インタビュー
「ガンスリンガー ストラトス2」公式全国大会直前インタビュー。プロゲーマー・ふ〜ど率いるチーム「勝ちたがり」に聞く,その見どころと勝負哲学
今回4Gamerでは,見事東京予選を勝ち上がり決勝大会に駒を進めた優勝候補の一角,
チーム「勝ちたがり」の面々――プロゲーマーのふ〜ど選手,タカシ選手(エントリー名は“ボンチュー”),くっきーちゃん選手に集まってもらい,本作の魅力,そして観戦のポイントなどについて語ってもらった。それだけでなく,プロゲーマーとして対戦格闘ゲームの世界で大きな存在感を持つふ〜ど選手についても,その勝負哲学を中心に話をしてもらっている。
ガンスリンガーストラトスのファンはもちろん,ふ〜ど選手の活躍に期待している格闘ゲーマーにとっても興味深いインタビューとなっているので,ぜひご一読いただきたい。そして,明日に迫った公式大会「GUNSLINGER'S BATTLE ARENA -HOPE-」を観戦する一助としていだければ幸いだ。
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「ガンスリンガー ストラトス2」の今
4Gamer:
本日はお集まりいただきありがとうございます。ガンスト2プレイヤーにとってはお馴染みのお三方だとは思いますが,4Gamerで語っていただくのは初めてとなりますので,まずは自己紹介として,使用キャラクターや本作をプレイしはじめた経緯などについて,お話しいただけますでしょうか。
じゃあまず俺から。プロゲーマーのふ〜どです。今回は綾小路咲良っていう支援系キャラを使っています。プレイをはじめた経緯は……最初は公式の企画でプロゲーマーチームというのがあって,それでウメハラさんに誘われて始めたんですよね。でも,やり始めたらもう単純に楽しくて。そのままずっとやり続けています。
4Gamer:
なるほど。咲良はあまり使用人口が多くないキャラクターと聞きますが,ふ〜どさんは今回,どうして咲良を選ばれたのでしょうか。
ふ〜ど選手:
咲良は,プロテクトガンで味方にエリアシールドを展開して守ったり,弾薬補給弾で味方の弾薬を増やしたりと,チームの強さを底上げするキャラクターなんですよ。最初はほかのキャラを使うつもりだったんですけど,チームとしての戦略を考えた結果,咲良を入れるのがベストだと気付いて。それで,途中から咲良にキャラクターを変更しました。
4Gamer:
ではその辺りの戦術について,後ほど詳しく聞かせてください。続いてくっきーちゃんさん,お願いできますか。
くっきーちゃん選手:
僕は元々「機動戦士ガンダム VS.」シリーズ(以下,ガンダムVS.)を遊んでいて,そこからガンストに流れたという感じですね。今大会では,片桐鏡華という,味方の体力を回復する支援系キャラを使っています。
4Gamer:
くっきーちゃんさんは,前回大会でもふ〜どさんとチーム組んで優勝されていますよね。いや,その後の「スーパーふるさとカップ」でも優勝し,すでに2連覇を達成しているわけですか。
くっきーちゃん選手:
ですね。今回も優勝して3連覇を目指したいと思っています。
くっきーちゃん選手 第2回賞金制公式大会ではふ〜ど選手,たわば選手とチームを組み優勝。また,2013年11月2日に行われた初代「ガンスリンガーストラトス」最後の公式大会である「スーパーふるさとカップ」でも見事優勝を飾った。片桐鏡華で最高ランクGSに到達している,ガンストシリーズのトッププレイヤー |
タカシ選手 「スーパーふるさとカップ」にて,くっきーちゃん選手とチームを組み優勝を果たした強豪プレイヤー。本作では羅漢堂からジョナサンにキャラクターを変更するも,瞬く間に最高ランクGSまで駆け上がった |
4Gamer:
分かりました。では最後にタカシさん,お願いします。
タカシ選手:
俺もくっきーちゃんと一緒で,ガンダムVS.をやっていた友達から誘われて,ガンストを始めたクチですね。使用キャラクターはジョナサン・サイズモアという前衛キャラ。ふ〜どさんとくっきーちゃんに介護してもらいながら,接近戦での高火力で敵をガンガン倒していくというのが,チーム内での自分の役割になります。
4Gamer:
やはり本作のプレイヤーは,ガンダムVS.から流れてくるプレイヤーが多いのでしょうか。
くっきーちゃん選手:
開発が「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス」を開発したバイキングですし,画面の見方やゲームシステムが似ているんですよ。だから,経験が活きやすいのは確かですね。
ふ〜ど選手:
初代の稼働初期なんて,ガンダムVS.勢の猛威が凄かったもんね。
くっきーちゃん選手:
あと今日はいないんですが,羅漢堂 旭を使うたわばさん(エントリー名は"MIKAN(本物)")を含めたこの4人が,チーム「勝ちたがり」のメンバーになります。ちなみに羅漢堂は,ハンドガトリングガンで中距離からダメージを与えていく,中衛を担当するキャラクターです。
4Gamer:
タカシさんはくっきーちゃんさんと組んで「スーパーふるさとカップ」を優勝されているわけですよね。今回,この4名でチームで大会に挑むことになったのは,どういう経緯からだったのでしょうか。
ふ〜ど選手:
そもそもは,AMサントロペ池袋(以下,ロペ)で知り合ったのがきっかけだよね。
くっきーちゃん選手:
ロペはガンストプレイヤーの聖地なんですよ。初代ガンストで人気のあったステージに池袋ステージがあって,その中でロペもちゃんと再現されていたんですよね。それが切っ掛けで,強いプレイヤーが集まることになったという。
ふ〜ど選手:
ただ初期の頃は,今ほど人が集まっていたわけでもなかったじゃない。知る人ぞ知る強豪だった頃のたわばさんがホームにしていたので,それで少しずつ増えていったんだと思う。ガンストは4人でやるゲームなので,強い人と一緒にやったほうがうまくなれますから。俺も元々はほかのゲーセンでやってたけど,ロペにいったら毎日のようにたわばさんがいるから,移っちゃった。
4Gamer:
強豪が強豪を呼んで聖地化するというのは,どんなゲームでも同じですね。
ふ〜ど選手:
そうそう。俺も毎日行くようになって,その後からどんどん人が集まってくるようになりました。くっきーちゃんやタカシが来るようになったのもその頃だったと思います。
4Gamer:
なるほど。ところでくっきーちゃんさんとタカシさんは,元々ふ〜どさんのことを知っていたのでしょうか。格闘ゲームの世界では,プロとしてお馴染みのふ〜どさんなんですけど。
タカシ選手:
いとこが格ゲー好きなので,ふ〜どさんの話は良く聞いていましたね。あと,やっぱりマッチングでよく遭遇する相手なので,名前はもちろん意識していました。池袋に行くようになる前は大宮でプレイしていて,遭遇したら毎回ボコボコですよ。マジ発狂しそうだった(笑)。
くっきーちゃん選手:
良くマッチングする相手だったので,名前は僕も知っていましたけど,格闘ゲームのことはまったく分からなかったです。地元の祖師谷に植田佳奈さん※とふ〜どさんが来るっていうイベントがあって,その時に初めて話したんですけど,最初に聞いたのが「ふ〜どさんってストIVとかやるんですか?」っていう(笑)。
※本作で竜胆しづねの声を担当している声優。自身もまた,本作の熱心なプレイヤーとして知られている。
(一同爆笑)
くっきーちゃん選手:
いやあ,バーチャファイターの強い人だって聞いてたんで……。
ふ〜ど選手:
あれはすごい斬新な質問だったよね。
くっきーちゃん選手:
いやでも,未だに僕,ふ〜どさんが格ゲーやってるところ見たことないですから。ガンストのプロゲーマーなんじゃないかって今でも思ってますよ。
大会ではジョナサンの鉄球ハンマーに要注目
4Gamer:
今回の大会はニコニコ生放送で配信されることもあって,実際に遊んだことはないけれど,ふ〜どさんが出る大会なら見てみようかなという人もいると思うんです。なので,主に初心者に向けた大会の見どころなどを聞いてみたいと思っているのですが……例えば注目のキャラクターというと誰になりますか。
ふ〜ど選手:
そりゃあもう,ジョナサンの突撃型「ストライカー」一択ですね。鉄球ハンマーガンという近接武器の火力がもの凄くて,予選通過が決まっている東京代表11チームの中にも,10体いるくらいです。ガンスト2は画面の情報量が多くて,ゲームに慣れていないと,観戦するのも結構大変ですが,そういうときはジョナサンの画面に注目するといいと思います。シンプルで分かりやすいので。
タカシ選手:
ワーッ! って突っ込んで,バーン! って殴って,敵の体力を一気に減らすっていう(笑)。
くっきーちゃん選手:
例えば,僕の使っている鏡華はハンドガンを持っているんですが,マガジンを使い切るまでジョナサンに撃ち込んでも,相手はダウンすらしない。でも,こっちがハンマー喰らったら,全耐久力の2/3を減らされてしまいます。
タカシ選手:
ジョナサンは体が大きい分やられ判定もデカいんだけど,耐久力がもの凄く多くて,スピードも速い。だから少しぐらい攻撃を喰らっても良いから,とにかくハンマーで殴りにいくということが可能なんです。
ふ〜ど選手:
だから,今はジョナサンを中心にしたガン押し構成がトレンドなんです。ジョナサン+準前衛×2の3人で突っ込んでいく攻め重視型か,もしくは準前衛を一人減らして,代わりにスナイパーや支援系を置くバランス型が定番ですね。
4Gamer:
聞いていると,攻め込まれたらもうどうしようもないっていう印象ですが,対策はあるんですか?
タカシ選手:
1発でジョナサンからダウンを奪える武器,例えばマグナムを持っている人がずっとジョナサンに張り付いて,ダウンさせ続けるのが基本です。とくに両手にマグナム系武器を持つ,いわゆるダブルマグナム装備が,ジョナサン対策には最適と言われています。
くっきーちゃん選手:
あと,うちのチームで言えば,ふ〜どさんの咲良が使えるアンチマテリアルライフルなんかで,遠くに吹き飛ばしてしまうのも手ではあります。一旦戦場から離脱させてしまえば,その隙にほかのキャラクターを狙う時間が生まれるので。
ふ〜ど選手:
ジョナサンを好きに暴れさせると,それだけで試合が終わってしまいますから。なので,俺らのチームも,タカシのジョナサンを中心に,その能力を活かすための構成になっています。
4Gamer:
先ほどの話では,ジョナサン以外はたわばさんが中衛の羅漢堂,残る二人が支援系の鏡華と咲良とのことでしたね。これにはどんな意図があるのでしょうか。
ふ〜ど選手:
さっき言ったとおり,ジョナサンはダブルマグナムに弱い面があるんですけど,マグナムはエリアシールドを割れないんです。なので,咲良のエリアシールドをジョナサンに張ってやると……。
タカシ選手:
その間は,理論上最強になるってわけですよ!
4Gamer:
それは分かりやすい(笑)。
ふ〜ど選手:
なので,この構成は本当にジョナサンを活かすための配置なんです。ただ,咲良はかなり特殊なキャラで,使いこなすのは結構難しくて。だから最初にこの話をしたときは……かなり微妙だったよね。「……咲良すか? 咲良弱くないっすか?」みたいな。
くっきーちゃん選手:
たわばさんが一番嫌そうにしてなかった? まあ,当初は「うまい人が攻撃を担当すべき」という考えが根本にあって,ふ〜どさんは”当てられる”プレイヤーだったから。当然アタッカーをやるべき,となるのが自然なんですよ。でも,実際に自分で咲良を動かしてみたら……本当に難しい。
タカシ選手:
ふ〜どさんは前衛キャラを使ってもすごくうまいんだけど,何より状況判断が素晴らしいんです。だから難しいキャラを使ってくれた方が,僕らは頼れるんですよね。
ふ〜ど選手:
ジョナサンや羅漢堂みたいな前衛キャラは,そもそも扱いやすくてプレイヤー人口も多いからね。俺はこれまでもチームに足りない役を担当することが多かったので,咲良は合ってると思います。
しかし扱いが難しいとはいえ,咲良の使用人口が少ないのはなぜなんでしょうか。聞く限り,能力的にとても重要なポジションに思えますが。
くっきーちゃん選手:
咲良は試合終了後の評価が,どうしても低くなってしまうんですよね。ものすごく頑張って支援しても,評価としては最下位ということが多くて。そうするとランクもなかなか上がらないし。
タカシ選手:
咲良が攻撃しても,500ptぐらいしかもらえないんですよ。でもジョナサンがハンマーを当てたら5000ptぐらいもらえてしまう。咲良のサポートのおかげでジョナサンが大活躍しても,咲良の評価にはならないんです。
くっきーちゃん選手:
とくにチームを組まず,野良でプレイしている人にとっては,強さを示すランクは,モチベーションの源にもなっていますし。プレイの結果がリザルトに反映されにくいとなると,どうしてもはやらないですよね。
4Gamer:
なるほど。それは確かに人気は出にくいでしょうね。
ふ〜ど選手:
ただ,咲良が強いことは間違いないですし,現にチームでプレイしている人の間では,徐々にプレイヤーが増えてきています。もしリザルトが改善されたら,プレイヤーは一気に増えるんじゃないかな。ジョナサンが今はやってるのだって,ただ強いってだけじゃなく,ランクが上がりやすいからなわけで。
くっきーちゃん選手:
タカシのランクがあがるの早かったもんね。今大会のために羅漢堂からジョナサンにキャラ替えしたんですけど,あっという間に最高ランクのGSまでいっちゃった。
タカシ選手:
いやもう,あれはもの凄いスピードだったね。
ふ〜ど選手:
ちなみに俺の咲良のランクが今SSで,そこからSSS→X→XX→XXX→GSという順番です。チーム内では,俺がぶっちぎりで低ランクなんだよね(笑)。
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