レビュー
満を持してPCに登場したシリーズ最新作
真・三國無双7 with 猛将伝
無印の「真・三國無双7」はPlayStation 3版のみのリリースだったうえ,「真・三國無双7 with 猛将伝」も,PlayStation 4/PlayStation 3/PlayStation Vita版が先行発売されたため,本作はまさに満を持してのPC版ということになる。
さて,三國無双シリーズと言えば,「魅力的なキャラクター達が織りなす濃密な物語」「爽快な一騎当千アクション」「武将育成や武器集めといったやりこみ要素」といった特徴でおなじみだが,シリーズ最新作となる本作で,これらの要素はどのように進化したのだろうか。また,気になるPCへの移植のクオリティと合わせて,筆者が実際にPC版をプレイした感想をもとにお伝えしよう。
なお,記事の最後で,4Gamer読者限定の特製壁紙プレゼントへの応募方法を紹介しているので,そちらも確認してほしい。
歴史のifに挑む「ストーリーモード」
まずは本作のストーリー面を見ていこう。「三國無双」シリーズの魅力は,英雄や豪傑達の活躍する三国志のドラマティックな物語にある。なかでも物語の主役である武将は,前作「真・三國無双6 with 猛将伝」と比べて16名(うち,猛将伝の追加分が5名)追加され,総勢82名という大所帯となった。
追加武将の主な顔ぶれは,「張苞」「関興」「関銀屏」「呂玲綺」ら有名武将の息子や娘,三国志ファンにはお馴染みの武将である「于禁」「韓当」,軍師の「魯粛」「法正」「陳宮」といったところ。彼らによって,これまでの作品では登場しなかった場面も描かれるようになり,ストーリーは一層濃密になった。
こういった個性豊かな武将達とともに,三国志の壮大な物語を追体験出来るのが「ストーリーモード」だ。本作では「魏」「呉」「蜀」「普」「他」という5勢力に加えて「呂布」のストーリーが用意されており,それぞれ十数のステージで構成されている。それだけでも結構なボリュームだが,加えて外伝的シナリオが数十あり,全体としては相当なやりごたえだ。
三国志ファンとして嬉しいのは,「史実では死亡してしまった武将を生き残らせる」とか,「史実では失敗してしまった計略を成功させる」といった歴史の“if”に挑める点だろう。このifを積み重ねていくことで,史実とは大きく異なったストーリーへ進むことも可能。魏の郭嘉,呉の周瑜,蜀の龐統など,若くして命を落とした人物の窮地を救い,その後の合戦で大活躍させるなど,三国志ファンならば誰もが夢見る熱い展開を楽しめるのだ。
ストーリーモードにおける「呂布」のシナリオは,「猛将伝」で新たに追加されたものだ。呂布と言えば三国志最強の武人の一人でありながら,裏切りと流浪を重ねた粗暴で残忍な人物というイメージがあるが,本作の呂布の描き方はなかなかにヒロイックかつ人間的で,娘を気遣ったりする意外な一面も覗かせる。また,呂布が曹操に打ち倒される過程を描いた「史実ルート」は悲劇的ですらあり,そのエンディングは一見の価値ありだ。
ボタン連打だけではない。戦術の幅が広がった一騎当千アクション
無双シリーズと言えば,山のように押し寄せる敵兵をバッサバッサとなぎ倒し,強敵とつばぜり合いを繰り広げる「一騎当千アクション」が大きな魅力だ。本作でもその基本システムに大きな変更はなく,連続攻撃を繰り出せる「通常攻撃」と,強力な「チャージ攻撃」の組み合わせでコンボをつなぎ,ここぞというときにはゲージを消費して必殺の「無双乱舞」を叩きつける,といった感じで戦うことになる。また,前作と同様に武器を2つ装備し,任意のタイミングで武器の切り替えを行うことも可能だ。
さて,前述したように,本作にはシリーズ最大となる82名の武将が登場するので,「これだけ大勢の武将がいると,似たり寄ったりになってしまわないか」と心配する人もいるだろう。確かに本作は前作と同様に,武器ごとに攻撃モーションが設定されているシステムなので,「装備する武器が同じなら攻撃技も同じ」ということになる。しかし,武将それぞれに固有の「得意武器」と,それに対応した固有技である「EX攻撃」,そして個性豊かな無双乱舞が用意されており,武将のアクションが丸かぶりするという悲しい事態にはならないので,安心してほしい。
加えて本作では「覚醒」「ストームラッシュ」「ヴァリアブルカウンター」といった新要素が追加された。以下,これらによって本作のアクション性はどのように変わったかを見ていこう。
まず「覚醒」だが,これは一定時間,攻撃力,防御力,移動速度,攻撃範囲といったステータスが大幅に上昇する能力。覚醒自体の効果も強力だが,覚醒中に繰り出せる特殊攻撃「覚醒乱舞」「真・覚醒乱舞」の威力はまさに絶大。これらをうまく決めれば,数百人の雑兵とともに,武将クラスの敵までも一刀のもとに斬り伏せられるのだ。
シリーズのファンならピンと来たかもしれないが,これは「真・三國無双4」にあった同名のシステムに近いものだ。だたし特殊なアイテムが必要だった「4」とは異なり,本作では新たに追加された「覚醒ゲージ」を溜めて発動する。さすがにそう何度も覚醒できないので,ここぞという時に使いたい。
「ストームラッシュ」は,ざっくり言うと「空中コンボを自動で決めてくれる」といった感じの技で,空中に浮かせた敵に怒涛の連続攻撃を叩き込める。これがかなり優秀で,相当なダメージを与えてくれるのだ。敵武将の体力は高めに設定されているので,従来作ではうまくコンボが決められないと,倒すのにやたらと時間がかかることがあった(筆者のことだ)。ところが今作では,ストームラッシュによって一瞬のうちに大ダメージを与えるチャンスが生まれ,アクションに緩急がつき,よりゲームのテンポが良くなった。
ストームラッシュには,本作から導入された「天」「地」「人」という3つの武器属性が関係してくる。それぞれの属性は三すくみの関係にあり,天は地に,地は人に,人は天に対してそれぞれ有利となっている。敵武将に対して有利な属性の武器を使うことでストームラッシュを放てるのだ。
逆に,敵との相性が悪いと,プレイヤーがストームラッシュを受けてしまう可能性がでてくる。そんなときに役立つのが,敵の攻撃タイミングに合わせて武器を切り替えて放つ強力な反撃「ヴァリアブルカウンター」だ。
「ヴァリアブルカウンター」はそれ自体もダメージソースとして優秀ながら,成功すると武将の能力が一時的に強化され,前述の覚醒ゲージも溜まる,というメリットもある。タイミングがシビアで,攻撃を受けてしまうリスクもあるが,積極的に狙っていきたい。
これまでの「真・三國無双」のアクションは,「どうやって敵のガードを崩し,コンボを叩き込むか」や,「いかに攻撃の隙を減らし,反撃をガードするか」といったあたりが腕の見せどころであり,ゲームシステムも「連続攻撃の自由度を増やす」ことを企図するものが多かったと思う。これらのテクニックは依然として重要だが,本作の追加要素によって,「コンボをつなぐだけでなく,武器の相性を見てストームラッシュを決める」とか,「ガードだけでなくカウンターを狙う」とか,「ゲージを溜めて覚醒で応戦する」といった,これまでとは一味違う戦術をとることが可能になった。また,武器切り替えの意義が増したため,強い武器一本でのゴリ押しがやりづらくなり,事前に装備を吟味しておくこともより重要になったと言えるだろう。
やりこみ要素抜群の各種ゲームモード
無双シリーズと言えば,豊富なゲームモードも忘れてはいけない。というわけで「ストーリーモード」以外の各種モードを紹介しよう。
本作一番のやりこみ要素と言えそうなのが「将星モード」だ。ここではプレイヤーが後漢末期の群雄の一人となり,戦いを繰り返して自身の拠点を拡大し,まず帝を招き入れることが目的となる。限られた制限時間と体力のなかで,どれだけのステージを攻略できるかが勝負どころで,数多くのステージを攻略できれば報酬にボーナスがつくうえ,「赤兎馬」などのレアアイテムを獲得することもできる。しかし,途中で死亡したり,制限時間を過ぎてしまったりすると報酬は水の泡なので,次第に高くなっていく難度の中で,「進むべきか,戻るべきか」というジレンマに悩まされることになるだろう。
加えて,「仲間集め」も将星モードの楽しみの一つ。道中で遭遇する敵武将を倒すと,「おみそれしました!弟子にして下さい!」といった台詞ととも仲間になってくれるのだ。仲間になった武将は操作キャラクターとして使えるほか,護衛武将として戦闘に連れて行くこともできる。
護衛武将は戦闘に3人まで連れて行くことができ,それなりに戦ってくれるだけでなく,「スキル」や「戦闘技能」といった能力で攻略を助けてくれる。個人的に嬉しいのは,プレイヤーも含めると4人の武将でパーティを組めるようになった点だ。4人というのはなかなかいい数で,三国志ファンなら「そういえば呉の大都督が4人だったな」「桃園の誓いの三兄弟に一人加えて……」といったアイデアが浮かぶことだろう。
将星モードでは,ステージ内の素材を集めることで,プレイヤーの本拠地を発展させられるのもポイントだ。本拠地が発展すれば,武器の強化が可能な「武器屋」,武将のステータスを上げられる「学問所」などといった施設が利用可能になる。こうして,武将や施設を強化する→より難度の高いステージに挑む→報酬をもとに武将や施設を強化する→より難度の高いステージに……という独特の中毒性を持ったループが生まれるのだ。
ストーリーモードの大ボリュームと将星モードのやりこみ要素との間にあって,いい味を出しているのが「フリーモード」と「チャレンジモード」だ。「フリーモード」ではストーリーモードでクリアしたステージに,自分の好きな武将で再挑戦できる。「6分以内に白馬と延津を制圧せよ」といった「戦功目標」が設けられているほか,プレイの内容に応じてDからSの評価が与えられるなど,やりこみ要素が強化されているのも嬉しいポイントだ。
「チャレンジモード」はよりミニゲーム的な内容だ。時間内に足場から落下させた敵の数を競う「彗星」,ゴールに到達するのにかかった時間を競う「迅雷」など,本編とは一味違うルールで無双アクションを楽しめる。
登場する武将数が多い本作では,「ちょっと使ってみたい武将がいるが,ストーリーモードの登場はしばらく先で,将星モードでも仲間になっていない」ということがよくある。フリーモードとチャレンジモードではこういった武将で気軽にプレイできるうえ,獲得した報酬やアイテムは全モードで共通なので,無駄になることはない。
「ハック&スラッシュ」要素もある武器集めと武将の育成
以上のような多彩なゲームモードをプレイするうえでの共通の楽しみの1つが,アイテム集めや武将の成長といった,RPG的要素だろう。
武将の成長要素は,従来の成長アイテム制から,経験値をためてレベルを上げていく方式へと変わった。簡略化されたようで,実は奥深い物になっており,以下で説明する「スキル」と「武器」の組み合わせによってさまざまな差別化が図れるのだ。それぞれ順に見ていこう。
まずは武将ごとに4つまで装備できる「スキル」だ。「スキル」には「体力高揚」といったステータス底上げ系から,強化アイテムの効果時間を伸ばす「闘志の陽炎」といった特殊なものまである。これらは最初から自由に選べるわけではなく,「体力が多いときに武将を撃破」「ヴァリアブル攻撃で武将を撃破」といった特殊な条件を満たして「覚醒」させる必要があるのだ。また,覚醒を繰り返すことで,スキルのレベルが上がり,効果も高くなっていく。
次に武器だ。武将の数だけ得意武器のある本作では,「方天戟」や「偃月刀」といった有名なものから,ドリルのような「螺旋槍」,一般兵を召喚して攻撃する「兵法簡」といった変わり種まで,82種類の武器が存在する。これらの武器は,基本的に各モードで武将を倒すと入手できる。
それぞれの武器には前述の「天」「地」「人」以外にも,ランダムで最大6つの「属性」が設定される。この属性には,「氷結」や「火炎」など,文字通り攻撃に属性を付与するものだけでなく,攻撃すると体力が回復する「治癒」,ガード性能を向上させる「頑強」,ガード中の敵からお金をかすめ取る「小槌」など,さまざまなものがあり,武器の使い勝手が大幅に変わってくるのだ。
このあたりはいわゆる「ハック&スラッシュ」的な要素といっていいだろう。どの属性が武器に付与されるのかは基本的にランダムなので,欲しい属性がついた武器がなかなか手に入らないと思ったら,ふとした拍子に思わぬ逸品が入手できたりする。理想の武器を求めるトレジャーハンティングの熱中度は非常に高い。
また,武将のスキルと武器の属性を組み合わせを考えるのも楽しい。例えば,50人撃破ごと攻撃力を2倍にしてくれる「斧鉞」属性のついた武器と,その効果時間を延長してくれる「闘志の陽炎」スキルと組み合わせて「常時攻撃力2倍」を目指してみるといった具合である。
なによりも筆者が関心したのは,こういった「ハクスラ」的,あるいはRPG的な要素が,「無双」シリーズのアクション性と見事に調和している点だ。武器の性能や武将のステータス一つ一つは,それ自体では単なる数字や記号の集まりでしかないのだが,本作ではそれが武器を振った時の切れ味や,武将の身のこなしなど,アクションとしてしっかり再現されている印象を受けた。
Steam認証対応で遊び勝手が向上。移植クオリティは今後の対応に期待
最後に,PC版独自の仕様や移植のクオリティについて言及しておこう。
一番の驚きは,Steamによる認証が採用されていることだ。これは普段からSteamでPCゲームを遊んでいる人や,複数台のPCで本作をプレイしたいという人にとっては朗報だろう。それにしても,まさかコーエーテクモゲームスのPCゲームがSteamのライブラリに入る日が来るとは……。
ゲーム内のPC版独自機能としては,PCの性能に応じてグラフィックスの設定を調節できる機能がある。設定項目は,解像度,垂直同期の有無,テクスチャの質,人物の表示数,視界距離など。以下に比較用のスクリーンショットを載せたが,設定を上げるほど本作の特徴である「兵士のワラワラ感」が楽しめるようになっているのが分かるだろう。
しかしながら,肝心のグラフィックスの質については少々不満が残った。一番の問題は,最高設定でもテクスチャが荒く,PS4版に見劣りしてしまう点だ。表示される兵士の数や遠景の描画は十分にリッチなので,グラフィックスの質としては「PS3以上,PS4未満」といったところだろうか。
一方で動作は非常に軽快だ。筆者は一昔前のPC(Corei7-2600,GeForce GTX 560 Ti,メモリ容量8GB)で本作をプレイしたが,最高設定で,人物表示が多く負荷のかかった場面であっても,ほぼ常時60FPSをキープして遊べた(ムービーシーン等で30FPSに固定される場面はある)。ベンチマークプログラムも配信されているので、気になる人は試してみてほしいが,個人的には,さらにもう一段上のグラフィックス設定があっても良かったのではないかと感じる。
PC版ではネットを経由したマルチプレイができないのも非常に残念な点である。昔懐かしい画面分割式の協力プレイはできるのだが,今どきこれをプレイする人がどれくらいいるかは疑問だ。
以上のように,移植についてはオミットされた要素が見受けられ,画竜点睛を欠く形になってしまっているのが残念である。折角のSteam対応なので,後日パッチでの修正があることに期待したい。
ちなみに,PC版にはコンシューマ機向けに無料で配信されたDLCの一部が最初から収録されている。後日有料DLCの配信も予定されているとのことだ。
「アルティメット一騎当千」の看板に偽りなし
長々と紹介してきたが,まとめに入ろう。さらに深く描かれるようになったストーリーや,武器属性による相性などを取り入れた戦闘システム,ハクスラ風のやりこみなど,本作で追加された要素は地味ながらどれも理にかなったもので,うまく機能しており,完成度は非常に高いと感じた。移植のクオリティ以外にも,最強武器である「秘蔵武器」の属性が固定であるとか,移植されたゲームの常としてUIがやや使いづらいといった細かな不満はあるものの,それでも新参のプレイヤーには取っ付きやすく,古参のプレイヤーでも新鮮さを感じられる一作に仕上がっていると言えるだろう。シリーズファンや三国志ファンのみならず,アクションゲームやハック&スラッシュが好きな人に自信を持ってお勧め出来る一作だ。
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