プレイレポート
この難しさは本気でヤバい! 全編これ死闘の「NAtURAL DOCtRINE」プレイレポートを満身創痍でお届けします
結論から言ってしまうと,本作はこれまでのターン制シミュレーションRPGのゲームシステムを一歩押し進め,プレイヤーの戦術が大きくものをいう,高難度のゲームに仕上がりつつある。というかこれ,ちょっと洒落にならない難しさです。
「NAtURAL DOCtRINE」公式サイト
人間と亜人種の対立。さらに未知の生物の脅威が迫る
まずは,ゲームの世界観を簡単にまとめておこう。
NAtURAL DOCtRINEの舞台となるのは,人間や亜人種が暮らすファンタジー世界。人々はゴブリンやオークといった他種族の脅威から身を守るため,城塞都市を中心とした生活圏を築いている。その中でも重要なカギを握っているのが,貴重な魔法物質“プルトン”と,それを用いることで行使できる“魔法”の力だ。
しかし,プルトンの採掘には大きな危険が伴い,特殊な耐性を持つゴブリンにしかできない。そのため希少なプルトンは高値で取引され,それを求めてゴブリンの坑道で略奪を繰り返す人間と亜人種のあいだで,激しい軋轢を生んでいるのだ。
主人公のイフは,そんな坑道開拓旅団の護衛士を務める青年だ。つまり,簡単に言ってしまうと平和に暮らしている(?)ゴブリンを襲ってプルトンを奪い取るお仕事をしているということになる。そりゃあ,ゴブリンだって怒りますわな。しかし,それはこの世界で生き抜くためにはごく当たり前のことであり,イフの夢はこの仕事で功績を上げ,城塞都市の上級市民になることなのだ。
そして,いつものようにゴブリンの坑道を探索していたイフ達はそこで,やがて世界を揺るがす脅威となる未知の生物“グリオン”と遭遇する……。
“基本”はターン性のシミュレーションRPGだが……
ゲームは,ワールドマップ画面で次の目的地を選択し,ステージごとに用意されたミッションを攻略することで進んでいく。
ミッションには,物語のメインとなる“ストーリーミッション”と,任意のタイミングで挑戦できる“フリーミッション”の2種類がある。ストーリーミッションに挑む前にフリーミッションでレベル上げやアイテム集めなどができるのだが,フリーミッションは数回クリアすると,そのステージの敵をすべて倒し尽くしたことになり,ある程度ゲームが進むまで再挑戦できなくなるので注意しよう。いつでも無制限にレベル上げができるというわけではないのだ。
本作の戦闘は“基本的”に,敵味方が交互にキャラクターを操作するターン制が採用されており,戦闘フィールドの1つ1つのエリア(マス)が大きいのが特徴だ。1つのエリアには通常サイズのユニットが最大4体入ることができるが,ゴーレムなどの大型ユニットは1体で2人ぶんのサイズとして扱われる。フィールド上には高低差や,障害物となる壁や柱といったオブジェクトもあり,これらはすべて3Dグラフィックスで表現されている。
本作では,たとえ同じエリアの中にユニットを配置するときでも,こうしたオブジェクトを使って敵の攻撃から身を隠したり,あるいは高所などの有利な位置に陣取ったりして戦うことが非常に重要だ。とくに銃による射撃の場合,射線上に障害物やほかのユニットがあると,その向こう側にいる敵を狙うことができないので要注意。気を付けないと,前衛の位置取りが悪くて後衛が敵を攻撃できず,味方を背中から撃ってしまうなんてことも割とちょくちょく起こる。あちゃー,またやっちゃった!
カメラ視点は,最大遠景と通常遠景の2種類の俯瞰視点と,キャラクターの肩越しから見たTPS視点の3つがあるので,俯瞰視点で戦場の様子を確認しつつ,敵味方,相互の位置関係に気を付けてユニットを配置し,敵に攻撃を行うときはTPS視点で狙いを定める,といった具合に切り替えていくといいだろう。
以上が本作の戦闘における基本ルールだが,当然これだけではない。先ほど,戦闘は“基本的”に交互ターン制であると説明したが,本作にはこの基本をひっくり返し,戦況を大きく左右する,もう一つの要素がある。それが,味方のアクションを起点に,本来はもっとあとにターンが回ってくるユニットの行動順を繰り上げて行動させる“連携ターン”と呼ばれるシステムだ。
これはヤバい。とりあえずイージーモード推奨の高難度
連携ターンは,起点となるユニットが攻撃や防御をしたとき,回復アイテムや魔法を使ったときなどに,同一もしくは隣接エリアにいるユニットに発生する可能性がある(常に発生するというわけではなく,いくつか条件が必要)。
連携ターンによるメリットの1つは,連続して味方ユニットを行動させることで,1体の敵に集中攻撃を加えたり,敵に反撃の隙を与えずに攻撃と回復を同時に行ったりできること。そしてもう1つは,味方同士の“戦術リンク”を確立させることで,攻撃にプラスの効果が発動することだ。
本作では,攻撃対象を指定したときなどに表示される,ユニット同士を結ぶラインのことを戦術リンクと呼び,同一の敵をターゲットしたときに結ばれる味方同士の戦術リンクは,個々のユニットの攻撃に,ダメージの上昇やクリティカル発生率のアップといった,プラスの効果を与えてくれる。つまり,連携ターンを駆使して1体の敵に連続攻撃を仕掛けるほど,より大きなダメージが期待できるのだ。もちろん,必ずしも同じ敵を狙う必要はなく,戦術リンクの効果は弱まるが複数の敵に攻撃を分散させてもいい。
しかし,そこには当然デメリットも存在する。連携ターンを使ったユニットは,次の行動順が全体の最後尾に回されてしまうのだ。もし全員で連携ターンを使った場合,残りの敵がすべて行動を終えるまで,味方は一切行動できないことになる。さらに言えば,本作では序盤から敵が味方の軽く3〜4倍の兵力で攻めてくるうえ,連携ターンをかなり的確に活用してくるので,こうなったらもう手に負えない。味方の誰かが倒されるまで,延々と続く敵のターンをただひたすら眺めるハメになる。
ゲームの序盤から中盤にかけては,味方が1体でも倒されると即ゲームーオーバーとなるので,ほんの一手のミスですべてが台無しになってしまう難度の高さが本作の特徴だ。幸いなことに,本作ではゲーム開始時だけでなく,ミッション進行中でも難易度を変更できるので,うっかりノーマルで始めてしまった人は即座にイージーに変更することをお勧めする。それでも,序盤から1つのステージで軽く10回は死ねるだろう。はっきり言って,この難しさはヤバい。
腕に覚えがあるプレイヤーの中には,イージーモードを選ぶのは何となくプライドが許さないと思う人もいるかもしれない。その気持ちはよく分かる。だが,筆者がプレイした印象では,難易度の変更による敵AIの違いは感じられず,敵のステータスを上方修正することで,より倒しにくくなるよう調整されているように感じられた。
つまり,たとえイージーでも,本作の醍醐味である,思考力をフル回転させなければ絶対に勝てない“ギリギリの戦い”がたっぷりと,それこそ心が折れそうになるくらい味わえる。漢(おとこ)は黙ってイージーモード。それしかない。筆者もプライドなんてものは早々に窓から放り捨てましたよ。
戦術を極め,運を味方につけて紙一重の勝利をつかめ
数のうえでは圧倒的に不利で,レベル上げの機会が限られているため個々のユニットの強さで押し切ることもできない状況において,味方を1人も倒されずに勝ち続けるにはどうすればいいのか。そこを,とことんまで突き詰めて考えなければならないのが,本作における戦いだ。そんな極限状態でプレイヤーが打つべき手は限られてくる。
まず1つめは,常に余力を残して戦うこと。誰か1人でも行動順が残っていれば,そこを起点に再度連携ターンを仕掛けることも可能なので,全員一度に連携ターンを使うのは,ここぞという場面に限定したい。
2つめは,銃や魔法などの遠距離攻撃をしてくる敵を優先的に倒すこと。そして最も重要な3つめのポイントは,敵の連携ターンを事前にできる限り潰してしまうこと。味方の連携ターンを駆使して行動順が早い敵から倒していくことで,こちらのダメージを最小限に抑えるのだ。
こうして考えていくと,ステージをクリアするための手順は,まるで詰将棋のように「もはやこれしかない」というあたりまで絞られてくる。本作は失敗を積み重ね,試行錯誤を繰り返しながら,この“最適解”を見つけ出すゲームだと言って間違いないだろう。
しかし,本作が詰将棋と異なるのは,どんなに考え抜いた一手を打ったとしても,最終的な勝敗に運の要素が絡むところだ。運悪く味方の攻撃がミスとなり,運悪く敵の攻撃がヒットすれば,それだけで簡単に戦況がひっくり返ってしまう。それゆえに,本作の戦いはより厳しいものとなる。
運だけでは絶対に勝てないが,勝つためには運も必要となる。それを理不尽と捉えるか,やり応えがあると捉えるかで,本作の評価は真っ二つに分かれそうだ。筆者自身の評価を述べさせてもらえば,本作のゲームバランスはかなりきわどいが,ギリギリでアリだと思う。ただし,生半可な覚悟ではクリアできないゲームである点は,あえてもう一度強調しておきたい。
今回プレイしたのはマスター前のバージョンのため,まだこれからバランス調整が行われる可能性は十分にある。ただ,角川ゲームスによると,ゲームバランスに関する大きなコンセプト変更は予定していない模様だ。こちらが死ぬことをある程度前提にしたステージ構成が製品版にも受け継がれるとすれば,これは相当な高難度のシミュレーションRPGが誕生しそうだ。
筆者としても,ちょっと意地悪な気持ちで,本作をプレイした人が悲鳴を上げるところを見たいという思いもある。歯ごたえがありまくりのゲームが好きな人は,ぜひ楽しみに待っていてほしい。
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(C)2013-2014 Kadokawa Games, Ltd.
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