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  • 発売日:2013/12/17
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セガが始めるSNSではない新コミュニティサービス「it-tells」について,プロジェクトを統括する竹崎 忠氏が考える構想とは
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印刷2013/12/17 17:00

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セガが始めるSNSではない新コミュニティサービス「it-tells」について,プロジェクトを統括する竹崎 忠氏が考える構想とは

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 2013年12月17日,セガはコミュニティサービス「it-tells」(いってる)のサービスを開始した。
 「it-tells」は,12月14日に開催された「ファンタシースターオンライン2」PC/Vita)のオフラインイベント「アークスX'masパーティー」関連記事)でその存在が明らかにされた,SEGA IDを持っていれば誰でも利用できるサービスだ。現時点ではβ版として運営されている。
 なお,サービス開始直後よりアクセスが集中し,かなり挙動が重い状況が続いている。これから登録するという人は,多少アクセスが緩和されるのを待ったほうがいいかもしれない。

※現在はサービスを一時停止中。アクセス集中に対応できるよう,サーバー増強を含む抜本的な負荷対策を行い,2014年1月中旬のサービス再開を目標としている。

「it-tells」公式サイト


「it-tells」のPC版ログイン画面。同ページ内には,注目発言や人気コミュニティが表示される
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 「it-tells」のコンテンツはインターネット全体に公開されるため,登録をしなくても閲覧自体は可能だが,利用登録をすれば,日常の出来事をつぶやいたり,コミュニティでユーザー同士が交流したりできる。また,「PSO2」の公式コミュニティが用意され,プレイヤーから多くの要望が寄せられていた「ゲーム外での交流の場」の提供に一役買うことになる。

 「it-tells」は「PSO2」専用のコミュニティサービスというわけではないが,現在,「PSO2」プレイヤーのSEGA ID数は,その総登録者数である350万IDの約85%に相当する300万を超えているため,サービスの軸となることは容易に想像が付く。
 しかし,つぶやきで言えば,TwitterやLINEといったソーシャルメディアを利用している人は多いだろうし,コミュニティでいえば,すでに普及しているFacebookやmixiといった既存SNSには同様のコミュニティが存在している。
 「つぶやき」と「コミュニティ」を柱とする「it-tells」に,機能面などでの明確な差別化や,目立ったメリットが見えない現状では,既存サービスから乗り換えさせたり,並行して利用させたりするのは,決して簡単なことではないはずだ。


竹崎 忠氏(セガ 社長室 事業プロジェクト推進部 部長)
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 今回4Gamerでは,「it-tells」の企画を立ち上げ,プロジェクトを統括しているセガの竹崎 忠氏に話を聞く機会を得た。「it-tells」は何を目指したコミュニティサービスなのか,氏の考えるコンセプトや狙いとともに説明していこう。

 「it-tells」のメニューはシンプルで,ユーザーページには,フォローしている他ユーザーのつぶやきや,参加しているコミュニティの書き込みがタイムラインに沿って表示される。このあたりはTwitterに近いといえる。
 なお,Twitterアカウントを連動させておけば,「it-tells」内での発言をTwitterアカウントに連携させ,同時に発言させることも可能だ。

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ホーム画面
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プロフィール画面

 「it-tells」は基本的に,匿名前提のコミュニティサービスとなる。マイページにはプロフィール欄があり,SEGA IDで利用登録しているゲームが表示されるが,名前に実名を入力する必要はない。出身地や居住地といった項目もあるが,コミュニケーションのきっかけとしてのみ用意されているため,入力は必須ではない。
 匿名の場合,無責任な発言や荒らし行為を招きやすい傾向があるが,それを防ぐために「スコア」という項目が用意される。

スコア(※画面はスマートフォン版)
画像集#005のサムネイル/セガが始めるSNSではない新コミュニティサービス「it-tells」について,プロジェクトを統括する竹崎 忠氏が考える構想とは
 スコアは,発言数やフォロワーから共感を得た回数など,「it-tells」内でのコミュニケーション実績を測るさまざまなデータに基づき一定期間ごとに算出され,スコアが高いほどそのユーザーの信頼度が高くなるという。つまり,個人の信頼度を実名データではなく,そのユーザーの活動によって示すという仕組みだ。
 たとえば,コミュニティに参加して「荒らし行為」をするために新規でIDを取得するようなケースも想定できるが,コミュニティではその対策として,スコアが極端に低いユーザーの参加/発言を制限することを可能にする準備を進めている。スコアは一朝一夕で上昇するものではなく,そういった非社会的な行為を行うとスコアが下がるため,コミュニティ内で自浄作用が働くようになるというわけだ。

バッジ(※画面はスマートフォン版)
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 なお,「it-tells」では,ログインした日のスコアが「マイレージポイント」として加算され,ポイントを特典と交換できる仕組みが用意されるという。詳細は未定ながら,東京ジョイポリスの招待券,シーガイアの宿泊券,各種デジタルアイテムなどの提供を考えているとのこと。
 スコアが高いほどマイレージポイントを溜めやすい,つまりコミュニティに積極的に参加している人ほどメリットを享受しやすい形にすることで,コミュニティの活性化を図るという。
 そのほか,発言に共感を得られた数,フォロワー数などに応じて登録者の「バッジ」という実績が解除されていく。βバージョンでは,累積状況に応じてレベルアップしていく9種類の「バッジ」が用意される。

 以上のように,「it-tells」の柱となるコミュニケーション要素は,「つぶやき」と「コミュニティ」の2つである。SNSに用意されている要素として誰もが思いつくであろう,日記(ブログ)機能は存在しない。
 そのため,ブログを書きたい場合は,自分でコミュニティを作成し,日記代わりに使う形になる。コミュニティでは,トピックの作成権限およびコメント可否の設定ができるので,これらを管理人/副管理人のみに制限し,自分だけがトピックを立てる形で運用すれば,日記代わりに使えるというわけだ。

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 セガとしては,「it-tells」内のコミュニティにとくに縛りを設けるわけではなく,ユーザーの趣味嗜好に応じて,ゲームに限らず自由に使ってほしいと考えているという。たとえば,「PSO2」の公式コミュニティが用意されるが,ユーザーが「PSO2」関連のコミュニティや,セガ以外のゲームに関連したコミュニティを立ててもかまわないというわけだ。

イベント「アークスX'masパーティー」で紹介された榎本温子さんのコミュニティ「♪TEUCHI LIVE♪」
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 ちなみに,12月14日の「PSO2」イベントでは,声優の榎本温子さんがすでに「it-tells」に参加し,自身の音楽活動に関連したコミュニティを作成している,という事例が紹介された。そういったゲームとは直接関係のない活動を「it-tells」内で行っても問題はないし,確認が取れれば「公式コミュニティ」として認証されることもあるという。
 竹崎氏は,セガというゲームメーカーが運営しているので難しい側面もあるかもしれないが,ゲームメーカー自身が「it-tells」内で活動をしてくれるのは大歓迎で,その場合は,セガとしてもできる限りのバックアップをしていきたいと考えているそうである。
 なお,「it-tells」内でコンテンツIPの保有者が自身で展開を行う場合,それを証明するために「公式コミュニティ」という名称が付けられるが,一般のコミュニティとの機能的な差異はとくにない。

 既存のSNSでは人と人のつながりを重視しているものが多いが,本サービスでは利用者の「興味のある物事」を軸にしたつながりを大事にしたいため,「it-tells」をこのような仕組みにしたと,竹崎氏は話していた。
 竹崎氏自身,ブログやTwitterで,自分の興味を引いた発言やエントリーを見つけた際,書いた人がほかにどのようなことに興味を持っているのか,立て続けに閲覧することがよくあるという。ただ,そういったケースではブログやTwitter内で完結してしまうことが多いので,「そこから先」に派生しにくいと分析しているそうだ。
 そこで,アツい人の書き込みがどんどんアーカイブされていき,さまざまな人が興味を持つ事象がつながっていくようなコミュニケーションを「it-tells」で実現したいと考えたという。

「it-tells」で作成されたコミュニティ群(※画面はスマートフォン版)
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 竹崎氏曰く,Facebookのような実名ベースのSNSでは,現実世界のしがらみまで持ち込まれがちで,遠慮のようなものができてしまうところがあるとのこと。趣味嗜好の事柄を思い切って発言できるようにするには,匿名が適していると考えたそうだ。そういった意味で言うと,「it-tells」はSNSよりも「2ちゃんねる」のような掲示板の集合体に近いのかもしれない。
 ただ,コミュニティを居心地の良いものにするには,ある程度の社会性を保つ必要があり,そのために先述のようなスコア制度を導入したそうだ。

 また竹崎氏は「it-tells」を,Facebookやmixiに対抗できるような巨大コミュニティにしたいわけではないと語っていた。コミュニティは母数が大きくなれば活性化するが,その分書き込みの熱は薄まってしまう側面もあるので,規模よりもコミュニティの熱量を保てるよう,今後の展開を行っていきたいとのこと。
 また,SNSのようなサービスは,時が経つにつれて「飽き」が来るのは避けられないものであり,熱量を保つのは難しいところがある。その点については,セガが公式コミュニティから発信を続けることで対応したいと,竹崎氏は話していた。

 なお,セガではすでに,公式サイトをはじめブログやTwitter,FacebookといったSNSを利用したプロモーション活動を行っているが,それらをすべて止めて,今後「it-tells」に集約するわけではないという。「it-tells」でも並行して発信は行うが,タイトル・コンテンツごとに適した形で展開していくそうである。
 「it-tells」のビジネスモデルについて竹崎氏は,現段階では単体でのビジネスではなく,セガのタイトル群のプロモーション活動の一環という位置付けでスタートしたいと語っていた。

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 竹崎氏は「it-tells」を立ち上げた経緯について,夢半ばに終わってしまったドリームキャストの「続き」をやりたかった,というのが一番大きな動機だと話す。
 1998年11月に発売されたドリームキャストは,当時のアーケード基板と互角の性能を持つだけでなく,新しい価値観を提供すべく,人と人のつながりを実現するハードとして開発された。
 そのキーワードは「プレイ&コミュニケーション」で,マイクデバイスやカメラデバイスなどを接続できるだけでなく,一般家庭にインターネット接続環境が普及していなかった時代に,オンラインゲームを浸透させるという未知の領域に挑戦していた。いささか時代を先取りし過ぎていたところはあるが,その着目点が正しかったのは,PS3やXbox 360など,現在の家庭用ゲーム機のスタイルが証明しているといえるだろう。

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 ドリームキャストをオンラインに接続できるゲーム機にするというのは,故・大川 功氏がもっともこだわった部分だった,と竹崎氏は語る。
 世界中のゲームユーザーをネットワークでつなげる環境を作り,そこにコンテンツやサービスを提供するのが次世代のセガのビジネスになる,という壮大な構想で,そのインフラをドリームキャストで作るのが夢だったのだ。
 しかし,当時のインターネットはナローバンドのうえ利用料金が高かったため,接続率を上げるのが難しかった。そこで,ユーザーにオンラインにつないでもらうために,セガがISP(インターネット サービス プロバイダー)の費用を負担するという形を採ったのだが,結果的にこのビジネスは失敗に終わってしまう。
 当時,ドリームキャストはいわゆる「逆ざや」のハードで,本体を売るだけでは赤字であり,ゲームソフトの売上でそれをカバーする,というビジネスモデルだった。ネット接続の費用を負担するうえに,PlayStationプラットフォームとの価格競争でさらなる本体の値下げを余儀なくされたため,ドリームキャスト事業の赤字で会社が傾くほどになってしまい,家庭用ゲーム機のハード事業から撤退をせざるを得なくなってしまったのである。

 ドリームキャスト事業から撤退することを大川氏に説明するときに,「ドリームキャストでやりたかったこと,ドリームキャストのビジョンは,ハードがなくなっても実現できます」と,当時のセガのトップが話したという。
 竹崎氏はこのときのことを振り返り,大川氏が逝去したあと,その時の約束がまだ果たされていないことがずっと心残りで,この「it-tells」で大川氏の夢を果たしたいのだと話していた。


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 「it-tell」は,12月17日にβサービスを開始したが,今のところ動作確認の取れた最低限の要素しか実装しておらず,今後徐々に機能を拡張をしていくとのこと。現時点ではブラウザから閲覧する形になるが,スマートフォン版アプリも用意し,各種施設と連動したクーポンを配布するなど,GPS機能を使った取り組みも行っていくという。
 将来的には,ゲームプレイ中に撮影したSSをそのまま「it-tells」にアップしたり,ゲーム内と連動したサービスも展開できるような仕組みを作っていきたいと竹崎氏は話していた。

 現段階では,「PSO2」が主体のコミュニティとなる可能性が高そうだが,その先のコミュニティがどのように形作られていくのか,今後も注目していきたい。オープン初日,アクセスが集中して挙動が重くなるほどユーザーからは注目されたのはなによりだが,挙動が重いままだと,せっかく使ってくれたユーザーが離脱してしまう可能性も考えられる。早期の改善を望みたいところだ。

「it-tells」公式サイト


[it-tells動作保証環境]
【PC版】
■Windows7以降 Internet Explorer9以降/Firefox最新版/Chrome最新版
■OS X v10.7以降 Safari最新版

【スマートフォン版】
 ■Android2.1以降 標準ブラウザ
 ■iOS4.0以降 safari
スマートフォンでは画面は縦方向での表示が推奨環境となります。横方向ですとページの一部が画面内に表示されない場合があります。


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