インタビュー
[インタビュー]麻雀の役を擬人化した「役姫」の実装意図とは。10周年を迎えた「セガNET麻雀 MJ」のプロデューサーに話を聞く
「役姫」は,文字通り麻雀の役をモチーフとしたキャラクターで,現在はドラ,タンヤオ,ピンフの3人が入手可能となっている。
本格派麻雀を謳う本作に“擬人化系美少女キャラクター”を実装する意図や,10周年への取り組みなどについて,プロデューサーを務める吉田一馬氏に聞いてきたのでお伝えしよう。
「セガNET麻雀 MJ」公式サイト
プレイヤーの反応次第で
「役姫」の展開が大きく変わる可能性も
「セガNET麻雀 MJ」プロデューサー・吉田一馬氏 |
「MJモバイル」のリリースから10周年を迎えました。おめでとうございます。吉田さんにとって,プロデューサーに就任されてからのこの1年はどのような期間になりましたか。
吉田一馬氏(以下,吉田氏):
チームの増員があり,昨年から10周年に向けて開発チームが大きくなっていった1年でした。それもあって,新コンテンツである「役姫」には,開発工数をかなりかけています。
4Gamer:
「役姫」は完全新規コンテンツとのことですが,どのような経緯で制作することになったのでしょう。
吉田氏:
9周年のタイミングでは,若年層のプレイヤーを獲得するために,UIの改修を進めたり,VTuberとのタイアップなどを実施しました。若い人がプレイしている麻雀ゲームの市場調査も行ったのですが,かわいいキャラクターが実装されているタイトルが強いことも分かり,「役姫」を作ろうということになりました。
4Gamer:
「セガNET麻雀 MJ」には,キャラクターとしてアバターが用意されていますよね。コラボの「進化型SPキャラ」などでは,かわいらしいキャラクターが実装されていますが,こちらとの差別化はどうしているのでしょう。
吉田氏:
「役姫」自身は麻雀を打たないので,プレイ画面でカットイン演出が発生する「進化型SPキャラ」とはまったく異なるコンテンツとなっています。育成,アバター,ボイスといった要素を持つ複合的なコンテンツとなっていて,「役姫」にまつわるシナリオにも力を入れています。
4Gamer:
アバターに比べて,キャラクター性を高めているといった感じですね。そういえば,実装済みのドラとタンヤオ,ピンフの声優陣も目を引きます。
吉田氏:
ドラは種﨑敦美さん,タンヤオは花守ゆみりさん,ピンフは高橋李依さんに演じてもらいました。コンテンツ自体,社内では「別ゲームで出してもいいんじゃない?」と提案を受けるくらいに,かなりの規模になってしまいました(笑)。
4Gamer:
なるほど。ところで,先ほどのお話にあったVTuberとのタイアップなど,若年層に向けた施策の反響はいかがでしたか。
吉田氏:
一時的な増加はありましたが,継続的なプレイにつながらなかった面もありました。プレイを続けたくなるコンテンツを作らなければ定着しないのかなと考え,その教訓から「役姫」に育成要素を入れることになったんです。
4Gamer:
9周年の施策からつながっているものなんですね。
吉田氏:
コラボなどで,若い人との接点はあったと思っています。ただ,そこには継続性がなかったので,プレイヤーの層に合わせたコンテンツ作りが必要になったんです。
しかし,「セガNET麻雀 MJ」を10年間支えてくれたプレイヤーの中には,「王道な麻雀ゲームが好き」や「かわいいキャラクターはいらないよね」といった人もいるのかなといった心配もありましたね。
麻雀ゲーム「MJ」シリーズとホロライブのコラボ大会が12月18日に開催。運営会社カバーの代表取締役社長,谷郷元昭氏も参加
セガは本日(2022年12月12日),麻雀ゲーム「MJ」シリーズで,ホロライブプロダクション傘下の女性VTuberグループ「ホロライブ」とコラボした「雀荘ホロくらぶ杯」を,12月18日19:00より実施すると発表した。今回の大会には,ホロライブに所属するアキ・ローゼンタール,大神ミオら7名のタレントと,運営会社より代表取締役社長の谷郷元昭氏ら計8名が参加する。
4Gamer:
「役姫」を必要としないプレイヤーも数多くいるという認識があるわけですね。
吉田氏:
相応の開発費をかけてるというのは,できるだけ多くのプレイヤーに触れていただく必要があるということでもあります。なので,たとえばメインのUIに表示させたり,「役姫」関連のコンテンツを必ず進めるといった仕様にしたりするような判断も一般的にはありなんです。
ただ今回は,“不要”と感じるかもしれないプレイヤーのことも考え,そのような形式にはしませんでした。
4Gamer:
「役姫」のオンオフ機能もあるようですが,これも同じ理由ですか。
吉田氏:
はい,その通りです。これまでと同じ画面でプレイできることも大事にしたいなと思いました。「役姫」は,アガったときに役を読み上げるのですが,機能をオフにすると,そのあたりもすべてオフにできます。また,トップ画面のUIからシナリオを押した先に「役姫」が表示されるので,新コンテンツを遊ばないのであれば,以前と同じ感覚でプレイできるんです。
4Gamer:
「進化型SPキャラ」とも一切,重複しないということですね。
吉田氏:
対局中の画面は「進化型SPキャラ」の場所と明確に決めています。「役姫」の表示をオンにしても,麻雀を打っているあいだは,リザルト画面で役を読み上げる以外には,対局に関して一切「役姫」を入らせないようにしました。
4Gamer:
2023年7月10日の10周年直前生放送でも,そこまで「役姫」の紹介に尺を取っていない印象を受けました。
吉田氏:
既存プレイヤーに受け入れてもらえるかという不安の方が大きかったですね。まずはリリース時に,皆さんの「役姫」に対する温度感を見る,既存のプレイヤーにとって邪魔にならないようにする,といったことの方を最優先しています。
4Gamer:
「役姫」のPRよりも,これまでのプレイヤーが本作をいかに快適にプレイし続けられるか,という面を重視しているわけですね。
吉田氏:
「変わっちゃったなあ……」と思われてしまわないように,まずは受け入れてもらうことが重要だと考えています。
役姫のドラ,タンヤオ,ピンフが登場。「セガNET麻雀 MJ」10周年記念のオフイベではプロ雀士との対局も可能
セガは本日,「セガNET麻雀 MJ」の公式番組「MJモバイル・10周年直前生放送!」を配信した。番組では,アプリ版の10周年を記念して実施するゲーム内キャンペーンや,リアルイベント,麻雀の役をモチーフにした「役姫」の実装などが発表されている。
4Gamer:
全部で41体の「役姫」が登場予定とのことですが,7月18日に実装された「役姫」が3体だけだったのは,同様の理由からなのでしょうか。
吉田氏:
もちろんそれも理由の一つです。また,いきなり何十体もの実装があると,キャラクターやシステムを把握することが大変になることもあって,育て方や遊び方を把握する準備期間のような形で3体だけの実装としています。
41体の制作自体は決定していて,早いタイミングで順次,追加していく予定です。配信スケジュールもすでに引いてありますね。
4Gamer:
実装スパンも決まっていますか。
吉田氏:
そこは,プレイヤーの反応次第でリリースを細分化したり,ゆっくりと配信していく可能性もあります。ただ順当にいけば,1年かからずに41体を実装する予定となっています。
4Gamer:
「役姫」の入手方法や育成方法などのシステム面について教えてください。
吉田氏:
まず,トップ画面から入れる「役姫クエスト」の「第一部 序章」をクリアします。その後,各役姫のクエストで発生する「VsCPU(一局戦)」を1位で勝ち抜くと後編が解放され,後編をクリアすることでその「役姫」を獲得できます。
4Gamer:
「役姫クエスト」の長さや難度はどんな感じですか。
吉田氏:
クエストの長さは,1話につき50タップほどで,約3分で読み切ることができます。会話のオールスキップも入れていますし,難度も特段難しくはしていないので,「役姫」自体はすぐに手に入れることができます。
クエスト後編のクリア後には,「VsCPU(一局戦)」が「VsCPU(東風戦)」に変わり,継続クリア報酬が追加されます。以降は,クリアすることで「役姫」育成用のアイテムである「輝石」を入手できます。
4Gamer:
「輝石」は,そこでしか入手できないのですか。
吉田氏:
全国大会や段位認定戦といった一部の「公式モード」において,各「役姫」がモチーフとする役でアガった際にも「輝石」が手に入ります。ただ,役によってアガれる機会がまったく違うため,それぞれの入手数は調整していく予定です。
4Gamer:
たとえば,タンヤオのキャラクター人気が高くなった場合,「輝石」を狙って,タンヤオばかりを狙うプレイヤーが増えてしまうこともあるかもしれません。そうなると全国大会や段位認定戦のゲーム性に影響が出てしまう気もします。
吉田氏:
特定の役を狙うと負ける確率も高くなります。全国大会や段位認定戦で,仮に勝敗よりも育成素材を優先したいプレイヤーが現れたとしても,勝率を犠牲にすることにはなるので,それはそれでありだと考えています。
4Gamer:
そもそも狙う狙わない以前に,天和のような役の「輝石」は,何らかの調整がないと育てることは厳しそうですよね。
吉田氏:
まだ詳細は決まっていませんが,使用できる「役姫」を選ばない,共通の育成素材が手に入る機会を作ることも考えています。また,対人戦でアガった際の「輝石」を獲得しなくても,「役姫クエスト」の繰り返しクリアだけでそこまで苦労せずに最大レベルまで育てきれると思います。
4Gamer:
対局に「役姫」は関与しないとのことでしたが,育成した場合に何が変化するのでしょうか。
吉田氏:
育成要素は,最大50レベルまでのレベルアップのみとなっています。「役姫」の見た目をカスタマイズする装飾の解放と,ボイスの変化といった2種類を用意しています。
4Gamer:
RPGなどのレベルよりも,キャラクターとの親密度や好感度のようなイメージに近そうですね。現時点では完全無料のコンテンツとなっているようですが,今後,たとえばガチャなどでの追加要素を考えていたりはしますか。
吉田氏:
基本的なコンセプトとしては,プレイヤーに無料で楽しんでもらうことを考えています。ただ,シーズンイベントの特別な衣装などを用意することになれば,ガチャも考えるかもしれません。
「召喚雀士」として全国各地の「役姫」を集めていくシナリオが展開!
4Gamer:
「役姫」のキャラクター性やデザインコンセプトは,どのように決まっていったのでしょうか。
吉田氏:
タンヤオはゆるく,ピンフは規律正しいといったように,役のイメージに合わせてキャラクター性を決めています。
また,日本の麻雀用語におけるドラがドラゴンに由来しているので,「役姫」のドラには翼や尻尾を加えるなど,デザイン面でも言葉の由来を表現しています。
4Gamer:
それならばチートイツは,絶対に双子のキャラクターですよね。
吉田氏:
社内でもそういった意見が出ています(笑)。これから登場する「役姫」に関しては,デザインや性格といった要素を役のイメージから予想するのも楽しいと思うので,ぜひプレイヤー間で盛り上がっていただきたいなと思っています。
4Gamer:
キャラクターデザインで苦労した点はありますか。
吉田氏:
めちゃくちゃ大変でした!(笑)。開発メンバーの「役姫」への思い入れが非常に強くて,案として提出されたイラストやキャラクター性が,かなり作り込まれていたんです。キャラクターへのこだわりが多いほど,色々な部分が先鋭化していくんですが,凝りすぎたキャラクターデザインになることも多くて。
最終的に,私が合否を判断するのですが,何回も開発メンバーとぶつかって,最初からやり直すこともよくありましたね(笑)。
4Gamer:
確かに,キャラクター性を感じさせる装飾はありますが,基本的にシンプルな出で立ちとなっていますね。
吉田氏:
実は,最初は武器を持っていたんですよ。ただ,世界観的に戦わない存在なので,「役姫」に武器はなくていいかなと思い,外しました。
4Gamer:
なるほど。「役姫」のいる世界観を教えてもらえますか。
吉田氏:
クエストの舞台は日本で,プレイヤーは「召喚雀士」となり,東西南北の勢力に分かれた「召喚雀士」と「役姫」をめぐって対局していくことになります。
各「役姫」は精霊のようなもので,特定の条件を達成したりすることで,主人公に付き添ってくれるようになります。ただ,見守るような存在で,麻雀を打って戦うことはありません。
4Gamer:
主人公は何故「役姫」を集めようになるのでしょうか。41役分をすべて集めると何か願いが叶うというような動機付けはありますか。
吉田氏:
そこはシナリオを読んでもらえると予想がつくと思いますので,ぜひ実際に体験してもらいたいです。
7月30日にはオフラインイベントを実施
4Gamer:
10周年を迎えた「セガNET麻雀 MJ」ですが,「役姫」以外に新たな試みなどがありましたらお聞かせください。
吉田氏:
2023年7月30日に,10周年を記念した公式オフラインイベントを予定しています。参加は,事前応募の抽選制で,参加者とプロ雀士が「MJモバイル」で対局を楽しめる内容になっています。
会場は,とある雀荘を貸切っているのですが,そこにある最新の全自動卓は使わず,その上にiPadを置いて遊ぶといったシュールなイベントとなっています(笑)。
4Gamer:
せっかく,全自動卓があるのに(笑)。
吉田氏:
最近の全自動卓には,スマホの充電用にUSBジャックが付いているんですよ。これが,「MJモバイル」をプレイするのにちょうどいいなと思いまして。
あくまでも「MJモバイル」のイベントなので,全自動卓は使わずにiPadに入れた「MJモバイル」アプリで対局してもらいます。
4Gamer:
プレイヤーなら,遊び慣れたゲームのほうが,本来の実力も発揮できそうですよね。本物の卓と牌では遊んだことがない人もいそうですし。
8月以降のイベントに関してはいかがでしょうか。
吉田氏:
8月20日には,10周年の「アニバーサリーCUP」と連動した企画として,「MJ杯 10周年記念最強決定戦」を開催します。
「アニバーサリーCUP」の東風で優秀な成績を残した上位2名が,「Mリーガー」6名による対局に参加できるもので,3位から10位のプレイヤーも観戦に招待します。
対決の様子は配信もする予定なので,ぜひチェックしてください。
4Gamer:
最後に,プレイヤーへ向けてメッセージをお願いします。
吉田氏:
「セガNET麻雀 MJ」が10周年を迎えられたのは,これまで支えてくださった皆さんのおかげです。これからもサービスを続けていくために,新しいことにも挑戦していきますが,支えてくれた方々が楽しめるコンテンツが一番大事であるとの思いは変わりません。
これからも,多くのプレイヤーの声に耳を傾けながら開発と運営を行っていきますので,今後ともよろしくお願いいたします。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
10周年! |
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