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音楽でシリーズの歴史を振り返る,「信長の野望」30周年記念コンサートのイベントレポート
信長の野望のシリーズ第1作の発売日は1983年3月30日。2013年で本シリーズは30周年を迎えた。同年には,シリーズ最新作の「信長の野望・創造」(PC / PS4 / PS3)や,記念作品「下天の華」が発売されるなど,今なおその勢いは盛んなままだ。
30周年記念コンサートには,「信長の野望30周年記念キャンペーン 冬の陣」(関連ページ)で当選した人が招待され,会場では,シリーズの楽曲を手がける音楽家,山下康介氏による指揮のもと,神奈川フィルハーモニー管弦楽団が楽曲を演奏し,アンコールにも応えた。
このほかゲストとして,シブサワ・コウというペンネームで知られるコーエーテクモゲームス代表取締役社長の襟川陽一氏や,「信長の野望・創造」のテーマソング「Shine −未来へかざす火のように−」を歌う平原綾香さん,そして「下天の華」のオープニング「下天の華〜Amor」を歌うグレース・マーヤさんも登場した。
■セットリスト
第1部
「全国版」 Overture〜信長の野望〜
「戦国群雄伝」オープニング〜群雄決起
「武将風雲録」狼煙
「覇王伝」覇王序章
「天翔記」乱世の鷹
「三國志」テーマ曲
「信長の野望Online」オープニング
「戦国群雄伝」遠い仲間へ
「蒼き狼と白き牝鹿」夢の旅人
「下天の華」〜Amor
第2部
「将星録」覚めぬ夢,陽炎
「烈風伝」まばゆき明日へ
「嵐世記」夕凪ケ原
「蒼天録」繚乱の大地−オープニング
「天下創世」正道貫き空−覇者のテーマ
「革新」武士の光跡
「天道」幾瀬の想い−初期設定
「創造」SHINE
「創造」雄志の風
アンコール
「Jupiter」
「創造」甦生
「全国版」 Overture〜信長の野望〜
指揮・コンサート用編曲 山下康介
演奏 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
“シブサワ・コウ”氏が明かす
「信長の野望」シリーズの音楽へのこだわり
会場で演奏された曲はセットリストのとおりで,オーケストラの迫力に,観客達は曲の世界に引き込まれていたようだ。
途中には,「信長の野望」シリーズの生みの親“シブサワ・コウ”として知られる襟川陽一氏と,KADOKAWA常務取締役の浜村弘一氏によるトークショーが行われた。
浜村氏は,学生時代に「信長の野望」シリーズにハマり,寝食と入浴時以外は遊び続ける日々を送ったほどの熱心なファンという。
「当時あったほかのゲームのどれとも似ていなかった。デジタルコンテンツの中でもっとも愛されたゲームではないか」とそのオリジナリティの高さや面白さも語っていた。
「信長の野望」シリーズといえば,音楽へのこだわりが深いことでも知られている作品だ。浜村氏がこの点について触れたところ,襟川氏のユニークな経歴が明らかにされた。
襟川氏は,小さな頃にバイオリンを弾き始めて10年以上も続けていた。ジャズコーラスバンドのベーシストも務め,現在もライブハウスで演奏しているという。 そんな「音楽と密着していた」生活があったからこそ,「信長の野望・戦国群雄伝」以降,ゲームの音楽をアレンジしたCD付きのwith サウンドウェア版を発売するアイデアも生まれたとのこと。
その話を聞いて浜村氏は,「『信長の野望』はゲーム業界にもファンが多い作品です。どんどん変化,成長していく姿を見たいですね。これからも頑張ってください」とコメントした。
横浜での出会いから生まれた「下天の華〜Amor」
トークショー後の演奏曲の中に「遠い仲間へ」「夢の旅人」の2曲があった。元々は歌が入った2曲だが,コンサートでは歌なしのオーケストラアレンジが演奏された。
「夢の旅人」の演奏後,「下天の華」のオープニング「下天の華〜Amor」を歌うグレース・マーヤさんがゲストとして登壇し,オープニングに関する秘話を披露した。
グレース・マーヤさんは,幼い頃から音楽の道を志しており,ドイツの音楽大学に通うために留学した経験もある。帰国後に国内でピアニスト兼シンガーとしてライブ活動を続けて横浜のジャズバーで演奏していたところを,たまたま店を訪れていた襟川氏夫妻の目に留まり,その演奏と歌に惚れ込んだ襟川氏よりオファーされたという。そしてニンテンドー3DS用ソフト「FabStyle」の男装ジャズミュージシャン・ボビー役として出演し,「下天の華〜Amor」を歌うことにもなったそうだ。
今回行われたコンサートの開催地が横浜というのも不思議な縁だ。
「下天の華〜Amor」は,イントロ部分のポルトガル語の歌詞が印象的な曲だ。これはグレース・マーヤさんがポルトガル語で歌うアルバムを聴いていたために,襟川氏による発想がもとになっているというエピソードも明かされた。
また,グレース・マーヤさんによるピアノ演奏と,神奈川フィルハーモニー管弦楽団による演奏が披露され,第1部を締めくくった。筆者がこの曲を聞くのは初めてではないが,そんな秘話を知ったうえで聴いてみるといつもとは違った味わいが感じられて興味深かった。
「Shine −未来へかざす火のように−」は
命がけでカバーしたテーマソング
第2部の構成は,山下氏による楽曲「覚めぬ夢,陽炎」や「まばゆき明日へ」が中心となっていた。管弦楽団による西洋の楽器と,渡辺峨山氏による尺八で演奏される和洋の音色が印象的だった。
今度は,「信長の野望・創造」のテーマソング「Shine −未来へかざす火のように−」を歌う平原綾香さんがゲストとして襟川氏と共に登壇。
平原綾香といえば,「Jupiter」や「ノクターン」といったクラシックの名曲に歌詞をつけた作品で有名だ。
襟川氏いわく,平原綾香さんの「常に斬新なものを求める姿勢」に対して「信長の野望」シリーズと同じだと親近感を抱いていたことから,テーマソングに平原さんを起用したという。
「Shine −未来へかざす火のように−」は,「全国版」のテーマ曲である「Overture〜信長の野望〜」をモチーフとした曲だ。いわば30年の歴史を象徴する曲なだけに,平原さんは大きなプレッシャーを背負ったという。
平原さんは,「30年愛されたメロディを歌うことは嬉しかったけれども,不安もありました。命がけでカバーするという意気込みを感じてほしいです」と前置きして,「Shine −未来へかざす火のように−」を歌った。さらに,このときはオーケストラ演奏用にアレンジされたバージョンのお披露目となった。
平原さんによる歌のあと,「信長の野望・創造」のプロデューサーである小笠原賢一氏が,山本寛斎さんによるデザインのコラボレーション衣装を身につけて登場。2014年4月2日から配信される無料DLC「信長の野望の日記念セット」の情報を公開した。同DLCは,3月30日が「信長の野望の日」として日本記念日協会に認定されたことを記念し,「信長の野望」歴代作のBGMや顔CG,「戦国無双4」キャラクターの顔CGなどがセットになったものだ。
そして,襟川氏が「30周年を迎えられて感謝します。40周年を迎えられるよう,良いゲームを作り続けていきたいです」という意気込みを語った。オーケストラ演奏はこの後も続き,さらに観客のアンコールにも応えたあと幕を下ろした。
「信長の野望・創造」公式サイト
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(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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キャラクターデザイン/琥狗ハヤテ
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