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    印刷2017/03/03 15:43

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    [GDC 2017]シリアスでまるで楽しくないゲームをどう売るのか。「This War of Mine」のマーケティング戦略が紹介されたセッションをレポート

    Patryk Grzeszczuk氏
    画像集 No.017のサムネイル画像 / [GDC 2017]シリアスでまるで楽しくないゲームをどう売るのか。「This War of Mine」のマーケティング戦略が紹介されたセッションをレポート
     北米時間の2017年3月1日,Game Developers Conferenace 2017において,「Complete Postmortem of Marketing Campaign for 'This War of Mine'」と題したセッションが行われた。2014年にPC版がリリースされ,その後,タブレット端末やコンシューマ向けにも移植された「This War of Mine」について,主にマーケティングの視点から振り返るという内容だ。
     セッションのスピーカーは,デベロッパである11 bit studiosのPatryk Grzeszczuk氏。Head of Marketingを担当するGrzeszczuk氏から,販売戦略の話だけでなく,ゲーム開発の裏話なども語られた。

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    「This War of Mine」公式サイト


     「This War of Mine」は戦争をテーマとする作品だが,主人公は兵士ではなく,一般市民だ。敵軍に包囲された街の一角で必死に生き残ろうとする人々の姿が描かれる。狙撃手や盗賊を警戒しつつ,乏しい物資をやりくりして,ときには仲間を犠牲にしながらも生き抜かなければない。かなり重いテーマのサバイバルシミュレータだ。
     本作のインスピレーションは,シニアディレクターが読んだ「One Year in Hell」という記事から受けたという。それまでGrzeszczuk氏らは「これまでとは違う,新しい戦争モノのゲームを作ろう」と考えていたものの,グラフィックスはうまくいくが,プレイヤーの感情に訴えない作品になっていたそうだ。
     ちなみに,前述の記事は1990年代初め,敵に包囲された地獄のようなボスニアの街で暮らした人の手記だった。

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     かくして,「戦時下の街で暮らす人」をテーマにすることに決まり,さまざまなリサーチが始まった。しかし,「果たしてこのゲームは売れるのだろうか?」という疑問が生まれる。
     というより,むしろマーケット的には厳しい。ゲームにおいて「戦争」は普遍的なテーマであり,Steamで検索すれば「War」「Military」,そして「WW II」といったタグを付けたゲームは多数見つかる。そのほとんどはエリート兵士を主人公にした,一方的な視点に立った作品だ。
     しかし,このゲームの主人公は兵士でなく一般市民。販売戦略では,そこをあえて強調することにした。「すべての物語には2つの側面がある」として,銃を撃ち合う近代的な装備の兵士と,うちひしがれて壁にもたれる市民を対比させたコンセプトアートを作ったのだ。

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     さて,コンセプトは決まったものの,タイトルはどうするか。11 bit studiosはポーランドのデベロッパで,英語は母国語ではない。当初,戦争が家の玄関先まで迫っているという意味で「War of Mine」としていたが,英語に詳しい人には「これでは『炭鉱(Mine)の戦争』だ」と言われてしまったという。
     そこで,「This War of Mine」になった。英語としての語感はちょっと変だが,「戦争が迫れば,戦う人もいれば,殺される人もいる。生き残ろうとする人もいる」,あるいは「人は誰もが兵士ではない」といった事実を,暗に主張するタイトルになったとGrzeszczuk氏は述べた。

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     ご存じのとおり,ゲームの全体的なトーンはシリアスだ。非戦闘的で非政治的,洞察的,そして個人を中心に据えたものとなった。ゾンビ? いいね。だけどお断り。11 bit studiosでは順調に開発が進んでいたが,ここで再び疑問が浮かび上がる。

     「このゲームはどこが楽しいのか?」

     この時期,シニアライターのPawel Miechowski氏はメディアのインタビューを受けており,「このゲームは楽しいのか?」という問いに対し,「まったく楽しくない。このゲームは1つの経験であり,メッセージ。これは完全に壊滅的だ」と答えている。
     果たして,そんな作品をどのようにマーケティングしていけばいいのだろうか。つまり,「人はイヤな気持ちになるために20ドルを出すのか」ということだ。
     しかし,Grzeszczuk氏は「出す」と考えた。映画は楽しいものばかりでなく,考え込ませたり,中にはつらくなるようなものもあるが,それを見に来る人がいる。マーケティングは作品の力を信じることから始めなければならない。

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     11 bit studiosは予算が限られたインディーズのデベロッパである。当然,派手な宣伝や広告を打つことはできない。そこで「This War of Mine」のテーマをプレイヤーに伝えるために,兵士と市民を対比させたトレイラーを制作したり,FacebookやTwitterを活用したり,イベントに出展したりしたという。これらは決して目新しいものではないが,本作のマーケティングはリリース後も継続されるロングタームなものとなった。
     そのおかげもあってか,ファンは増え続け,販売本数も上昇していった。メディアでは多数の記事が掲載されたが,それはゲームメディアに限らず,New York TimesやNewsweek,Timeといった一般メディアにも取り上げられている。
     Steamでの販売本数は130万本を超えており,PC版のリリースから2年以上経過しているが,現在も売れ続けているそうだ。

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     さらに嬉しいことに,サラエボの生存者が彼らに連絡を取ってきたという。「This War of Mine」のプレイヤーであり,プロモーションに協力したいということだったので,彼を主人公にしたトレイラーを制作している。
     また,PCゲームについて回る違法コピー問題については,「ゲームをほかの人に宣伝してくれるなら」という条件付きで無料配布を行ったという。

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     セッションのまとめとして,Grzeszczuk氏は「マーケティングは開発の一部であること。戦略を立てたらそれをやり遂げること」と述べた。そのうえで「ただし,状況は変わっていくものなので,こちらも変化を恐れてはいけない。マーケティングは重要な要素ではあるが,作品の力は必須である」と付け加え,セッションを終えた。

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