレートが落ち込んだときの状態を,いま挙げた3パターンで比較してみる。

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 その結果は,AORUS X7 Pro V4の画面を外からカメラで撮影したムービーにまとめてみたが,G-SYNC有効時とVsync有効時は,フレームレートが10fps台まで落ち込んでも,テアリングはまったく出ない。10〜30fps台だと,描画枚数の低下によるカク付きが見られるのはほぼ共通だが,注目したいのは30〜60fpsの間で,ここでもVsync有効時はカク付きがかなり出るのに対し,G-SYNCではそれがかなり抑制されており,スムーズな印象がある。

 一方,Vsyncを無効化すると,当たり前といえばそれまでだが,低フレームレート時のテアリングが盛大になる。フレームレートが低くなると,あるフレームとその次の間のフレームで描画される内容に大きな違いが生じてくることはあるので,これはやむを得ないだろう。
 高フレームレート時における入力デバイスの操作遅延を解消するアイデアとして,Vsync無効には相応の価値があるのだが,低フレームレート環境と組み合わせるものではないということだ。


 以上のテスト結果からして,AORUS X7 Pro V4におけるG-SYNCは,有効化がマストと言い切ってしまっていいように思う。なお,「G-SYNCの有効化により,『G-SYNC処理自体の遅延』が発生するのではないか?」と疑問に思う人がいるかもしれないが,少なくとも筆者に,それは体感できなかったことを付け加えておきたい。むしろ,G-SYNCが有効であっても,低フレームレート時の残像感からは逃れられないことのほうが,個人的には気になった。


スピーカーはきちんと鳴るが,ゲームではヘッドセット/ヘッドフォン必須


 ゲームプレイにとって,グラフィックスと合わせて重要なサウンドもチェックしておこう。
 大型のノートPCで,サブウーファを搭載するような製品だと,どういうわけかサブウーファが本体底面で片側に寄り,しかもそこから重低域以外も再生されて,スピーカーサウンドがたいへん残念なことになるケースが多いのだが,AORUS X7 Pro V4で,その心配は無用だ。

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底面を開けた写真を再掲。サテライトスピーカーは底面埋め込みで,左耳用が大型1基,右耳用が小型2基になっており,これでなんとバランスが取れている(ように,筆者の耳には聞こえる)
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写真左手前(と,この角度ではほとんど見えないが右手前)に注目。左右両サイドにサブウーファが埋め込まれている
 AORUS X7 Pro V4で,サテライトスピーカーは電源ボタンの近くに配置されているのだが,(本稿の序盤において分解写真でお伝えしているとおり)サブウーファは本体側面前面側の左右両端に用意されているため,違和感のないステレオサウンドが楽しめる。サブウーファがあるので,砲撃音や爆発音などの迫力も相応に高い。

 ただ残念ながら,そのスピーカーサウンドを,ゲームで味わうことは,ほとんどできなかった。なぜかというと,CPUと2基あるGPUを冷却する2基のファンが,3Dゲームを開始すると全力で回転し,ゲームサウンドを遮ってしまうからだ。
 アイドル時やWindows操作時などは静かで,BGMをかけながら作業,なんてこともできるAORUS X7 Pro V4であるものの,たとえばWorld of Worshipsだと,起動後,マッチングが始まって,さらに艦艇などのオブジェクトが読み出されると,一気にファン回転数が上がり,室内はファンの風切り音で満たされるようになる。

 ゲームサウンドの音がいいとか悪いとかを論ずる以前の問題であり,集中してゲームサウンドを聞きたい場合は,密閉型ヘッドセットやヘッドフォンの利用を強く勧めたい。


「GTX 970M SLI+G-SYNC」のノートPCとして,そつなくまとまったAORUS X7 Pro V4


 筆者が目下プレイしているタイトルにいわゆるAAAクラスのものが1つもないため,SLIノートPCとしての評価になったかというと疑問は残らなくもないが,「SLIが期待どおり機能しなくても,G-SYNCと,垂直リフレッシュレート75Hzある液晶パネルの効果によって,Vsync有効時や無効時よりも滑らかな映像が得られる」というテスト結果が得られたことには,個人的に満足している。3DMarkのスコアを見る限り,SLIに最適化されたタイトルなら,デスクトップGPUであるGeForce GTX 980と同程度の性能は期待できるはずだ。

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 また,テストを通じて,それこそ「スピーカーの音が左右どちらかに寄っている」といった,つまらない問題に出くわさなかった点も,AORUS X7 Pro V4のよいところといえるだろう。キーボードのデザインと,強烈なファン動作音は明らかなマイナスポイントだが,国内初上陸のノートPCとしては,むしろ「その程度で済んでいる」ことのほうが驚きだったりする。だって前にテストしたノートはゲーム中に熱暴走で死んだし!

 ハードルがあるとすれば,いくらGIGABYTE製とはいえ,国内では実績がほぼ皆無のノートPCに,ぽんと37万7784円(税込,8月18日現在)の価格を支払える人がいるか,というところだ。Amazon.co.jp限定販売なので,購入前に試してみるということができないのも痛い。

 全体としては,価格と,どの程度厚いのか分からないサポートが気にならないなら,買って後悔することはないように思う。SLI+G-SYNCという仕様のゲームPCが気になるなら,一考の価値はあるとまとめておこう。

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