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コーエーテクモホールディングスの第2四半期決算説明会が開催。「討鬼伝 極」や「ゼルダ無双」の好調により経営統合以来最高の上半期業績に
説明会では,同社専務執行役員CFOの浅野健二郎氏と,代表取締役社長の襟川陽一氏が出席。浅野氏が2014年4月1日〜9月30日の業績の詳細を解説し,襟川氏が今後の事業展開方針を公開した。
「討鬼伝 極」や「ゼルダ無双」,ソーシャルゲームの好調により,経営統合以来最高の上半期業績を記録
説明会では,まず浅野氏が登壇し,2015年3月期第2四半期の連結決算概況を解説した。
売上高は161億1000万円で前年比4.2%増。営業利益は99.6%増の32億9300万円,経常利益は60.4%増の61億6600万円,当期純利益は76.5%増の42億500万円となっている。上半期としては4期連続の増収増益で,同社の経営統合以来最高の上半期業績とのことだ。
次に,事業別の売上高と営業利益についての説明が行われた。
ゲームソフト事業は売上高98億7300万円,営業利益23億5500万円。前年同期は売上高97億7300万円,営業利益12億4300万円なので,営業利益が大幅に伸びていることが分かる。「討鬼伝 極」(PS Vita / PSP)が順調な滑り出しを記録し,「ゼルダ無双」がワールドワイドで好調な売れ行きとなっているのに加え,ダウンロードコンテンツ(DLC)など,利益率の高い売上の構成比率が上昇し,さらにコスト削減により,前年を上回る営業利益が達成できたという。
オンライン・モバイル事業は売上高32億3900万円,営業利益5億9600万円。前年同期が売上高30億2500万円,営業利益4億5500万円なので,こちらも増収増益となる。「100万人の信長の野望」「100万人の三國志」「100万人のWinning Post」「大航海時代V」といったソーシャルゲームが引き続き堅調に推移したことに加え,アジアに向けた施策を推進した結果であるとのこと。
メディア・ライツ事業は売上高11億8300万円,営業利益1億5900万円。前年同期は売上高8億2000万円,営業利益3600万円で,前述の2事業と同様に増収増益だ。ネオロマンスシリーズの20周年を記念したイベント「ネオロマンス 20th アニバーサリー」では,全体で4万人の観客を動員したほか,グッズ販売などが好調に推移したことが理由とされている。
SP(スロット・パチンコ)事業は売上高11億6300万円,営業利益3億9300万円で,前年同期の売上高10億7000万円,営業利益4億3900万円からは増収減益。アミューズメント施設運営事業は売上高8億3800万円,営業利益2400万円。前年同期は売上高9億2400万円,営業利益6000万円で,減収減益となっている。
続いては,地域別売上高と販売本数に関しての説明が行われた。2015年3月期第2四半期における海外売上の構成比は21.8%で,前年同期の17.3%と比較すると4.5ポイント上昇している。これは,ゼルダ無双が好調なほか,PlayStation 4向けタイトルが欧米で販売を伸ばしているからとのことだ。海外におけるゲームソフトの販売本数も,前年同期の130万本から169万5000本に増えている。
次いで,2015年3月期の業績予想が発表された。売上高は前年度比1.1%増の380億円,営業利益は前年度比12%増の80億円,経常利益は前年度比2.5%増の110億円,当期純利益は前年度比0.9%増の70億円で,増収増益の見込みだ。
浅野氏は「この計画を上回る実績となるよう,全社一丸となって下期も取り組んでまいります」と,下半期への意欲を語り,発表を締めくくった。
IPを様々な方向へ展開,スマートフォンゲームや,国内外の大型コラボを推進
浅野氏にかわって,襟川氏が登壇し,コーエーテクモグループの経営方針と,今後の事業展開に関して説明を行った。
襟川氏は4期連続の増収増益について,「『ゼルダ無双およびPS4向け『無双』シリーズがワールドワイドで好調」なこと,「主力ソーシャルゲームが計画を上回って推移」したこと,そして「ダウンロードコンテンツの伸長」により達成できたと分析する。この好調な流れを止めることなく,年末年始の新作タイトルや新規スマートフォン向けタイトルを成功させて,さらなる売上利益の積み上げを図っていくと述べた。
コーエーテクモグループの経営方針は“更なるIPの創造と展開”であるという。新たなIPを作っていくと共に,IPを「マルチプラットフォーム展開」「コラボ展開」「アニメやコミック,出版や飲食といった他ジャンルへの展開」「タイアップ展開」と,さまざまな方向へと展開,総合的な発展を目指していくというのがその主旨だ。
こうした試みが成功した例として,新規IPからシリーズとなった討鬼伝 極,任天堂とのコラボを行ったゼルダ無双,「アトリエ」シリーズをスマートフォン向けRPGとして展開した「アトリエ クエストボード」,そして実写映画や小説,コミックなどメディアミックス展開した「零 〜濡鴉ノ巫女〜」のケースが挙がった。襟川氏は,今後もさまざまな展開を行うことで,IPの価値を高めていく考えであると話した。
IP展開を活用することで収益力が改善された例として挙げられたのが,メディア・ライツ事業だ。前々期となる2013年3月期には赤字だった同事業だが,IP展開により2014年3月期には黒字転換に成功。さらに,「金色のコルダ」10周年イベントやTVアニメ化,ネオロマンスシリーズ20周年事業を通じ,今期及び将来のさらなる成長を目指していくという。
続いては今後の事業展開に関して語られた。
“更なるIPの創造と展開”という方針を実現し,持続的な成長を目指すために重要となるのが,「創造」「展開」「ナンバリング」を連携させていくことだという。
それぞれ,新たなIPを生み出す「創造」,さまざまな方面への「展開」,そして新たなIPをシリーズとして確立していく「ナンバリング」を指している。これまでに,討鬼伝という新たなIPを創造,これをナンバリングした討鬼伝 極や,グループのIPをTVアニメとして展開した「エスカ&ロジーのアトリエ」「金色のコルダ Blue Sky」といった前例がある。
今後の事業展開では,「スマートフォンゲーム」「海外展開」「新規コラボレーション」「リブート」「マルチプラットフォーム」「ダウンロードビジネス」「my GAMECITY」といった要素を重視し,「創造」「展開」「ナンバリング」との連携へと投入していくという。その内容をそれぞれ紹介していこう。
●スマートフォンゲーム
これまでのノウハウを活かし,新しいゲームを他社に先駆けて提供していく方針だ。下半期には「信長の野望 201X」(PC / iOS / Android),「三國志レギオン」(iOS / Android),「ぐるぐるダンジョン のぶニャが」(iOS / Android)のほか,多数の新作ネイティブアプリをリリースしていく予定とのこと。
●海外展開
アジアにおいて,スマートフォンゲームやブラウザゲームの市場が拡大していることを受け,今後はアジア展開に注力。すでにいくつかのタイトルがサービスされている中国や台湾に加え,韓国や東南アジアにも次々とタイトルを投入していく方針だ。
●新規コラボレーション
スクウェア・エニックスとコラボし,ω-Forceが開発を担当する「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」(PS4 / PS3)のほか,国内外での新規大型コラボを積極的に推進していくとのこと。
●リブート
「今までリリースした有力IPに,最新技術や新要素を導入することで新たな価値を創造,新生IPへと生まれ変わらせる」のが,コーエーテクモにおけるリブートだという。前作から7年ぶりの新作となる「ブレイドストーム 百年戦争&ナイトメア」(PS4 / PS3 / Xbox One)など,今後もリブートに意欲的に取り組んでいくという。
●マルチプラットフォーム展開
「DEAD OR ALIVE 5 Last Round」(PS4 / PS3 / Xbox One / Xbox 360)や「真・三國無双7 Empires」(PS4 / PS3 / Xbox One)のほか,新作ソフトをPlayStation 4やXbox Oneに積極的に供給していく。
●ダウンロードビジネス
ゲーム機がネットに接続されることが当たり前になっているだけに,ダウンロードでコンテンツを販売するビジネスは,これまで以上に拡大するだろうし,そこには大きなチャンスがあると襟川氏は語る。
「DEAD OR ALIVE 5 Ultimate」の基本プレイ無料版は,160万ダウンロードを突破し,そのほかのタイトルにおいてもDLCが順調に売上を伸ばしていることから,今後もダウンロードビジネスを重視していくとのことだ。
●my GAMECITY
コーエーテクモが提供するSNS「my GAMECITY」。2014年には会員数が60万人を突破し,10月に合併したガストのSNS「ガストソーシャル」の会員数と合わせると総会員数は75万人を越えるという。社内外のコンテンツの拡充や集客施策を実施することで,my GAMECITYの活性化に取り組んでいくとのことだ。
あわせてコストダウンへの取り組みも続けられていくという。2012年3月期における,売上高に対する売上原価率は62.0%だったが,2014年3月期には57%になっていた。販売管理費率は17.2%から16.1%へ,営業利益率は16.2%から19%へとそれぞれ改善されている。さらにコストダウンを進めることで,2015年3月期には売上原価率55.6%,販売管理費率16%,営業利益率21.1%を目指していくという。
最後に襟川氏は,「“更なるIPの創造と展開”により高い成長性と収益性を実現し,経常利益率30%を越えるような企業となるよう,今後も精進して参ります」と力強くコメントし,決算説明会を締めくくった。
上半期としては4期連続の増収増益,経営統合以来最高の上半期業績となるなど,コーエーテクモホールディングスの好調が数字となって表れた感のある今回の決算説明会。大きな話題を呼んだゼルダ無双,多方面へのメディアミックスを行った零 〜濡鴉ノ巫女〜,新規IPをシリーズ化した討鬼伝 極,乙女ゲームファンの心を掴んだネオロマンス 20th アニバーサリーなど,攻めの姿勢が功を奏した結果であるという印象を受けた。
ドラゴンクエストヒーローズやスマートフォン向けの新作ネイティブアプリ,そしてリブートへの取り組みなど,今後の展開にも注目が集まりそうだ。
コーエーテクモホールディングス 平成27年3月期 第2四半期決算短信(PDF)
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