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[gamescom]より洗練され,遊びやすくなった「Hearts of Iron IV」に期待大。メディア向けプレビューで判明したゲームシステムを紹介
「Hearts of Iron IV」公式サイト
UIが圧倒的に進歩したHoI4
HoI4においても,ゲームの骨格はHoI2から大きな変更はない。
HoI4では,1936年から第二次世界大戦末までの世界を舞台として,プレイヤーは自分の選んだ国の最高指導者となり,国家の存亡をかけて戦う。ゲームはセミリアルタイムで進行し,ゲーム内の最小時間は1時間。ゲーム内時間はリアルタイムで進んでいくが,速度は5段階で変更できるし,任意のタイミングでポーズをかけることも可能だ。
すべてマウスのみで操作でき,キーボードショートカットを利用することもできるが,RTSのように素早いショートカットさばきが必要になることはない。あくまで,じっくりと腰を据えて遊ぶタイプのゲームである。
全体的なイメージとしては,HoI2とHoI3の良いところを継承しつつ,ゲームとしてより洗練された作品と考えるのが最も無難だろう。
とくにUIは非常に洗練されていて,かつてのParadox Interactive作品を知る人であれば「よくぞここまで」と感動できるレベルである。いやほんと,「Europe Universalis II」とかだと,どのアイコンがボタンになっているのかすら,慣れるまでは分からなかったりしたので……。
歴史イベントも分かりやすく
HoI4において大きな特徴となっているのは「National Focus」というギミックだ。
これは「Europe Universalis III」以降に見られる「国策」の発展版で,陸軍を重点的に育成するとか,海軍の技術研究を優先するといった具合に,国家をどのように育てていくかに関する大きな方針を決定できる。
だが,HoI4のNational Focusは,これだけではない。史実において当時の国々が行ってきたさまざまな政策も,National Focusとして採用されているのだ。例えばドイツであれば「ラインラント進駐」が,National Focusとして存在している。
そしてまたNational Focusは,いわゆる技術ツリーのような形で構成されており,ラインラント進駐を果たすことで,新たな歴史的選択を行えるようにもなっていく。
このシステムは,大変に興味深いシステムだ。というのも,こういった歴史イベントが発生する条件は,これまで非常に分かりにくかったからだ。HoI3ではこのあたりをより抽象化する方向に進めたが,HoI4のNatioal FocusはHoI2的な「歴史の必然」を感じさせる選択と,HoI3の抽象性を,うまくミックスさせたと言えるだろう。
ちなみに,例に出した「ラインラント進駐」にしても,それが達成されるまでには一定時間が必要になる。このため,歴史イベントの実現を優先しすぎると,今度は国家の基礎的な体力において他勢力に劣るという状況を招きかねない。このあたり,最適な舵取りを要求されていると言えるが,同時に国家の運営に大幅な自由度が与えられているとも言える。
戦線を「デザイン」する
もう一つ面白いのは,軍隊の機動の管理である。
HoI4における軍隊の管理は,基本的にはHoI3で一度完成したシステムを引き継いでいると言える。つまり,複数のユニットを一つの部隊として指揮官(AI)に預け,戦線の細かなマネジメントはすべてAIに任せるというスタイルだ。
また,複数の「戦線」を設定することができ,その戦線に対して目標進出ラインを設定することによって,よりプレイヤーの意思が反映された作戦機動が可能となっている。
もちろん個々のユニットに対し直接命令することも可能なので,包囲の輪を閉じるとか,何が何でもある都市を死守するといった,「ここ一番」の場面においては,信頼できるユニットを個別に操作していくのも良いだろう。
軍隊の機動管理についても,HoI4のUIは非常に洗練されているので,初期のHoI3をプレイして「またAIが動かすのか……」と嫌な気分になっているようであれば,HoI4はそれとはほぼ違うゲームになっていることを強調しておきたい。
ちなみに,平時においてはユニットを訓練させておくことも可能で,これによってユニットは経験値を獲得していく。ただし,訓練にはしばしばコストが必要になる(装備が壊れるので充当しなくてはならない)ので,大規模な軍隊の訓練には,相応のコストが求められると考えてよいだろう。
プレビューでは見られなかったが,このあたりはむしろ海軍の訓練において,より大きな問題としてプレイヤーを悩ませそうだ。
日本語化は望み薄だが,ゲームそのもののハードルは低め
このほか,技術ツリーはよりグラフィカルに整理されており,初見でも膨大な情報に圧倒されることは少なくなったように思える。
一方でユニットは国による差別化が進んでおり,例えばドイツの戦車であれば,IV号戦車やティーガーといった固有名詞を技術ツリー上に見ることができる。このあたりは,好きな人にとっては嬉しい要素と言えるだろう。
マップはシームレスに作成されており,マウスホイールで拡大/縮小が可能だ。縮小していくと,個々のユニットではなく,その戦線に合計でどれくらいのユニットが存在するかが表示されるようになっていくため,全体の戦況を把握するのはより容易になった。
このように,HoI4は従来のParadox Interactive作品につきまとってきた「膨大すぎて何から手を付けたらいいのか分からない」「各種情報の把握がとても大変」といった問題を克服し,よりプレイしやすいゲームへと洗練されてきているように感じた。というか,失礼な言い方をすれば「ちゃんと普通のゲームになっている」のである。これは,とても素晴らしいことだ。
また,一部のユーザーにとっては真っ先に気になるであろうMODの作りやすさ(あるいは作成の可否)だが,「MODは当然対応しているし,作るのも簡単」ということなので,安心してほしい。
さて,最後になるが,ここまでさまざまなシステムが進化し,グラフィックス関係も強化されたゲームとなると,PCの要求スペックが気になるところではある。
これについては,必須環境が「CPU:Pentium 4 2.4Ghz/AMD3500+以上,メインメモリ:2GB以上,グラフィックスボード:GeForce 8800/Radeon X1900(いずれもグラフィックスメモリ 512MB以上)」と指定されている。とはいえ,この条件はあくまで最低限であって,実際にはもう少しスペックが高いPCがあったほうがいいだろう。
また,ディスプレイの最低解像度は1280×720となっているが,このゲームはディスプレイが広ければ広いほど遊びやすくなるので,グラフィックスカードともども強化しておいたほうが,より快適に楽しめるように思える。
総じて言えば,Paradox Interactiveのストラテジーゲームが好きな人だけでなく,第二次世界大戦に興味がある人に対しても,それなりにお勧めできるゲームとして仕上がりつつある,という印象を受けた。もちろん,初心者向けというわけではなく,ゲームの緻密さや膨大さは,しっかりと維持されている。HoI4は,その膨大さを,より「操作しやすく」「理解しやすく」する方向で,随所に配慮がなされているのだ。
最初からドイツやイギリス,日本といった「やるべきことの多い国」を選ぶとなると,さすがにそれは初心者にとっては難しいかもという印象はあるが,ラーニングカーブは従来作より遥かに緩やかになったように思える。現状では日本語版には期待できないが,正式リリースは2015年内から2016年にかけてということなので,まずはそれを期待して待ちたいところだ。
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