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[SIGGRAPH ASIA]独立企業になるマッチロックのブースで,エフェクト制作ツール「BISHAMON」の今後を聞いてみた
BISHAMONは,数多くのゲームで採用実績のある,国産のエフェクト制作ツールだ。BISHAMONで制作したエフェクト群は,独自のランタイムをゲームエンジンに組み込んで,ゲームエンジン側からエフェクトの再生を制御できるので,ミドルウェア的な側面もある。
BISHAMONは,ゲームエンジンとして名高い「Unity」で使えるほか,スマートフォン向けの2Dゲームエンジンとして採用時例が増えている「Cocos2D-X」にも対応するとのこと。ちなみに,スマートフォン向けゲームの「ファイナルファンタジー・ブレイブエクスヴィアス」(iOS / Android)は,Cocos2D-Xベースで制作されたゲームであるが,多彩なエフェクト群はすべてBISHAMONベースで制作されたものだそうだ。
ブースで聞いた最新情報の1つめは,親会社であったシリコンスタジオから,マッチロックが11月30日をもって,資本的に独立すること。よって,今後のBISHAMONは,マッチロックが独自に提供していくスタイルになるという。ただ,シリコンスタジオのゲームエンジンであるOROCHIシリーズに統合されているBISHAMONは,そのままOROCHIと一緒に提供され続けるそうだ。
2つめは,今後のBISHAMONが目指す進化の方向性だ。
まだ,「どのような優先順位をつけて開発していくかは決定していない」(説明員)とのことだが,今後のBISHAMONでは,UIメニューやヘッドアップディスプレイ(HUD)のようなものまで,制作できるような機能を搭載していくとのことだ。
UI制作の専用ミドルウェアとしては,AutodeskのScaleformシリーズがあり,ゲームエンジン「Unreal Engine 4」には「Unreal Motion Graphics」(UMG),Unityには「uGUI」と呼ばれるツールが提供されている。「動くUI」「3D表現ができるHUD」の制作ニーズは高まっているそうで,BISHAMONもそうした動向に対応しようとしているわけだ。
また,パチンコ・パチスロ業界などからの引き合いが多い「文字エフェクト」への対応も進めたいとのこと。スコアなどの数値や「HIT!」といった文字へのエフェクトを作るとき,現在のBISHAMONでは文字形状をグラフィックスとしてデザインしなければならず,手間がかかっている。この仕様を改善し,文字データを与えるだけで,任意のエフェクトとして設計,制作できる機能をBISHAMONに搭載していきたいと,説明員は話していた。
これ以外に,マッチロックが取り組んでいることに,取扱説明書やドキュメント類の英語化がある。現時点でも,海外からそれなりにBISHAMONの引き合いがあるそうなのだが,対応が十分とはいえない点があったので,これを改善しようというのだ。海外マーケティング担当の人材も確保できたそうなので,今後,状況は好転していくかもしれない。
最後に,BISHAMONに関連した情報を2つ示しておこう。
1つは,2013年〜2014年にかけて行い,好評を博した賞金制のゲームエフェクトコンテストを,今年もまた開催する予定だとのことだ。
もう1つは,BISHAMONを2015年末まで無料で使えるシリアルIDの提供を開始したことである。シリアルIDは誰でも使えるそうなので,興味がある人は,BISHAMONをダウンロードして,エフェクト作りに挑戦してみるといいだろう。
SIGGRAPH ASIA 2015 公式Webサイト
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