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漫画「ウメハラ To live is to game」の続編連載がサプライズ発表された「出張版アールの部屋」イベントレポート。ウメハラ氏に今後の活動を聞いたミニインタビューも
今回の公開配信では,Team Mad Catz所属のプロゲーマー・ウメハラ氏と,漫画「ウメハラ To live is to game」の作画を務める西出ケンゴロー氏,原作の折笠 格氏の3名をゲストとして招き,「ウメハラ To live is to game」にまつわるトークや,ウメハラ氏による組み手などが行われた。本稿では,その模様を写真と共にレポートしていこう。
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続編の話題も飛びだした,漫画・「ウメハラ To live is to game」トークショー
イベントは,ウメハラ氏とアール氏によるMad Catz製品のプロモーションからスタート。 静音レバー&ボタンを採用した「Arcade FightStick Versus Series SH」や「TRITTON Kunai」といった格闘ゲームファンにはお馴染みの製品の紹介が行われたあと,いよいよ「ウメハラ To live is to game」の作者である西出ケンゴロー氏と折笠 格氏が登壇し,トークが始まった。
と,ここでまずここでサプライズが。「ウメハラ To live is to game」待望の続編が現在制作中であることが発表されたのだ。詳しい内容や媒体名はまだ明かせないとしつつも,続編はKADOKAWA系列にて,連載形式で掲載されるとのこと。
1作目である「ウメハラ To live is to game」は,初の試みということもあって,お互いに遠慮があったとのことだが,続編では西出氏たっての希望で,ウメハラ氏も相当に力を入れて監修を行っているという。すでに数話分の原稿が完成しており,近日中には発表があるようなので,ウメハラファンはぜひとも期待しておこう。
続編発表のあとは,「ウメハラ To live is to game」にまつわるさまざまなエピソードが語られた。ここでは,その中からいくつか印象深かったものをピックアップして紹介しよう。
「実在の人物や出来事を題材にした漫画ということで,こだわった点は?」という質問に,「格闘ゲームはほとんどやってこなかったが,当時の状況の再現性にはできる限りこだわった」と答えた西出氏。作中に登場するゲーセン“神田ビッキーズ”の間取りを調べるため,閉店後同じ建物に建てられた居酒屋に足を運んだエピソードが披露された。
また当時使われていた両替機について,西出氏はウメハラ氏に再三確認を求めたそうだが,ウメハラ氏はよく覚えておらず,適当に答えてしまったという。「そしたら(西出氏が)ものすごく不機嫌になった(笑)。こだわりは凄いですよ(ウメハラ氏)」といった話も飛び出した。
なお,続編では「如何にして格闘ゲームのプレイを漫画で描写するか」にも力を入れているとのことで,ウメハラ氏も「ああ,こういうやり方もあるんだって驚きました」と太鼓判を押すほどの出来だという。この一点だけでも,格闘ゲーマーとしては興味をひかれる作品になりそうだ。
続いては,「連載漫画の監修で忙しそうですが,ゲームをプレイできているんですか?」という,アール氏からウメハラ氏への質問だ。これに対してウメハラ氏は,やらなければならないことは多いが,充実しているので監修もプレイも楽しみながらできていると返答していた。ただ,作品の舞台が過去であるとはいえ,今も現役で活躍しているウメハラ氏にとっては少なからずプレッシャーを感じる部分もあるそうだ。ウメハラ氏は「例えばの話,今後,漫画がクライマックスに向かっているタイミングで俺が大会に出て,1回戦負けをしたら,(読者から)次読まなくても良くね? ってなるかもしれない(笑)」と語り,その難しさにを明かしていた。
なお,2013年9月20日に行われたMad Catz UnveliedでのInfiltration選手とのエキシビションマッチは,「ウメハラ To live is to game」の発売から3日後のイベントであり,「負けたらシャレにならん」というほどの重圧を抱えていたそう。蓋を開けてみれば,10対2で勝利と,非常に良い結果を出すことができ,ウメハラ氏自身も「意外と,プレッシャーがある状況は苦手じゃないんだな,というのが分かった」と語っていた。
常に自然体で試合に臨んでいるように見えるウメハラ氏も,実際にはプレッシャーを感じている。人間として当たり前ではあるのだが,ことウメハラ氏もそうなのだと聞いて,ちょっと驚いてしまったのは,筆者だけではないだろう。
トークイベント終了後,ウメハラ組み手が開催に。10名+アール氏という挑戦者が襲いかかるも,ウメハラ氏は圧巻の全勝。なお,組み手中は会場内のモニタに”ウメハラ手元カメラ”が映し出され,ウメハラ氏のアーケードスティックさばきを間近で見ることができた |
組み手に続いて行われたサイン会では,ファンたちが思い思いのアイテムを持ち寄っていた。中にはボクシンググローブにサインを入れてもらうといった人も |
ウルIVでまたゲーセンに人が戻るのが楽しみ――ウメハラ氏ミニインタビュー
イベント終了後,例によってウメハラ氏に少し話を聞く時間があったので,その模様をミニインタビューとしてお届けしよう。稼働が間近に迫った「ウルトラストリートファイターIV」(以下,ウルIV)についてや,今後のプレイヤーとしての活動などを伺ったので,ウメハラ氏のファンはぜひチェックしてみてほしい。
4Gamer:
本日のイベントお疲れさまでした。「ウメハラ To live is to game」続編の制作決定が発表されましたが,企画が動き始めたのはいつ頃だったのでしょうか。「勝負論 ウメハラの流儀」のイベントでも意欲を語られていたように思いますが。
ええ,あの時点(2013年冬)でもう動き始めていました。経緯としては,ぶっちゃけ,前作は漫画としては無名の作品だったと思うんですね。その割には売れたみたいなんだけど,「勝ち続ける意志力」や「勝負論 ウメハラの流儀」ほど影響力のある本にはできなかったというのがあって。でも,(漫画には)まだ伸び代があるだろうと思ったんですよ。
4Gamer:
もっと作り込めたはず,ということですか。
ウメハラ氏:
俺としても不完全燃焼なところがあったし,みんなもそう感じていたようで,編集の人から「次はもっと気合い入れてやりませんか?」と言われ,喜んでその話に飛び付いたという感じです。
4Gamer:
イベントでもおっしゃってましたが,続編の監修にはかなり力を入れているようですね。
ウメハラ氏:
そうですね。心機一転して取り組んだら,思いの外詰め込めるものがあって。かなり濃い作品になっていると思います。
4Gamer:
楽しみです。となると,アニメ化の可能性なんかもあるかもしれない?
ウメハラ氏:
話がくれば,もちろんやりたいですね。ただ……。
4Gamer:
実在の人物がアニメに出てくるので,誰が声を当てるのかという問題はありますね(笑)。
ウメハラ氏:
そういうことですよ(笑)。でも,まったく有り得ない話ではないと思うんで,まずは連載の監修をしっかりやっていくつもりです。
4Gamer:
期待しています。続いては,プレイヤーとしての今後の活動についてお聞かせ下さい。まず,ウルIVが4月から稼働となります。ウメハラさんはまたゲーセン通いの日々になりそうですね。
ウメハラ氏:
そうですね。現行のVer.2012は,もうゲーセンに人が来なくなってしまっていますし。
4Gamer:
家庭用があれば,離れた地方の人とも対戦できるわけで,ゲーセンに足を運ぶ必然性は薄まってしまいます。
ウメハラ氏:
これは俺が東京に住んでいるから思うことなのかもしれないけど,やっぱりゲーセンが好きだし,またゲーセンに人が集まるんだとしたら,とても楽しみですね。
4Gamer:
格闘ゲームコミュニティの最近の話題でいうと,初となるカプコン公式のツアー型大会,Capcom Pro Tour※が発表されました。ルールの性質上,日本人選手が頻繁に参加するのは難しそうですが,「今年もCapcom Cupで日本人選手の活躍を見たい」という声は大きくなるのではないでしょうか。
※Capcom Pro Tour……ストリートファイターIVシリーズを種目とする,カプコンUSA公式のツアー型大会。「Evolution2014」や「Dreamhack Winter」など,世界各地で行われる中〜大規模大会の参加者を対象としたランキングバトルで,上位に入るほど高いポイントが付与される仕組みになっている。ポイントランキング上位者は2014年末に行われるCapcom Cup Finalsへの出場権を獲得できる。
ウメハラ氏:
うーん,これは個人的な考えなんですけど,大会に出れば,例えば賞金だとか大会慣れだとか,海外のプレイヤーから学べるとか,プラスになることは多々あるんです。だけど,俺はマイナス要素もあると思っていて。
4Gamer:
マイナス要素ですか。
ウメハラ氏:
自分にとっての理想となるプレイを完成させたいと考えたときに,その道中で出場する大会って,絶対邪魔になっているんですよ。大会に出るならベストを尽くすのは当然なんだけど,それって場合によっては,出場してくる相手によってプレイスタイルを変えたり,キャラを変えたりする必要もあるわけで。
4Gamer:
周囲からは,当然結果を残すことも期待されますしね。
ウメハラ氏:
なんていうか,俺は良いプレイを見せることが自分の仕事だと考えているんです。中途半端な仕上がりの試合をたくさん見せるより,自分でも納得できるようなプレイを年に1,2回見せる方が意味があるんじゃないかって。
4Gamer:
それが,ウメハラさんにとってのプロゲーマー観であると。
ウメハラ氏:
これまでも,例えば第2期TOPANGAリーグはダメだったけど,XianやInfiltrationとのエキシビションだとか,Dream Hackでのトーナメントだとか,自分にとって本当に勝ちたいと思えるところに照準を合わせて練習してきたところがあって。だから,Capcom Cupに出るために色々なところの大会にただ出るというのは,俺としてはちょっと違うかなという感じです。
4Gamer:
なるほど。とはいえ,そこはプレイヤーによっても大きく変わってくるところでしょうね。
ウメハラ氏:
ええ。皆が皆同じ価値観だったらつまらないですし,色々な大会にどんどん出る人がいてもいい。ただ,俺は納得のいくプレイをしたい,というだけで。だから,今年も規模が大きくて勝ちたいと思える大会――例えばEvolution 2014(以下,EVO2014)には当然出場しますが,それ以外の大会については,自分の仕上がりが中途半端な場合,出ない可能性が高いです。
4Gamer:
EVO2014は7月開催で,ウルIVの稼働から3か月後と,かなり早いタイミングでの大会になりますね。
ウメハラ氏:
EVO2014に関しては,いくら自分の完成度が低かったとしても絶対に出ますよ。まあ,3か月とはいえ,続編なんでね。
4Gamer:
ご活躍を期待しています。ところで,前回のインタビューでもうかがいましたが,ウルIVではやっぱりリュウを使うんでしょうか。
ウメハラ氏:
うーん,全体から見たリュウ自身のポジションは,これまでとあんまり変わらないと思うんですけど,実はひとつ前のバージョンで面白いなって思ってた要素が,次のバージョンでなくなっていて。しかも,ダブルウルコンもディレイスタンディングも,リュウにはあんまり関係ねえなって感じなんですよ。
4Gamer:
あまり変化がないということですか。
ウメハラ氏:
そうそう。レッドセービングアタック(以下,赤セビ)も,リュウにはあまり影響がなさそうで。まだ稼働前ですが,例えば赤セビがあるから,こういうコンボができるだろうってことで,ダメージを計算するじゃないですか。……結果,ゲージ3本使うほどのダメージアップにはならなそうなんですよね。
4Gamer:
リュウにはセービングでキャンセルできる突進系の必殺技がないこともあって,使い所が難しそうですね。
ウメハラ氏:
途中でユンやガイルも使いましたけど,ストリートファイターIVシリーズで考えるともう6年リュウをやっているんで,もうちょっと色々変わっていてほしかったなあというのが,正直なところです。
4Gamer:
では,リュウを使わないということも有り得ると?
ウメハラ氏:
いや,使わなくなるってことは絶対にないです。ただ,ウルIVに関してはサブキャラもやっていこうかなと思っていて。ほら,見てる側としても,「いい加減(ウメハラの)リュウはもういいかな?」ってなってんじゃないかって(笑)。
4Gamer:
それは,難しいところですね。
ウメハラ氏:
EVO2014に関しては,それこそ3か月しかないのできっとリュウだと思いますが,その後は色々――ガイルだったり,投げキャラのT.ホークやザンギエフ,まこと辺りをやってみるのもいいかなって,密かに思っているところです。
4Gamer:
ウメガイルやウメザンギの活躍にも期待しています。本日はありがとうございました。
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