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[GDC 2015]Sweryこと末弘秀孝氏がゲームの開発手法を一挙に公開。PC版「D4」のデモプレイも披露されたセッションをレポート
講演名にある「D4」は,末弘氏が開発を手がけ,2014年にリリースされたXbox One用アドベンチャーゲーム「D4: Dark Dreams Don’t Die」のこと。Kinectセンサーを使用すれば,画面内の主人公とほぼ同じアクションをすることでゲームを進められるという,斬新なシステムで話題となったタイトルだ。
そんなD4の開発手法が明らかとなったセッションの内容をレポートしてみたい。
冒頭で末弘氏は,「D4の開発がスタートしたときは,テレビドラマを見るように,くつろいでプレイできるものを目指していた」と明かした。それは完全には実現できなかったものの,「モーションコントロールが嫌いなプレイヤーも楽しませる」「感情移入させる」という2点では成功したという。
「D4: Dark Dreams Don’t Die」公式サイト
末弘氏がそんなD4における開発のキーワードとして掲げたのが「Empathy and Sensory Replication」(感情移入と感覚再現)で,スタッフ達にたびたびこの言葉を用いて指示を出したとのこと。それを図にしたものも披露され,「これを見ればみんながすぐに理解してゲームを作ってくれると思ったんですが……」と残念そうに語っていたが,実際にその図を見てみると,なるほど,スタッフの苦労がしのばれる,といった感じである。
そして講演は,ここからD4の開発で実際に使われた65ものメソッドの解説に入った。数が数だけに,スライドを一瞬見せておしまい,というものもあって,すべてはカバーしきれなかったが,できる限り紹介しよう。
最後の65番目は,真っ白なスライドに「自分で考えよう」と書かれたものだった。
末弘氏はこれらの開発手法やアドバイスについて,「モーションコントロールのゲームにしか使えないと思うかもしれないが,そんなことはない」と話し,その逆説的な証明(?)として,マウスを使うPC版D4のプレイデモを披露した。
筆者が実際にプレイしたわけではないので,その感覚までは分からないのだが,少なくとも画面を見る限りでは,Kinectがないと難しいだろうと思われたアクションが,マウスの操作にきちんと落とし込まれている印象を受けた。
このPC版D4は,3月6日にボストンで開幕するPAX Eastにプレイアブル出展される予定で,反響によっては正式なリリースも検討するという。
講演後の質疑応答で,VRを使ったゲームに興味があるかを聞かれた末弘氏は,「VRは景色を映しているだけでは意味がなく,体験させることが必要」と話し,そのキーワードを探している最中だと明かした。現段階では「迷子体験」「のぞき見体験」をテーマにしたものなら自分に合っていそうだとも話し,意欲的なところを見せていたので,氏の新作にも期待ができそうだ。
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