プレイレポート
人気シリーズ最新作「牧場物語 つながる新天地」の1か月を実体験。ほのぼの箱庭牧場ライフは,けっこうハードな日常だ
今回プレイした期間は,ゲーム内時間でいうところの「春」の1か月間。筆者自身,初めて本シリーズに触れたこともあって,さながら“牧場体験”の気分でプレイできた。その感触やプレイフィールなどをお届けしていこう。
「牧場物語 つながる新天地」公式サイト
牧場生活は,体力と体調の管理が大事
本作ももちろんその流れを汲んでいて,畑を耕して作物を作り,動物を育て,料理を作り,町の結婚候補の異性と恋をして結婚する……といった,これまでにもあった要素に加え,新たに諸外国との「貿易」や,プレイヤーと同様に牧場を営むライバル的な存在の「牧場主仲間」,また通信でプレイヤー同士の牧場を行き来する要素などが追加されている。
なお,ストーリーなどに前作までとのつながりはないため,筆者のような初めてのプレイヤーも入りやすいのは嬉しいところだ。
プレイヤーは,ある日ポストに入っていた牧場主募集のチラシを見て応募し,それに選ばれた新米牧場主として,「樫の木タウン」発展のために牧場生活を始めることとなる。プレイヤーキャラクターは男の子と女の子を自由に選べるが,後に待っているシリーズ恒例の結婚のことも考えて選ぶようにしたい。
牧場生活の最初の1週間は,研修として牧場主のもとに預けられ,牧場生活の基本を覚えられるようになっている。ただし,ここで覚えられるのは,栽培や動物の世話などごく初歩の作業のみで,そのほかの多くの作業はゲームを進めていくうちに発生するイベントなどで覚えていく必要がある。
簡単な農作業を手伝いながら,おこづかい(序盤の資金)までもらえてしまうこの1週間こそが,理想のスローライフ……なんて気もしたが,それではゲームが成立しない。研修修了後の2週目からは,近くの高原に小さな家と農機具一式を与えられ,ここから本格的な自給自足の牧場生活がスタートするのだ。
チュートリアルは最初の1週間の研修で受けられる。なお研修先の畑は,研修後も使わせてもらえる |
与えられた農地の小屋はかなりボロく,住むには改築が必要だ。町を歩き回って素材を探し,大工のゲイザーの手ほどきで自分の家を改築する |
体力がゼロになるとバテてその場に倒れてしまい,貴重な1日が台無しになってしまうばかりか,体力とは別に存在する「体調」のパラメータが崩れ,翌日の体力の減りが大きくなるなど,まったくいいことがない。
過去のシリーズについて調べてみると,プレイヤーの体力と体調の管理は,牧場物語初心者にとって最初の壁のようで,筆者も序盤からそこにぶつかってしまった。
実際の農作業の厳しさについて耳にすることはよくあるが,まさかそれを本作で体感することになるとは思わなかった。逆に捉えれば,こうした現実味を帯びた部分がゲームとして成り立っているのが本作最大の魅力でもある。何事も最初は無理をせず,自分が手がけられる範囲内でのんびり作業をしていれば,序盤から十分に楽しみながら過ごせるバランスにもなっているのだ。
なお,これらの農作業は,所定の場所でプレイヤーキャラクターに農機具を持たせて,Aボタンを押す(または押しっぱなしにする)だけでできるので,たとえ農地が広くなったとしても,操作で苦労することはないはず。キャラクター操作のレスポンスもよく,Rボタンでよく使う農機具や種などのアイテムを瞬時に持ち替えられるなど,非常に洗練された操作体系になっている。
貿易による売買が町を発展させていく
貿易商は,決まった日に町はずれの「貿易ステーション」にやってくるため,彼らがやってくるタイミングを見計らって作物を栽培することで,より新鮮なものを出荷でき,多くの売り上げを得られる。
また,期日によって買値が高い「出荷オススメ」の品目が掲示されるので,それを見て対象の作物を出荷することでも,売上は大きくアップする。また,貿易商からは,町では手に入らないアイテムや動物を購入したり,動物の種付けをお願いしたりすることもできる。
作物などの売り買いが貿易という手段になったことで,「町の発展」という大きな目標に対して,プレイヤーが貢献している手応えを感じられるようになり,異国情緒あふれるアイテムのやりとりという楽しさも広がった。
ちなみに,貿易によって出荷したものが,出荷先の国ではやることがあり,その様子が手紙で送られてくる嬉しいイベントもあるそうだ。
農作業のほかにも,やれることは盛りだくさん
まずは動物の飼育について。こちらはウシやニワトリなどの動物を飼育し,世話をすることでミルクや卵などの副産物を入手できるというもの。もちろんこの副産物も出荷は可能で,さらに動物や副産物を町内で行われるイベントの品評会に出すこともできる。
とくに序盤のイベントで手に入るウシは,エサやり(小屋に飼い葉を定期的に補充するだけでOK)や放牧,ブラシがけなどで比較的簡単に飼育でき,出荷や料理などで需要の高いミルクを毎日確実に出してくれるので,プレイヤーがスキンシップをしつつ愛情をもって育てていくようにしたい。また,春までの段階で貿易によってニワトリを入手できるが,飼育には専用の小屋が必要なので,実際に飼うことになるのはもう少し先となりそうだ。
また,そのほかの動物として,ウマが飼えるようになる。このウマはウシやニワトリのような副産物が手に入る,いわゆる「酪農動物」ではなく,乗って走ることで徒歩移動よりも早くマップ上を移動できるほか,ニンジンを持っておけば,牧場,町,貿易ステーションを瞬時に移動できるようになる。
もう一つプレイヤーができる大きな作業として,「組み立て」によるアイテムの生産がある。これは特定の素材と「組み立て図」を入手することで,自分でアイテムを作り出せるというものだ。
序盤は,新しい農機具や料理をするためのキッチンを作るのが目標となるが,ゲームを進めて資金や素材に余裕が出てきたら,自宅や牧場を自由にレイアウトできるさまざまなアイテムを作って設置し,自分だけの箱庭農場作りを楽しめる。
どこまでも“自給自足”がこのゲームの鉄則なわけだが,その分苦労して完成させたときの喜びも大きく,通信でプレイヤーに牧場を見せたいという気持ちにもつながるはずだ。
自宅にキッチンは設置されていないので,組み立て図と素材を集めて自分で作る必要がある。ここで作った料理も出荷できるほか,自分で食べて体力回復もできる |
新しいアイテムがなくても,自宅や農地のレイアウト変更は可能。ただし,耕した畑や木,岩などを移動することはできない |
限られた1日の時間をどう使うかは,プレイヤーの自由
本作の舞台である樫の木タウンには,多くの住人が住んでいる。コミュニケーションを重ねることで恋愛や結婚まで発展する結婚候補のほか,冒頭でも少し触れたプレイヤーと同じ立場の牧場主達も登場する。先輩としてプレイヤーに暖かく接してくれる一方,ライバルでもあり,「お祭りイベント」での品評会や,町の農地をめぐる「陣取り」などで,競い合いが発生することもある。
彼らはゲーム展開にシミュレーション的な刺激を与えてくれる存在で,プレイヤーがより綿密な農作業をするためのモチベーションアップにも貢献している。そんな牧場主の一部は,結婚候補としても存在していて,もし結婚した場合一体どんな将来が訪れるのかも気になるところである。
登場人物のキャラクターイラストは,牧場物語シリーズを初代から手掛ける,まつやまいぐさ氏が手掛けているが,全体的に少し懐かしく,落ち着いた雰囲気にまとまっているように個人的には感じられた。
実際のところ,初心者である筆者にはそこまでのことを考える余裕はなく,序盤は体力と相談しながらの栽培や収穫,素材の収集に明け暮れる日々を送っていた。さまざまな農作業を続けるうちに,効率良く作業をする手順が掴めてきて,1か月が過ぎたところでようやっと安定した収穫を得られるようになってきたところだ。
あれこれ選択肢を選ぶ楽しみがやってくるのはもう少し先のことになりそうだが,個人的には動物の見た目や仕草などがとにかく可愛かったので,飼育をするための設備投資に力を入れたいと思っている。
またこの先,牧場作りやライバル牧場主との競り合い,結婚候補との結婚や子育てなどのコミュニケーションイベントなども増えてくるわけで,限られた時間の中,果たしてどこに力を注ぎ込むかは,プレイヤーにとって嬉しい悩みどころとなりそうだ。
長く続いてきたシリーズだけあって,牧場生活の楽しさと厳しさをうまくゲームに落とし込んでおり,単なる作業の繰り返しになってしまわないようなイベントなども要所に盛り込まれ,序盤からプレイヤーを飽きさせることがない。また,複数のプレイヤーが同時にほかのプレイヤーの牧場に遊びに行ける通信要素も搭載され,自分だけの牧場を作る意義も上がった。
シリーズのファンだけでなく,ゲームを楽しみながら自分だけの箱庭をちまちまと作っていくのが好きなプレイヤーには,ぜひオススメしたい1本だ。
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